【最終回】100年後まで繋がる「真の原点回帰」とは?【F17-2C #9】 – INDUSTRY CO-CREATION(ICC)

【最終回】100年後まで繋がる「真の原点回帰」とは?【F17-2C #9】

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「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」【F17-2C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その9)は、安易な原点回帰に陥らないためにはどうすればよいかについて議論しました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております

ICC FUKUOKA 2017 Session 2C「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」

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質問者2 クラシコムの青木と申します、今日はどうもありがとうございました。

ICC FUKUOKA 2017 Session 2C「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」

青木耕平
株式会社クラシコム
代表取締役 CEO

1972年 埼玉県生まれ。
株式会社クラシコム代表取締役。
2006年、実妹である佐藤と株式会社クラシコム共同創業。単独、共同創業通算で同社で3社目。翌年、賃貸不動産のた めのインターネットオークションサイトをリリースするが、一年ほどで撤退。2007年秋より北欧雑貨専門のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業。現在は、北欧雑貨のEC事業のみならず、オリジナル商品開発販売、広告、出版(リトルプレス発行)事業など多岐にわたるライフスタイル事業を展開中。

伝統と革新という2つの軸の中での行ったり来たりという話を伺いましたが、僕も会社をやっていたり、周りの色んな事業の展開を見て、ドラスティックな変化をする時の上手くいくパターンは「原点回帰」というコンセプトを掲げるプロジェクトで、何の根拠もありませんが感覚的に上手くいってると思うケースが多いと思います。

原点回帰というコンセプトが上手くいきやすいとしたら、なぜ革新という形で原点から距離を離れるタイミングがあり、また戻るタイミングがあるんだろうというのが個人的に色んな物を見る時にいつも考えているポイントで、伝統に根ざしてお仕事をされている方に今日お話いただいていると思います。

そこからの距離の取り方と「原点」の捉え方、今 革新という方向に振っていてもいずれ原点回帰を必要とするんじゃないかという感覚がおありなのかとか、漠然とした質問ですがそういうことについてお話いただけると私としてもインスパイアされるかなと思います。

原点回帰はどうすれば上手くいくのか

中竹 私は早稲田大学でラグビー部の監督をやっていたのですが、今スポーツ界、特にラグビー界は伝統校の多くはうまくいっていませんね。

今 お話されたみたいに原点回帰がいいように思えますけど、私がやってる時から「原点回帰」と言っているスポーツチームはほとんど安易な原点回帰になっている気がします。

ICC FUKUOKA 2017 Session 2C「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」

中竹 安易じゃなく、太刀川さんみたいに更に掘り下げるのだったら多分良いと思いますが、多くのスポーツ人も、これ私は見ていて分かりますが、大体失敗しますね。

そういう意味では、どこに原点回帰のポイントがあるかを聞いてみたいですね。

太刀川 原点の使い方があると思うんです。

僕のカウンターパートで一緒にやる人達はイノベーターであることが多いんですよ。

それが起業家であることもあるし、大企業の中のアントレプレナーであることもあるんですが その人達が原点を語る時に原点は個人ではなく、それはもう概念であり、それは要するにほとんど祈りに近いものなんですよね、どうあるべきであったかという。

そこに戻ることの強固さというのはあります。

これは要するにレトロに戻るという意味の話ではなくて、「俺はこう思うよ」と言っているのか、「いやいや、俺ら、そもそもがそうだったじゃないか」というふうに言っているのかで、それを共有する人達の動き方が随分変わるというのがあると思います。

そしてそれは結構意図的に使います、僕の場合は、ですけど。

というのは、デザインにおいても、個を超えた感覚で作れているかというのはすごく大事な感覚です。要するに「俺の好みかどうかには、誰も興味がない」ということです。

祈りとかはそういうものだろうと思うんですが、何か僕を拡張していくと僕じゃない人とも共有できるものに触れている部分があって、そのコンセプトを拡大していく時に、わりと原点っぽい方向性になってしまう、ということはあるかなと思います。

さきほど正に中竹さんがおっしゃられたことですが、原点の使い方を履き違えると結構スタティックな方向にいってしまうので、原点を語る時は革新のために語らないといけないのだと思うんです。

要するに、今別の方向、悪い方向にいってるからその悪い流れを1回切ろう、という意味で原点をもう1度持ち出していく、ということかなという気がします。

宗教の創始者は宗教を始めようと思ってなかったはず

各務 僕も京都の方と色々話させていただきますが、彼らもやっぱり2つのミッションを背負っていて、原点回帰という時に彼らがよくおっしゃるのは、初代だったらどう考えるか、ということです。

例えばお茶筒を作っている開化堂さんの6代目の方がいらっしゃいますが、初代は当時木で作られていたお茶筒をブリキに変えた。

それは、初代は完全にイノベーションを起こして全く違うことをなさった、じゃあ今6代目の自分が初代のように考えて行動していかないとこの6代続いてきたものさえ続けられないと仰います。

しかし難しいのは、それがゼロイチではなくて両方やらなければいけない、初代のように考えて全く新しいこともやらないといけないし、いたずらに新しいことがやりたいわけではなくて、今まで6代続いてきたものを、7代目、8代目により良い形で繋いでいきたいというミッション感があるから、それをバランス良く両方をやらなければいけない、という話をなさっていて、なるほどな、と勉強になりました。

