外に正解は求めない!成長する自分たちを表現するプレイドのGINZA SIX、未完成のオフィス – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

外に正解は求めない!成長する自分たちを表現するプレイドのGINZA SIX、未完成のオフィス

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ICC KYOTO 2018初日のセッション「それぞれのオフィス論から考える『なぜ今の時代にオフィスが必要なのか?』」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズ、最終回は、GINZA SIXに移転したばかりのプレイドの「未完成のオフィス」を訪ねました。ぜひご覧ください。

▶この記事は ICCサミット KYOTO 2018でフロンティアコンサルティングがスポンサーするセッション「それぞれのオフィス論から考える『なぜ今の時代にオフィスが必要なのか?』」に登壇する企業のオフィスを紹介するシリーズです。
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本編


CXプラットフォーム「KARTE(カルテ)」を開発、運営するプレイドは、事業拡大に伴い五反田から、この7月2日に移転してきたばかり。そのときのプレスリリースに、MVO(Minimum Viable Office : 実用最小限のオフィス)というキーワードを掲げ、働く社員自身がオフィスの利用状況や、その時々のニーズで常に改善を提案し、オフィス環境をアップデートし続けるとある。

壁がひとつもないオープンオフィス

GINZA SIXにあるプレイドのオフィスは、とにかく広い。10階のフロアに着いてエントランスを探すと、1つのドアからオフィスらしからぬ眺めが広がっている。

オフィスに一歩入ると、視界を遮るものは何もない。入る前からその広さは想像できたが、2面に自然光をたっぷり取り込む窓、高い天井、写真では密集して見えるが、見た目以上に広々とした執務エリア、バドミントンのコートが数面とれそうなスペース。スケートボードでも使って移動したいような広々とした空間が広がっている。PR/Acceleratorの櫻井有希代さんにオフィスを案内していただいた。

インターンも含めると100名弱が就業

社長含めフリーアドレスのため袖机はなく、個人の荷物はロッカーへ

突き当りの壁は、社長の倉橋さんいわく「銀座で一番でかいホワイトボード」

床のコンセントなど配線は「靴のヒールがはまってしまわないように」と、穴のない形にしたそう

高い天井がより広さを感じさせる

櫻井さん「天井がむきだしになっているのは、前のオフィスからです。自分たちがスタートアップで、作り込まれていない、未完成という認識をオフィスに来た時に持っていたいために、こうしています。倉橋(健太・代表取締役社長)が、社員が長時間過ごす環境=経営の重要な要素としてオフィス移転プロジェクトの総指揮を担ったのですが、ここで働くメンバー全員が今の事業フェーズを間違って捉えるリスクが増えないように、天井を含む全てのファシリティに配慮しています」

窓の外は観光客で賑わうユニクロ銀座店

左奥の窓からは銀座4丁目交差点が見える

オフィスは自分たちの現在の姿を表現するもの

代表取締役の倉橋さんは、オフィスは経営戦略に密接に関係があるという。

倉橋さん「自分たちの今のフェーズを正しく認識したいし、今後の成長の局面でその時々において正しいオフィス環境であり続けたいと考えています。新しい市場を作り事業を成長させていくためには、自分たちでハードルを作っていかなければいけない。このオフィスは、その1つです。

プレイド 代表取締役社長 倉橋 健太さん

世の中のオフィスは、入居時点で完成しているものが多いと思います。しかし、スタートアップの成長は早く、自分たちの半年後の姿でも正しく把握することは不可能です。完成したオフィスでは、そのズレは発生し続け、次第に大きくなる。事業とともに成長して作っていくオフィスという形、プロダクトみたいなオフィスという形に振り切り、正しい現状認識を持ち続けられるオフィスを志向しました」

ほぼ決まっていた計画を白紙に

とはいえ、この形に落ち着くまでに紆余曲折があったという。

倉橋さん「オフィスやPCなど、どこかのタイミングから与えられて当然となっていくものですが、ある種ハングリーな、自分たちでそれを得ていくんだ、という感覚を残したかった。良い物件になかなか出会えなかったということもあり、キャパシティ的に余裕を持った移転を捨て、前のオフィスに詰め込めるだけ詰め込み、一旦みんなで環境へのストレスを感じたうえで、次のオフィスに移転することにしました」

