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オリィ吉藤は、分身ロボット「OriHime」で誰もが社会参加できる世界を目指す(ICC KYOTO 2018)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2018 カタパルト・グランプで優勝に輝いたオリィ研究所 吉藤 健太朗さんの感動のプレゼンテーション【オリィ吉藤は、分身ロボット「OriHime」で誰もが社会参加できる世界を目指す】の文字起こし記事をぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

ICCサミット KYOTO 2018のプラチナ・スポンサーとして、AGSコンサルティング様に本セッションをスポンサー頂きました。


【登壇者情報】
2018年9月4日〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

(プレゼンター)
吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO

小学5年~中学3年まで不登校。高校時代に行った電動車椅子の新機構の発明により、国内最大の科学技術コンテストJSECにて文部科学大臣賞、世界最大の科学技術コンテストISEFにてGrand Award 3rdを受賞。その後寄せられた多くの相談と自身の療養経験から、孤独の解消を志す。高専にて人工知能を研究した後、早稲田大学にて2009年から孤独解消を目的とした”分身ロボット”の研究開発を独自のアプローチで取り組み、自分の研究室を立ち上げる。2012年株式会社オリィ研究所を設立、代表取締役所長。分身ロボット”OriHime”、神経難病患者のための視線文字入力装置”OriHime-eye”を発明、その他バリアフリーマップの開発に関わっている。青年版国民栄誉賞「人間力大賞」、スタンフォード大学E-bootCamp日本代表ほか、Googleインパクトチャレンジグランプリ、AERA「日本を突破する100人」、フォーブス誌が選ぶASIAを代表する青年30人などに選ばれる。

「ICC KYOTO 2018 カタパルト・グランプリ」の配信済み記事一覧


吉藤 健太朗氏(以下、吉藤) みなさんこんにちは、体が弱い社長 日本代表の吉藤です。

私には解決したい問題があります。

それは「孤独」という問題です。

 

