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ICC KYOTO 2023フード&ドリンク アワード全ブース紹介

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9月4日~7日の4日間にわたって開催されたICC KYOTO 2023。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。このレポートでは、フード&ドリンク アワードに出展した13社のブースを紹介します。お酢、昆布、お茶、お肉、和菓子、果物、ノンアルコールビール、魚から森林エキス!?まで、今回も、ぜひ知っていただきたい美味しくて素晴らしい企業が勢ぞろい! ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回400名以上が登壇し、総勢1,000名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2024は、2024年2月19日〜 2月22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください


フード&ドリンク アワードは、ウェスティン都ホテル京都の東館、3面を窓に囲まれた明るい会場で、13のブースがぐるりと会場の窓に沿って並ぶ。

前回から継続(門崎(格之進)、キャビア王国)・または復活して(フィッシュ・バイオテック)参加する企業、カタパルトで優勝した企業(リージョナルフィッシュ)、登壇者の推薦でICCサミットに初参加する企業など13社に参加いただいた。

いずれも審査員やICCサミットの参加者の方々と共鳴する理念や、高いクオリティを誇るものづくりの企業ばかり。どのようなものが出品されたのか、キックオフのスピーチや審査風景とともにご紹介する。

【速報】「フード & ドリンク アワード」グランプリは、日本の山に眠る植物に価値を吹き込む「日本草木研究所(山伏)」(ICC KYOTO 2023)

RED APPLE

出品プロダクト:高密植栽培の完熟りんご、完熟りんご使用のしぼってそのまんま

赤石 淳市さん「私たちはりんごの一大産地、青森県弘前市というところで生産から販売まで一気通貫で行っている農業法人です。僕たちがチャレンジしていることは、りんごの生産のニュースタンダードの確立です。慣行栽培(従来の一般的な栽培法)での大規模生産は、りんごはすごく難しいのです。

それを少しでも解決するために、高密植栽培というのを柱にしてやっています。慣行栽培との大きな違いは、生産コストが下げられること。それによって品質、美味しさや収量を多く取りながらもそれが実現できます。今後の日本のりんご産業を牽引していける存在になりたくて、これからも頑張っていきたいと思います」

飯尾醸造

出品プロダクト:手巻き専用酢と有明海焼き海苔の手巻き寿し

飯尾 彰浩さん「皆さん、お酢に興味ありますか? はい、全員の方がないとおっしゃいましたけども(会場笑)、お寿司だったらどうですか? 今回は、手巻き寿司を召し上がっていただこうと思います。そのお酢がこちら。1本作るのに15年かかりますが、この中にソーシャルグッドがたくさん詰まっています。

銀座のお寿司屋さんや、札幌、金沢、博多、いろんなところの有名なお寿司屋さんで私どものお酢を使っていただいています。ぜひ召し上がっていただいて、この中のソーシャルグッドを探していただけたら嬉しいです」

「この手巻き寿司のお米も、自分達と契約農家で農薬を使わずに作ったお米です。お米を作って、それからお酒を作る。作ったお酒は一切販売せずにお酢の原料にします。農業のお米から清酒、清酒からお酢というこの3 つのステップを一貫生産する。おそらく世界で唯一のお酢屋です。

その原料の米を使って、あえて具材がないもので、海苔と酢飯の美味しさを楽しんでいただく。私どものお酢は世界のトップレストラン、シェフ、職人さんにご愛顧いただいてますので、銀座のお寿司屋さんや高級な料亭の酢飯を召し上がっていただく体験を提供しています。

作っているのは日本酒から作る米酢と、酒粕から作る赤酢。15年かけて作ると、赤酢のああいう色になるんです。米酢も普通のものより色が濃い目です。

レギュラーのものと、よりまろやかなもの。より手作業の多いものですね。手作業の多いお酢は父と私で、20年の開発期間を経てできました。『富士酢プレミアム』というお酢を作るために、私は大学と大学院で醸造学を学びました。スタートアップの企業さんと違ってめっちゃのんびりというか、開発にもとても時間がかかるんです。

20年来の親子の夢が叶いました! 『富士酢プレミアム』

PDCAを一応くるくる回しているつもりなんですけど、アウトプットに時間がかかる。地元の無農薬のお米や、契約農家さんからお米を仕入れるのも農協の3倍の価格で仕入れています。うちと関わるとプラスがあるというふうにしたい。地元にとってはうちが自分たちでもお米を作り、棚田のきれいな景観を残すことが、プラスにもなります。

