▶平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
▶ICCの動画コンテンツも充実! Youtubeチャネルの登録はこちらから!
「新規事業の立ち上げプロデューサー対談」【K16-6E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その2)は、SHOWROOM前田さんに小学6年生から始めた弾き語りがSHOWROOMを始めた背景となったお話について語っていただきました。ぜひ御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
▼
【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 6E
「新規事業の立ち上げプロデューサー対談」
(出演者)
前田 裕二
SHOWROOM株式会社
代表取締役社長
松本 龍祐
株式会社ソウゾウ
代表取締役社長
小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役(当時)
(聞き手)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル
坂本 達夫
AppLovin Corporation
Director Sales, Japan
▲
▶「新規事業の立ち上げプロデューサー対談」の配信済み記事の一覧
【前の記事】
【本編】
▶SHOWROOM前田さんの処女作『人生の勝算』(幻冬舎)が出版されました!詳しくはこちら
前田 「SHOWROOM」を始めた背景は2つあります。まず一つは、自分自身、駅前で弾き語りをして、いわゆる、おひねりや投げ銭をもらっていたという原体験です。もう一つはまた後半でお話しますが、中国で伸びていたライブストリーミングサービスのNASDAQ上場を証券会社時代に目の当たりにしたことです。
松本 投げ銭時代にはどれくらい稼いでいたんですか?
前田 小6からやっていたのですけれども、最終的には、1ヶ月10万円くらいですかね。
松本 へえ。すごい。
井上 月10万稼ぐ小学生!
坂本 稼働時間はどれくらいなのですか?
前田 基本的に毎日立ちます。更新頻度の高さが重要なのは、ウェブサービスと同じですね。重要なのは、新しいお客さん以上に、常連客をつかむこと。イメージとしては、今日来たお客さんのエンゲージが時間をかけて翌週以降に高まっていって、その方が例えば、時々、千円とか、1万円下さるという感じなんですね。
井上 リピーターなのですね。
前田 具体的に言うと、3ステップあるのですが、
坂本 弾き語りの3ステップ!
SHOWROOMの原点となった弾き語りの3ステップ
前田 まずそもそもは、「ゆず」や「19(ジューク)」の世代なので、駅前で歌っていたんですよ。
葛飾の出身なので、北千住とか綾瀬に立って歌ってたんですけど。最初に直面した問題としては、そもそもまず、誰も自分の歌に立ち止まってくれないというのがあって。
最初は、「オリジナルの曲が価値が高い」と子供なりに考えて、そうしていたんですが、途中で、誰も聞いたことのないオリジナル曲を歌う小学生の胡散臭さを客観視し(笑)、カバー曲を歌うスタイルに切り替えました。そうすると、「あ、この曲知ってる」という感じで、少しずつ足を止める人が増えたのですが、でも、たまに100円とかそれくらいの金額を貰えるといった感じで。これでは絶対に食べていけないと思いました。自分自身ちょっと変わっていたのが、テーマは「音楽による自己表現」ではなくて、シンプルに「音楽で食べること」でしたので。1日100円はまずい、と。
松本 小6で?
前田 ですね。そこで、何とか売上を伸ばすために、もっとお金を持っている人が多そうな街へ繰り出そうと、作戦を変えました。
井上 どこへ行ったのですか?
前田 最初は、白金です。「金」って入ってるし(笑)、なんとなくセレブなイメージで。
(一同笑)
坂本 小6で葛飾から白金まで遠征していたのですか?
