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「モバイル広告はどのように進化するのか?」【K16-1C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その8)は、会場からの質問を受け付け、広告の投資対効果を正しく測れる仕組みづくりやモバイル広告の進化の方向性について議論しました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 1C
「モバイル広告はどのように進化するのか?」
(スピーカー)
菅野 圭介
ファイブ株式会社
代表取締役
二宮 幸司
株式会社ファンコミュニケーションズ
取締役
林 宣多
AppLovin Corporation
Country Manager, Japan
(モデレーター)
坂本 達夫
AppLovin Corporation
Director Sales, Japan
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【前の記事】
【本編】
坂本 セッション終了の10分前になりましたので、会場にいらっしゃる方から質問をお受けしたいと思います。
(最前列のマイネット嶺井さん挙手)
嶺井さん、早いですね。
質問者1 お話ありがとうございました。
株式会社マイネットの嶺井と申します。
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嶺井 政人
株式会社マイネット
取締役 副社長
1984年生まれ。早稲田大学社会科学部在学中に学生向け求人サイトを立ち上げ、株式会社HPTへ売却。法人向けCMS事業の「もっとネクスト株式会社」を創業し軌道に乗せた後、東証マザーズ上場の比較.comへ売却する。2009年4月モルガン・スタンレー証券に入社し、投資銀行業務、クレジットリスク管理業務に従事しテクノロジー業界の資金調達や格付業務を担当する。2013年3月マイネットに転進し、執行役員CFO戦略室長に就任。2014年11月取締役CFOを経て、2016年3月取締役副社長に就任。
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2点質問させて頂きたいのですけれども、1点目が二宮さんと林さんと、坂本さんにもよかったらお答えいただきたいと思います。
マーケティングサイドとプロダクトサイドの断絶を実感している
質問者1 まず1点目の質問です。弊社はスマートフォンゲームの会社でして、毎月何千万円という広告費を使っており、ROAS(Return on Advertising Spend=広告費用対効果)で運用するということにフォーカスして一生懸命やっているのですが、なかなかそこでジレンマを感じています。
先ほど二宮さんがおっしゃっていた、マーケティングサイドとプロダクトサイドが断絶されているというのを弊社も実感しているんですね。
本来ROASを改善するためにはCPI(Cost Per Install)を下げるだけではなく、LTV(Life Time Value)を上げていかなければならない、にもかかわらずLTV側にマーケターが入っていけなかったり。
あとは商流に代理店が入っている場合、代理店としてROASに合わせにいくと予算が消化しきれなくなり、手数料収入が少なくなってしまうからそちらを薦めてこれなかったりする。
これは弊社だけではなくて、お話する業界の他の広告主の皆さんも感じておられて、色々な理由があってできないのだと思いますが、日本ではまだCPIからROASをメインとした運用をするというのは主流になりきれていないのだと思います。
二宮さんが先ほどおっしゃった2~3割というのは、私の体感値でもそういう感じです。
今後、日本では、特にパフォーマンス型でゲームの広告主が見る指標というのがどういう風に変わっていくと思われますか?
それが例えばROASの方に変わっていくのだったら、今の商流や、プロダクトサイドとマーケティングサイドの断絶がどのように変わることで変わっていくと思われるか、そこを是非1点目の質問として聞かせて下さい。
2点目ですね。
今日のセッションのテーマである「モバイル広告はどのように進化するのか?」について、5年後というのはさすがに難しいと思うので、1年や2年先についてどのようなビジョンを持っていらっしゃるのかというのも簡単にお聞かせ頂けるとありがたいです。
坂本 ご質問ありがとうございます。
2点目は、まさにそのテーマで最後にお1人ずつ伺おうと思っていました(笑)
1つ目の質問は、ROASにシフトしていくところでの広告主サイドから見た課題ということでしたが、二宮さん、林さん何かありますか?
