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「創業チームに認められたい」ユーグレナ永田氏の葛藤と解脱【K16-9E #2】

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特別対談「ユーグレナに学ぶ真の経営チームとは何か?」【K16-9E】のセッションの書き起し記事をいよいよ公開!4回シリーズ(その2)は、永田さんがユーグレナ参画後に感じた葛藤とそれを乗り越えたエピソードをご紹介頂きました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております



登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 9E
特別対談「ユーグレナに学ぶ真の経営チームとは何か?」

(出演者)
出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長

永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当

(聞き手)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役

「ユーグレナに学ぶ真の経営チームとは何か?」の配信済み記事一覧

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【本編】


真の「経営チーム」になる

小林 入社当時を振り返ると、どういう気分で入ったんですか。

永田 出雲はこのように言ってくれていますが、僕は自分自身が納得できる仕事が出来始めたのは2013年ぐらいなんです。

入社は2010年なので、3年ぐらいかかっています。

その3年間というのは自分からすると情けないという思いがいまだにあります。

上場した2012年僕は29才で、世の中的に見ると「色々よくやってますね」という話になりますが、やり直したいことや自分として許せない精神性というのがずっとありました。

僕は創業者3人プラス1人、唯一1人だけ後から入った仲間なので、最初の3年間は認められたいというのがすごくありました。

「認めてるよ」と言ってくれてても、やはり3人でゼロから作った会社ですし、2010年時点でファイナンスも一定あり、いきなり潰れたりしない会社になっていたので、そういう意味で永田もリスクを取ったと言ってもらえるし、上場する前からいたのは事実ですが、やはり全ての精神性においてみんなに近づききれていないと思っていたので、やはりどこか追いつこうという気持ちがあって焦ってたり、本当はもう少しできたなというところがたくさんあります。

2013年頃に解脱したところがありました。

小林 どういう解脱をしたんですか。

永田 出雲が覚えているか分かりませんし、出雲からの表現は覚えていないんですが、100%インサイドに入ったね、と言われたのをすごく覚えています。

小林 言ったんですか、覚えてます?

出雲 何か律儀だな、というのがやっぱり出るわけです。

「鈴木と福本と3人で創業した会社で創業して5年目に途中から永田がジョインしたから、本当に苦しい大事な話は鈴木と福本の3人でして、いい話は4人でする」なんて、そんなこと微塵も考えてないわけです。

そもそもちゃんと考えないと永田が何年にジョインしたかなんて全然覚えていないぐらいで、僕は本当にびっくりするぐらいそういうのを気にしないんですけど、世の中の真面目で律儀な人はそういうのをすごく気にしてるんですよ。

僕が言ったから変わったんじゃなくて、まずはIPOだと思いますが、2013年位からあまり言わなくなったんです。

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小林 言葉に出るんですか。

出雲 何か言いたいことがあっても鈴木や福本の一歩後に言うという感じだったのが、一番最初に言うとか、「僕はこう思います」というのを何の気兼ねもなく言ってるな、というのは2013年からかもしれません。

先程キングギドラと少年と言ってたけど、僕的には全然そういう感覚はないので、そう言われるとびっくりします。

僕としては、経営戦略とマーケティングと研究開発をそれぞれ永田と福本と鈴木がやっているんです。

研究の大事なことは他の2人には相談しません、一番良く分かっているのは鈴木と僕ですから2人で相談して決めるわけです。

マーケティングもそうだし経営戦略もそうなんです。

他の2人はそうなんですが、永田は経営戦略で話し合って「じゃあこれで」と決まっても、「福本さんもそう言っているんですか」とか、「では鈴木さんに確認します」等言っていて、しなくてもいいんだけどまあいいんじゃない、というのが2012年まではあったんです。

小林 自分でもそれは気にしてたんですか。

永田 気にしてたというか、どちらかと言うと2013年から思いっきり自分自身が変わったというのがあります。

永田さんの「解脱」3つのポイント

小林 何がきっかけだったんですか。何か言われたというわけではないですよね。

永田 きっかけは3つあって、1つは東証マザーズに上場したという成功体験は大きかったです。

出雲と自分の2人で色々やったことはいっぱいあり、それまでも電通やANA等からのファイナンスや事業提携、組織作り等色々やりましたが、上場することで答え合わせになったというか、未上場の時代は自分たちが正しいと思っているだけだったものが、マザーズ上場したあとは世の中から株価という形で評価が変化するわけです。

