過去最高にハイレベルな戦い! 強者たちのプレゼンを堪能「カタパルト・グランプリ」【ICC FUKUOKA 2019レポート#6】 – 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

過去最高にハイレベルな戦い! 強者たちのプレゼンを堪能「カタパルト・グランプリ」【ICC FUKUOKA 2019レポート#6】

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2月18日~21日の4日間にわたって開催されたICC サミット FUKUOKA 2019。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。第6回目は、20日のカタパルト・グランプリの模様をお届けします。社会問題から、クラウドRPA、AI、農業、医療などジャンルを問わず、過去カタパルトの入賞者を中心としたプレゼンターたちが渾身のピッチを行い、ハイレベルな戦いを繰り広げました。ぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをご覧ください。

予測不可能のハイレベルな戦い

結果は既報の通りだが、今回のカタパルト・グランプリは、蓋を開けてみるまで誰が優勝するか、まったく予測ができなかった。

【速報】“針のいらない生活”を子どもたちに!! 非侵襲血糖値センサーのライトタッチテクノロジーがカタパルト・グランプリ優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2019)

いずれも過去のカタパルトの入賞者、またはそれに準ずる実力のためハイレベルなのは当然だが、そのうえ入賞後に実績を積み上げてきている。登壇で活躍しているような方々でも、多忙な業務を縫ってICCオフィスでプレゼン練習を行っていたが、それを聞くICC小林も感心することしきり。本番まで、勝利の行方は全く見えなかった。

実際、当日のプレゼンもいずれも素晴らしかった。どの登壇者もプレゼンの要点を絞り、ほぼ時間内ぴったりに収めていたところが、さすがプレゼン猛者たちである。

司会は初代優勝者、e-Educationの三輪氏

早朝の7時45分、4位に入賞した農業情報設計社の濱田 安之さんが現れた。登壇前のリハーサルのためだが、開始時間は9時30分。かなり早い到着である。落ち着いた表情で会場に入り、席についた。

ほどなくして、リハーサルが始まった。慣れているのか、それとも隠しているのか、誰もそんなに緊張の色は見せない。唯一、手間取ったのは、カタパルト初の全編動画プレゼンテーションを展開する、Homedoorの川口加奈さんくらいだろうか。それも、川口さんの語り出しに合わせて、タイミングよく動画音声をスタートさせるという、運営側のためのものだった。

いつにも増して、今回のプレゼンターたちは層が厚い。

ICC小林「今回カタパルト・グランプリ、初代優勝者のe-Educationの三輪くんが司会です。修行をしたいということで、前回からスタッフをやってもらっています。バトンをつなぐということで、今回カタパルト・グランプリの司会をやってもらっています。

▶優勝時のプレゼンテーションはこちら(2019年3月18日現在。動画再生393,599回)
大絶賛された感動のプレゼンテーション「e-Education」 (ICC FUKUOKA 2017 カタパルト・グランプリ)

今回も素晴らしいプレゼンターが集まっています。前日のカタパルトでもしましたが、がんばってくださいという意味を込めて、チャレンジャーたちに拍手を送りたいと思います。ご起立ください!」

プレゼン開始前の恒例行事となった、会場から万雷の拍手が送られる。続いて入賞商品の紹介だ。

優勝者には、ファクトリエ賞として、天皇陛下のスーツと同じ作りである300工程を経て作られるオーダーメイドのスーツと、AGSコンサルティング賞として、ヤッホーブルーイングとのコラボでよなよなエールが1年分贈られる。2〜4位には、半年分のビールが贈られることになっている。

ICC小林「今回は、ハンカチ用意です。2度ほど泣くかもしれません」

各社プレゼンテーションの内容は

どの登壇者も自身の事業を熱を込めて語った。プレゼンターの写真とともに、簡単にご紹介しよう。

10年以上、島の物流に関わるドローン物流のパイオニア、かもめやの小野さんは、滑走路なしでも離陸でき、長距離飛行が可能という離島特有の物流の問題を解決するドローンを開発。日本全国の買い物弱者820万人および世界の離島に展開する展望を語った。すでに東京から富士山までを、給油なしで、40分程度で飛べるという。