このノウハウを醤油屋さん、みりん屋さんなど他の近い業種にお伝えして、自分たちがプッシュ型にならなくても、プル型でもやっていけるような仕組みを共有する。自分がスケールしなくてもスケールしてほしい人たちにノウハウをお伝えする。

酸味と苦味は「学習の味」です。例えば最初は酸っぱいのは苦手と言っていた人も、だんだんと食べているうちにそのおいしさが分かってくる。ビジネスでも何でもトレーニングの質と量だと思うので、そのきっかけを作るのが、私たちの仕事です。

特に男性とか、お酢に興味を持っている方はほとんどいらっしゃらないんです。美味しいお寿司屋さんに通ってるうちに、お酢の酸っぱいのが好きになってくるんだと思うんですよね。でも寿司でスタートすると、凝り性の男性たちが、どこのお酢を使っているんですか?とかなる」

薄羽養鶏場

出品プロダクト:平飼い鶏のバターチキンカレー

薄羽 哲哉さん「普段私たちは卵専門の養鶏場を営んでいますが、今日お持ちしたのは卵ではなく、卵を産まなくなった鶏を使ったバターチキンカレーです。あまり皆さんになじみがないと思いますが、卵を産まなくなった鶏の鶏肉って、その後どうなるかご存知ですか? スーパーの精肉売り場で売られていると思いますか? 

実は1羽15円程度でしか業者さんに買ってもらえず、さらにその行き先はハムやソーセージの混ぜ肉の一部や、ペットフード、そういった感じであまり価値が見いだされてきませんでした。

今、私たちは餌の値段の高騰に喘いでいます。そこで今持っている経営資源の中で比較的付加価値の低いものの価値を上げることによって、現状打破しようとしています。肝心の味は、地元栃木県は梨の生産が全国3位なのですが、その梨とトマトを使ったマイルドで美味しいカレーになっています。ぜひブースのほうにお立ち寄りください」

「審査員の方々は、食に携わる方々が多いので、緊張しています(笑)。このカレーに使っている鶏肉は、 卵専門の鶏です。肉付きがあまりよくなくて、肉が固いんです。

味の深みはあるのですが、ただ肉を焼いても今の人達には弾力が毛嫌いされてしまって、美味しくないとされてしまう。弾力を多少残しつつ、食べやすいものへということで、レトルトのカレーにしました。

このカレーは、鶏肉を食べてもらうのが目的なので、スパイスにアクセントをつけるというより、万人に食べてもらえるものにしたいのでマイルドな『バターチキン』にしました。よくカレーにりんごを入れますが、全国で3位の栃木県のナシや、地元のトマトを使っています。2022年の秋に開発したばかりなので、これから広く普及していけたら」

カネス製茶

出品プロダクト:IBUKI bottled tea ボトリングティー 5種

小松 元気さん「静岡県で普段はお茶づくりをしております。皆さん、急須でお茶を飲んだことありますか? 普段飲まれない方が多いかなと思うんですが、私たちは新規事業でこういったボトルに入っている高級茶というものを始めました。

お茶業界は衰退産業と呼ばれていて、消費量も茶葉の単価もどんどん下落しており、生産農家さんは非常に苦しい状況にあります。そういった中、新しい需要を創出したいと新しい事業を始めました。皆さんの日本茶の固定概念をぶっ壊せるかなと思っておりますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います」

「ボトルに入ってる高級茶、ボトリングティーと我々は呼んでいます。ペットボトルの消費が常態化している中で、お茶の原価がどんどん下がって価格勝負になっている。安いものを大量に売るのがマーケットの勝ち筋になってるなかで、僕らは高く売るより適切な価格で売りたいと、こういったボトルのお茶を展開しています。

生産者の方々にしっかり還元する定期的なサプライチェーンを回していくというのが大前提です。価格は市場に出して、実際に買われる、お客様に出した時に体験価値とその感覚が見合っているかどうかを含めて設計しています。現在は安いもので1本1万円。最も高いのは 2万3000円です。今回の3種類は、赤いラベルが紅茶ですね。黄色と青いものは煎茶です。

それは高いという反応もあります。ただ、実際今回出させていただいて飲んでもらってから価格を伝えると、まあでもそれぐらいするよねという反応が多い。感じ方や、体験の仕方はお酒とまた違ったものになるんじゃないかなと思います。

家業の4代目ですが、もともと農家さんの課題を感じていました。お茶がどんどん売れなくなってきて、お茶屋さんもどんどん倒産していますし、若い人が全然いないし、新規でもあまり入ってこない。

