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「社会課題を解決する起業家になる」【A16-2】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!10回シリーズ(その8)は、人の価値観の変え方について登壇者全員で議論しました。是非御覧ください。
「ICCx AIESEC カンファレンス」は、NPO法人アイセック・ジャパン(AIESEC)とICCパートナーズが共同で開催した、AIESECに所属する大学生を対象としたカンファレンスです。当日は高い志を持った大学生250名が、ビジネスリーダー/社会起業家たちのパネルディスカッションと、質疑応答セッションに参加しました。
本年も、2017年9月15日(金)に「ICCx AIESEC 2017」を開催する予定です。参加を希望される方は、ぜひ全国25大学のAIESECの各委員会に所属ください。
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【登壇者情報】
2016年9月13日開催
ICCx AIESEC ソーシャル・イノベーション・カンファレンス2016
Session 2
「社会課題を解決する起業家になる」
(スピーカー)
白木 夏子
株式会社HASUNA
代表取締役兼チーフデザイナー
矢島 里佳
株式会社和える
代表取締役
山田 敏夫
ライフスタイルアクセント株式会社
代表取締役
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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【前の記事】
【本編】
小林 では次の方お願いします。
質問者 順天堂大学1年の◯◯と申します、本日はありがとうございました。
和えるの矢島さんに質問させていただきたいと思います。
私は、日本の伝統芸能である「長唄」を祖母の代より継承している家に生まれたのですが、祖母や母が、「最近、長唄を聞いていただく機会がない」という悩みを抱えている事を、今日お話をお伺いする中で思い出しました。
和えるが伝統を伝えるにあたり、お客様に手に取って頂くためにどの様に考え、どの様に浸透させてきたのかということをお聞きしたいと思います。
伝統をいかに伝え、日常にしていくか?
矢島 ありがとうございます。
長唄だけではなく、ありとあらゆる伝統芸能、伝統産業は多分同じような状況かと思います。
やはり、長唄をしている方は、長唄を聞いてほしい、知ってほしいですよね?
でも、知らない人にとっては、申し訳ないのですが「どうでもいいもの」でしかありません。
同じように、私は日本の伝統が好きで、知ってほしいという思いがありますが、知らない人からするとどうでもいい事です。
では、なぜ「どうでもいいもの」になってしまったのかを考えました。
それは、自分が経験した事のないものだからだと思います。
長唄を聞いた事がなければ、なんとなく、おじいちゃんやおばあちゃんがやっているというイメージを持っていると思います。
伝統=年配の人というイメージが社会に広がっているのだと感じます。
けれども、実は和えるの商品は、平均年齢30代の職人さんが作ってくださっています。
最近、職人さん達に赤ちゃんが生まれることが続き、「出産お祝い」をプレゼントするということが続いています。
この様に、主には若い職人さん達が、和えるの商品を同世代のお父さんお母さん達のために作ってくださっています。
長唄をしている方の中にも若い方はいらっしゃいませんか?
質問者 そうですね、子どもから年配の方まで習っているので。
矢島 いらっしゃいますよね。
まず社会のイメージを変えるということが、私はとても大事だと思っています。
古臭いもの、おじいちゃんおばあちゃんの趣味ではなく、若い人も楽しんでいるということ、魅力を感じているということ、なぜ若い人が魅力を感じているのかということを、若い人自身が同世代の人に伝えた方が伝わりやすいと思いませんか?
私はまず、同世代である20代~40代位の方々が自分事として捉えやすいよう、伝統産業という入口ではなく、お友達、親戚、兄弟、そして自分の大切な赤ちゃん子どものための物というように入口を変えました。
すると、伝統産業に興味がなかった人達でも、「大事な人に赤ちゃんが生まれた」という時、和えると出会うことができます。
和えると出逢うと、実は伝統産業と出逢うことができる。
入口を変え、そして語る人が同世代になること、これが早く社会に伝える一つの方法ではないかと私は考え、そこからスタートしました。
質問者 ありがとうございます。
矢島 頑張ってください。
質問者 頑張ります。
始めた自分が表に出てPRする
小林 山田さんはどうですか?
