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「モバイル広告はどのように進化するのか?」【K16-1C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その7)は、広告を経営思想を持って運用できる企業や人材の在り方等について議論しました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 1C
「モバイル広告はどのように進化するのか?」
(スピーカー)
菅野 圭介
ファイブ株式会社
代表取締役
二宮 幸司
株式会社ファンコミュニケーションズ
取締役
林 宣多
AppLovin Corporation
Country Manager, Japan
(モデレーター)
坂本 達夫
AppLovin Corporation
Director Sales, Japan
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【前の記事】
【本編】
坂本 では少しそういうところから派生して、最後のトピックとして、モバイル広告を伸ばしていくための今ある課題や、ちょうど代理店のお話も出ましたけれども、こういうところがクリアされればもっと伸びていくよねといったことや、こういうところを課題と思っているといったことを自由にお聞かせ頂ければと思います。
経営的思想を持った商流のリレーができるか
林 日米のマーケットを見ていて気づくことが2つくらいあって、マーケティングというのは本来は事業を良くしていくためのものだと思うのですけれども、結局、日本だと経営層からマーケティング部門に目的が落ちてきて、マーケティング部門から代理店の営業担当の人にきて、代理店の営業担当から代理店の媒体担当にきて、代理店の媒体担当から媒体である僕達に目標が下りてくるといった流れになっていると思います。
やはりその流れの中で、どうしても本当の目的というのが抜け落ちてしまって、その結果、CPIをこれでできるだけ取って下さいといった、誰もリスクを取らない感じの目標になってしまいます。
そうするとやはりどうしても事業自体の成長が妨げられ、機会損失が出てきてしまうと思うので、皆がいかに経営的思想を持ってマーケティングしていけるかが重要だと思っています。
USだと会社にとって良いと思うのことは積極的に試してみよう、というのが担当者レベルでも感じられます。
坂本 なるほど。
林 もう一つは、それと関連するかもしれませんが、USだとマーケティング担当者と話していても、元エンジニアや、元PM(Project Manager)や、元コンサルタントといったバックグラウンドの人達が結構います。
やはり、特にスマートフォンだと、技術も重要だし、数字に強い、経営的思想ができるというところも重要になってくると思うのです。
一方で、日本ではどうしても、エクセルを使ってCPIとROASを計算して報告することがマーケターの仕事のようになってしまっているところがあるので、元エンジニアや元コンサルタントなど、そういう色々な業界の人がよりマーケティング領域に入って来て色々なアイディアを出しながら進化していくというのが重要なのではないかなと感じます。
坂本 なるほど。
他のお2人はいかがですか?
2015年以降、市場が焼き畑っぽくなりつつある
二宮 基本的に、僕達も今色々なお客様とお付き合いさせて頂いていて、林さんがおっしゃるような課題というのをすごく感じています。
パブリッシャー側もやはり、僕達も直接お付き合いをするケースと、間に事業者が入るケースとがあったりして、そこも広告主側と全く一緒で、例えばCPMを高くするということだけでお付き合いをしていくということが必要になってくるのですけれども、ある程度大きなメディアになったら、そこは自分達でやるべきだし、これから自分達のオーディエンスをどうやってマネタイズしていくかということをもっと真剣にやっていかなければならない。
そこら辺を僕達がソリューションとしてもっともっと提供していかないと、どんどん焼き畑になっていく様な気がします。
2015年以降、市場自体が焼き畑っぽくなっていて、CPC(Cost Per Click)が今どんどん下がっていますね。
広告主の出稿が厳しくなって、CPI(Cost Per Install)がなかなか厳しくなるので、各社CPCが下がってくるという中で、メディアに還元するためにはCTR(Click Through Rate)を上げなければいけないからといって、CTRを上げるようなフォーマットをどんどん出していくみたいなことになっていきます。
