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7.ユーグレナ出雲さんが選んだ偉人は「ムハマド・ユヌス博士」

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トップリーダーたちが、尊敬する”MY偉人”についてプレゼンする「世界の偉人伝」、前回の大好評を得て、シーズン2の書き起こし記事の登場です。全8回シリーズの(その7)は、ユーグレナ出雲 充さんが語る「ムハマド・ユヌス博士」。先日の東京オリンピックの開会式で「オリンピック月桂冠」を授与されたこの人物は、一体どういう人なのか出雲さんが解説します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 ダイアモンド・スポンサーの<ノバセルにサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICCサミット KYOTO 2021
Session 10C
世界の偉人伝 (シーズン2)
Supported by ノバセル

(スピーカー)

朝倉 祐介
シニフィアン株式会社
共同代表

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

高田 修太
一般社団法人HLAB/株式会社エイチラボ
共同創設者COO / プロマジシャン

丸 幸弘
株式会社リバネス
代表取締役 グループCEO

(モデレーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
パートナー

「 世界の偉人伝 (シーズン2)」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. 経営者が「偉人」を語る好評シリーズ第2弾!

1つ前の記事
6.渋沢栄一も実践、学問への投資が、次の産業を生む

出雲 では、ムハマド・ユヌス博士の紹介をします。

オリンピックにちなむ2,275億円とは?

出雲 まずこの金額は、オリンピック関連の数字です。

日本がオリンピック、パラリンピックに手を挙げた時の総予算が9,000億円で、そのうちの約1割がチケット収入です。

そのチケット収入900億円はパアになってしまいましたが。

次のパリオリンピックの総予算が約1兆円です。

東京都の小池都知事もそうでしたが、予算を決められるのは市長であり、パリ市長は総予算の4分の1にあたる約2,275億円分を、中小企業とNGOとソーシャルビジネスカンパニーに発注することを決めました。

パリ五輪はソーシャルビジネス推進(alterna)

オリンピック、パラリンピックの閉会式で、女性のパリ市長(アンヌ・イダルゴ市長)が五輪旗を2回受け取っているのを見た方もいるかもしれません。

オリンピック閉会式 パリ市長はディオールのドレスで五輪旗を引継ぎ(FASHIONSNAP)

パリオリンピックのテーマは、「ソーシャル」「ソーシャルバリュー」「ソーシャルビジネス」です。

今までの、資本主義の限界や格差などの問題を乗り越えるオリンピックです。

2024年パリオリンピックのレガシー戦略『調達の25%をソーシャルビジネスに配分、新たな市場創出・社会変革の契機に(DRIVE)

本来は、東京オリンピックがそういう新しい価値観を提示できたら良かったですよね。

色々な人が力を合わせ、技術を掛け算し、健常なアスリートよりもパラアスリートのほうがワールドレコード、良い記録を出せる大会にしようと進めていましたが、コロナの影響もあり、それはできなかったわけです。

でも、次のパリのオリンピック、パラリンピックでは、資本主義の終焉と次世代のオリンピック、パラリンピック像を提示しようとしているのです。

ユヌス博士の「3つのゼロ」が、東京オリンピック開会式での最高視聴率

出雲 世帯視聴率と個人視聴率は計測方法が違うのですが、東京オリンピックの開会式において、個人視聴率のピークは約45%でした。

その45%がどの瞬間だったかと言うと、この、ユヌス先生が出てきた時だったのです。

開会式視聴率42.5% リオの3倍 ~毀誉褒貶すべてを飲み込むオリンピックの開幕~(Yahoo!ニュース)

見ていた人は、「この人がなぜ突然登場?」と驚いたと思います。

これは脱線する話ですが、皆さん、どうやってオリンピックの音声を聞いていましたか?

英語とフランス語のスピーチがありましたよね。

僕のテレビでは、日本語の同時通訳への音声切替ができず、英語と日本語の両方が聞こえてきて、どちらも全く聞き取れませんでした。

石川 それはまた、とんでもない脱線ですね(笑)。

テレビを買い換えたほうがいいと思います!

 それ、出雲さんだけでしょ?

石川 二重音声設定にしちゃったんじゃないですか?

出雲 あ、そうなんだね。

石川 多分(笑)。リモコンの問題ですよ。

 そういうところ、弱いよね。

井上 何かの伏線かと思ったんですが、違うんですね(笑)。

 完全な脱線じゃないですか。

出雲 すみません(笑)。

そしてユヌス先生は、2人目のオリンピックローレルを受賞しました。

東京オリンピック開会式で、ユヌス博士がオリンピックローレルを受賞(ユヌスジャパン)

ソーシャルビジネスで実現しようとしているのが、この3つのゼロ、「貧困ゼロ、失業ゼロ、CO2ゼロ」です。

ユヌス先生は、今の資本主義ではゼロにできないものをゼロにするため、ソーシャルキャピタリズムを提案しているのです。

ソーシャルビジネスならこの3つのゼロを達成できると提言されて、とても注目されている方です。

ユヌス博士は渋沢 栄一の生まれ変わり?