ROASの目標設定をどう行うかが重要
林 そうですね、おっしゃる通りで日本ではまだまだ完全にROASで最適化するところまでは来ていないかと思います。また、ただROAS運用にシフトするのが重要なのではなくて、その中でROASの目標というのをどう置くかというところが非常に重要だと思っています。
目標を厳しくして3か月で投資回収できるのだったらそれに越したことはないと思うのですけれども、そこの回収プランをどのようなターム・タイムラインで見るかというところが重要かと思います。
USのゲーム会社だと、やはり1発目のゲームでとにかく多少赤字でもユーザーを貯めて、そこから2発目3発目に回遊させるということができています。
記事にもなっているのですが、例えばMachine ZoneのCEOは、現在例えば10ドルで獲得しているユーザーが、3〜5年経つとアプリユーザーの価値がさらに高まるので、もしかしたら50ドルでも獲得できなくなるかもしれない。今の時点での単価が「高い」という印象を持たれたとしても、このタイミングで自社のユーザーにするのが大きな強みになる、とおっしゃっていました。
そういう風に考えることでLTVをもう少し高く見積もることで、結果としてCPIの目標を上げることができる。
その上がったCPIの目標で運用すればボリュームをしっかり獲れるという、そういうサイクルかなと思っています。
だからといって価値のない媒体に無駄に高いCPIを払う必要はないし、価値がある媒体だったらしっかり単価を上げて獲得するべきだということは変わりません。
そこが変わらない中でROASをどう設定するか、ということです。
それは多分非ゲームでも一緒だと思うのですけれども、結局今って、スマホアプリのユーザーの本当の価値が分からないために、何となくPCのLTVだったり、取り敢えずCPI 300円で、といった出稿をしているところも少なくないのではないかと。
そのため、ゲーム会社に単価で勝てないのですが、そこを経営的視点できちんと長期に見れば、今のアプリユーザー1人あたりの価値というのが本当はもう少し高くあるべきなのではないかなという風に思っています。
トラッキングツールとの連携がまだまだ足りていない
坂本 二宮さん、いかがですか?
二宮 やはりデータの透明性というか、やはり日本のスマートフォンの歴史でいうと、トラッキングツールというのはすごく重要な役割があると思います。
クッキートラッキングが主流だったのが、最近はIDFAやGoogle Advertising ID(GAID)といった広告識別子によるトラッキングというのができてきていますし、その辺をまずマーケティング担当と運用側できちんと統一化していくことがすごく大事ではないかと思います。
ですので、例えばnendのAという媒体から流入したユーザーがこのくらい課金しているよねというのは、実は管理画面上では全て見られるようになっていたりもするのですが、そういうデータのポストバックを効果測定ツールから日本の媒体社に送る連携というのが、USなどに比べると多分まだ全然できていなくて、その辺は広告事業者側の努力がまだまだ足りていないところかなと思います。
nendでいうと、2016年内には全ての主要ツール会社とROASに関しての明確な数値というのをきちんと出せるように、連携を進めています。
質問者1 今は「adjust」、「AppsFlyer」、「F.O.X」、「PartyTrack」等、色々な広告トラッキングツールがありますが、それぞれのトラッキングツール上でROASが見られないじゃないですか。
売上が見られても、CPIが見られないので。
広告主側はどこでROASを管理できるようにされるイメージですか?
各アドネットワークの管理画面でしょうか?
二宮 そうですね。
それはnendの管理画面ですね。
林 グローバルではそういったサービスも出て来ていますし、おっしゃる通りでニーズがある分野なので徐々に解決されて行くのではと思います。ROAS計算のみ手運用というのは今時遅れていますよね。
菅野 AppLovinは(成果情報等の)ポストバックを色々ともらっていますよね?
林 はい。
直近でトラッキング会社とのデータ連携はより進んでいますし、そういったインストールの先のイベントデータを使った配信に強みを持っております。
質問者1 解決を主導しているのはどこのプレイヤーなのですか?
媒体社なのですか、それとも代理店ですか?
林 「TUNE」「appsflyer」「adjust」「Kochava」などのトラッキングの会社ですね。
既にコストの連携などができていて、それらの管理画面で複数アドネットワークのROASを横断管理することができるツールも出てきていますが、実際に使われ始めるのはこれからなのかと思います。
坂本 例えば「AppsFlyer」はそこも見られるようになったとニュースリリースがありましたし、データを色々なところから集めてきて、トラッキングのダッシュボード上で全部見られますよという風な世界を、彼らは目指したかったのかなと思います。
林 あとその部分に特化した事業者も出て来ていて、各社の管理画面を統合して、一元管理で見られるというところがUSで私の知る限りでもいくつかあります。
質問者1 悩ましいのが、日本だと商流の8〜9割が代理店で、例えばnendの管理画面、Twitterの管理画面で出ている広告費と、実際に広告主が払う広告費というのは違うじゃないですか。
トラッキングツールがポストバックを受け取っても、それって実際に広告主が負担しているかというと違う、みたいな。
そういうところは突破できるものですかね?
