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【終】社会課題の現場から⑥ 人類史の中で、君という存在はどういう価値があるのか?【F17-6E #6】

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「今、社会課題の現場が熱い」【F17-6E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!6回シリーズ(その6)は、社会課題の現場に飛び込みたい人、そして本記事の読者へメッセージをいただきました。是非御覧ください。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 6E
「今、社会課題の現場が熱い」

(スピーカー)
安部 敏樹
一般社団法人リディラバ 代表理事
株式会社Ridilover 代表取締役社長

三輪 開人
特定非営利法人e-Education
代表理事

(ナビゲーター)
竹内 麻衣

「今、社会課題の現場が熱い」の配信済み記事一覧

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最初の記事
【新】社会課題の現場から① NPOで培ってきた力がビジネスでも生きる【F17-6E #1】

1つ前の記事
社会課題の現場から⑤ 社会制度下で自分が社会を変えられる実感が失われている【F17-6E #5】

本編

竹内 これから社会課題に対する取り組みをより熱くするために、そこに来たいと思っている人、または来たいとまだ思っていないけれども、記事を読んで関心を持った人に来てもらいたいというメッセージ等をお願いします。

では、安部さんから。

安部 人間はどうしても短期的な視点から動いてしまうものだと思います。

(私がかつて乗っていた)マグロ漁船の漁師はその日1日という視点さえも無く、今この瞬間が最高かどうかを考えている奴が結構いました。色々言われてもよくわかんねーからとりあえず今を楽しもう、という感じの。笑

人類にはそういうところがあると思います。

私もそうです。今日は飲んだらまずいかなと思いつつ酒を飲んでしまいます。

明日のことを考えたら飲まない方が良いのに飲んでしまうということがあるわけです。そのような人のだらしなさというのは人の愛おしい部分だと私は勝手に思っています。

ありとあらゆる人が「人類だの社会だのという話を無理にしなければいけないか」というとそうでもないかと思っています。

社会を考えることが自分のリスクヘッジにもなる

安部 一方で、その愛おしさには責任も伴うものです。もし何か不利益があったらそれは自分のせいだということも多少はあるじゃないですか。

そう考えると、社会のことを考えることが自分のリスクヘッジにもなるということを思って欲しいと思っています。

自分は”駄目な人間”なので、駄目な自分を見捨てない社会というものを作って欲しいと勝手に思っています。

駄目な人間を支えてくれるセーフティネットが欲しい。今後、より駄目になっていく可能性もあるので、今できることはやっておいた方が良いと思います。

社会の仕組みや支え方は少し長い目線で見ると自分に返ってくるというのをもっと多くの人に知ってもらいたいと思います。

できれば、できることを先にやって貯金をしておいて、あとで自分が駄目になった時に助けてもらえるようにしておけると良いと思っています。

日本は赤字国債増やしまくりながら現在の生活水準を維持しているわけです。言い換えると我々20代とか30代とかも「若者は損をしている!」とか言いながら、今生まれてもいない子供達に責任を押し付けるようなことをしているわけです。

そういう「一億総フリーライダー時代」です。なんかちょっと恥ずかしいですよね。。

だらしない我々だからこそ、今も未来もハッピーにできるように考えてアクションするようになったら良いなってと思います。

壁にぶつかったとき、「社会課題の解決」という道があっても良い

三輪 私も安部さんに凄く近い考えを持っています。

就職活動をしている学生たちがなりたい自分であったり、やりたいことを考えて社会に出た時に壁にぶつかることになります。

その時に、逃げ道として社会課題の解決という道があっても良いのではないかと思います。

営利企業で資産を増やすことや会社の売り上げを増やすことに一生懸命になっていればなっている人ほど、心を休められる場所があっても良いのではないかと思います。

その意味では、100%自分の人生をかけるという関わりだけでなくとも、自分が少しでも罪悪感や心の隙間が埋まらないというようなことがあった時に、社会課題という現場はそれを埋めてくれる場ではあるかもしれません。

安部 でもそういう人がたくさん入ってくると大変じゃないですか?