Homedoor川口さんは、リハーサルでの練習がぴたりとハマり、語り出しとともに動画がスタート。7分間の動画に合わせて、ホームレス状態になってしまった人々が再出発できる仕組みや、17歳の頃に描いた夢の施設を完成させるまでの道のりを、完璧に頭に叩き込んだプレゼンで、淡々と語りかけた。

高校生や大学生を対象にレジデンシャル・エデュケーション(居住型教育)を通じたピア・メンターシップの重要性を訴えるHLAB小林 亮介さんは、ホグワーツの制服姿で登場。下北沢の再開発として魅力的なキャンパスを街に作るプロジェクトに着手中とのこと。学校をともに作るCo-Creationを呼びかけた。

BizteX嶋田 光敏さんは、日本の長時間の労働環境や減っていく労働人口の問題を改善するクラウドRPA、BizteX cobitをプレゼン。好調な導入企業増加に支えられ、将来的にはAPIを公開し、作ったロボットの自由売買ができるようなRPAマーケットプレイス型を目指していることや、ロボットクリエイターの育成に取り組むことを発表。

オープンエイト高松 雄康さんは、特許出願中のAIを活用した自動動画編集クラウド「VIDEO BRAIN」をプレゼン。写真や素材を入れて選ぶだけでAIが動画を作成でき、使い放題月額制15万円で、1コンテンツ数万円かかっていたコストと時間を大幅に削減する。企業による情報発信の格差をなくすことで、心を動かす体験を作り出すことができるという。

独自のドローン制御技術と知財戦略をもつエアロネクスト田路 圭輔さんは、前回のリアルテック・カタパルト優勝者。中国市場はじめすでに多くの業務提携や共同開発のオファーが殺到していることから、小橋工業と量産化の業務提携を締結、実証実験が決定していることを発表した。自社技術を”インテルインサイド”のように標準化する夢を語り、さらに加速するドローン前提社会への応援を呼びかけた。

2018年2月の福岡のスタートアップ・カタパルトで準優勝したベースフード橋本舜さんは、主食のイノベーションで、「少子高齢化」「健康寿命の延伸」「健康格差」の課題に取り組む。麺系・コメ系・パン系の三大主食分野において、2019年は3カ月に1回のペースで完全栄養の新商品を出すという計画を発表し、世界を見据えた主食市場のパイオニアブランドになることを目指す。

濱田 安之さんが率いる農業情報設計社は、農業生産費に占める資材費・労働費を抑えることが収入に最も直結することに着目。開発提供するAgriBus-NAVI(アグリバスナビ)はその双方の削減を実現するGPS・GNSSガイダンスシステムで、導入費を従来の1/3〜1/20に下げ、すでに世界3位のシェアを誇る。手段に振り回されず、作物を守り育てる農業の基本に立ち返ることをテクノロジーで解決する、とプレゼンを締めた。

サイカ平尾喜明さんは、広告のROIを抜本的に改革するツールXICA magellan(サイカマゼラン)を紹介。専門家の分析を要した広告の効果や予算配分など、さまざまなKPIに基づく統合評価を自動で行い、従来計測不可能だったオフラインやSNSの効果までわかるという。日本のSaaSとしては高額な月額80万円のサブスクリプションモデルだが、それを遥かに上回るROIを提供し、広告業界、経済の最適化を目指す。

世界4億人を超える糖尿病患者は、その管理のために、1日複数回、血糖計での採血による痛みを伴う検査が必要となる。遺伝性で子どもの患者も多い1型糖尿病患者は、年間3000回の採血に年間20万円の費用がかかり、医療廃棄物も出る。世界で初の非侵襲の血糖値センサーの開発に成功したライトタッチテクノロジー山川 考一さんは、今回のプレゼンで、痛みもゴミもない、在宅医療を実現できるセンサー小型化のためのクラウドファンディングへの支援を呼びかけた。