林 そうですね、代理店の商流を加味した機能だと直販中心のグローバルのトラッキングプラットフォームでの優先順位は下がるので、もう少し時間がかかりそうですね。
質問者1 そこはまだ課題が残ったままという感じですね。
分かりました。
ありがとうございます。
モバイル広告はどのように進化するのか?
坂本 では、最後に嶺井さんの2つ目の質問になりますが、今回のテーマである「モバイル広告はどのように進化するのか?」について、今後こういう風になっていくだろうとか、自分達としてはこういう風に主導していきたいといったところを含めて、お1人ずつからメッセージを頂ければと思います。
菅野さんからお願いします。
菅野 僕達が事業をやっているからというのもあるのですけれども、多分世の中の映像流通は、圧倒的にモバイルが中心地になっていくと思います。現時点もそれに近い状態だと思うのですが、そうなっていくでしょうね。
数年前まではテレビ番組、テレビCMが世の中の映像流通の殆どでした。
そこからデスクトップインターネットが始まって、YouTubeのようなビデオクリップが出てきて、今はモバイルという領域だと思うので、僕達はそこに集中していきたいなと思っています。
向こう数年に渡って確実に力強く伸びる市場だと思っているので、一言でまとめきれないのですけれども。先ほどの話ですが、その中で市場全体をきちんと責任感を持って創っていくのだという意思がある程度ないと、簡単に壊れてしまうなと思っていて、そこの部分は一緒に志を持ちながら、色々な事業者さんとご一緒していきたいなと。
決意表明みたいになってしまいましたけれども(笑)、そう思っています。
坂本 ありがとうございます。
続いて二宮さんお願いします。
二宮 個人的になのですが、今までインターネットの世界で流行ったサービスというのを見ていて、インターネットの本質的なところというのは、共通していることがあると思っています。
やはりコミュニケーション領域であるということと、もう一つはデータベースを構築し、それをうまく利用している領域であること、「食べログ」や「価格.com」もそうだと思いますけれども、そういったサービスがユーザーに求められていると思います。
広告も本質的には一緒で、コミュニケーションやデータベースを利用して、アウトプットを広告とすることで、広告主・消費者・メディアの三方良しの最大化ができるんじゃないかと。
スマホがでてきて、アプリがでてきて、これを実現できる環境は、PCの世界よりもモバイルのほうが整っていると思います。
FacebookやGoogleはすでにそれらの要素を持っているわけですが、僕らのような大きな媒体をベースにしない広告プラットフォームなりに何か生み出せるものはあると思ってます。
また、モバイル広告の近い未来でいうとAR(Augmented Reality=拡張現実)やVR(Virtual Reality=仮想現実)における広告も同じで、よりコミュニケーション視点やバックエンド側のデータベースとの連携が重要になってくるでしょう。
モバイル広告が進化していくなかでも三方良しの考えをベースに、新しい領域へ事業を拡大していきたいなという風に思っています。
坂本 ありがとうございます。
では最後に林さんお願いします。
林 広告の運用業務というのは限りなくなくなると思うし、なくなっていくのだろうなと思っています。
というのも、今これだけデータが揃っているので、基本的には最適化というのは人よりも機械学習で機械でやった方が絶対上手くいくはずで、ですからそういう部分はなるべくシステムに任せて、マーケターや代理店はよりクリエイティブなところに時間を割いて頂けるようになればよいと思います。
その空いた時間で例えばより深い分析をして、より良いマネタイズ手法を考えたりとか、ユーザーエクスペリエンスをどのように良くしていくかを考えたりというところに時間を使えるようになればと思いますし、なっていくかと思います。
我々としてはそのシステムでできるところをしっかりとサポートしていければと思っています。
坂本 ありがとうございます。
では時間になりましたので、こちらのセッションは以上で終了となります。
最後に、登壇された3名に盛大な拍手をお送り下さい。
どうもありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子/坂本 達夫
【編集部コメント】
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