同じような取り組みをしていると思うのですが。
山田 今の回答は素晴らしいですね。
矢島さんの答えをメモしたいけど、今ケータイを出しては不味いだろうなと思いながら聞いていました。
稚拙なアドバイスになるかもしれませんが、サイバーエージェントの藤田さんに言われたのは、「始めた人がアイコンになるから、自分がもっと前に出て、もっと伝えて、もっと皆と触れ合って、もっと自分をPRしろ」ということでした。
だから、和えるといえば矢島さんを、HASUNAであれば白木さんを想像するように、取り組みが少し大きくなった時、性格にもよるとは思いますが自分が表に出るということは一つの方法かとは思います。
小林 ユーグレナの出雲さん(出雲 充 氏、㈱ユーグレナ代表取締役社長)もそうですね。
後ほど登壇するクラウドワークスの吉田さん(吉田浩一郎氏・クラウドワークス代表取締役社長)も、そのままの地を出して活動されていますよね。
わかりました。
では次の質問をお願いします。
質問者 中央大学2年の◯◯です。
お話しありがとうございました。
連続になりますが、和えるの矢島さんに質問させていただきます。
小林 人気ですね。
質問者 先程、「和えるの社員は、直営店に来てくれたお客様の価値観を変えるような仕事をしている」とお話されていたと思うのですが、お客様の価値観を変えるということは、難しいことだと思います。
どの様に変えているのか、ポイント等があれば教えていただきたいと思います。
人の価値観を変容させるポイントとは?
小林 難しいですね。
矢島 難しくて良い質問ですね。
今、和えるのお兄さんお姉さん達(社員)が行っている「価値観を変容させる」ということは本当に難しく。その分やりがいのあることです。
例えば極端な話をすると、和えるでは器を一つ5,000円で販売していますが「高いじゃない」とおっしゃるお客様もいます。
なぜなら、器は100円でも1,000円でも売っていますし、その方からすると5,000円の器は高かった。
でも、そのお客様が笑顔で5,000円の器を妥当な価格、もしくは安いと感じて購入してくださり、aeru meguroを後にする。
5,000円を高いと感じていた方が、5,000円は安いと感じるような変化を起こしている訳です。
器の値段だけで比較すると100円の器の50倍も高いということになりますが、aeruで販売している「こぼしにくい器」は、器という市場では全く比較をしていません。
先程 山田さんがお話ししたことと同じような内容になりますが、この商品には職人さんが関わり、ただ物を作るだけではなくそれを伝えるために必要な箱やしおりを作る方、印刷会社、デザイン会社、配送会社、色々な方が集まって、その器が5,000円になっています。
和えるでは、職人さんに商品をいくらで作っていただけるかということをお聞きし、その価格で購入させていただいています。
その職人さんがきちんと伝統を継承できる価格で買い取らせていただくことが大切です。
結果的に、伝統を次世代に繋ぐために本来必要な価格を、私達は正直に皆さんにお伝えしています。
100円で作る努力をした器と、1日の中で作れる数が決まっている職人さんの器を比べるのはおかしいと思いませんか?
