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1.急成長するインバウンド市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!

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「急成長するインバウンド市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!」セッションの書き起こし記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その1)は、ベンチャーリパブリック柴田さん、ナビタイムジャパン大西さんの自己紹介です。ぜひ御覧ください。

▶ICCパートナーズではオペレーション・ディレクター及びコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)との募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCカンファレンス KYOTO 2017のプラチナ・スポンサーとして、レノボ・ジャパン株式会社様に本セッションをサポート頂きました。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年9月5日・6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2017  Session 6D
「急成長するインバウンド/観光/レジャー市場のビック・ウェーブに乗り遅れるな!」Supported by レノボ・ジャパン

(スピーカー)
大西 啓介
株式会社ナビタイムジャパン
代表取締役社長 兼 CEO

加藤 史子
WAmazing株式会社
代表取締役社長

篠塚 孝哉
株式会社Loco Partners
代表取締役社長

山野 智久
アソビュー株式会社
代表取締役社長

(モデレーター)
柴田 啓
株式会社ベンチャーリパブリック
代表取締役社長

「急成長するインバウンド市場のビッグ・ウェーブ」の配信済み記事一覧

柴田 啓氏(以下、柴田) 皆さんおはようございます。

実は去年もこのICC KYOTO でトラベル・ツーリズム系のセッションがあり、私がモデレートをさせて頂きました。

今日は更にユニークな方4名に来て頂き、そのうち実は3名がリクルートさんの出身です。

そのため今日はリクルート・セッションになりそうですが(笑)そうではない僕と大西さんも頑張って盛り上げていきたいと思います。

普通に自己紹介しても面白くないと思いましたので、皆さんには宿題を出させて頂きました。その宿題に沿って自己紹介をして頂きたいと思います。

まず私から簡単に、次に皆さんに自己紹介いただきたいと思います。

Travel.jpを運営するベンチャーリパブリック

柴田 まず1つ目の宿題は「幼少期の写真を持ってきて」です。


柴田啓
株式会社ベンチャーリパブリック
代表取締役社長

慶應大学義塾大学法学部卒業後、三菱商事株式会社に勤務。大手コンビニエンスストアチェーンの株式会社ローソンのM&Aなどのプロジェクトに従事。三菱商事在職中のハーバードビジネススクール留学を経て、2001年株式会社ベンチャーリパブリックを設立。設立以来代表取締役社長兼CEOとして国内最大級の旅行検索サイト『Travel.jp(トラベル・ジェーピー)』、ショッピング検索サイト『coneco.net(コネコネット)』など旅行およびECに特化した複数の情報サイトを立ち上げた。2008年には設立後7年で同社がIPO(現JASDAQ市場)を行い、2012年にはMBOを実施。2013年には『coneco.net』をヤフージャパンの戦略事業として独立させ、2015年にはシンガポールFlocations社(現Trip101)を買収、海外オンライン旅行マーケットへの本格進出を図る。Telunjuk(インドネシア)、Trip101(シンガポール)、Allstay(韓国)といった旅行・EC分野を中心とした国内外におけるスタートアップ企業へのアーリーステージ投資も手がける。

白黒写真ですね、母親が若くてびっくりしました。

ちなみに僕はこのようなサービスを運営しているだけではなく、国際会議も含めてカンファレンスでモデレーターをさせて頂いたり話す機会が多いので、そのため今回もご指名頂いております。

2つ目の宿題は「自分の会社の最大の資産は何ですか」という質問です。

弊社の最大の資産はオウンドメディアに非常に力を入れていることです。

もともとは旅行の比較サイトで、今でも主流としてやっていますが、海外も含めて850人のインフルエンサーの人たちと一緒に仕事をしてオウンドメディアを作っています。

これが資産になってきたという実感が大きいです。

そして最後の宿題です。

「最近あった残念なことは何ですか」を考えてきてもらいました。

私が残念だったのは、去年もお見せしたのですが、日本の旅行サイトのトラフィックデータです。

(SimilarWebのデータを元にベンチャーリパブリックの独自調査による)

これはシミラーウェブによる旅行分野でのウェブサイトのトラフィック調査数字をもとに、弊社が独自に集計した日本の旅行サイトのトラフィックランキングです。

当社運営のTravel.jpのランキングは去年に比べて順位が上がったのですが、やっぱり上位3位に入っていくのは大変だなぁと改めて感じました。本当は3番・4番くらいには入りたかったのですが、今はこういう状況(5位)です。

私の自己紹介は以上で、次に登壇者の皆様から、では、まずは大西さんからお願いしたいと思います。

幼少期はどんな子供だったのかということで、写真を持ってきて頂けるようお願いしています。

経路探索一筋30年。ナビタイムジャパンの大西氏

大西 啓介氏(大西氏) お持ちした写真は、幼少期ではなく学生時代ですね。会場の皆さんの幼少期は30年前くらいだと思いますが、私の30年前はこのような感じでした。

これは1990年の新聞の記事です。私が大学院の修士課程の頃です。

「PC98」をご存知の方はいらっしゃいますか。

(会場挙手なし)

いらっしゃいませんね。

5インチのフロッピーディスクです。ハードディスクがない頃から経路探索をやっています。

パソコンに映っているこのネットワークは千代田区の地図です。真ん中の黒い部分が皇居です。


大西 啓介
株式会社ナビタイムジャパン
代表取締役社長 兼 CEO

1993年 上智大学大学院理工学研究科 電気電子工学博士後期課程修了 博士論文: 大規模道路ネットワークデータにおける経路探索アルゴリズム
1993年 (株)大西熱学入社
1996年 (株)大西熱学において社内ベンチャーとして経路探索エンジンのライセンスビジネスを立ち上げる
2000年 株式会社ナビタイムジャパンを設立し、代表取締役社長に就任
2007年 東京大学客員教授に就任。
2009年 東京農工大学客員教授に就任。
2013年 上智大学客員教授に就任。現在に至る。