心を打つプレゼンテーションといっても、起承転結を巧みに配置し、聴衆の心を自在に操って感動へ導くようなものではなかった。今回登壇した10名はむしろ淡々と、自分たちの信念とストーリーを誠実に語るだけで、自身が取り組む課題に注目させ、感動を呼び起こした。いずれも課題解決に優れて甲乙つけがたく、審査員は頭を悩ませたに違いない。

「情熱的な起業家は事業を大きくできる」

投票の集計中は、AGSコンサルティング廣渡さんからのプレゼンが行われたが、10人のプレゼンに感動を伝えずにはいられないという面持ちだ。

廣渡さん「クオリティの高さ、バリエーションともに、素晴らしいですね。社会的な意義にグッとくるものもあれば、テクノロジーの素晴らしいものもある。ビジネスモデル的には時流に乗ったサブスクモデルがある。自分は審査員でなくてよかったな、決められないなと思いました」

プレゼンを見て2回涙、と予告していたICC小林は、3回泣いてしまったと告白。会場からの感想を聞いていく。

マイネット上原 仁さん「泣きました。まず大阪弁の彼女。号泣しました。あと最後の血糖値を測定するレーザーも凄いなと思いました。そしてふるさとチョイスのページを開きました」

日本マイクロソフト三上 智子さん「私も、小林さんの泣きますというのは嘘だろうと思っていたのですが、泣きました。それぞれみなさん視点があって、どれもテクノロジーを活用されていたし、想いが伝わったので本当に悩みました」

もと同僚の高松さんのプレゼンはどうだったか?と振られたアイスタイルの菅原 敬さん。

菅原さん「時間ピッタリですばらしいですね(笑)。社会的な事業もピュアなビジネスも、みなさんパッションがすごいですね。情熱的な起業家はやはり事業を大きくできるのだなと思いました」

オールアバウト江幡 哲也さん「聞いていて、わくわくしません?すごく広がりがあって、まだまだできることがあって、感動しました」

シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン赤池 敦史さん「みなさんおっしゃる通りすばらしい。さすがファイナリスト。みなさんエッジが立っていて、正直むちゃくちゃ悩みました」

優勝はライトタッチテクノロジーに

激戦の結果、票が割れて、同率4位が4団体、Biztex嶋田さん、オープンエイト高松さん、ベースフード橋本さん、農業情報設計社濱田さんに、3位はhomedoor 川口さん、2位エアロネクスト田路さん、グランプリはライトタッチテクノロジーの山川さんと決まった。

山川さん「まずはどうもありがとうございます。1型糖尿病患者の患者さん、そのご家族の支援という重責を背負っていたので、本当にうれしいです。

今日ライブ配信することをみなさんにもお伝えしてまいりましたので、患者の方も、ご家族の方も見ていただいていて、みなさん喜んでいると思います。ぜひふるさと納税を通じて、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました!」

“不治の病”と生きる子どもたちに“治療”をー針を刺さなくていい日々を届けたいー(ふるさとチョイス)

優勝者に賞品を贈呈すべく、ファクトリエ山田敏夫さんが壇上に上がった。

山田さん「どのプレゼンも素晴らしかったです。糖尿病について僕はあまり知らなくて、当事者の方たち、特に子どもたちにとっては本当に苦痛だと思います。まずは山川さんに、ジャケットでかっこよくなっていただければ」

廣渡さん「グッとくるプレゼンは、意外とテンションを上げるものではないのだなと思いました。優勝賞品はよなよなエール1年分ですが、テンション的にビールで乾杯してくださいというものではないかもしれません。ビールお好きですか?」

山川さん「はい、今回、このために控えてきました!」

廣渡さん「では勝利の美酒を楽しんでください。4位が4組も出るなんて、聞いていなかったなぁ……(笑)。私たちAGSはがんばらせていただき、よなよなさんは喜ぶのではと思います」

