【最終回】「読み手・作り手・広告主」三方良しの仕組みを創る – メディアのキーマンが語る決意【K16-7C #9】 – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

【最終回】「読み手・作り手・広告主」三方良しの仕組みを創る – メディアのキーマンが語る決意【K16-7C #9】

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「今後のメディアはどう進化するのか?」【K16-7C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その9)は、運営する各メディアで取り組む「進化」について、各登壇者の決意をお話し頂きました。メディアの在り方が議論される昨今にふさわしい終わりとなりました。是非御覧ください。

ICCカンファンレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。

登壇者情報
2016年9月7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 7C
「今後のメディアはどう進化するのか?」
 
(スピーカー)
佐々木 紀彦
株式会社ニューズピックス
取締役 NewsPicks編集長
 
藤村 厚夫
スマートニュース株式会社 執行役員
メディア事業開発担当
 
古田 大輔
バズフィード・ジャパン 創刊編集長
 
吉田 大成
株式会社エブリー
代表取締役
 
(モデレーター)
瀬尾 傑
株式会社講談社
第一事業戦略部長兼デジタルソリューション部担当部長

その1はこちらをご覧ください:【新】今後のメディアはどう進化するのか? -”NewsPicks”と”SmartNews”のいま【K16-7C #1】
その2はこちらをご覧ください:「楽しくて、信頼できて、シェアされる」Buzzfeed が目指すメディアの在り方【K16-7C #2】
その3はこちらをご覧ください:「DELISH KITCHENは他とどこが違うんですか?」エブリー吉田氏が語る分散型メディアの差別化【K16-7C #3】
その4はこちらをご覧ください:「メディアとは何か?」SmartNews藤村氏がいま問うメディアの価値【K16-7C #4】
その5はこちらをご覧ください:「読まれた」と「バズった」は違う – BuzzFeed古田氏が語るコンテンツの”質”【K16-7C #5】
その6はこちらをご覧ください:メディアに理念がない限り、情報の質や正確さは失われる【K16-7C #6】
その7はこちらをご覧ください:編集と経営を分離する – BuzzFeedが重視するメディア組織倫理【K16-7C #7】
その8はこちらをご覧ください:「書きたいことを書けるのは有料課金ができるメディア」NewsPicks佐々木氏が占うメディア業界の未来【K16-7C #8】


瀬尾 さて、時間も残り少なくなりました。

AR(Augmented Reality, 拡張現実)やVR(Virtual Reality, 仮想現実)といった新しいテクノロジーも出てきています。

そこに皆さんがどういう風に取り組んでいかれるのかも含めて、メディアはどういう方向に向かっていくのか、或いはご自身がどうされるかといったことを、最後に改めてお一人ずつお話し頂けますでしょうか?

佐々木 AR、VRの計画は今のところないですね。

テクノロジーのところというよりも、参入障壁の話もそうですけれども、やはりどう人を採用するかというところだと思っています。

ただ、流通のところにおける、テクノロジーも含めた競争というのは、そんなに差がつかなくなってきている気がするんですね。

むしろコンテンツを作るサイドでどれだけすごいタレントを惹きつけられるようなカルチャーや待遇や面白さを作るか、そこがこれから競争の全てだと私は思っているので、とにかく面白い人を採用しにいくということに尽きるかなと思います。

瀬尾 ありがとうございます。藤村さんお願いします。

広告が最も嫌われる時代にどんな体験を創れるか

藤村 佐々木さんは結構否定派なのですけれども(笑)、僕はそうでもなくて、広告には色々な可能性があると思うと同時に、SmartNewsが見ている広告ビジネスの現況には結構悲観的な要素があります。

言ってみれば、広告が歴史上最も嫌われている時代にさしかかっているのではないかと思っていて、広告ブロックや、広告を見ないようにするという行動態様に見られるように、消費者の中に広告というものに対する反感というのが潜在的に高まってきていると思うんですね。

ここにいらっしゃる方々は、必ずしもメディアビジネスに携わっておられるわけではないと思いますが、総合的に言うと、ユーザー体験が最も重要で、そこをスポイルする(ダメにしてしまう)ような要素だけは生きていけないのだという、そういう時期にきていると思っています。

メディアのビジネスを考えていると、いつもコンテンツの良し悪しが議論しやすくて、そこだけに皆さんが熱中してしまうのだけれども、実は、今、メディアやコンテンツを味わおうとしている消費者にとって最も目障りな、エクスペリエンス上不満足を作り出しているのは、実はコンテンツの良し悪しではなくて、そのコンテンツを包んでいる広告であったり、エクスペリエンス全体の仕組みであったりする可能性がとても高いと思っているんですね。