そのストレスの反動はある意味で凄まじく、移転が決まったときは夢やアイデアが凝縮された、さまざまな機能をもつ完成されたオフィスの青写真が出来上がった。足りなかった会議室は3倍に増やして、使いやすいオフィスになりそうだった。

倉橋さん「そのころ同時進行で、資金調達にも動いていて、未知の価値を作りにいくことを投資家の方々に宣言し、共感していただく動きの最中でした。そんな中、ふとオフィスの完成イメージへの違和感に気づき、そのモヤモヤがしばらく取れなかったんです」

熟考の末、移転プロジェクトに関わっている人たちにその気持ちを伝えると、意外なほど共感を得られたという。パースまで出来上がっていた計画図は白紙に戻すことにした。

倉橋さん「立派な、完成形の会社に近づいているような錯覚を持ちたくなかった。僕らは本当に大きなことを目指しているから、進捗はまだ1、2%といったところ。とはいえ会社としてのモメンタム形成、成長インパクトの発信はしていきたい。そこで、GINZA SIXという一番刺激的ななところに移転するけれども、オフィスは完成させないという両方の逆を取ることにしました」

固定観念を覆して回答を見つける

完成させないオフィス。それが端的に表れているのが共有スペースだ。

手前がソファの素材のウレタンのブロック、板、箱で自由に組み替えられる通称”モック”

倉橋さん「オフィスの設備や家具もプロダクトみたいに、リリースしてだめだったら止めることをカジュアルにできるようにしました。板と箱でいろいろな使い方ができます。僕らはこれを”モック”と読んでいて、まだβ版という状態を伝えるために素材や色、仕上げを調整しました。皆が良い環境を作るためにどうすればいいか、自然に考えられるきっかけを沢山作りたい。たとえばあそこにテーブルと椅子があります」

倉橋さん「あの場所にあの形で数日あって、定常的に使われてます。そんなふうに、みんながこの場所にこんな機能が必要だとわかってきたら、それを設備として良い家具に置き換えたり、作り込めばいいいいということです。”モック”はレゴみたいなオフィスに、という社員のアイデアから生まれました」

オフィス改善のアイデアは、社員からgithubに自由に上げられるようになっており、それをとりまとめるプロジェクトがある。人によってアイデアがまったく違うのも面白いという。

倉橋さん「面接用に個室がほしいという声もかなりありましたが、壁がなくても離れれば声は聞こえないし、会議室を押さえるコストも削減できる。空いているところを見つけてミーティングすればいいし、立ち止まった人が自由に参加したりもできます。実はオフィスでは壁を作るのが一番お金がかかるのですが、この決断で大幅なコストダウンになりました」

ずっと足りていなかった会議室問題は、部屋数ではなく、広さと距離で当面解決。固定観念を覆して回答を見つけることは、会社の目指すところでもある。

倉橋さん「事業、プロダクトもそう作りたいのです。どこかの成功事例に頼ったり、正解を探すのではなく、全てをヒントと捉え自分たちで考え、試すしかないと思います。本丸の事業でそういう思考ミスが起こらないように、プロダクト以外もスタンスを揃えておきたかった。そうでないと、いざというとき失敗確率が高くなると思うので、頑張っています」

社員間のコミュニケーションが増えた

広いスペースだが、それぞれの配置の意図は明らか。たとえばカフェは人が集まる場所。大勢が集まっても圧迫感がないサイズ感にしている。本格的なコーヒーを楽しめるよう、プロを呼んで皆で淹れ方を学んだりもしている。一息つくスペースとしてだけでなく、ここで面接をすることもあるという。

15mあるカフェカウンター。「メリハリをつけて大胆にやったほうがいい」と倉橋さん

芝生スペースは、前のオフィスからあり好評だったため、思い切って広いスペースをとった。大きなモニターを使用する「KARTE」のセミナーなどの場合は、100〜200名を収容することができる。入居してすぐにサッカーワールドカップの日本代表戦があり、モニターで観戦して楽しんだ社員もいたそうだ。執務スペースはあえてデスクを密集させ熱気の分散を防ぐなど、各エリアごとにはっきりとイメージも変えている。