そこは全く本質ではなくて、パブリッシャー側も、もっとそういうことに対してはCPM(Cost per Mille)だけではなくて敏感になっていかなければならないと思います。先ほど菅野さんがおっしゃっていましたけれども、ユーザーが嫌だなと思うような広告というのはやはりよくないと思いますし、僕達もそういう広告はなるべくずっと昔から提供しないようにしてきています。
例えば最近のオーバーレイ広告だと、画面の真ん中くらいからいきなり出てきたりといったことがあったりして、そういうことは長い目で見ると無くなってくるとは思うのですが、もう少しそれぞれの事業者が考えていかなければいけないところなのではないかなと思います。
坂本 なるほど。
今ちょうど人お二人のお話にもありましたが、結構大きい会社でも、広告運用をするマーケティング担当の方や、マネタイズの担当の方が驚くほど少ないことが結構ありますよね。
実のオペレーションは代理店に投げているので、連絡係しかやっていませんみたいな。
二宮 そういう要素が大きいと思いますね。
ですので、できないというところもあると思います。
何となく全体的な人材不足というのはあると思います。
グローバル事業者を辞めて新たな会社を作る人材が出てきてほしい
坂本 この会場の中にも広告主サイドの方や、メディアとしてマネタイズされている方がいらっしゃるかもしれませんが、もう少し「いけてる人材」を沢山そちらのマーケティングにアサインして頂けると、色々と面白いことができてよいのではないかと思います。
林 あともう一つ追加で、僕は海外の事業者なのですけれども、やはり日本国内のnendやFIVEのようなところがきちんと大きくなって、アドテク・プラットフォーム側から優秀な人材が出てきて、成功体験を基に色々な新しいアドテクの会社を作るといったことがもう少し起きないと、Facebook、Twitter、Googleに全部飲み込まれてしまうかもしれません。
日本にはアドテクを知っている優秀な人がいないみたいなことになったら多分、もうずっと勝てない状況が続いていくと思うので、その辺は是非私も陰ながら応援したいと思います。
菅野 頑張ります。
坂本 かなりプレッシャーをかけられていますね(笑)。
菅野さんは、今の日本の広告の課題や、問題点というのはどう感じていますか?
菅野 広告モデルってそもそも、といった話なのですが、インターネットビジネスだと、サブスクリプション(継続課金)かトランザクション(商取引)か広告かというのが3本柱で、広告というのはすごく太い柱だと僕は思っているし、価値があることだと思っているんですね。
「インターネット広告業界」みたいなものがあるとして、そこから「インターネット」という言葉を外すことがすごく大事かなと思っています。
先ほどの林さんのお話ですが、専業マーケター、職業マーケターみたいな人というのは、やはり相対的にはベンチマークはUSになってしまいますけれども、USに比べると少ないなというのは私も感じますし、この土壌みたいなものというのは、やはりもっと豊かになっていった方が良いのだろうとは思います。
私は、ユーザー、メディア、広告主の順番だと思うんですよ。
ユーザーがいて初めてメディアが成立して、そこでコミュニケーションができるという順番だと思います。
ユーザーを集めてメディアが育つ環境というのがやはりインターネットのコンテンツ環境そのものだったりするので、もっと儲けられるような市場にならなければならないという風に思っています。
USなどと比べると、CPM(Cost Per Mille)という指標で見ても、日本は収益性が5分の1から10分の1と言われたりしますよね。
それというのはやはり、何か1つのところが悪いというのではなくて、エコシステム全体の話だと思うので、そこを底上げできるようにしていかないと思いますし、インターネットに閉じている限りは結構しんどいのかなと思っています。
そこの目線を外さなければならないし、逆に外のマーケティング業界、広告業界のことをきちんと学んで知っていかなければならないのかなと思っています。
坂本 ありがとうございます。
(続)
続きは 【最終回】「広告の運用業務はなくなっていく?」アドテク企業が考えるモバイル広告の未来 をご覧ください。
https://industry-co-creation.com/industry-trend/9522
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子/坂本 達夫
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【編集部コメント】
続編(その8)では、会場からの質問を受け付け、広告の投資対効果を正しく測れる仕組みづくりやモバイル広告の進化の方向性について議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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