今、日本には約1,000万人の一人暮らしの高齢者、200万人の寝たきりの高齢者、そして6万5,000人の病気が理由で学校に通えない子供たちがいます。

私もそのうちの一人でした。

私は幼い頃体が弱く、小学校5年生から3年半の間、ほとんど学校に通うことができませんでした。

1週間、2週間天井をひたすら眺め続ける生活をすると、日本語がうまく話せない、うまく笑うことができない自分に気がつきました。

孤独は鬱や認知症の原因になると言われていますが、私は実体験を通してそれを感じています。

これは本人だけの問題ではありません。

労働人口が減っている今、介護をする人にとっても大きな負担になっているのが現状です。

“もう1つの体が欲しい”という願いを叶える

そんな問題を解決するために作っているのが、この分身ロボット「OriHime」です。

「もう1つの体が欲しい」という願いを、この「OriHime」で叶えます。

このOriHimeというロボットは遠隔操作が可能です。

OriHimeを病院外、例えば学校に置いておくと、リアルタイムで学校の様子を見ることができ、自分の体のように動かすことができます。

私は今京都にいますが、今朝の東京でのミーティングにこのロボットで参加していました。

普段北海道にはこのロボットで出張していますし、2週間後にはこのロボットでインドに出張します。

このように、体が弱いなりに仕事をすることができています。

寝たきりの親友にとって一番の分身となるロボットを

このOriHimeを作る上で重要な人物がいます。

それが私の親友、番田雄太という男です。

彼は4歳の時タクシーにはねられ、頚椎損傷で20年間学校に通うことすらできず、盛岡の病院にずっと入院していました。

私は彼と出会い、「彼にとって一番いい分身を一緒に作ろう」とチームを作り、一緒にロボットを作ってきました。

彼はこのOriHimeを使い、世界中を旅して講演をしました。

うちの会社にはこのOriHimeで毎日出社し、働いていました。

給料を貰い、母親にたくさん服を買ってあげました。

母親は涙を流していました。

彼は「自分で会社を作りたい」と言っていて、1年半前のICCサミットでも一緒に登壇をしました。

しかし、非常に悔しいことに、ちょうど1年前の9月6日、28歳でこの世を去りました。

肢体不自由でも働けるというロールモデルに

しかし、「(体が動かなくても)心が自由なら、どこへでも行き、なんでもできる」という彼が残したメッセージが、多くの方にとって刺激になっています。

肢体不自由の子供たちは、このようにたくさんいます。

しかし肢体不自由の方たちの就職率は未だに10%以下、80%以上は施設に入っているというのが現状です。

しかし、番田というロールモデルが後押しになり、「自分でもできるかもしれない」と思う人が増え、このOriHimeを使って働く仲間たちが増えています。

育児・介護中のテレワーク用ロボットへと発展

また障害だけではなく、育児や介護をする人たちにとっても「自分の体を運ぶことができない」という点で環境障害がありますよね。

しかしこのOriHimeを使えば、テレワークをすることができるのです。

現在数十社にこのOriHimeをテレワーク用ロボットとして導入頂いています。

NTT東日本さんには60台以上をテレワーク目的で利用頂いています。

▶参照:「OriHime」を用いたテレワークの推進(NTT東日本 ウェブサイトより)

目の動きだけで操作可能、難病ALS患者の支えに

今回はもう1つ、皆さんに紹介したいものがあります。

皆さんも私もいつ体が動かなくなるか、わかりませんよね。

例えば怖い病気の1つに「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」 という難病があります。

この病気は発症理由が全くわかりません。

私も、皆さんもかかる可能性があります。

この病気にかかると約3年後には、体がほぼ動かなくなり呼吸すらできなくなります。

しかし、呼吸器をつければ生きられます。

皆さんは、呼吸器をつけますか?

実は日本では、1万人のALS患者のうち呼吸器をつけている人は3千人に満たないのです。

残りの7千人は「もう生きていてもしょうがない」と思い、自分で「死ぬ」ことを選択しているのが、今の日本の現状です。

私はこの問題を何とかできないかと考えました。

彼らにとってももう一つの体を作ることができないかと。

彼らは意識ははっきりしており、他の病気と併発し目も動かなくなってしまう場合を除き、最後まで目を動かすことができます。

そこで、このOriHimeを目で動かすことで意思伝達を可能にするシステムを開発しました。

こちらの動画をご覧ください。

これは視線入力のコンピューターシステムで、弊社が開発・提供しています。

この方は岡部さんという僕らの仲間ですが、眼球の動きだけで周りを見渡すことができますし、話すこともできます。

このOriHimeで8年ぶりに同窓会に参加されたALSの患者さんもいます。

また、最近では子供たちがこのシステムを使って絵を描き始めました。

これを見た元絵描きのALS患者さんが「自分も描いてみよう」と、目だけで描いた作品がこちらです。

これは完全に眼球だけで描かれています。

この絵を描かれたのは、こちらの榊さんという私たちの仲間です。

実はこの方は絵を描いているだけでありません。

彼はOriHimeを会社に置いて出社をしています。

そして働くことで、給料を貰い続けています。

こういった働き方が今、できるようになっています。

昨年お亡くなりになられましたが、元メルリンチ証券会長の藤澤さんは、弊社の顧問をしてくださり、弊社のエンジェル投資家の一人でもありました。

こういった方々が社会に参加することができるんです。

そうして仲間も増えていきました。

このOriHimeのシステムは2016年から定価45万円で提供を開始しました。

現在は購入補助制度が適用されているので、患者さんは4万5,000円でこのシステムを導入できるようになりました。

体が不自由になっても人生を謳歌できる自由を

そして今年、番田と一緒に目指していた夢を実現します。

それは、大きなOriHimeを作ることです。

これは目だけで動かすことができ、世界初・ALSの患者さんがお見舞いに来た人にコップを出すというデモンストレーションを成功させた時の映像です。

このように自分でコップを掴んで渡すことができます。

何かしてもらうだけではなく、自分が何かをするということができるんです。

将来は「自分の介護を自分でできる」未来が来るかもしれません。

このシステムを使って今年11月には、寝たきりの患者さんが働けるカフェを作り、ALSの患者さんを雇用するというプロジェクトが進んでいます。

体が不自由になっても会いたい人に会えて、行きたいところに行ける。

死ぬまで人生を謳歌できる未来を、我々は目指してまいります。

ご清聴ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/三木 茉莉子/尾形 佳靖/戸田 秀成/KYOU MARKETING

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