ICC KYOTO 2024 Digital Transformation(DX) CATAPULTに登壇した、CRISP 宮野 浩史さんのプレゼンテーション動画【デジタル売上比率98%、カスタムサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」はDXで日本の外食産業を変える】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは Saleshub です。
▶【速報】土木設計を紙図面から3Dモデルへ。職人技のDXで業界をアップデートする「Malme(マルメ)」がDXカタパルト優勝!(ICC KYOTO 2024)
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【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 2A
Digital Transformation(DX) CATAPULT
Sponsored by Saleshub
宮野 浩史
CRISP
代表取締役CEO
公式HP | 公式X
1981年千葉県生まれ。15歳で渡米し、18歳のときに現地で飲食業を起業。22歳で帰国し、タリーズコーヒージャパンで緑茶カフェ業態に5年携わる。その後、ブリトー&タコス専門店「フリホーレス ブリトー&タコス」を立ち上げる。現在はカスタムサラダ専門店「CRISP SALAD WORKS」の展開を通じて、デジタルトランスフォーメーションで既存の外食業界にイノベーションを起こすことを目指す。
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宮野 浩史さん こんにちは、CRISPの宮野と言います。
出だしからちょっと物騒なスローガンなのですが、今日は私が20年以上関わっている日本の外食業界の伸びしろについて、お話しできればと思っています。
日本の外食業界は、DXを進めることでまだまだ伸びる、面白い業界だと思っています。
DXで進化したとびきり美味しいカスタムサラダ専門店
私たちは、CRISP SALAD WORKS(クリスプ・サラダワークス)という、カスタムサラダ専門店を展開している会社です。
都内を中心に、現在23店舗のサラダ専門店を展開しています。
▶CRISPの店舗を探す(CRISP)
1食約1,500円前後の、新鮮で栄養価の高い、自分だけのためにパーソナライズされた手作りのサラダを、年間約160万食提供しています。
▶SALADS and SIDES(CRISP)
ちなみに、信じられないくらい美味しいです。
累計10億円の資金調達で店舗体験のDXを推進
私たちのビジネスの根幹である店舗スタッフは、アルバイトを中心に、約500名所属しています。
また、私たちの特徴としてテクノロジーがあります。
外部から累計10億円の資金調達を行い、テクノロジーに大きな投資をして店舗体験のDXを進めた結果、現在のデジタル売上比率は98%です。
ありがたいことに、2014年末に1号店を開業してからこの10年で、店舗数も売上も順調に増え続けています。
今年も売上は25%以上成長し、年間売上は26億円を超える見込みです。
DXで解決したカスタマー、オペレーション、店舗スタッフの課題
そこで今日は、私たちの成長の裏側と、私たちがDXで解決した外食の課題についてお話ししたいと思います。
私たちがDXで解決した外食の課題は、3つです。
まず、「顧客を熱狂させられないこと」。
顧客の多様化が進み、 画一的なサービスでは、お客様を熱狂させることは難しくなっています。
2つ目に、「生産性の低さ」。
多くの外食企業では、センスと経験則で経営され、その経営は属人化されてしまっています。
3つ目は、「店舗スタッフのエンゲージメントの低さ」。
人不足、長時間労働、低賃金といった労働環境の悪さが、本来お客様に最も付加価値を提供できるはずの店舗スタッフのエンゲージメントを低くしてしまっています。
この3つの課題を私たちがどのように解決したのか、早速紹介していきます。
DX後の変化①顧客解像度が向上し熱狂的ファンを獲得
まず、顧客の熱狂について。
私たちは注文をDXし、圧倒的な量のカスタマーデータ取得を通じて、顧客解像度を高め、一人一人のお客様を理解し、熱狂させることができています。
例えば、私たちのアプリユーザーの約半数が、世帯年収1,000万円以上であり、売上全体の約4割が、全体の8%を占める「週に1回以上利用してくれるユーザー」によるものです。
私たちはこのユーザーセグメント、つまり熱狂的なファンを増やすための、データドリブンな施策を実施することができます。
また、アンケートをDXしたことで得られる、ユニークIDに紐づく顧客からの、アプリを通じた年間15万件のフィードバックも、私たちの強みです。
店舗別で、お店やサラダの評価推移を、その理由と共にリアルタイムで分析し、改善することで熱狂的ファンを増やすことができています。
毎月注文実績のあるアプリユーザー数も、前年比30%以上で力強く成長しています。
