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「教育を変え、社会を変える」【A17-S5】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!12回シリーズ(その5)は、Teach For Japan松田さんに、グローバルに展開されるTeach For XXのプログラムのご紹介を頂きました。最後に松田さん自身がなぜこの活動に取り組むのかを交えて自己紹介頂きました。是非御覧ください。
「ICCx AIESEC カンファレンス」は、NPO法人アイセック・ジャパン(AIESEC)とICCパートナーズが共同で開催した、AIESECに所属する大学生を対象としたカンファレンスです。当日は高い志を持った大学生250名が、ビジネスリーダー/社会起業家たちのパネルディスカッションと、質疑応答セッションに参加しました。
本年も、2017年9月15日(金)に「ICCx AIESEC 2017」を開催する予定です。参加を希望される方は、ぜひ全国25大学のAIESECの各委員会に所属ください。
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登壇者情報
2016年9月13日開催
ICC/AIESEC ソーシャル・イノベーション・カンファレンス2016
Session 5
「教育を変え、社会を変える」
(スピーカー)
長谷川 敦弥
株式会社LITALICO 代表取締役
松田 悠介
認定NPO法人 Teach For Japan 創業者 兼 代表理事
水野 雄介
ライフイズテック株式会社 代表取締役CEO
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
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▶「教育を変え、社会を変える」の配信済みの記事一覧
松田 生まれた環境に関わらず、全ての子ども達が、このような会話や、出会い、経験、学びを得られる社会を作っていきたいと思っています。
当法人は、厳しい環境にいる子ども達が多い学校を支援する活動をさせていただいております。
我々が支援している地域は、生活保護率、就学援助率が50%近く、学校によっては50%を超える学校です。
二人に一人が、何らかの援助なしには生きていけない、教育を受け続けることも難しい状況にある子ども達が多い学校を支援しています。
結構大変です。
私も学校を回り見学を行うのですが、ある中学校では窓ガラスが割れていました。
「窓ガラスが割れていますね、大変ですね。」と学校の先生に話したところ、まだ一学期の段階だったのですが「今年はまだ良い方で、まだ40枚位しか割れていないんです」とのことでした。
「40枚!?」という話なのですが。
それぐらい荒れていて、大変な地区が今この日本においてもまだあります。
皆さんは、もしかしたら馴染みがなかったかもしれません。
だからこそ、この会場にいるのかもしれません。
大変な子ども達が多い学校、そういった場所では誰も先生として教えたがらないのが現状です。
我々団体は、このような場所に、思いを持ち、志が高い優秀な人材を教員として2年間派遣し、毎日子ども達と向き合い、子ども達の学習環境を変えていくという活動を行っています。
しっかり向き合う先生がいれば子どもは変わる
松田 写真は実際に支援した子ども達なのですが、彼らはすごく根が素直な良い子達なのですが、日本の社会的な不条理に、どちらかというと信頼や、期待をされていないため、やんちゃになっていく子ども達が多いです。
イメージとしては、やんちゃな子ども達と、しっかり向き合い、信じ、そして学習環境を変えていくということを行っています。
どういった先生が実際に向き合っているかというと、例えば彼はスペイン、リーガ・エスパニョーラの元プロサッカー選手でした。
彼は、青年海外協力隊や国境なき医師団で多様な国際経験があり、日々子どもたちの学びの環境を変えていくということを行っています。
多様なビジネスの経験や国際的な経験、これまでに目標に向かってチャレンジしたことがある経験を持っている人材が子ども達と向き合うことの教育効果は大きいです。
親や、地域環境の要因も大きいのですが、一日の中で子ども達と向き合っている時間が一番長いのは学校の先生です。
一年の中でも一番多くの時間、子ども達と接しているかもしれません。
この向き合い方や、クオリティーを変えれば、インパクトがその分あるということです。
この先生は、就学援助率5割を超える、福岡の田舎の学校に赴任しました。
赴任前の学力テストは、県平均からマイナス20ポイント程あったのですが、1年間英語を教えてどう変わっていったか?
もちろん学力が全ての指標ではありませんが、県の学力テストにおいて、中1英語の学年平均が、プラス27ポイントになりました。
この先生が教えた子ども達は、県の学力テストで大きく県の平均を上回る結果となりました。
スピーチコンテストの練習も行い、協力隊の人間も繋げて、英語をリアルに楽しく使えるようにしました。
皆さんの中にも、英語が嫌いな方もいるかもしれません。
教科が好きになるか嫌いになるかは、一番始めに教えてくれた人によりませんか?