広報戦略や出雲自身のどういう人間であるべきか、どういうホームページにするのか、どこを株主にするのか、誰と資本提携するのか、全部僕らの中で戦略が存在していたんだけど、それが解として出たのは IPOをして市場で認められて初めてなんですね。

それまでは自己満足じゃないですか。

正直言ってベンチャーキャピタルに時価総額がいくらです、と言われるのは、相対取引のあまり意味の無い数字で、数千万人という投資家にさらされて評価を受けるという段にきて初めて、やってきたことの正しさを感じ始める。

それまでは自分の中で経験も無いし確信も無いけれど、ただ1個1個の判断を最適にして、これがベストだと思ったことが積み上がっていただけなので、それの評価が出たということが自信につながった、というのが1つです。

もう1つは、上場するまでほとんど人がいなかったんです。

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小林 何人ぐらいだったんですか。

出雲 全部で38人。

永田 2010年で管理部門に入ってまず、

出雲 管理部門はいなかった、本当に。

全部で38人なんですが、ほとんど鈴木のところで研究している人と福本の販売しているところにきたので、その他は4、5人ぐらいですね。

永田 4、5人もいないんじゃないですか。

総務担当1人と、出納担当1人で月次になると止まってましたから、2012年にIPOしたのに2010年入社段階で月次決算が無いんですよ。

そこからスタートするので当然ながら会社の規定もないですし、ミドリムシの広報も資本提携もやらなければいけないし、全てが信じられないほど仕事があって、あんまり考えてる暇が無かったんですよね。

しかもその時は出雲とオフィスの階が違ったんです。

出雲は3階にいて僕は1階にいたので、1階で何が起こっているかを届ける術も無かったんです。

だから多分もっとアピールしたくなっちゃった、というところがあったと思います。

自分の中でチームが揃ってきたのが2013年で、IPOをしたから採用できた人間が出てきて、特に経営戦略の僕の右腕をしてくれている若原が入ってから初めて共通言語で話せる人間が社内に生まれ、ここから僕は解き放たれた感じがします。

多分それは出雲にとってのチームとして僕ら取締役3人がいるように、僕にとっての自分のチームの仲間ができたということだと思います。(永田さんが統括する)ヒエラルキー上の組織形態が出来始めたのが上場してから、というのがあります。

3つ目はもうちょっとプライベートな理由です。

あれだけ役員2人を気遣っていたのに、今は完全に「絶対違う」というところから攻め込むという感じになっています。

▶【参考資料】「俺を信じて任せてくれ」ユーグレナ永田氏が取締役会で使える”3枚のチケット”

小林 永田さんが色々言うようになって、出雲さんは嬉しいんじゃないですか。

出雲 全然そういうのが気にならないというか、「そんなこと気にしてたの?」という感じです。

小林 それは後から聞いたんですか。

出雲 何となく分かります。

おたふく風邪と一緒ですよ、別に治ったんだからいいじゃないですか、おたふく風邪は。

治って嬉しいというものでもないし、そんなの時間をかけて経験積んで成功体験を得たら、みんな自分が大きくなっておたふく風邪のことも忘れるわけですから。

小林 昨日 永田さんと話していた時に、経営陣はすごく仲いいですよという話をされていたので、歴史というか溝というか、自分の中で意識が変わる過程があるんだなと思い、驚きというか、素晴らしいと思いながら聞いていました。

(続)

続きは 「ユーグレナ is 出雲充」永田氏が語る広報戦略 をご覧ください。

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/城山 ゆかり/戸田 秀成


【編集部コメント】

続編(その3)では、永田さんから見た出雲さんの経営者としての成長や器についてお話頂きました。是非ご期待ください。「出雲充は、ミドリムシ愛を演じているのか?」という問いまで飛び出しました。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。

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