広告は特にその中で、広告主がメディアに対して図々しく居直ってしまうところがあるので、改善されない要素がとても高いと思っているんですよ。

これからの広告が成長する、或いはこれからの無料の仕組みでメディアが成長する時には、そのエクスペリエンスをスポイルするような要素を一掃しないといけないのだろうなと思っていますので、そういう時代に向かって何ができるかということを提案していきたいとSmartNewsは思っています。

瀬尾 ありがとうございます。古田さんお願いします。

古田 僕は広告が大好きなんですよね。広告って面白いじゃないですか。

バズフィードはまだ日本ではようやく始まったところなのですけれども、アメリカで作っているバズフィードのコンテンツは、すごく面白くて笑えるんですよね。

ああいうものが日本でもどんどん広がっていけばいいなと思います。

本当にクリエイティビティにあふれているもの、しつこく人の心に刺さったり楽しかったりするものが。

そこから人の消費行動が生まれたら、それはそれで素晴らしいことではないかと思っています。

新たな発想をグローバルレベルで集めてトライしていく

古田 2つ目に、今後のメディアがどう進化するかなのですが、メディアの進化は、本当にグローバルに発生しているんですよね。

僕がバズフィードに来て本当に良かったなと思うのは、各国の編集長や、各国のライター、リポーター達と、24時間コミュニケーションを取っていて、色々な新しい発想がどんどん生まれているのを見られることですね。

今、グローバルで行っている企画の一つが、「デバンキング(Debunking)」です。

それは、「情報を検証する、ウソを見破る」という意味で、メディアでデマ潰しの研究をやっている、カナダの編集長クレイグ・シルバーマン(Craig Silverman)が中心になって、世界中で色々なデマを潰していこうぜというのをやっているんですよ。

日本でもそれに参加していて、2016年8月に一番読まれた世界中のバズフィードのデマ潰しの記事のナンバーワンがジャパンだったのです。

例えばそういう、嘘を見破るにはどうしたらよいかという知見を共有する、つまりツールや、やり方を全部共有したり、一方で弊社ではサンフランシスコにメディアラボというところがあって、そこではまさしくARやVRの研究、ドローンをどうやって報道に行かせるかとかいう研究をしています。

メディアって何が最終形になるかは分からないけれども、そういうことについてグローバルで会話していくことによって、単に日本だけではない進化というのが今後生まれてくるのではないかなと思っています。

瀬尾 ありがとうございました。吉田さんよろしくお願いします。

ファンにも広告主にもメディアにとっても良い在り方に挑む

吉田 初めてメディアの業界に入り、この1年間で多くの先輩方に教えて頂きながら事業を進めているところなのですが、先ほど言われたように、コンテンツの質が絶対に問われるだろうなと思っています。

でも、コンテンツの質も量も高めようと思うと、良い人材が必要になります。良い人材を組織として維持するためにはコンテンツの作り手に還元するための売上が会社としては必要になってきます。

売上を作ることだけに特化し始め、過度に広告ビジネスだけに偏ってしまうと、ユーザーファーストでなくなってしまい、メディアとしての価値がなくなってしまうため、やはり循環というかバランスが大事だなと思っています。

それでもコンテンツ作り手に正当な対価はあるべきだと思っていて、メディアとしてはコンテンツ課金にも挑戦し、広告もファンにとっても広告主にとってもメディア運営会社にとっても価値のある新しいクリエイティブの広告を作っていくということをやっていかないと、業界全体でメディアを作る力がなくなってしまうと思っています。

ユーザー数や売上だけを見て、質が担保されていなくても安くコンテンツが作れればいいという流れはダメだと思っています。僕の前職がゲーム業界だったのですが、そういうのは5年、10年位前にすごく似ていると思います。

やはりカッコいいことをやっている人や、よいものを作っている人達は、正当なお金をもらってよいと思いますし、そのためには、きちんと収益を上げられるようなビジネスを作りたいと思います。

それを作ることによって、この業界自体に人がどんどん増えていって、質が高まるようなことをやはりやっていきたいなと思っているので、どうマネタイズしていくかというところを同時進行で走らせるということをやっていくことによって、メディアの方向を作っていけるといいなと思っています。

瀬尾 ありがとうございました。

今日は長時間お付き合い頂きましてありがとうございました。

4人のパネラーに、僕もすごく勉強をさせて頂きました。

皆さんから、改めて拍手をお願い致します。

(終)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子


【編集部コメント】

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