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6. 「40分話せばファンにする自信がある」GOTOGINの戦略

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五島で酒を作る門田さんが、世界展開を視野に入れたデザインや、地元メディアを巡るキャラバンなど、人気のジン「GOTOGIN」独自のファン作り戦略を解説。「40分話せば世界中の人をファンにできる」という確固たる自信と、それを裏付ける熱量が語られます。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは中小企業基盤整備機構です。


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 7D 
地方から強いブランドを創るには?(ローカル・コネクテッド連動企画)
Sponsored by EVeM

(スピーカー)

石川 勤
石川樹脂工業
専務取締役

井手 直行
ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

門田クニヒコ
五島つばき蒸溜所
代表取締役

宮本 吾一
GOODNEWS
ファウンダー取締役CCO

(モデレーター)

岩田 真吾
三星グループ
代表

各務 亮
電通
クリエイティブ プロジェクト ディレクター

『地方から強いブランドを創るには?(ローカル・コネクテッド連動企画)』の配信済み記事一覧


各務 門田さんは、プレミアムマスみたいなものを作っている店長のようなスタイルを持ちつつ、仕事は5時で終わりたいというスタイルも持っていて。

門田 (笑)。

各務 そのスタイルでローカルブランドを超えたヒントを、聞かせていただきたいです。

展開方法は「図」で考える

門田 ローカルブランドを超えているかと言うと、まだ超えてはいないです。

僕が起業した時、日本のクラフトジン市場はまだ50億円くらいでした。

一方、ヨーロッパは1兆2,000億円市場になっていました。

サントリーのクラフトジン「六」は、売上の9割が海外売上です。それも考慮し、我々も売上の7、8割は海外にしようと思っていました。

そういう意味では、最初から海外市場は狙っていたのですが、国内の製造が追いつかず、輸出はまだ1本もできていません。

キーワードは「地と図」と書きました。

商品設計や物語作りは土地をすごく意識していますが、展開方法は「図」で考えています。

一度は五島に来て、我々の見学ツアーに参加してほしいです。

ツアーは40分かけて行っています。

ICCでは、SAKE AWARDになぜ出ないのと言われますが、僕は、40分話せば、世界中の人をGOTOGINのファンにできる自信がありますが、SAKE AWARD で1分や2分で話すのが難しいからです。

キリン勤務時は、テレビCMが15秒なので、15秒で価値を伝えることは散々してきましたが、それが嫌で五島でお酒を造っているので、GOTOGINの話を聞きたかったら、五島に来て40分間一緒に話を聞いてほしいと思っています(笑)。

(一同笑)

それくらい、五島ネタが満載なのです。

製法や原材料はもちろん、蒸留器や建物まで全部、五島に根ざした物語がたくさん詰まっているので、40分でも足りなくて、1時間でも話せます。

世界に広げることを踏まえたボトルデザイン

門田 商品を広げていくという観点では、長崎、九州、日本、世界の単位でつねに考えています。

先ほど井手さんもデザインに触れましたが、GOTOGINは、椿の花びらでアロマを包む慈愛の精神を表したデザインのボトルに入っています。

この話をすると長くなるので簡単に言うと、五島は椿の島で、椿との歴史が深いのです。

実は、最初から海外展開を考えていたので、このボトルは日本向けには作っていません。

開発当初、キリンヨーロッパの社長が僕の先輩と仲良しだったので、現地のイギリス人とフランス人にこのボトルを見てもらいました。

最初はGOTOGINの文字を横書きにしていたので、Go to ginと読まれてしまい、笑われてしまいました。

そこで、縦書きにしました。

日本語は縦書きですし、商品名は絶対にGOTOGINが良いと思っていたので変えず、表記を変えました。

ネックラベルにカタカナでゴトジンと入っていますが、それも、外国の人から見た時にカタカナの方がクールでかっこよく見えるからです。

漢字だと中国語だと思われるので、カタカナがいいと言われました。

つまり、デザインコンセプトは五島に根ざしているけれど、五島のお土産にするつもりは全くなくて、もともと絶対に世界で、ヨーロッパで売るつもりでいたので、その考えに基づいて作っています。

岩田 てんちょが、最初から全国展開を考えていたのと同じですね。

門田 そうです。

岩田 世界で売るぞと。

門田 当時は、五島でGOTOGINが売れるとは思っていなくて……5,000円のジンですので。

五島市の世帯年収は、長崎県で下から2番目なので、正直、ジンを飲んだことのない、焼酎ばかり飲んでいる地元の人が5,000円のジンを飲むのは難しいと思っていたので、余計に海外展開を狙ったのです。

岩田 横で、てんちょが話したそうにしていますが……。

井手 ずるいなと思って(笑)。

門田さんは、見かけが素朴ですよね。

(会場笑)

見かけだけだと、「素朴で素敵」と思うけど、キリンのマーケティング思考がちらほら出ていますよね。

これはずるい。この服もずるいでしょ!

