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去る11月28日〜29日にかけて、ICCパートナーズは参加者の方々や運営チームスタッフとともに、ビジネスの現場を体験すべく、ビジネススタディツアーを実施しました。今回訪れたのは「トヨタ産業技術記念館」「三星グループ」「あさい農園」「LEXUS CRAFT CONNECTION – KYOTO」の4箇所。その2泊3日の全体レポートをお送りします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
ICCパートナーズとしては初上陸の地、名古屋。11月28日の朝、名古屋駅上にあるホテルのロビーに集合した一行は、アウェーの環境に落ち着きませんでした。年に2回のICCサミット開催地、京都と福岡なら、駅の出口やコンビニ、ATMの場所などホーム感覚なのですが、勝手が違って何もわからないのです。
ICCパートナーズ5名に加えて、運営チームスタッフの石橋 康太郎さん、坂上 聖奈さん、津田 晋吾さんが揃うと、2台のレンタカーに分乗して、まずは「トヨタ産業技術記念館」へ出発です。この日の午後は、岩田 真吾さん率いる三星グループへ訪問の予定となっていました。
■DAY 1:名古屋&岐阜/トヨタ産業技術記念館、三星グループ
トヨタ産業技術記念館
豊田佐吉が明治44年(1911年)に織機の研究開発のために創設した試験工場の場所と建物を利用して、1994年6月開設したこの記念館は、赤レンガの外観が特徴的です。
ロビーに入ると、見上げるほどの巨大な環状織機があります。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、トヨタの始まりは繊維紡績業。創始者の豊田佐吉が1906年に発明、「夢の織機」といわれ世界19ヵ国で特許を取得した、現存する完成機が基本理念のシンボルとして設置されています。完成から100年以上たった今も動いています。
訪問時は無料で入れる企画展ゾーンもありましたが、入場料を払った先の、広大な敷地に広がる展示がやはり圧巻です。創業者豊田佐吉(1867〜1930)、それを受け継ぎ、自動車産業の基盤を築いた二代目の喜一郎(1894〜1952)の産業の発展と近代化に賭けた生涯の挑戦と業績を見ることができます。
1896年発明の「豊田式汽力機械」は、現存する最古の国産動力織機として「機械遺産」に認定されています
研究開発を重ねた機械の進化には、血のにじむような努力がありますが、この記念館ではその自動化、大型化が進んだ過程を一挙に見ることができます。
複雑な柄を織れるジャガード装置の付いた織機。鮮明なトヨタ車の柄が織られていきます
父佐吉の研究と製造の現場を見て育ち、1921年に視察旅行で訪れた欧米で自動車社会の到来を確信した二代目の喜一郎は、ここで大胆な方向転換を決意します。
なお、こういった喜一郎の想いは「トヨタニュース」という社内報で、常に社内で可視化されていました。
記念館のあちこちには、その胸の内を語る言葉や、ともに仕事をした仲間の言葉を見ることができ、事業とイノベーションにかける想いを知ることができます。
原寸大の設計図から木型、完成形のプロセスの展示には、細微に作り込んだ”CRAFTED”の精神を見ることができます。
圧巻なのは、広大な展示スペース。工場での製造プロセスや、さまざまな時代のトヨタ車が展示されています。
産業技術の発達が膨大な資料とともに展示され、モノづくりへの想いを伝えるこのトヨタ産業技術記念館。
設立の基本理念には「近代日本の発展を支えた基幹産業の一つである繊維機械と、現代を開拓し続ける自動車の技術の変遷を通して、日本の産業技術史について次代を担う人たちへ系統的に紹介するための施設」とあります。
子どもと一緒に行っても飽きないような展示のバラエティ、見学中の疑問を解消してくれる解説員、理念が伝わる言葉の数々……経営者の方々にとって見逃せない記念館なのではないかと感じました。
三星グループ
さて、午後からはICCサミットでもおなじみの、三星グループ岩田 真吾さんを訪ねて、レンタカー2台に分乗した一行は岐阜羽島へ向かいました。
名鉄竹鼻線の踏切を越えると見えてきました、本社のエントランス。左手では、羊の銅像がお出迎え。奥の白い建物を目指します。広い! でかい! ここからは、現地待ち合わせでinahoの菱木 豊さんも合流です。
岩田さんには、三星グループの歴史をご紹介いただき、2種類の製造工場を案内していただきました。その模様は別途レポートでお伝えしますので、お楽しみに!
トヨタ産業技術記念館でも織機を見ましたが、実際に商品となる布地の製作現場を見ると、人の手の介在するプロセスの多さに驚きます。その労働賃金の差が価格にも反映されるそうです。
その晩は名古屋に宿泊。男性チームは、フィンランド・サウナアンバサダー・岩田さんに導かれて行ったSaunaLabでスッキリ。学びいっぱいの1日目が終了しました。
■DAY 2:三重/あさい農園
晴天のこの日は、一路、あさい農園に向かいます。先端農園の見学とあって、この日からファームシップの安田 瑞希さん、能任 花林さん、日本農業の内藤 祥平さんと岸田 賢さんも合流です。
本社で浅井 雄一郎さんのプレゼンを聞き、その後研究農場や異なる2つのタイプのハウスを見学。その間にはおいしいトマトもいただきました。
研究農場棟では、研究者のエミルさんから開発の苦労などをお聞きしました
あさい農場見学の詳しいレポートは、こちらも後日お伝えしますのでどうぞお楽しみに!