前田 葛飾でもらった売上で切符を買って、それで行きました。
Step1:コミュニケーション可能範囲に誘導する
前田 白金で弾いていたら、面白いことが起こりました。「ゆず」や「19」のカバーでは、葛飾ほどにお客さんが立ち止まらないんです。なぜか。よく観察してみると、若干年齢層が変わったのと、後は、女性が多いなと思って。そこで、「自分が通行人だったら、どんな歌が流れてきたら立ち止まるか」と想像して、なぜかそこで、松田聖子さんをチョイスしました(笑)。
井上 ターゲットが大事なのですね。
前田 ですね、本当に歌う曲によってオーディエンスの反応が変わるから、面白いなと思って。
ただ、原則、古めの歌謡曲が多かったです。やはり、みんな現在進行形で好きな歌よりも、青春時代や多感な時期に聴いていたであろう曲の方が、刺さるんじゃないかと。
濃い「常連客」を作るためには、大きく分けて、3ステップあって。まず第一のステップは、お互い会話のできる、コミュニケーション可能な範囲に入ってきてもらうこと。ターゲットに沿った歌を歌い、足を止めてもらって、会話が成立するくらいに近くに寄ってきてもらうことです。この、「コミュニケーション可能範囲」っていうのが大事でして。通行人というのは、弾き語りしているミュージシャンに投げ銭やCD購入を促されるのではとか、何か話しかけられるの怖いとか、そういった理由で、だいたい遠巻きから見るんですね。そういった人たちを、どう惹きつけるか。
例えば、最初にまず松田聖子さんの歌で足を止めるじゃないですか。そもそも突っ込みどころが多いので、お客さんは、聞き終った後に、例えば、「小さいのによく松田聖子なんて知っているわね」などと、話しかけてくれます。ここまでで、Step1は完了です。
次に、Step2です。次は、リクエストに応えていきます。
Step2:時間差でリクエストに応える
前田 例えば、「松田聖子好きなのよね。そうね…そうしたら、白いパラソル歌える?」という感じで。ここで、歌える時はすごく歌いたくなってしまうのですが、仮にその歌がレパートリーに入っていて、すでに歌えるとしても、絶対にそこで歌わないというのがポイントで。「翌週火曜日19時頃にまたここに来るから、聴いてくれますか」と約束をして、また来てもらうんです。
松本 素晴らしい。
坂本 それって、小6の時ですよね?
あざといなあ。(笑)
前田 また来てもらって、リクエストもらった曲を歌うじゃないですか。その時に歌を聴きながら、その歌が上手いとか下手とかそういうことではなく、「1週間という時間」に思いを馳せる訳です。
坂本 頑張ったんだなと。
井上 私のために、みたいな。
前田 その過程に価値があるというか。お客さんと自分の間にストーリーが生まれるわけです。
Step3:とどめのオリジナル曲を歌う
前田 3ステップ目がとどめなんですけれども。「自分で詞を考えて曲を作ってみたので、聴いてくれますか?」って言って、そこで初めてオリジナルを歌う。最初に全然誰も聞いてくれないやつです。これは、だいたい必ずマイナー調のAメロBメロで、サビはメジャーコードと決まっているんですけれども。
(一同笑)
悲しげに叙情ある感じから始まって、最後は頑張ると光が見えてくるし明るく生きていこう、みたいなのをやるんですけれども。
松本 腹黒い(笑)。
前田 テーマは「生きていく」ということだったので。
そうして、共感が感情移入の度合いが最高潮に達した時にもらえる投げ銭の額が一番高くて、かつ、その人達はリピーターになってくれると、半年〜1年くらいかけて気づきました。こうやって、常連客が10人や15人できると、結構これで食べていけるんじゃないかと。考えてみたら、街のスナックみたいなものですよね。
この原体験が、SHOWROOMというサービス誕生に大きな影響を与えています。同じことを、リアルに見える目の前の人達に対してだけではなくて、ネットで全世界中の人向けにできたら、すごい可能性が広がるよな、と。
しかも、ネットだったらバーチャルアイデンティティを簡単に作れるので、リアルよりも話しかけやすく、インタラクションが生まれやすいと思ったので、これは向いている、と思ったのです。
それが「SHOWROOM」を作った背景の1つ目ですね。
▶SHOWROOM前田さんの処女作『人生の勝算』(幻冬舎)が出版されました!詳しくはこちら
(続)
続きは SHOWROOM前田が出会った衝撃の投げ銭ビジネス「YY LIVE」とは? をご覧ください。
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/城山 ゆかり
▶【公式LINE@はじめました! 平日 毎朝7時に新着記事を配信しています。】友達申請はこちらから!
▶【ICCの動画配信をスタートしました!】ICCのYoutubeチャネルの登録はこちらから!
【編集部コメント】
続編(その3)では、SHOWROOM前田さんに中国で同種サービスを運営する「YY」に訪問して学んだことについてお話し頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。