今話したことを考えると分かるように、全く違う物です。
100円で作る努力をしている人達は、全く違う生産方法をとっています。
器をつい値段で見てしまうけれど、実は違う種類の物づくりをしている。
お客様が、本当に5,000円の価値がある物で、赤ちゃんの器だけど、そのまま20年、30年経っても使える、結果良い買い物だと考えてくださるよう丁寧に伝えていく。
そのために、和えるくんのお兄さんお姉さん達(社員)は、みんな産地の職人さんの所を訪問しています。
私だけではなく、社員も産地へ行き、職人さんの製作工程を見て、見たこと感じたことをお腹の底から伝えられる様にしています。
ただ勉強をして説明しているのではなく、現地に赴き、どのような技術を活かし、どのような想いで、どれだけの手間をかけて作っているのかを知った上で、お客様に合わせて何を伝えるのかを都度考えてお伝えをしています。
知っていること全てを伝えるのではなく、お客様一人一人に合わせて少しずつ引き出しを変え、色々な方に対応できるようさらに自分の引き出しを増やしていく。
それが和えるのお兄さん・お姉さん達(社員)だと思います。
質問者 ありがとうございます。
ピュアな物の価値を伝えていく
小林 山田さんにも聞きたいのですが、ファクトリエでも店舗がありますよね?
山田 そうですね。
銀座8丁目にある店舗のことですね?
ビルの3階にあるのですが、現状は「知る人ぞ知る」といった場所になっています。
弊社では基本的に在庫をお店には置かず、埼玉にある倉庫から発送するという形態をとっています。
なので、店舗から商品を持ち帰るということはできません。
10月に、横浜元町・名古屋の星ヶ丘に路面店を作るのですが、そこも同じようにサンプル商品は置きますが、タブレットで購入して頂くという形になります。
私らのコンセプトは、お店ごとに在庫を有するとその保管スペースや店間移動にお金が掛かるので、お店ではサンプルの試着が出来るだけに限定し、店内も基本的には自分達でDIYをする等、できるだけ中間部分をスリムにし、プラスのコストがお客様に伝わらないようにしています。
無駄なものを引き算し、ピュアな物の価値が伝わるようにしています。
小林 なるほど。
白木さんも店舗があるかと思いますが何か取り組みをしていますか?
ジュエリーといっても、色々あると思います。
例えば価格や価値を伝えるに当たってストーリー性を持たせるということも必要かと思うのですが、HASUNAではどのように行っていますか?
白木 すごく難しい点です。
弊社でも、始めの頃は倫理的、道徳的なという意味の「エシカル」なジュエリーで、フェアトレードを行っているということを店頭で説明してきたのですが、あまりそこを強調しすぎると、ファッション好きな人達は逆に一歩引いてしまうと感じました。
例えば、今店舗を置いている新宿伊勢丹には、1階のジュエリーコーナーに60ものブランドが店舗を構えています。
小さなジュエリーが何万個も並んでいる中から、一つの商品を選ぶということはとても難しいことです。
しかも、新宿伊勢丹に来るお客様は、ファッショナブルで世界最先端を求めている方々なので、オシャレでかつ品質も良く、店頭でのサービスも世界一であることが求められます。
そのようなお客様方に、一生懸命素材の説明をしても、中々響かないということがジレンマとしてあり、現在は、その説明は聞かれた場合のみするという受け身の形にし、とにかくジュエリーの良さを伝え、お客様に響く形での販売を選択しています。
ジュエリーデザインについて語り始めると長くなるのですが、デザインチームは「身につけることで女性本来の美しさを引き出す」ということを考え、日々製作している「デザインに関するこだわり」や、日本の職人が力を入れて作っているという品質や、石の良さ、磨きといった「品質に関するこだわり」、身につけてどうかという「ジュエリー自体の素晴らしさ」を伝え、購入していただいています。
社会貢献的なことや、購入すると社会にどう還元されるのかといったことは本当に二次的なものです。
勿論そこが好きで購入して下さる方もいらっしゃるのですが、大半のお客様は、ジュエリーがジュエリーとしてきちんとした形であるということを求めているので、そこを徹底的にこだわっています。
小林 ありがとうございます。では次の質問行きましょうか。
(続)
続きは 和える・HASUNA・ファクトリエが語る「創業資金の集め方」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら
【編集部コメント】
参加者の質問が鋭かったので、面白い議論になりました。続きの記事では、資金集めについて議論します。(横井)
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