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【活動レポート】寺田倉庫が天王洲アイルと進める街づくりを見学した!

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ICCサミットではminikuraでおなじみの寺田倉庫。次回京都でも登壇いただくにあたり、6月1日、寺田倉庫を訪問しました。その際に天王洲アイルにて、寺田倉庫が地域とともに進める街づくりの現場をご案内いただきました。写真とともにその様子をレポートします。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


みなさんこんにちは、ICCサミット及びその活動をつぶさにレポートする浅郷です。6月1日に入社したばかりの三木茉莉子さんと一緒に、本日はその活動をお伝えしたいと思います。6月1日、次回の京都のカンファレンスにて登壇いただく予定の寺田倉庫を訪問しました。その内容をレポートしたいと思います。

日本の新しいプラットフォームを作りたい

訪問の主旨としては、次回京都のセッション内容についての打ち合わせだったのですが、寺田倉庫が携わる天王洲アイルでの街づくりの取り組みや、エリア施設の紹介などをいただけると聞き、ICCパートナーズ全員でうかがいました。目指すはレストランのT.Y.HARBORです。

道の左右にグラフィティが描かれていて、アートな雰囲気です。左はコンクリート工場、右は東横インの壁。街づくりの一貫として、施設側と街の双方が出資して作成しているそうです

寺田倉庫からは、福岡のカンファレンスでもご登壇いただいた月森正憲(専務執行役員)さんとMINIKURAチームを率いる柴田可那子さんが出席。柴田さん一押しのメニュー、ハンバーガーランチをいただきながら、寺田倉庫の歴史をうかがいました。

写真右手前から寺田倉庫の月森さん、柴田さん

昔は食糧庁のコメの倉庫だったという寺田倉庫。運河は物流拠点としての利便性が高い一方、同時に徹底した品質管理が求められます。そこで高い保存のノウハウを蓄積したものの、時代の流れで物流の拠点は品川や大井へ移動。そこからの新しいビジネス展開として、従来の概念にない「保存・保管」業、街づくり、文化づくりといった現在の流れができたそうです。

現在は美術品や貴重品の預かり、ワインの保管、映像・音楽メディアの保管クラウド収納サービス土地と空間のプロデュースなど、従来の倉庫業にとらわれない、さまざまな事業を展開しています。ちなみに寺田「倉庫」といっても、メインのビジネスは倉庫業ではないそうです。

月森さん「むしろ不動産業に近いです。寺田倉庫は倉庫を抱えず、北関東や千葉の倉庫と提携して倉庫を使ってもらうなど、そのノウハウやソフトを売っています。

だから、倉庫会社のベンチャーみたいなものですね。他の会社がやらないことを、あの手この手でやっています。倉庫ビジネスでも競合が出てきて価格競争に巻き込まれたとき、リブランディングの必要が出てきました。その象徴としてminikuraを作ったのです」

出所:minikura Website

2013年minikuraをAPI化し、2014年はエアクローゼットと提携、現在までに7社に出資するなど、その活動は縦横無尽で、タブーなき挑戦に見えます。現在も、業種関係なく、さまざまな社内アントレプレナーから相談を受けているそうです。

京都のカンファレンスでカタパルトに登壇予定のオプティマインドは、月森さんの幅広い人脈のなかからご推薦いただいたもの。前回のカタパルトで優勝したMellowの柏谷さんとも交流されているそうです。

京都での寺田倉庫のセッションは、少人数で深く議論する出張版スタディツアーのような形になりそうです。「物流だけでない新しい可能性やつながりを考え、日本の新しいプラットフォームを作りたい」という寺田倉庫のチャレンジにご賛同いただける企業の方は、ぜひご参加ください。

寺田倉庫×天王洲アイルの街づくり

打ち合わせが終わり、寺田倉庫が持つ施設や、街づくりを進めているエリアについて紹介していただくことになりました。

こちらのガラス張りの建物は、天王洲アイル駅からT.Y.Harborへ向かうときにひときわ目を引きます。以前は寺田倉庫の社食の建物だったそうですが、2階に二子玉川から移転したばかりのライブハウス、天王洲アイルKIWAが入り、地下はT.Y.Harborのショップが入っています。ガラス張りの外観から、中に動く人が見えます。

通る人が思わず足を止めるガラス張りの建物です

次はウッドデッキを通って運河に向かいます。無機質な倉庫群がスタイリッシュに見え、まるで外国のようです。現在入居しているオフィス/テナントは、家具のアクタスやカフェ、レンタルフォトのアマナ・イメージスなどだそうです。

以前ナイキが入居していたという倉庫

アクタスのショップ。街路樹も建物の外観にマッチしています

運河に浮かぶレンタルスペース

人が立っている向こう側が運河です

ひとつひとつ見て歩くと、古い建物を活用しながらも、心地よい場作り、イメージの演出について考えさせられます。寺田倉庫は、天王洲をどういう街にしたいか、どんなものを作り、開催することで街としての魅力を発信するかを自治体と話し合いながら進めているそうです。

カラフルにデコレーションされた船が幾艘も運河に停まっています。これは一体……?