(会場笑)

門田 (笑)。

岩田 「1分、2分だと話しません」ですしね(笑)。

地元メディアをキャラバンで回る、GOTOGINの戦略

門田 先ほど石川さんが言っていましたが、デザインはやはりすごく大事です。

デザインにはいろんな考え方があると思いますが、僕は商品が一番の広告だと思っています。

ですので、デザインには死ぬほどこだわっていて、先ほど井手さんにビンの話もしていました。

会社を立ち上げた時、本当にお金がなかったです。

退職金を使って、銀行からも借りていましたが、本当になくて。

ビンの金型はすごく高くて、1,000万円くらいします。

僕らはキリンで20年ほどマーケティングを経験し、商品デザイン以上に商品を語るものはないと考えているので、ビンの金型も絶対に投資しようとなりました。

考え方の違いかもしれませんが、これが広告で、しかも世界に対して広告を出せる。

僕らがロンドンで広告を出すのは無理ですが、商品自体が広告になってくれるので、そういう意味で、デザインにはめちゃくちゃこだわりましたね。

井手 デザインが大事というのは、すごく強調されていますよね。

門田 はい。

岩田 よなよなエールもそうですよね。

井手 我々はデザインオタクなのでデザインの話はほとんどしませんが、デザインにこだわっている点はお二人と共通していると思います。

門田 酒業界には、我々がPR上手だと思っている方が多いと思います。

西の端の、売上で言えば3、4億円くらいの会社がよく日経新聞などに出ているなと思うのですが、我々は、PRについては、めちゃくちゃ考えています。

素朴だと言われましたが、西の端で本当に、どうすればメディアに出られるかということを……。

井手 皆さん、騙されないようにした方がいいですよ。

(会場笑)

これはオフレコでお願いします(笑)。

門田 腹黒いということではないですよ(笑)。

一緒に会社を立ち上げた小元(俊祐)と、開業前から毎週月曜夜8時に、PR戦略の打ち合わせをずっと行っています。

昨日は夜に酒の会があったので、それを9時に抜け出して、1時間遅れで行いました。

PRは基本的に、点ではなく線です。

しかも、どの情報をどの媒体で出すかをめちゃくちゃ考えなくてはいけないので、長崎で、九州で、日本全国で出すのかをを一つずつ考えています。

「このネタは筋が良いから全国でも話題になりそう」、だから日経新聞やワールドビジネスサテライトを狙おうという感じです。

岩田 打診が来たらついつい出ちゃう素朴な地方企業経営者はダメですか?

門田 五島の人も、GOTOGINがなぜあれほどたくさんメディアに出ているんだろうと思っているかもしれませんが、めちゃくちゃ戦略的に進めています。

岩田 僕の質問は、少し地方で盛り上がると地域メディアがたくさん取材に来てくれるので、つい嬉しくなって受けてしまうというケースです。

門田 良いと思います。

岩田 良いのでしょうか?

門田 むしろ、最初はやはり長崎のメディアに露出しようと考えていたので、開業前、新聞3社、テレビ局4社、NHKと全部メディアキャラバンで回りました。

すると、上棟式の餅まきの時から来てくれました。

岩田 プレスリリースを渡すだけではなく、ちゃんと行ったのですね。

門田 はい、行って、また40分くらい話して(笑)。

岩田 40分ね(笑)。

門田 40分話すと、大体みんなファンになってくれるので、ようこそ長崎へみたいになって。

ですので、開業前から長崎のテレビにはバンバン出ていました。

一つだけ嬉しい誤算がありました。

GOTOGINの記事が最初にヤフーニュースのトップになったのが、長崎新聞の記事だったのです。

全国紙でなかったことが、いい意味ですごくショックで。

今の時代、長崎新聞の記事のクリック数が増えて、みんなが面白いと思えば全国に広がるということを実感できたのです。

だからこそ、地元メディアとは今でもすごく仲良しですし、地方にいるから日本全国にPRがしにくいということは、全然ないです。

これは、地方に行ったからこそ勉強になったことですね。

岩田 言葉の壁はあれど、同じことが世界でも起こるかもしれないですね。

門田 そうですね。

岩田 ありがとうございます。

各務 ありがとうございます、めちゃくちゃ学びになりました。

では宮本さん、お願いいたします。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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