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6. 世界トップクラスの美食国日本で、シンクロ西井さんが衝撃を受けたシェフの名言

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毎回全シーズンを塗り替える面白さ!「大人の教養シリーズ『美食』について語りつくす」シーズン4の書き起こし記事が到着! 全8回の(その6)は、シンクロ西井 敏恭さんが日々の美食活動で見聞きした、日本のトップシェフの名言を紹介。美食の師であるハセマコさんの名言も合わせて紹介します。シェフ(&ハセマコ)の頭の中を知れる素晴らしいまとめを、ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのNOT A HOTELにサポート頂きました。

NOT A HOTEL ロゴ


【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 10F
大人の教養シリーズ「美食」「旅」について語りつくす(シーズン4)
Sponsored by NOT A HOTEL

(スピーカー)

西井 敏恭
株式会社シンクロ 代表取締役 / オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員CMT / GROOVE X株式会社 CMO

長谷川 誠
株式会社NTTドコモ
スマートライフ推進部 マーケティング推進担当部長/シニアプロフェッショナル

濵渦 伸次
NOT A HOTEL 株式会社
代表取締役CEO

山本 憲資
株式会社サマリー
代表取締役

(モデレーター)

榊 淳
株式会社一休
代表取締役社長

「大人の教養シリーズ「美食」「旅」について語りつくす(シーズン4)」の配信済み記事一覧


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最初の記事
1. 過去最大の動員! 美食を語りまくるシーズン4

1つ前の記事
5. 変態美食家ハセマコの最新オススメ店リスト

本編

 では、ハセマコさんの美食道は後ほど頂戴するとして、西井さんの「トップシェフの名言シリーズ」にまいりましょう。

日本の料理はレベルに対してとても安い

西井 僕は長谷川さんみたいな変態美食家ではないですし、皆さんにせっかく来て頂いているので、ちゃんとした話をしたいと思っています。

これは前回も話しましたが、2021年のミシュランの星の数都市ランキングは、上から東京、パリ、京都、大阪、ニューヨークという順番なのです。

ミシュランが偉いかどうかは置いておいて、世界のトップランクのシェフは日本にたくさんいるということです。

僕はあれだけ世界を回っているので(Part.1参照)、日本人だから日本料理が美味しいと言っているわけではないです。

皆さんお分かりだと思いますが、日本の料理はすごく繊細で、海外のミシュラン店に行っても、日本料理ほどきちんと作っているところはありません。

この状態が素晴らしいなと思うと同時に、僕の中では、食事そのものも好きですが、それ以上に世界のトップクラスの人たちとお話しできるということが料理の価値なのです。

3万円や5万円するので確かに高いですが、3万円でクリスティアーノ・ロナウドと2時間話せることはないですよね。

僕の中では、東京はプレミアリーグ、京都はラリーガ、大阪はセリエAみたいなものなのです。

メッシやロナウドのようなスタープレイヤーがみんな日本にいるみたいな感じなので、そう考えると日本の料理はすごく安いですし、世界のトップの人たちとお話しできることが大事だと思っています。

こういう方とお話ししていると、色々な気づきがあります。

世界中で色々な人とお話しする機会も、経営者とお話しする機会もあります。

名言1「食べ終わったあとが一番うまいものをつくる」

西井 秋田の「日本料理 たかむら」というお店で、日本トップレベルのシェフにご飯を食べさせてもらった時、最初に食べた味よりも、後を引く味が美味しいと思い、「なぜこんなに奥行きのある味が作れるのですか?」と聞きました。

すると、「ファーストアタックに力を入れるのではなく、食べ終わったあとが一番うまいものをつくる」ことが一番美味しい料理、と言われていました。

「美味しい」には色々な価値観があると思いますが、新しい「美味しい」を教えてもらえた気がしましたし、良いシェフはこのような考え方をしているのかと感じた言葉でした。

長谷川 (ニヤニヤして)美食道寄りのことを語り出しましたね。

西井 すみません、僕がこんな話をしても大丈夫でしょうか……。

山本 サービスの本質についてだと思うので、ICCサミットらしい話ですね。

名言2「毎日料理が怖い。特にチャーハン」

西井 僕はこの人たちのような変態としての話はできないので、さっきからずっと無言でした。

こちらは、皆さんご存知だと思いますが、「わさ」のシェフの言葉です。

この人は、カウンターの客10人くらいに毎日、すごく見つめられながら毎日仕事をしているわけです。

自分がその立場に立ったとしたら、なかなかそういうことはできないですよね。

まして、毎日グルメな方々に仕事を評価されているわけです。

そこで、「緊張しないのですか?」と聞いたところ、「毎日料理が怖い。特にチャーハン」と言っていました。

チャーハンが一番シンプルなので、塩加減が少し違うだけで、焼きが甘い、いつもと違うという感想を持たれるので、めちゃくちゃ緊張するらしいです。

すごいなと思いました。

名言3「牛は嫁ぎ先が大事なんです」

西井 次は、名古屋にあるお肉屋「肉屋 雪月花 NAGOYA」に、長谷川さんと行った時のことです。

美味しくて、すごく良い肉だったので、「すごく美味しいですね、よくこんな肉が手に入りますね」と言うと、「肉が大事というよりも、牛は嫁ぎ先が大事なんです」と言われました。

これもすごく大事なことで、良い材料が入っていると色々なレストランは言いますが、本当に良いものは良い料理にしてくれるところにしか行かないようになっているのです。

結局、嫁ぎ先がちゃんと料理してくれる、つまり、ちゃんと料理してくれるところにしか最高級のものは降りてこないという仕組みが大事で、ビジネスでも同じではないかと思います。

つまり、良い仕事をしていると良い仕事、最高の仕事が回ってくるけれど、逆はないということです。

 深いですね!