大小の船が浮かんでいます

「レンタルスペースです。ハイブランドにお借りいただいて、VIPを招待するパーティーを開いたりします。大きな船の屋上のデッキでは、先日もライブをやったりしていました」

船に見えないかもしれませんが屋上デッキに上がったところです

この大きな船の定員は170人。船なので、定員オーバーは厳禁です。船内は予想以上に広々とした空間です。

広々としたアッパーデッキ。様々な用途に利用できそうです

下のデッキ。船の雰囲気たっぷりの丸い窓の下50cmはもう水中です

ホテルの個室のようなイベントスペース

建物のように見えますが小さな船のようなイベントスペースです

小さな船のようなイベントスペースにも入ってみることにしました。

入るとすぐにある一輪挿しの花瓶群。外とは全く違うアートスペースのようです

右側、白いオブジェが置かれているのがベッド

中に入ってみると、大きなベッドにソファー、テレビ、シャワーなどが備えられ、少し揺れていることを除けば高級ホテルの一室のようです。先日はこの中でお茶のイベントを開催したそうです。

普通のホテルより個室度が高いように感じます

見た目よし、中に入ってもよし、しかも何だったら移動できるわけです。これは運河沿いでないと実現できない他にはないスペースです。

陸に戻ると、運河沿いに気持ちのいいウッドデッキが広がっています。

月森さん「ここではオーガニック系のフードマーケットが不定期に開催されています。水上施設も、川沿いのウッドデッキも公道扱いなので、イベントのたびに申請を出さないといけませんが」

オーガニックマーケットに家具雑貨屋めぐり、カフェでお茶と一日過ごせそうです

次に、むき出しの壁や配管がスタイリッシュなスペースをご案内いただきました。

このスペースにランウェイを作ったそう

月森さん「このレンタルスペースは、ファッションや車など、ハイブランドのイベントに使われることが多いですね。フェンディがランウェイを作ってショーをしたり、BMWやMINIなど、車を入れたイベントも開催したことがあります」

2階にはキッチンもあり、ケータリング対応も可能

右側オブジェはアーティストの作品。窓を開ければ車両を搬入できる幅です

日差しのある日中からイベントを始めて、夜は窓を開放してパーティーなど、長時間の催しでも、さまざまに表情が変わる会場です。古さも新しさもあって、どんなイベントでもプラスアルファの価値を加えてくれそうなスペースです。

運河沿いの別の建物には、ラジオ局のスタジオを併設したイベントスペースがあり、週末はここでクラフトのワークショップやアンティークマーケット、ファーマーズマーケットなどが開催されるそうです。訪問した日は平日だったためお休みでしたが、週末は賑わうそうです。

苔玉づくり体験などの教室や、オーガニック食材のショップなどが並ぶのだとか

カフェスペースもあります

どの建物も太陽光をたっぷり取り込む作りで、クリーンで明るいイメージが印象的です。

建築模型のアートミュージアム「建築倉庫」

次に、寺田倉庫が運営している施設をご案内いただきました。

ひとつは「建築倉庫ミュージアム」という、2016年3月にオープンした建築模型に特化した国内唯一のミュージアム。日本の建築はデザイン、技術ともに世界から注目を集めるクオリティを誇っており、建築模型はその建築文化を後世に伝えるアーカイブとして、また美術品としても価値が高いそうです。

影の落ち方もアートです。建築倉庫ミュージアムの入り口

模型を保管、閲覧、展示もできる

ARCHI-DEPOT ONLINEという世界初の建築模型に特化したWEBサービスでは、模型文化、建築模型の若手建築家の手がけた作品を閲覧できますが、その一部の実物をここでは見ることができます。

精巧に作られたコンペ用の模型。「建築倉庫ミュージアムが選ぶ30代建築家展」より

コンペ出展のために制作したけれども入賞が叶わなかったものなど、かなりハイクオリティな作品群は見応えあり! 建築を学ぶ学生が数多く訪れるそうですが、模型マニア、ミニチュアマニアも興奮すること間違いなしです。

別会場では「ル・コルビュジエ/チャンディガール」展も開催

併設されたショップでは、この天王洲アイルの街づくりの模型も展示されていました。

さきほど見学した大きい船(イベントスペース)全景のミニチュア模型

もう一か所ご紹介いただいたのは、建築倉庫からほど近い「PIGMENT」。寺田倉庫が世界に通用する若手作家、アーティスト育成のために運営する店舗で、4000種類の顔料を揃える世界的にも類を見ないラボです。新国立競技場のデザインも手がける隈研吾が手がけた店舗のデザインは、まるでミュージアムのようです。

「PIGMENT」のオンラインショップのユーザー8割は外国からだとか

「文化を預かるだけではなく、創っていくお手伝いができれば」という月森さん。店舗にいるスタッフは、京都造形芸術大学出身の現役のアーティストの方が多く、質問すれば色の成り立ちや歴史、文化背景まで教えていただけます。また、ワークショップなども開催されています。

ワークショップでは、自分だけの色の顔料を創ることができるそう

天王洲アイルというと、駅前の印象から無機質な、高層マンションが立ち並ぶベイエリアというイメージしかなかったのですが、実際に訪れてみるとその印象が変わりました。

そこに広い敷地を有する寺田倉庫が率先して、地域の自治体と組んで街を再定義し、その手法としてアートを用いていること、新しい取り組みの可能性にオープンであることが非常に印象的でした。

元々は保税倉庫が立ち並ぶ通りだったことからBOND STREETと名付けられた通り

コメに始まり美術品まで、その保存、保管、継承から、それが途切れないように新たに生み出すことをサポートする寺田倉庫。表面的には本当に様々なことを手がけていらっしゃいますが、スペースを価値に変え、それを高品質の体験として提供する一貫した姿勢を、天王洲アイルで感じることができました。

ICCサミット KYOTO 2018でのセッションが、その新たな試みのお手伝いの場になれればと思っています。最後に月森さん、柴田さん、ご案内どうもありがとうございました!

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/三木茉莉子

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