デジタル地図がなかったのでマウスを使って全部自分で作り、音声ボードを使って、このPCでカーナビゲーションを作るという研究を大学4年生の頃から行っていました。

この記事のタイトル「パソコンで探索 将来は車に搭載」と書いてあります。当時はまだカーナビがありませんでした。カーナビが登場する前から、この道30年で経路探索を研究しています。

柴田 ありがとうございます。

2つ目の宿題は「自分の会社の最大の資産は何ですか」という質問でした。

大西 『NAVITIME for Japan Travel』という訪日外国人向けのサービスを提供しています。

今は月間のユニークユーザーが約10万人なので、FIT(Foreign Independent Tour = ツアーなどを使わない個人手配の旅行客)の訪日外国人の12.5%がこのアプリを使っています。

ここではその方たちのGPSログデータを表示しています。赤が滞在、つまりGPS上で30分以上同じ場所にいた場合です。電車や車に乗っている移動のところは黒です。このように日本全国のデータを見ることができます。

柴田 その12.5%の方は有料課金でお金を払っているのですか。

大西 いいえ、訪日外国人向けのサービスは無料で提供しています。

日本の観光開発に役立てるために、国籍や性別、訪日目的などのアンケートに答えていただき、GPSログや検索履歴を活用させていただくことに同意を得た上で、無料で使えるようにしています。

柴田 なるほど。そして最後の宿題です。

「最近あった残念なことは何ですか」を考えてきてもらいました。大西さんから2つもスライドを頂きました。

まず1つ目はこれです。

大西 我々はまだ旅行業の資格を取って1年目ということもあり、まだ「残念」というフェーズまで至っていないので、「大変なこと」を挙げさせていただきました。

11年かけて日本全国のバス時刻表をカバー

大西 ナビゲーションを作るのは大変だったということです。

今日も話に出るかもしれませんが、地方に観光客を誘致するためにバスは必須です。

実は、5台以上のバスを持っている路線バス会社は全国で515社あります。これらの会社のほとんどが紙やエクセルで時刻表を管理しています。

我々はそういった会社に11年前から1社1社、ナビゲーションに時刻表データを提供いただけるよう交渉し続けました。

2006年に東京都交通局の都営バスのデータを入れたのが最初でした。

それ以来、貰ったデータが紙でもエクセルでも、自分たちの手で入力して、当社独自のフォーマットに変換して経路探索できるようにするということを続けています。バスデータ導入率は、現在94%、今年ようやく100%になります。

ここまでに11年かかりました。(2018年1月24日時点で全国路線バス515社のデータ導入完了、100%達成)

もう1つが旅行プランニングシステムという、自由旅行を簡単にプランニングできるシステムです。

20年前、1996年に私と副社長の菊池の二人で開発を行っていた当時、「ベッコアメ」というプロバイダーなどによりインターネットが商用化されたころ、Java(言語)が使えるようになりました。

我々のアルゴリズムはインターネット上でどう使えるかを考えて、最初に作ったプログラムがこのスライドにある「函館観光地経路案内システム」です。

このシステムも地図からコンテンツまで全て自分たちの手で作り、旅行プランニングシステムを構築しました。当時はデータの拡充とエンジンの精度が不十分で思うようなものが出来ませんでしたが、去年ようやくリリースすることができました。

このシステムの開発に20年かかりました。

柴田 ちなみにこれはどうやってお金を儲けているのですか。

大西 これはプロトタイプです。昨年リリースしたサービスは、旅行プランを作成するなかで、ホテルや飛行機の予約と観光コンテンツの閲覧ができるサービスです。各種、予約での収入を想定しています。

柴田 ちなみに、世界の旅行業界ではスタートアップが今どんどん出てきていますが、ベンチャーキャピタルや投資家の中で通説になっているのは「旅行プランニング系のベンチャー企業には手を出すな」ということです。

絶対儲からないとみられているからです。

この5年位、毎年世界で山のように色々なスタートアップが出てきましたがどこもうまくいっていません。

それを20年かけてこれをやっているというのはすごいですね。

大西 旅行プランニングサービスは、アルゴリズムだけですぐにできるものではなく、あらゆるデータを整備する必要があるため、20年という時間がかかるのだと思います。

私たちは、ナビゲーションコンテンツを提供しているため地点情報などのデータを持っているのですが、このデータを、3時間ごとにアップデートしています。

日本だけでも、この頻度でお店等の増減があるのです。

今(2017年9月現在) ナビタイムの月間ユニークユーザーは3,700万人います。

3年位前までは1日ごとの更新でもよかったのですが、今は3時間ごとに更新しないとすぐにユーザーの方から指摘が来ます。

それくらいのデータの精度を持っていないと、ユーザーが満足できないため、旅行プランニングサービスを提供することは非常に大変です。

柴田 聞きたいことがまた色々でてきましたが、次に行きましょう。

(続)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/立花 美幸/浅郷 浩子/戸田 秀成

【編集部コメント】

ナビタイムに、訪日外国人向けのサービスがあるとは知りませんでした。旅行プランニングシステムの開発に20年もかかったことも驚きです。ものすごいノウハウとデータが日々蓄積されて、それが新たなサービスへとつながっていくのだろうなと思いました。(浅郷)

続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

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