我々はしっかりとビジネスとして成り立たせて、最終的にはお茶業界を盛り上げたい。お茶をなぜやらないか? つまり面白くないんじゃないかなと。なんかダサいかな、売れないから、新しい形で1つのモデルケースができれば、全然違うんじゃないかと考えています。

ICCには初参加ですが、めちゃめちゃいいなって思っています。僕も去年までITや人材など異業種で都内で働いていて、家業に戻ってきて、新しい事業をやっていて、存在としても異質な存在なのです。チャレンジをしている仲間に出会えるのは、あまり多くなくなってしまった。都内ならまた違うと思いますが、地方なので。

昨日のチャレンジャーズナイトもそうだと思いますけど、そういう人たちを笑わないというか、むしろ応援してくれるという人たちが、こんなにいっぱいいるっていうのはある意味救いだったし、めちゃめちゃありがたいし、みんなポジティブですよね。

お茶業界は、もう売れないというネガティブな意見が多いんですけど、いや売れると。お茶に限らず日本の伝統産業はどんどん、まだまだいけると。できない理由を探すというより、できる理由を探す人が多い。それは本当にありがたい。こんなにいいものが、なぜちゃんと伝わってないんだろうというのは、外に出たからむしろ感じましたね」

キャビア王国

出品プロダクト:絶滅を救う朝食キャビアキングサンド

鈴木 宏明さん「キャビア王国の国王、鈴木 宏明です。何回出てくるんだと思われる方もいらっしゃると思いますが、3回目の挑戦です。僕はただ諦めることができないんです。なぜなら僕の目標は、チョウザメの絶滅を救うという壮大な目標だからです。

たくさんの人から、そんな夢みたいな目標ではなくて、もっと現実的な目標をとよく言われるんですが、僕は真剣にチョウザメの絶滅を救いたくて、このビジネスをやっています。1つだけこれを実現する方法があるとしたら、諦めないことだと僕は思っています。

だからICCも諦められません。ぜひグランプリを獲るまで頑張りますので、今回も応援していただけると嬉しいです。最後に決めゼリフを…あの、お疲れサメでした(会場笑)」

「今回はプロのシェフに、おいしいフライの作り方について、教えを請いました。普通のおいしさだけだと ICCアワードは獲れないなと思ったんで、前回からグレードアップしています。

タルタルにはキャビアを入れてみました。キャビアだけだとどうしても塩味だけになってしまうので、味を調整する意味で、梅しそを入れて、ちょっとさっぱりする形に仕上げました。何がおいしくなるかなと、いろいろ入れてみたんですよ。その結果梅しそを入れたらめちゃくちゃ美味しくなったんです」

門崎(格之進)

出品プロダクト:【黒毛和牛の発酵発行調味料】格之進「牛醤」

千葉 祐士さん「肉で世界平和、格之進の肉おじさんです。ICC フード & ドリンク アワードに今回も挑戦させていただく商品は牛醬です。この牛醬でどうやって世界平和を成し遂げるかというと、牛醬は日本の発酵文化を応用して作った調味料です。そしてその原料は世界でも最も美味しいと言われてる黒毛和牛なんです。

この美味さの塊の黒毛和牛、旨味を最大に凝縮させたのが牛醬です。この牛醬を世界のたくさんの方々に食べてもらって、美味しい!と思うこと、それを世界中に広める。ぜひ皆さんと一緒にこの牛醬で世界平和を達成しましょう!」

「牛醤は、黒毛和牛を発酵させて作っていて、成分的には30倍ぐらいのうまみ味成分が含まれています。燻製しているハンバーグなど他の商品も含めてですけど、こだわりの生産物にもっと付加価値をつけて世の中にどんどん出していくことをしています。今回は、金格と燻格のハンバーグを用意しました。

毎回顔を合わせる方々がいらっしゃるので、交流が広がっていくのと、想いの強い方々が多いので、自分たちの想いも聞いていただけるし、自分たちもがんばらなきゃなと思います」

こんぶ土居

出品プロダクト:昆布だし

土居 純一さん「大阪で昆布屋をしております。今日ご用意をしているのは、非常に地味な存在ですが、昆布と水だけで抽出した出汁です。その淡い味わいの中に何かを感じていただけたらいいかなと思っております。古来より最上品位に位置づけられた品種ですので、非常に美味しい昆布出汁だと思います。