「自分のエゴのためだけにやってるんじゃねえぞ」と(笑)

自己実現欲求が強すぎてついていけないような人もこの業界には多く、それはそれで勘弁して欲しいところでもあります。

三輪 そういう人たちが途中どこかで心変わりして、ちょっといけなかったと思ってくれれば僕は満足ですが。

安部 入り口としてはそうですね。

三輪 入り口としてはそうです。だからこれを言うのを悩みましたが。

結局、関わる人が増えることで面倒な人が増えたとしても、その人たちとの会話の中で生まれてくるあり方もあって良いのではないかと思います。

ちょっと嫌な部分もありますが、経験者が増えて欲しいというのはあります。

安部 母数が増えるのは大事ですね。

三輪 大事です。

安部 あまり詳しくはないのですが、韓国ではニートになった後に社会起業をすると500万円くらいもらえる制度があり、引きこもりがほぼ社会起業家になるというような現象が起きているという話を聞きました。

わたくし自分の著書の韓国語版が一冊ありましてもしもイベントとかで韓国に呼ばれるようなことがあれば、ニートの人たちが助成金をもらって社会課題の解決に向かっているのか、それともニートが更にニートになるのか、確かめに行こうと思っています(笑)

竹内 本当にニートが社会課題を解決してくれるなら凄いですね。

安部 凄いですが、本当にそうなのか、という疑問はありますけどね。

もともと韓国は若年層の失業率が高い国で、そこを埋めるために、個人事業主を応援するということが背景にあったらしいのです。

そういう背景があるので、日本のニートとは少し違うとは思いますが。

ちなみに新卒一括採用が無くなったら日本もそうなるのではないかと私は思っています。新卒一括採用は日本の若者の唯一の既得権益なので、若い人が就活を無くせと言うのを聞くと、なぜ自ら権益を手放すのか、とは思いますよね。

これだけ世代間格差が激しく、高齢者がたくさんの既得権益を持っている中で、本当に数少ない既得権益です。

日本の若者の失業率がこんなに低いのは新卒一括採用があるからです。

もしそれを手放すのならバーターで交渉した方が良い。

ロストジェネレーション世代以降、雇用はそこまで流動化していないので、それより上の世代の流動化を約束させるとかですね。

何かバーターを組んで交渉しないと、上の世代から単に既得権益を削られるだけになってしまいます。

三輪 今安部さんが指摘された人は、「俺」、自分で完結している人が多いのだと思います。

自分個人としては何とかなるかもしれない。

でも、俺「たち」自分「たち」と思える人がどれだけいるか、韓国でも現状を見てきて頂きたいです。

安部 見たいです。まとまらなかったですね(笑)

竹内 いえいえ、編集がありますので。

▶︎編集注:はい、なんとか。(立花)

三輪 個人として自分を持っていて社会に関しての意見を持っている人がいたとしても自分「たち」という集団意識を持っている人は少ないと思います。

安部さんと話していてすっきりすると思うのは、若者全体を一人称で語っているところです。

母体を増やしたいという話をしましたが、最終的には、社会課題に関しては、一人称で語れる人の母数を増やすというのがあります。

社会課題を自分のこととして話せる人たちをどういう風に増やしていくかということなので、先ほど言った逃げ道であろうが何であろうがやっていきたいと思っています。

竹内 この流れで、三輪さんからもお願いします。

人類史を前進させる存在になろう

三輪 こういう場でしか大ボラを吹けないと思うので、言わせてもらいます。

私はJICAに入った時にその時に上長から「人類史の中で、君という存在はどういう価値があるのか」と言われたことがあります。

そもそも考えたことがありませんでしたが、その時に思ったのは財や富を成すことだけでは、人類史における価値を見いだすことはできないだろうと思いました。

社会課題を解決することは、究極的には人類全体を一歩前に進められるような捨て石なのかもしれません。しかし一方で、もしかしたら物凄く価値のある捨て石になることができる領域なのかと思っています。

特に社会に貢献したいという思いがあって行動力がある人にとって、今ほど面白い時代はないのかと思います。

私のように一個人として組織を作り、途上国の政府と1対1でやり取りができる社会は、30年前、40年前にはありませんでした。

特に日本は戦後の復興という世界に誇る歴史を持っていると言われており、私たちだからこそできる一手というのがきっとあると思います。

日本人向けになってしまいますが、ブレーキを踏まなくても良いと思います。

先ほど話に出た世界平和もたった一人の力で生まれうる可能性もある社会です。

だから興味関心のある人はブレーキを踏まずにアクセルを思い切り踏んで欲しいと思っています。一緒にやりましょう。

竹内 非常にいいお話を伺えました。ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

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