芝生スペース含むフリースペースでは、4面のモニターを出すことができ、セミナーや週1の全社員での「昼会」も行われる

倉橋さん「移転から2,3日でみんないきなり馴染んでいてすごいなと思いました(笑)。今はイベントの準備のため片付けていますが、芝生スペースでは先日までテントを張ったりしていました」

新しいオフィスは、社員に変化をもたらしている。「圧迫感がないので、オフィスの可視性が高まり、以前よりも社員同士の会話が増えた」「サッカーボールを蹴りながら話をすると発想がわく」「なぜかモチベーションが上がった」などなど。リモートワークも可能だが、出社する社員がほぼほぼだそうだ。

櫻井さん「オープンオフィスはよくないという声もありますが、私たちの体感とは違います。プロダクト、事業、オフィス、全部つながっている感じがいいと思っています」

ルールを最小化して、変化の対応を速くする

会社が成長し変化し続けるからこその、未完成のオフィス。それでは変化が可能な体制はどのように作っているのだろうか。

倉橋さん「変化への耐性としては会社に関わる規則、ルールを最小化しておくのが、一番強烈な投資だと思っています。”決まりを増やさないこと”が一番意識してやっていることで、努力しています。組織階層もありません。自由なアイデア、変化への柔軟性がないと良い事業を生み出せないという仮説のもと、それに正しいアプローチを続けています。

オフィスも報酬面も価値観はすべて同じ。会社としては、成長すればするほど、いろいろ決めてしまったほうが実は楽なんだと思う。でも、ルールが増えるとと正しい判断を阻害しうる。

オフィスを妥協してしまうと、他のものも妥協するのではないか。プロダクトはイノベーティブなことを目指しているといいながら、オフィスが打算的なものになるのは違う。会社はいろいろな要素があって、その1つが事業ですが、その要素がバラけた方向を向いている企業にはなりたくないと思っています。そのために多少強引にでも同じ価値観、スタンスをとり続けていて、自分たちの持つ疑問に徹底的に向き合っています」

一番自分たちにふさわしくない場所へ

それにしても銀座の一等地。ここにオフィスを構えるにはそれなりの覚悟が必要だったに違いない。

倉橋さん「実は1年前にオフィス移転をしようと動いていたときに、僕らが検討したい物件があったのですが、それを不動産屋に待ってくれと止められたことがあって。よくよく聞いてみると、某グローバル大企業が同じ物件を検討していました。そして代表が直接見に来るという。彼は候補物件をすべて見に来たらしいです。

それくらい、オフィスは重要な要素だと思います。地図を見れば立地はわかるけれども、オフィスに入ったときにどんな感覚、空気感を感じるか、オフィスから出たときにどう感じるか、そういった全てが重要だと思っていて、それを見に来たんだろうなと思いました。

エントランスの壁に刻まれたロゴ。社員で彫ったという

社員のみんなに『積極的にリスクテイクしよう』と言っているときに、自分の意思決定においてもリスクテイクしないわけにはいかない。もっと安く、広いオフィスもあったけれど、何も刺激は感じなかった。一番自分たちにふさわしくない場所に行きたいと思ってここに決めました。

銀座は街の勢いがあり、ずっとそういう状態が続いている。そういうところで仕事ができれば街のエネルギーも力になると思っています。関わる変数が多すぎて、オフィスを考えるのは非常に難しかったですが、今は納得感がある結果になったと思っているし、もっとよくできるとも思っています」

移転して1ヵ月未満というが、明るくてのびのびとした気持ちのいい空間を、働く人たちが楽しんでいることが伝わる。強烈な主張はないのに他とは違う空気感があることに、オフィスを出てから気がついた。事業を映し、会社の成長とともに変化するオフィス。もし1年後に訪れたら、このオフィスはどんな姿になっているのだろうか?

【プレイド オフィスデータ】

所在地 東京都中央区銀座6-10-1GINZA SIX 10F
オフィスフロア平米数 約2,083 ㎡(約630坪)
設立 2011年10月
従業員数 80 名(2018 年7月31日現在)
事業内容 CXプラットフォーム「KARTE」の開発・運営
EC特化型メディア「Shopping Tribe」の企画・運営
CX特化型メディア「XD(クロスディー)」の企画・運営

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/尾形 佳靖

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