出雲 渋沢さんは1840年生まれですよね。

石川 そうです。

出雲 ユヌス先生は、その100年後の1940年生まれです。

渋沢さんは90歳くらいまで生きていて、ちょうど亡くなった頃にユヌス先生が生まれ、そして両者の母国の国旗もそっくりです。

石川 そっくり(笑)。

(会場笑)

出雲 生まれ変わった(笑)?

石川 生まれ変わった(笑)。

出雲 そう言われると、顔も渋沢 栄一に似ているじゃないですか。

渋沢栄一の画像検索結果

 似てる!

石川 FRIDAYされていますか(笑)?

▶編集注:本記事Part5で、渋沢 栄一は当時でいうFRIDAYによく載る人だったと、石川さんが発言をされています。

出雲 バングラデシュには、FRIDAYみたいな雑誌はないので…。

石川 ないのか(笑)。

出雲 ないんですよ、でも絶対生まれ変わりだと思うんです。やっていることが同じなので。

生まれ変わりの話をしましょう。

ユヌス先生は、1940年に生まれ、アメリカに留学していました。

ムハマド・ユヌス博士について(ユヌスジャパン)

渋沢 栄一も、フランス留学後、明治維新の際に急遽帰国したんですよね。

ユヌス先生も…。

石川 本当に同じですね、確かに。

 すごく似てるね、ぞっとしました。

出雲 1971年にバングラデシュが突然、東パキスタンから独立したので……。

バングラデシュ人民共和国(People’s Republic of Bangladesh)基礎データ(外務省)

井上 渋沢 栄一の場合も、30歳くらいの時に明治維新が起こりましたからね。

「信用」ではなく「信頼」の融資から始まったグラミン銀行

出雲 そうなんです。それで、ユヌス先生もアメリカから帰国しました。

彼は経済の先生なので、バングラデシュで2番目のチッタゴン大学の経済学部長に就任しました。

しかしその直後、バングラデシュでは大変な米不足が起こったのです。

「みんなが困っているのに、自分は大学にいて、できることが何もない。悔しい」ということで、大学の近くにあったジョブラ村に行って、何に困っているかを聞いて回りました。

するとそこでは”ナニワ金融道”状態、つまり、まとまったお金を誰も貸してくれず、例えば利息が1日で1割、1週間で5割などの高利貸ししかいなくて、生活の基盤が全く作れない状況でした。

彼がアメリカで習った経済学では、そんな人は淘汰されるはずなのに、金融サービスがきちんと提供されていないため、村の人たちがとても困っていたのです。

そこで、そこにいた女性42人に、27ドルを低利で、信頼を担保に融資をしました。

これが、グラミン銀行、マイクロファイナンスのスタートです。

グラミン銀行~進化する貧困層を対象に金融サービスを提供するビジネスモデル~(バングランド)

人や企業の信用力を測定するのが、銀行ですよね。

しかしユヌス先生のソーシャルビジネス、ソーシャルキャピタルという新しい資本主義においては、性悪説に立って、信用で人を判断することで成り立つ経済成長では、「3つのゼロ」は達成できないと説いています。

格差がどんどん広がり貧困や失業者が生まれ、経済が成長するとCO2がどんどん排出されるからです。

そうではなく、信頼をベースにした、性善説に立った社会を、彼は本気で創ろうとしているのです。

それができるということを証明した方ですので、生きていはいますが偉人と呼んで差し支えないと思い、紹介しています。

強欲な資本主義と、信頼をベースにした性善説に立った資本主義との真ん中に、ソーシャルキャピタリズムがあると彼は言っています。

渋沢 栄一が『論語と算盤は、甚だ遠くして甚だ近いものである』(※『論語と算盤』より。1916年刊行)と言ったように、相反するものではあるけれど、その中庸たる地点で資本主義の限界を超えられるのではないかというのがユヌス先生の主張です。

渋沢さんが死んで、国旗が似ているからという理由で、バングラデシュという大変な国に生まれ変わってしまったわけですよね。

石川 それが理由なんですか(笑)。

出雲 渋沢さんも本当は、日本に生まれ変わる予定だったと思うのです。

でもバングラデシュに生まれ、算盤をもう一度実践して、42人に27ドルを融資したところから、今は900万人以上に1,400億円を融資して、その900万人がみんなそれぞれ生活の基盤を作り、貧困から脱出することができました。

(続)

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続きは 8.ユーグレナ出雲さんが、ユヌス博士に用意したキラークエスチョンとは【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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