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これまでに配信した、組織づくりに関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス KYOTO 2016 から、「最高の成果を生み出すチーム作りの方法論」を10回に再編集してお届けします。組織づくり特集3(その3)は、春光院川上全龍さんに「理不尽な」悟りを開くための修行についてお話し頂きました。石川善樹さんの新興宗教エピソードも必見です。ぜひご覧ください。
ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 5C
最高の成果を生み出す チーム作りの方法論
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
川上 (全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職
川邊 健太郎
ヤフー株式会社
副社長執行役員 COO
中竹 竜二
(公財)日本ラグビーフットボール協会
コーチングディレクター
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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最初の記事
【新】最高の成果を生み出すチーム作りとは?【SP-OD3 #1】
1つ前の記事
躍進したラグビー日本代表の「カオス」なトレーニングとは?【SP-OD3 #2】
本編
石川 僕は、「成長とは何か」という研究をしていて、どうも2段階ありそうだというのが最近わかってきました。
最初の段階は、「積み重ね」による成長という段階がある。
つまり、言われていくことをきちんとやっていくことで成長するフェイズ。しかし、積み重ねていっても、ある時限界が来るのです。
そして、限界を突破するためには揺さぶりというか、理不尽が重要になってくる。そういった「揺さぶり」による成長のフェイズというものがあります。
人と言うのは、やはり変化に対応する時に強くなり、成長するというところがあるようです。
固定概念を省く
川上 朝、座禅の時にも話していたのですが、「悟り」という言葉は禅や仏教の世界でよく使いますでしょう。
ただ、仏教でもいろいろな宗派によって悟りという概念も違ってくる。たとえば、上座仏教で悟りというと、輪廻の枠から出るということです。
しかし、禅の考え方で言えば本来悟りというのは固定概念を省くということなのです。
ということは、今起きるということになると、変化というものをどう受け止めるかということになってくる。
変化が起きた時に、良い、悪い、といいますでしょう。
その良い、悪いという判断は、結局自分の固定概念をベースにやっているので、そうではなくて固定概念を外してあるがままに見る。
それが変化に対応する強さなのではないかと思うのです。そういうベースがもともと禅にはあるのです。
川邊 禅問答というのも固定概念を省くということなのでしょうか。
川上 そうですね。
すごく理不尽でしょう。
川邊 理不尽な話の塊ですよね。
川上 そう。最初にやらされるのは、「犬には仏性があるか」つまり犬が仏になれるかということを聞かれるのですが、それを最初の半年から1年ずっと聞かれるのです。
それに対して、理論的に話してもダメ。
石川 答えても、また聞かれるのですよね。
川上 いや、ダメだったら鐘をチリンチリンと鳴らされるのです。
石川 鐘なのですか。
川上 老師と呼ばれる師匠が鐘を持っているのですが、答えを言った後ならまだしも、言おうとした時にいきなりチリンと鳴らされる。
石川 それ、良い制度ですね!チリンチリン(笑)
川上 そうでしょう!
あとは、部屋に入ろうとした時にもチリンと鳴ったりする(笑)
小林 すごく理不尽ですね。
川上 理不尽なのです。だから読めない。
するとこちらもいろいろ考えて、今度は逆に脅かそうかと考えたりする。たとえば、床の下から入って行くなど。
小林 仕事で言えばミーティングの時に入っていく瞬間にチリンと鳴らされるような感じですか。
川上 そうです。
インタビューの前とかもそうでしょうね。
川邊 それで、その犬には仏心があるのかというのは、模範解答などはあるのでしょうか。
川上 ないです。
川邊 ないでしょうね。
川上 ないことが、固定概念を外すということに繋がるわけです。
川邊 すると、師匠はなにをもって良いとか悪いとかやっているのですか。
川上 たぶん、なにもないでしょうね。
おそらく、いかに理不尽に扱ってやろうかという話だと思うのです。
川邊 すると、まったく同じですね。
中竹 はい。まさにエディ・ジョーンズはその手法です。
誰もが理解できない理不尽をやる。
ただ、その中で選手たちも途中で気づいたのです。
もしかしてわざとやっているのではないか、と。
そうでなければ自分たちは耐えていけないというね。
川邊 すると、鍛えるには社員満足度とか言っている場合ではないですね。
新興宗教のテクニック
石川 最強の組織という意味では、新興宗教というのが最強の組織です。
僕、今日のために調べてきました。
(会場 笑)
友人が、新興宗教の洗脳のテクニックを研究しているのです。
これはあまり大きな声で言えないのですが、彼はいろいろな新興宗教に潜入して、実際に体験する。
ただ、弱点があって、彼は異様に洗脳に弱いのです。
(会場 爆笑)
毎回洗脳されて帰ってきて、奥さんにベシベシベシっと叩かれて「はっ」と気づくという。そういう男がいるのですが、いわくだいたい共通しているものがあるらしいのです。
それが理不尽です。
たとえば、水の入ったペットボトルを真ん中に置いて、みんなで円になる。そして、師匠がペットボトルを指して「これはなんだ」と聞きます。するとみんな一人ずつ「水」と答える。
しかし、また2周目が始まるのです。これを何周もしていると、途中から「自分です」などと言い出す者も出てくる。
(会場 爆笑)
これを真っ暗な部屋でやっていて、最後に「神です」というふうになった時、カーテンがパーっと開いて光が射してくるのです。
これで洗脳完了なのだそうです。ですから、とにかく理不尽というのは本当にチーム力を強くするのだと言っていましたね。
川邊 これはちょっと新しい発見ですね。
中竹 ちょっとやりたいです。今度(ラグビー日本代表の)U20でやってみましょうか。
小林 前のセッションで働き甲斐とか良い話をしていたと思うのですが。
石川 働き甲斐など言っている場合ではない、という流れになってきましたね(笑)
小林 もう理不尽さで勝負だと。
川邊 それは部活にはありましたよね。
会社になってくると社員満足度とかそういう方向へ行ってしまいがちなのですよね。
石川 でも、どっちが良いと言うよりはフェイズの気がしています。
最初はやはり満足を高めた方が良いのですが、それで会社の成長が止まった時に理不尽へ大きく振るというのが良い。
これは順番が結構大事です。最初は理屈が大事でその後に理不尽が来なくてはならない。最初から理不尽で始めた会社は結構厳しいでしょう。
川邊 ただのブラックですね。
石川 ただのブラックです。
川邊 ソフトバンクは汐留のビルのエレベーターに標語が書いてあるのですが、最初は「努力って楽しい」とか出ていたのですけれど最後の方では「ムチャ振りって楽しい」と書いてありました。
それを(ヤフー・ジャパンの)小澤さんと僕で見て、すごいなと言っていた記憶があります。
石川 徐々に変わっていったのですね。
川邊 徐々に変わっていった。
大きい組織なので、理不尽を是として飛躍させようと思ったのかもしれないですね。
(続)
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続きは 拷問訓練に耐える特殊部隊から学ぶ「逆転マインド」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/石川 翔太
【編集部コメント】
続編(その4)では、固定概念を排することの重要性や逆境の中で持つべきマインド等について議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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