その昆布が最近大変なことになっています。漁獲量が激減して、特に昆布を昔から珍重してきた大阪の料理界は非常に大きく揺れています。藻場、海藻の森ですが、それが衰退している一側面として、昆布が採れなくなっている。その再生を目指していますので、ぜひ共感してくださる方が多いと嬉しいです」

「昆布出汁の味を見ていただくのもそうですが、むしろ主眼にしているのは海が大変な状況になっているということを、多くの方に知っていただきたいと思っています。生産量グラフを見ると、急激に下がっています。最上級品として昔から指定されてきた昆布もそうです。

磯焼け(海藻が著しく衰退または消失すること)の影響を大きく被っているのが昆布で、これをなんとかしていきたい。そのムーブメントを大きくする、広げていくために、多くの方にその認知を広げていきたい。日本料理の危機を知ってくださいというのが、僕が今回お邪魔している主旨です。

最も地味なのはもう重々承知してるんですけど、それはそれでいいかなと思います。社会的な意義としては僕もまあまあ高いものだという風に自負してます。北三陸ファクトリーの下苧坪さんとも話し合っている共通の課題です。

審査員の方々は、こういうことは関係ないお仕事をしておられる方がほとんどですが、その方々が興味を関心し示してくださるのがある意味意外で、それは嬉しかった驚きです。普段は水産業の世界でそういったところと接点が少ないので、ちょっと驚きました」

常陸風月堂

出品プロダクト:一本一万円超の栗蒸し羊羹 万羊羹

藤田 浩一さん「茨城県日立市で創業75年の和菓子屋、常陸風月堂の3代目藤田 浩一です。今回は20年自分が職人をやってきた中で一番美味しいと感じた栗、飯沼栗を使用した1本1万円の栗蒸羊羹を皆さんに召し上がっていただきたいと思います。

自分の20年の職人人生を全てつぎ込みまして、栗の味の美味しさ、風味を最大限引き出しました。羊羹は和菓子ですが、今回は和菓子とコーヒー、白ワインのペアリングを行いたいと思います。ただ和菓子を作るだけではなくて常に挑戦している、和菓子も挑戦するというところを皆さんに感じていただけたらなと思います。ぜひ食べに来てください」

「飯沼栗の味っていうものを最大限味わっていただきたくて、一般的な栗と我が社で確保した飯沼栗の食べ比べ、その飯沼栗を使った 1本1万円の羊羹の試食をご紹介しています。

普通の栗は1つのイガに3つ入っているんですけど、飯沼栗は1つだけで大きいんです。全国でも0.2%しか収穫できないんです。

20年間食品をやってきてまして、和菓子はあまりチャレンジしているイメージがないと思うのですが、こんな可能性があるんだと提示できるように、自分としても挑戦しています。今回は、ブレンドから抽出までバリスタと一緒にやっています。

今回の参加はCOEDOの朝霧 重治さんに、ご紹介いただきました。(ICCの小林)雅さんの圧がすごいなというのと、これだけ熱い人が集まるのを経験したことがなくて驚きました。規模も大きくて、みなさんフラットで、頑張っていると本当に応援してくれる。すごく温かい人たちが集まっているなと感動しています。ここにいられることが幸せだなと思います」

トリクミ

出品プロダクト:ノンアル(ローアル)クラフトビール 3種

古田 琢也さん「ノンアルコールビールには、どんなイメージがありますか? あまり美味しくないとか、似たような味わいとか、デザインがかっこ悪いとか、仕方なしに飲むようなものだと皆さん思っていませんか? 私たちはそんなイメージをぶち壊してアップデートし、めちゃくちゃ美味しいノンアルコールクラフトビールを造っている日本初の専門醸造所です。

私たちはここから、当たり前にちゃんと美味しいノンアルコールビールが飲める世の中を創っていって、飲める人も飲めない人も平等に楽しめるような世界を実現していきたいと思っております。応援よろしくお願いします!」

「アルコールが0.5%と若干ありますが、 1%以下がノンアルコールドリンクとされています。特徴として、私たちはビールと同じように醸造するんですが、発酵してしまうとすぐアルコールが出てしまうので、技術や酵母でアルコールが1%を超えないように特殊な造り方をしています。

今回3種類ご用意していて、しっかり苦味があるような、ホップの香りがすごいするような『Session IPA』、『Sour Ale』という酸味が結構強めのもの、『Salty Sauna』という、塩をビールに入れたゴーゼスタイルのビールです。