■DAY 3:京都/TAKUMI CRAFT CONNECTION – KYOTO
by LEXUS NEW TAKUMI PROJECT
前夜に三重から京都へ移動していたICCチーム。紅葉まっさかりの京都は、市内に入れば入るほど大変な渋滞です。そしてDAY3となる翌日土曜日、私たちは両足院の前に結集していました。
両足院はLEXUSのNEW TAKUMI PROJECT「TAKUMI CRAFT CONNECTION – KYOTO」の会場のひとつ。47都道府県約150名の若き匠のプロダクトを3つの会場で展示するイベントです。
いつもICCサミットでご一緒しているLEXUS関係者の皆さま、阪急 デザインシステムズ 橋本 裕一さんも加わった上に、今回の企画に携わっている電通 各務亮さんも登場。展示会場のひとつ、両足院は各務さんの元同僚であり、現在副住職の伊藤 東凌さんがキュレーションを務めています。
早速両足院から、3つの会場を写真中心にご紹介していきましょう。
両足院
副住職の伊藤 東凌さんがキュレーションした両足院では、「情の風光〜もののあはれ〜」というテーマで、工芸とアートのインスタレーションを展開。最初に入ったのは、「千本紙垂(せんぼんしで」という展示です。Facebookページでは、その制作過程も公開しています。
厚さ0.03mm、世界一薄い和紙として知られる和紙で作られた紙垂の先には川砂利が包まれています
紙垂は神社でよく見られる、しめ縄から下がっているギザギザの白紙で、結界を表すもの
両足院の庭を眺めながら次に入った部屋は「喰 / jiki」というテーマで4人の作家やアーティストのコラボレーションによるもの。
この2つの赤と青(動脈と静脈の色)のポリエステルの幕は「胃」を模していて、その中に置かれているのは、磁器に入った食べられるスープと、生の白きくらげ。この幕の中=「胃」に入った人はそれを食べようとするが、実は食べられている……という状態になります。
早速胃の中に入ってみたのは…ICC小林。
化学繊維のポリエステルであっても、最終的には地球環境がそれを食べて分解してくれるのではないかという物質循環、もののあはれを想って制作したといいます。また、幕の内側からお庭を眺めると、様々な境界線があいまいになるといいます。
この他にも、各務さんやTAKUMI自らの解説により、さまざまな作品を見ることができました。
蛇は太古の昔から、生と死の象徴で、この世とあの世を行き来できる存在。ガラス作家十川賀菜子さんの作品
絶滅寸前の日本古来の草花と、結界と縁結びの意味をもつ水引で結んだ作品
組み合わせるとLEXUSのスピンドルグリル形になる桐のテーブルや、玩具を展示した伝統工芸士・東 福太郎さん(奥)
平安神宮 額殿
平安神宮に移動した私たちは、LEXUS NEW TAKUMI PROJECTのクリエイティブプロデューサー川又 俊明さんと合流。川又さんは、全国のTAKUMIをまとめる兄貴分のような存在とのことで、あらゆる作品について、裏話を交えながら解説してくださいました。
1940年に参拝者の休憩や講演などを目的として建てられた、額殿での展示企画をしたのは新国立競技場のデザインでも知られる隈 研吾さん。木工細工、ガラス細工や、職人の技術が感じられる作品の数々が展示されていました。
幾層にも貼り合わされたヒールが特徴的な創作ぞうり。制作にあたった伊藤 実さん自らが解説
デザイナー森永邦彦さんと挽物師の百瀬総文による300倍率の木製スタッズがついたライダースジャケット。ジッパーは実際に開閉可能
建築家の谷尻 誠さんとガラス工芸家関野 亮さんによるコラボ。自立せず、4つが支え合って立っています
京都新聞ビル 地下一階
外見は普通の建物に見える京都新聞社ビル、元は新聞の写植作業に使われていた地下のスペースは、普段からアートなどの展示会場として使われています。この空間を手掛けたのも、やはり隈 研吾さんです。
暗い会場のなかに、整然とTAKUMIによる作品が並べられています。細部を見たいときのために、来場者には入場時に小さなライトが渡されていました。
入り口付近にあったこの「AMI-AMI」という作品、よく見るとなんと新聞紙でできています
47都道府県の地方新聞を編み込み、展示会のコンセプトを体現するこの作品は隈 研吾さん作
作り手がデモンストレーションする、からくりの小箱には、みんな大興奮!
食器、道具、小物、飾りなど、さまざまなクラフトに見入っているうちに、あっという間に2時間が経過、すべて見尽くすことはできませんでした。見学者もだいぶ増えて、ところどころ人が集まっていますが、この暗闇と、ライトでそっと見るという行為で、作品と向かいあえるところに展示の妙を感じました。
工場から農場、匠によるクラフトまで。さまざまなモノづくりに出会ったビジネススタディツアー。ICCサミットの参加者のみなさまとご一緒しながら、ともに学び、意見や感想を交換することができました。
ツアーにご参加いただいた皆さま、見学を快諾いただいた皆さま、今回の機会をともに創っていただき、誠にありがとうございました。以上浅郷がお送りしました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成
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