私たちは、ただの満足度ではなく顧客が熱狂しているかどうかを確認するために、5段階評価の最高評価のみを評価指標とし、それをトップボックス率と呼んでいます。
DXにより顧客の解像度が高まり、顧客が熱狂した結果、トップボックス率は85%と非常に高い水準で推移しています。
DX後の変化②店舗オペレーションの生産性が21%向上
2つ目は、生産性について。
私たちはテクノロジーと人の力を掛け合わせることで、高い生産性を実現しています。
例えば、全店に設置された自社開発のセルフレジや、モバイルオーダーアプリによって、注文から決済までの体験をシームレスな形でDXしました。
▶HOW TO ORDER(CRISP)
CRISPではレジスタッフが不要なため、お客様の体験の質を下げずに、通常の飲食店よりも少ない人数で営業しています。
また、店舗のオペレーションをデジタル化し、商品提供までの秒数、お客様の希望通りの時間に提供できているか、良品率などのKPIデータを分析し、改善することで、生産性を飛躍的に向上させています。
例えば、サラダの提供スピードは1年前と比較して2割以上も速くなりました。
結果としてCRISPの店舗生産性は21%も向上しています。
DX後の変化③勤怠アプリで、シフト充足率&満足度UP
3つ目は、店舗スタッフのエンゲージメントについてです。
CRISPは、所属するアルバイトスタッフ約500名の労働体験を、DXを通じて進化させました。
アルバイト向け勤怠エンゲージメント管理アプリを自社で開発し、アルバイトの働きやすさとやりがいを両立させています。
WORKPLACEでは、アルバイトスタッフが自分のスマホを使って、CRISPの好きな店舗に、いつでも自由にシフト予約することができたり、店舗や曜日によって時給を上げたり、研修や新商品事前学習のチェックを行えたりします。
私たちは、スタッフのシフトデータは勿論、定性的なパルスアンケートと給与や人事データをオペレーションデータと統合し、店舗スタッフのエンゲージメントを高めるための、データドリブンな施策を実施しています。
結果として、業界全体が人不足に陥る中、シフト充足率は前年と比較しても大幅に改善され、安定して98%以上を維持しています。
店舗の生産性と顧客体験を向上したことで、都心エリアのアルバイト時給を1,500円まで上げることができました。
これは1年前に比べて、35%上昇しています。
結果として、CRISPの従業員満足度は90%で、非常に高いエンゲージメントが実現できています。
同面積の飲食店と比べ営業利益率は2倍
私たちは、外食産業の3つの課題である、顧客解像度が低くてお客様を熱狂させられない、属人的で再現性がなく生産性が低い、スタッフのエンゲージメントが低い、をDXによって解決しました。
私たちは、カスタマー、オペレーション、店舗スタッフの3つの領域をDXすることで、日本の外食産業を進化させることができると考えています。
そして3つのDXを実現したことで、私たちの店舗あたりの売上と利益を大きく増加させることができました。
同面積の飲食店に比べて、CRISPでは店舗あたりの年商は約2.7倍、営業利益率は2倍であり、DXによって、通常以上の売上と利益率を実現しています。
サラダ専門店市場は10年後に7倍成長
最後に、今後の展開についてお話しさせてください。
ライフスタイルの変化と健康志向の高まりを受けて、日本のサラダ専門店の市場は、今後10年で7倍の成長が見込まれています。
現在は、ターゲット顧客のわずか3%にしかリーチできておらず、私たちのビジネスには大きな成長余地があると考えています。
中長期的には、現在の10倍、100万人のターゲット顧客の獲得を目指しています。
私たちの、新しい外食ビジネスモデルを証明するために、2027年度に上場と年商100億円を目指しています。
CRISP SALAD WORKSは、今年だけでも既に6店舗の出店が決まっていますが、今後も出店を加速させていきます。
日本の外食産業をもっとワクワクする業界に
ただ、私たちのゴールはそこではありません。
国内のファストフード市場は4.1兆円あり、DXによる伸びしろは非常に大きいと考えています。
私たちは、中長期的に国内のファストフード業界をリードする立場にまで成長し、外食業界全体を変えていきます。
具体的には、CRISP SALAD WORKSのオーガニック成長に加え、M&Aを成長戦略の2つ目の軸とし、グループインした外食企業をDXすることで、非連続な成長の実現と同時に、日本の外食をひっくり返せるポジションを狙います。
▶私たちのビジョン実現を加速するために、M&A (事業譲受)・提携を開始します(宮野浩史 note)
私たちは、DXと人の力を掛け合わせることで、日本の外食産業を、もっとワクワクして、もっと魅力的な業界にしていきます。
それが、私たちの考える「日本の外食を、ひっくり返せ。」です。
今日はお時間ありがとうございました。
(終)
編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成