一般的にノンアルビールというと、麦の汁みたいなものに、苦味料や甘味料などの添加物でビールテイスト飲料にしています。それとは造り方がまったく違います。私たちはビールらしさやビールにある苦味・旨味を残すためにちゃんと発酵させて醸造させることをしています。

日本だとほとんどこういった 作り方をしているところがないので、もっと広げていこうとしています。アルコール1%以下は法律上、ジュースと同じジャンルになる。自然界の中で1%のアルコールは、完熟したフルーツなど結構あるんですよね。

僕はめっちゃアルコールが弱いんです。お酒とか飲み会がすごく好きだったんですが、一時飲めなくなった時期にノンアルコールビール生活をしたら、どれを飲んでも一緒だし、飲み会がすごく楽しいものだったのに、ネガティブなイメージになってしまいました。

そういった後ろめたさとか嫌な思いをしている、飲めない人っていっぱいいるんだろうなと思って、そこからはおいしいノンアルコールビールはないのかなと思いながら、作っちゃったわけです」

日本草木研究所(山伏)

出品プロダクト:日本の森林を凝縮「フォレストソーダ」、間伐材を嗜む「フォレストジン」

古谷 知華さん「我々は今価値のついていない森林資源に、スパイスやハーブといった付加価値をつけて世界に発信するという事業を行っています。例えばヒノキやスギなどのいい香りがする間伐材をジンにしたり、森に生えている赤い生胡椒や、スギの新芽といった山の珍味をレストランに卸すような事業をしています。

これらの食材は沖縄から北海道までの全国の山15カ所と提携を組んで、フェアトレードで購入しています。どうしてこんなことをして森林の資源に価値をつけようとしているのか、その先にどんな未来を描いてるのか、そんな話を今日はフォレストドリンクをお飲みいただきながら、お話しさせていただければなと思います」

「元国有林だった山にある木を特別な経路で使えるようになって、念願が叶いました! オオシラビソというもみの木なんですけど、本当にこの木が一番好き。(葉も)なんか赤ちゃんの手みたいのがいっぱい生えていて、ムニムニしていて可愛い。ぜひ香りを嗅いでみてください。

そのままスパイスとしても付加価値が高いと思いますけど、まあお酒だと高くなるんですよね。日本は違うんですが、海外ではノンアルでももっと価格が高いです。スイスとフィリピンとオーストラリアにシロップをメインで輸出もしています。スイスは自然が好きな人が多くて、そういうものに親しみを感じるらしい。なぜか懐かしいと言う人が多いんです」

フィッシュ・バイオテック

出品プロダクト:養殖サバのにぎり寿司

右田 孝宣さん「我々16年間、サバ一本でビジネスを展開していっております。現在はサバの卵から飲食店まで一気通貫でサバと向き合ってる企業です。本日はアニサキスリスクのない生サバの握り寿司を提供させていただきます。

生サバは多分あまり食べられたことがないと思うんですけども、サバ自体が持っているすごいポテンシャル、本当に味わい深い味を引き出しますので、皆さんご堪能いただければと思います。お疲れサバです」

「この水槽のサバは、温泉道場さんの施設に置いてあるようなものと同じです。

埼玉・温泉道場『おふろcafé 白寿の湯』のサバ陸上養殖施設を取材してきました!(フィッシュ・バイオテック)

このアワードのために特別に、朝の3時から仕込みを始めて、4時に締めたサバをお出ししています。今1時くらいですが、もう100貫ぐらい握ったんじゃないかな? 本業ではないですけどね(笑)」

鏡山牧場

出品プロダクト:熟成放牧黒毛和牛塊肉、熟成放牧黒毛和牛ハンバーグ

八崎 秀則さん「7年前に広島から宮崎に移住して、牛や肉の知識もなく牧場を始めた八崎と申します。牛は放牧で飼うのが普通だと思うんですね。子どもの時にもそう教わったと思います。草を食べてできるのが赤身肉なんですよ。皆さんが求める、みんなが食べたい赤身肉なんです。

しかし、今の牛肉の格付けでは、4等級や5等級の霜降りを作らないと、生産者は商売にならないです。その食文化をぶっ壊すというか、ひっくり返したいんです。ニーズに合ったものを生産してなぜ評価されないのか。今日は(ICC小林)雅さんも、格之進の千葉さんも美味しい!と言ってくれたお肉を用意していますので、ぜひブースで楽しんでください」