西井 良い話、していますよね? 今日は僕、良い話をしに来たのです!

名言4「焼いただけです」

西井 これはトップシェフしか言わない言葉ですね、「焼いただけです」。

「CHIUnE」で、しいたけがめちゃくちゃ美味しかったので、「何で、しいたけがこんなに美味しいの?」と聞くと、「焼いただけです」と言うのです。

同じパターンで、石川県にある「すし処 めくみ」という寿司屋でも、ノドグロがめちゃくちゃ美味しいのに、「焼いただけです」と言っていました。

つまり、トップシェフしか言わないのです。

逆に、トップシェフじゃない人は、ここをこうしたとか色々言いがちです。

長谷川 「だけ」シリーズですね、焼いただけ、蒸しただけ、切っただけ…。

濱渦 でも、古田さん(CHIUnE」のシェフ)がよく言うのが、「素材を活かすのが嫌い」です。

「素材を殺さないだけ」という言い方をしますね。

西井 ……また、俺の話に良い言葉をかぶせてきましたね…せっかく良いことを言おうとしているのに。

濱渦 (笑顔で)今日は僕がスポンサーなので、許してもらっていいですか(笑)?

▶編集注:このセッションのスポンサーを濱渦さんのNOT A HOTELにいただいています。

西井 大丈夫です(笑)。

(一同笑)

長谷川 「素材を殺さない」の方が良かったですね、僕には刺さりました。

(一同さらに笑)

名言5「キャンセルは過去に1回だけかな」

西井 これは「活鰻の店 つぐみ庵」での言葉ですが、皆さんあまり行ったことのないお店ではないでしょうか?

1日2組しか予約の取れないお店で、僕も長谷川枠でしか行ったことがありません。今はほとんど閉まっているけれど、たまに予約が取れます。

そのお店で聞いたのが、「キャンセルは過去に1回だけかな」という言葉です。おそらく40年くらいやっているお店です。

つまり、キャンセルされないお店ということです。

変態美食家の名言1「肉の焼きが1ミリあまい」

西井 僕は変態美食家と結構一緒に食べに行くのですが、彼もおかしな言葉を残しています。

これ、いい焼きのお肉の写真です。

よくリピートするお店でのお肉に対し、いつもは美味い美味いと言うくせに、ある時、「肉の焼きが1ミリあまい」と言ったのです。

聞いている人は意味が分からないと思いますが、写真をよく見て頂くと、肉の周りに綺麗に焼き目ができていますよね。

つまり見た目ではなくて、食感が良くない、「今日の肉は、焼きがあまくて美味しくない」とすごく怒っていました。

ステーキを食べに行く時、知っておくと良い知識は、焼きについてです。

美味しいと言われているお肉屋でも、焼きにムラがあることが多いです。

変態美食家は、食べ手としてすごいところを見ているなと思いました。

 ハセマコディープラーニングの観点から見て、写真でも焼きが1ミリあまいのですか?

長谷川 明らかにダメなものもありますが、この写真は比較的大丈夫な焼きですね。

西井 食べログで、肉の写真を見ると、そのお店が美味しいか美味しくないか大体分かります。

長谷川 この料理は1ミリにもこだわりますが、別の器具を使って焼くものや、火入れの仕方によってはそこまでこだわらないこともありますから、この焼き色が正解ということではないです。

このシェフのこの料理は、ミリ単位の焼きで仕上がりが変わるので、こういうコメントをしただけです。

変態美食家の名言2「試験管と煙が出る店なのにうまい」

西井 これも面白いです。

僕がよく行く「SHOKUDO YArn」というお店で、「試験管と煙が出る店なのにうまい」と言っていました。

どういうことかと言うと、ドライアイスを使ってすごく煙を出すお店や、試験管とビーカーでカラカラとパフォーマンスをやっているようなお店があるのです。

そういったお店は、ビジュアルを良く見せるためのエンターテインメントとしてそういったものを使っているので、料理自体はあまり美味しくないことが多いのです。

でもこの店は、試験官と煙がありましたが、すごく美味しかったですね。

山本 僕は「YArn」は普通だと思いました。

1回しか行ったことがないので、はずれだったのかもしれないです。

長谷川 是非、今度は違う季節に行って、料理の技と奥行きを感じてみてください。

濱渦 こういう意見を言われると、怖くなりますね。

西井 場がピリピリ、ピリピリしますからね。

変態美食家の名言3「台風や大雪はチャンス」

西井 次の言葉は、「台風や大雪はチャンス」です。

最近、台風や大雪がありますが、そうなると飛行機の欠航などにより、なかなか予約の取れないお店で、直前にキャンセルが出ることがあるのです。

だから、台風や大雪の日には長谷川さんから、夜どこかに食べに行かない?という誘いが来るのです(笑)。

「今日やめよう」じゃなくて、普通と逆なのです(笑)。

長谷川 むしろ、そこから店を探し始めますから(笑)。

西井 僕からは以上です。

 ありがとうございます。

では、ハセマコさんの美食道シーズン4をお願いします。

(続)

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続きは 7. 本邦初公開!ハセマコ提唱「店のハイプサイクル」「食べ手のキャズム理論」【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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