そういった意味でも、向き合う大人が変わると、これだけ変わるということを少しずつ手ごたえとして感じ始めている状況です。
このプログラムは、世界44カ国で展開をされており、今この瞬間も60,000人の先生が厳しい状況にいる子ども達と向き合い、Teach For Japanもネットワークの一員として活動しています。
教師自身が成長するプログラム
このプログラムの面白いところは、成長するのが子どもだけではないということです。
参加する教師が成長します。
どう成長するか?
リーダーシップが身に付きます。分かり難いかもしれませんが、想像してみて下さい。
40人の子ども達の担任として教室に入っていきます。
生徒は皆学ぶ意欲ゼロ、環境も大変。
このような場所でビジョンを掲げ、子ども達と信頼関係を築きながら、「この大人の言うことだったら聞いてやる」と彼らの勉強の意欲を掻き立て、力を育む訳です。
1人の教員でできることは限られているので、周りの同僚や、地域の方、親御さんを巻き込んでいかなければなりません。
リーダーシップや、課題解決能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力全てを使います。
このような経験は、普通の企業では20代で経験することはできません。
そのため、我々は社会の課題を解決するとともに、参加する教師がリーダーとして成長していきます。
”Teach For”卒業生は世界で活躍する
松田 Teach For Americaはじめ、グローバルでの面白い傾向ですが、実はこのプログラムを2年間経験した人達が民間企業に引っ張りだこです。
志が高く、リーダーシップを発揮できる人材だからです。
この活動を卒業した後、実際に政治家やビジネスパーソンになり、早い段階で活躍していきますし、昇進のスピードも早いです。
そして、彼らは今までのビジネスリーダーと違うところは、2年間厳しい状況にいる子ども達と向き合った経験を持っているので、教育格差の問題が他人事ではなく「この問題を解決しないといけない」という当事者意識を持っている訳です。
だからこの課題を解決できるよう法案を通したり、寄付をするようになったり、何かしら引き続き関わり課題解決を図り続けます。
実は、LITALICOさんにも当法人の卒業生が何人かお世話になっております。
2年間教鞭を執っていると、発達障害等の子どもにも教室で接する訳です。
そこを民間から後押ししなければならないと問題意識を持つようになる訳です。
中には既存の組織では解決できない、という思いから教育サービスを起業したり、学校を開校したりする人もいます。
このように、違う領域でも引き続きこの課題を解決すべく取り組み続ける。
この活動は、社会構図として当事者性の高い人材を輩出していく、人材プログラムの要素もあると思っております。
松田さん自身が先生との出会いで人生が変わった
松田 最後に自己紹介ですが、私は大学を卒業後、体育の先生をしておりました。
なぜ体育の先生になったかという理由もきちんとあります。
自分は中学校の頃いじめられていました。
今でこそ人に話せますが、当時は自殺をしようと考えていました。
でもラッキーなことに、自分と向き合ってくれる体育の松野先生という方と出会うことができ、私の人生は変わりました。
すごく格好良い先生でした。
自分のことを信じてくれ、可能性を信じ、いつも半歩先を照らし伴走してくれる先生でした。
自分もそんな大人になりたいと思い、体育の教員になりました。
でも実際現場に入ってみると、もちろん子どもと向き合い頑張っている先生も沢山いる中で、そうではない先生が増えてきている印象がありました。
その後留学をし、起業をして先生を派遣する活動をしていますが、自分の原体験は中学校2年生のあの体験からきています。
皆さん、夢や目標を持ちなさいと言われるかもしれませんが、未来を語るのは大変なことだと思います。
そんな時、自分の過去を少し見てみると良いのではないかと思います。
自分の過去の原体験や、怒りの瞬間、喜んだ瞬間に、皆さん1人1人の価値観やアイデンティティが隠されていると思っています。
そういったことを見つめながら、今一度未来を見るということをしてみると良いのではないかと思います。
今の話しがさわりの部分となります、皆さんの為になる話ができるよう全力で頑張っていきたいと思いますので、後半部分もどうぞ宜しくお願い致します。
ありがとうございました。
(会場 拍手)
小林 ありがとうございました。
質問がある方は並んで下さい。今回も質問者が多そうですね。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら
続きは 教育を変革するリーダーたちが考える「理想の教育」とは? をぜひご覧ください。
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【編集部コメント】
続編も是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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