「異業種から、7年前に広島から牧場をやろうと思って宮崎に移住したのですが、みんなが霜降り肉を作っている。それはみんなが思うおいしい肉じゃないですよ。赤身肉っていうと海外のものになっていませんか? 今は世の中に赤身肉のマーケットがすごくある。みんな赤身を食べたい。我々生産者も赤身肉を作りたいんですよね。

でも流通やと畜場は、4等級、5等級、いわゆるA5、A4のバリバリの霜降りしかいい価格で買ってくれないんです。現在の格付け精度がある以上、それを作るしかない。霜降り肉をみんな食べたい時代ならそれも良かったんでしょうけど、今はそうじゃない。

だから赤身肉を届けるための、企画づくり、流通を創っていきたい。既存の橋を壊すのじゃなくて、ちょっと離れたところに橋を架けたい。それはうちの会社だけでは無理なんです。僕は本来、牧場で牛を養い、肉工場で肉の加工をしたい。 なぜこういう場に来なきゃいけないかというと、流通ができてないからなんです。

そういう筋道ができれば、若い人たちで畜産やりたい、放牧で赤身肉を作りたいという人がいっぱいいると思うんです。今は雇えないし養えないので、商売として成り立たない。それでは衰退するばかりです。まだ畜産は可能性があると思うんですよね。だけど根本的に見直していかなきゃいけない」

リージョナルフィッシュ

出品プロダクト:未来の品種「22世紀鯛」のふんわりカツ

梅川 忠典さん「日本の水産業はめちゃくちゃ衰退していて、世界1位から11位まで落ちています。そこに必要なのは、僕はテクノロジーだと思うんです。そこで我々はゲノム編集技術を使って魚の品種を変えていくことで、本気のフードテック、博士号の20人を抱えながら、この業界を変えていきたいと思っています。

職人技として、細かいことが1つの要素としてあると思います。この点において、我々は誰にも負けないと思っていて、遺伝子レベルで編集しています。今回ゲノム編集食品を食べたことない方は多くいらっしゃると思うんですけど、食感が柔らかくした真鯛をカツとして出しますので、ぜひ皆さん食べてみてください」

【速報】ゲノム編集技術による水産業革命で、世界の“タンパク質危機”を解決する「リージョナルフィッシュ」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)

「22世紀鯛は過食部が大きくなっているので、筋繊維が太くなっています。そうすると保水率が高くなるので、加熱してもしっとりしていて、フライにすると一番わかります。

バーガーするとおいしかったので、京大バーガーとして京都大学のカフェテリアで売っています。週替わりメニューとかにも。食から、バイオテクノロジーを学んでもらっています(笑)。鯛ってそもそもあまりフライにすることないですよね。

下鴨茶寮とかともコラボしています。皆さんすごい美味しいといってくれます。食料問題解決したいとかSDGsだと言っても、やっぱり美味くなければ解決できないので、それをやっていきたい」

「うまいっ!」とお代わりしたFABRIC TOKYOの森さんと

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毎回フード&ドリンク アワードの会場で印象的なのは、各展示企業に話を聞いていると、審査員の方々が口々に感想を伝えてくださることだ。どんなに美味しかったか、どこに感銘を受けたか、何に共感したかなど、いくらでも話が聞けそうなくらいである。どのブースでもしっかり説明を聞いて、心に刻まれたことが伝わってくる。

【速報】「フード & ドリンク アワード」グランプリは、日本の山に眠る植物に価値を吹き込む「日本草木研究所(山伏)」(ICC KYOTO 2023)

「お隣のブースでカレーのいい香りがしていたから食べたくて」と、常陸風月堂のバリスタ和田 昂憲さん

オンラインでのキックオフやチャレンジャーズナイトを経て、1つの会場に集まってブースを出すことで、出展企業同士には絆のようなものが生まれていて、審査員や参加者向けの提供が終わったあとの交流タイムでは、こんな場面も見られた。

会場真ん中のテーブルで、各ブースが食べ物を持ち寄って試食大会。特上のこんぶの出汁を味わいながら、魚のフライをつまみ、最高の鮨屋のシャリ……輪の中心にいるのは格之進の千葉さんで、一口食べては「口の中に秋風が!」と、

全国各地で、孤軍奮闘の挑戦を続けているという声が多く聞かれた今回のフード&ドリンクアワード。素晴らしい食品づくりや、意味のある挑戦だけで終わることなく、仲間を見つけてさらに大きなうねりとなるために、これからも最高のフード&ドリンクが集う場作りを続けていく予定である。

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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