ICC小林「最後にチャレンジャー、そして優勝者に大きな拍手を贈っていただきたいと思います!」

「自分のサービスが課題を解決する」だけではない。カタパルト・グランプリにチャレンジした10名は、「もっといい未来をともに創ろう」「変えられる未来がある」と呼びかけ、それを身をもって実践し、実績も合わせて提示してみせた。「スタートアップ・カタパルト」からの次フェーズ、視座がさらに上がった、成熟を感じさせるプレゼンばかりだった。

審査員、登壇者に感想を聞く

セッション終了後も余韻が続き、会場にいた方にコメントを聞いた。

アクセンチュア加治 慶光さん「誰に投票したか? 僕はHomedoorに入れました。他でも少し前から社会的課題とテクノロジーを結びつけるという取り組みをしています。最近そういったものが増えていますが、他とは違って、こういう企業が登壇するのはICCならではという感じがしますね」

登壇する次のセッション会場で準備をしていた、ヤッホーブルーイングの井手直行さん。

井手さん「いや〜よかったですね!いろいろな切り口でプレゼンされていて、ジーンときました。まずHomedoor、あれでまずグッときたし、子どもの糖尿病のもやばかった。4位が4組いたけど、みんな評価されるっていいよね。

途中で流れた、前回グランプリのオリィの映像もよかったですよね。

オリィ吉藤は、分身ロボット「OriHime」で誰もが社会参加できる世界を目指す(ICC KYOTO 2018)【文字起こし版】

あの活動は本当にすごいです。昨日パンフレットをもらって、よなよなと何かできませんかと言われました。持ち帰っていろいろ考えようと思います」

優勝した山川さん率いる、糖尿病患者の子どもを痛みから救うライトタッチテクノロジーは、父親世代である審査員の心をしっかりと掴んだが、その次に感想として多かったのが、活動を始めたころに代表に見られず、事務としか思われなかったというHomedoorの川口さん。17歳で描いた夢の施設を設立した大きな実績よりも、地道な活動を続ける姿勢のほうが印象を残した。

高校3年生で描いた夢の施設が実現! Homedoorが作る、ホームレス状態脱出の仕組み

この夜、大阪に戻るという川口さんに、夕方の会場で遭遇した。初のICCサミット、カタパルト・グランプリ登壇はいかがだっただろうか。

川口さん「めっちゃ緊張しましたよ! プレゼンのときに真ん中ぐらいに立とうと思ったのですが、緊張して真ん中まで行けず、手前で立ち止まって終わってしまいました(笑)。

私たちは少し毛色が違うので、どうかなと思ったのですが、すごくみなさん耳を傾けていただけました。7分という短い時間だったので、まさか泣いていただける方がいたとは驚きです。

今日はICCサミットに来て2日目ですが、登壇するまでほとんど知らない人たちばかりだったのが、そのあと声をかけていただけるようになりました」

大阪に帰ったら、3位入賞で獲得したよなよなエール半年分を「アンドセンター」に集まるおっちゃんたちと一緒に味わっていただけるに違いない。

たしかに真ん中より手前にいる


5回目となったカタパルト・グランプリは、たとえ異業種でも、現状の課題から目を反らせず、ともによりよい未来を創るという想いが印象的な回となった。圧倒的なビジネスモデルや、画期的なアイデアよりも極めて人間的な想いが、どの企業からも伝わってきた。

客観的に見てみると、質の高いプレゼンテーションは素晴らしいコンテンツであり、素晴らしいコンテンツは、その背景と未来にも強く興味を持つということも実感できた。エンターテインメントに例えるならば、名作に出会ったので、過去作品にも興味を持つし、次回作も楽しみ、という具合だ。

彼らは実力実績を兼ね備えた、まさに”強者たち”だ。彼らの来歴や次のステップにもご注目いただきたいし、Co-Creationの機会があれば、彼らの、または私たちの未来のためにぜひ共創いただきたいと思う。

「ICCならでは」との言葉もあったが、このカタパルト・グランプリに登壇する企業は、ジャンルを問わず人間的な想いが強く、Co-Creationで未来を創ろうとする実力者たち、といったところだろうか。「スタートアップ・カタパルト」同様に、引き続き注目いただきたいカタパルトである。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。