川上 今正しく各務さんがおっしゃったようなことですが、原点帰りというのを形式的な原点帰りと勘違いしている人が非常に多いと思うんです。

私達の業界でも「今の仏教の状況は良くないから、200年前の行事のやり方を入れましょう」とか、「こういう儀式をやっていたのでこういうやり方でやりましょう」と考える人はいるんです。

そうではなくて、もうちょっと前に戻ってゴータマ・シッダールタ、釈迦が生きてた時に、彼はどういう考え方をしていたんだろうとか、何がしたくて仏教的な考え方を作ったんだろう、ということを考えるんです。

やはり人が幸せに生きる考え方を色々考えたのがあの人だと思うし、それに従った人達だと思うんです。

よく言うのが、宗教を始めた人は多分宗教を始めようと思って始めて無いと思うんです。

全員多分 社会起業家と同じような感じで、世の中を良くしたいとか、皆んなが幸せに生きる世の中を作りたいという考え方だと思うので、初めの人の考え方、どういう気持で始めたのかを考えることが重要だと思うし、かといってドラスティックに全部変えちゃうのも危険な考え方です。

ICC FUKUOKA 2017 Session 2C「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」

川上 各務さんと仲がいい松林さんという朝日焼の16代目に襲名された方がいますが、彼は「自分は預かっているんだ」とよくおっしゃっています。

先祖から預かっているし、未来の後継者達からこの伝統を預かっているんだから、という考え方です。

自分のものだから好き勝手できる、と言う考え方はまるっきりないと思うんですよね。

自分が引き継いだ伝統はただ預かっているだけで、未来のためにどのように繋いでいくかというのを考えていく、やはり100年後、200年後のビジョンを考えないとだめなのかな、というとこですよね。

中竹 ありがとうございました。

時間が来てしまいましたので、最後に一言ずつ皆さんにメッセージを伝えていただき、終わりにしたいと思います。

革新には「最初どうだったっけ」を考えることが必要

西高辻 このような機会をいただきありがとうございました。

最後の質問と絡んでしまいますが、神道に「中今」という概念があり、過去と未来の間を今が生きているという概念ですが、それをすごく意識するということと、もう1つは併存というか共存、ゼロイチではない世界が日本の歴史とか文化とか宗教観もそうですが、今日のセッションのように神道と仏教が共存してるというか、共にあり、1つを潰さないという思考回路は日本の根底に流れていると思います。

そのようなことを発揮できたセッションだったら良かったなと思います、ありがとうございました。

(会場より拍手)

太刀川 何で伝統に回帰するんだろう、という先ほどの最後のご質問はこのテーマ全体の話しなのかなと思ったのですが、原点ないし伝統を語る時の一番最初どうであったのかとい問いは、大体その問いは大きいものだったから、その大きな問いに向かってみんなが団結してそういう文脈ができていき、それを良いものだから続けなきゃいけないというので形式になっていってしまうんですよね、だんだん。

その形式になっている時点で最初のコンセプトが薄れていることが多いので、やはり恒常的に革新を生み出していくためには、最初どうだったっけ、ということを考えなければいけないとうのは当たり前のことかもしれない。

みなさんが「それはそうだよ」と思うことなのかもしれませんが、このセッションにおいてもそういうことだったのかなと思いますし、デザインについてもそうなんだろうと思います。

色々学びがあるな、という日でした、ありがとうございます。

(会場より拍手)

川上 分野が似てるけど違う4人で話してたわけですよね。

前回中竹さんとパネルをやった時も、パターンを作っていくけどカオスを与える、という話しだったんですよね。

パターンというか恒常性は安らぎを与えるものだからそれはいいことですし、形式というものは効率性を考えて作っているので、それを否定するということは無いんですが、どこかで揺さぶりをかけるというのは重要になってきます。

科学でいうと「常識を疑え」というところですよね。

やはりそういう考え方は絶対に重要になってくるので、まず自分がどういうバイアスに浸かっているかに気付いていただきたい、というところですね。

今日は自分もバイアスを崩せたところもあり、面白みがあったので、ありがとうございました。

(会場より拍手)

ICC FUKUOKA 2017 Session 2C「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」

各務 今回は福岡でのICCカンファレンスですが、今年(2017年)の秋は京都で、皆さまいらっしゃってくださると思いますが、京都に今必要なのは外との交わりだと思います。

京都でICCカンファレンスをやってくださるからには、もう少し僕も仕掛けていきたいというか、皆さまに京都に来ていただく場を上手くお互いに使っていただけると楽しいと思います。

前回は川上さんのところで皆さんで座禅を組んだりなさってて、そこから新しいものが生まれてきたりするので、ICCではテクノロジーとか起業家の方がお集まりになられますが、京都ではそこにもうちょっと文化の勢力というか、僕が言うのも何なんですが、その混じり合いに僕なりに貢献できたらなと思うので、引き続きよろしくお願いします。

(会場より拍手)

中竹 皆さまありがとうございました。

僕自身印象に残っているのは、西高辻さんの「100年先を見据えて責任を取る」という言葉だったり、伝統の更に深掘りをして伝統からリデザインするとか、実際京都を異質のものと捉えたり、伝統と考えなくするというちょっと危険な部分は多分全ての業界に当てはまるかなと思いました。

僕自身今日は非常に勉強になりました。

これを機に、色んなところでお話できればと思います。

今日はどうもありがとうございました。

ICC FUKUOKA 2017 Session 2C「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」

(終)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/城山 ゆかり

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