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14,000円の栗蒸し羊羹で業界の常識を覆し、“世界のWAGASHI”に挑戦する「常陸風月堂(菓匠風月)」(ICC KYOTO 2024)

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ICC KYOTO 2024 クラフテッド・カタパルトに登壇した、常陸風月堂(菓匠風月) 藤田 浩一さんのプレゼンテーション動画【14,000円の栗蒸し羊羹で業界の常識を覆し、“世界のWAGASHI”に挑戦する「常陸風月堂(菓匠風月)」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして 参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。

【速報】サケ造りで終わらない。男鹿のまちを醸し、日本の希望の星になる「稲とアガベ」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング

藤田 浩一
常陸風月堂(菓匠風月)
代表取締役社長
ブランド公式HP | 公式X

茨城県日立市「常陸風月堂」3代目。専門学校、修行を経てUターン。消費者、生産者、全てが笑顔になれる「笑顔の連鎖と循環」が理念。 2019年、世界博物館会議にて日本のお菓子店で唯一参加し、世界のV I Pに和菓子の実演、体験を行う。2020年代表取締役に就任、3代目当主に。家業イノベーション・アイディアソンイノベーター。2021年、茨城県北ビジネススクール最優秀賞、1本1万円、世界一高級な栗蒸し羊羹「万羊羹」を発売しクラウドファンディングにて支援率471%達成。 2022年、和菓子業界初、台湾でのクラウドファンディング支援率597%達成。世界的パッケージアワード「pentawards」銀賞受賞。 2023年、茨城県北BCP審査員特別賞、中小企業庁主催全国アトツギ甲子園ファイナリスト。中小企業リーダーズサミット登壇、ICCフード&ドリンクアワード オーディエンス賞受賞、第1回アトツギアワード ロングターミズム賞受賞。2024年アメリカ2大フードショー「Summer Fancy Food Show NY」出展。


藤田 浩一さん 「栗から始まる笑顔の連鎖」、1人の和菓子職人の挑戦の話を聴いてください。

茨城県十王町で地元向けの和菓子を販売

今日は茨城県日立市十王町、人口約13,000人の小さな町からやってきました。

株式会社常陸風月堂(菓匠風月)は、従業員13名の小さな和菓子屋です。

1948年創業です。

2020年に先代の思いと共に承継し、手作りでしか作れない和菓子の美味さを追求し続けています。

大福やどら焼きなど、手軽に楽しんでもらえる地元密着の和菓子を販売し続けてきました。

かまくら大福
どら焼き

お客様はもちろん、素材を作ってくれる農家さんとの関係性も大切にしています。

それは地元の食材を使い、ステークホルダーのみんなを喜ばせたいという思いがあるからです。

笑顔の裏にある厳しい現実

私が大切にしている3歳の頃の記憶、それは地元の栗を食べて自分自身が笑顔になる、するとそれを見た周りの大人たちも自然と笑顔になる、笑顔の連鎖の記憶です。

今度は自分が笑顔の連鎖を届けたい。

それが和菓子職人を志したきっかけです。

しかし、和菓子業界には笑顔になりきれない厳しい現実があります。

「10円」、皆さん、これは何だと思いますか?

100円の大福を売ったときの利益です。

私が小学生の頃、父がこの衝撃の事実を教えてくれました。

手作りで美味しいものを作っているのに儲からない。

父が朝から晩まで一生懸命働いても、生活は大変でした。

しかし、そんな厳しい状況でもみんなから慕われていた父に憧れていました。

そして地元の方からは後継ぎとして期待され、それに対し何の疑問も持たずに育ちました。

給料を貰えない中で商品開発に没頭する日々

月給10万円という厳しい修行時代でも帰る場所がある、今より環境が良くなる、いつかは父に認めてもらえると信じ頑張っていました。

しかし帰ってきた時の状況は、もっとひどかったのです。

取引先への支払いのため、私は給料がもらえず、それを解消するために売れる商品開発に没頭する日々を送りました。

「利益追求は恥」という固定観念

現状を変えるには価格を上げるしかない。

しかし父からは全否定されました。

「値段を上げるのは悪だ」「高い商品は売れない」

父から発せられたのは業界の固定観念でした。

お客様を笑顔にするために採算は度外視、そして利益追求は職人として恥である。

このままでは和菓子業界はなくなってしまう

そんな固定観念にとらわれた、町の和菓子屋は全国にたくさんあります。

でも、これっておかしいですよね。

実際、この15年で全国の和菓子屋は1/3に減りました。

このままでは業界がなくなってしまうかもしれない。

▶︎ 紀の国屋が廃業「和菓子離れ」加速する5つの理由(東洋経済オンライン)

みんなを笑顔にするプロダクトへの挑戦

この状況を変える。

決意をした私は、ある挑戦をします。

和菓子職人を志すきっかけになった「栗」を使って、みんなを笑顔にできるプロダクトを作る。

全ては自分だけではなく、みんなの笑顔のために。

父の猛反対を押し切り、最高級の栗を使い、栗の美味しさを最大限引き出すお菓子開発に挑戦しました。

14,000円、世界一高級な栗蒸し羊羹

その結果でき上がったのが「万羊羹」、世界一高級な栗蒸し羊羹です。

最高級の飯沼栗を使用した万羊羹は一つ一つ手作りです。

飯沼栗|産品紹介(地理的表示産品情報発信サイト)

厳選した特別な餡子と、一つ一つ手で皮を剥き美しさを最大限引き出した飯沼栗を6粒、1時間蒸した後、さらに5粒乗せ、万羊羹は完成します。

大切な人への特別な贈り物として、そして農家さんから始まるつながりを美味しさと笑顔で循環させたい、そんな思いを込めて開発しました。

価格は14,000円。

この価格は、みんなを笑顔にする適正価格です。

業界に風穴を開けるため世界へ

小さな田舎町からじっくり全国展開するのではなく、業界に風穴を開けるために、よりハードルの高い海外への挑戦を決意しました。

英語も喋れない、つてもない。

一見無謀にも見える、根拠のない自信による挑戦が実を結びます。

まずは海外に届けるための独自の冷凍技術を開発し、通常3日の賞味期限を1年にまで引き延ばすことに成功しました。

ブランディングや味が世界でも評価される

そして高単価で販売できるようデザイン、ブランディングに力を入れ、2022年にイギリスで開催された世界的なパッケージアワード「Pentawards」で銀賞を受賞しました。

世界的なパッケージアワード「pentawards」にてフード・グルメ部門銀賞を受賞いたしました。(常陸風月堂)

そしてニューヨーク、アメリカ2大展示会(Fancy Food Shows)に出展しました。

現地では和菓子の認知度はほぼありませんでしたが、The Peninsula New York Hotelのトップシェフから職人としての敬意と万羊羹の味に対する高い評価をいただきました。

「500ドルで売れる。自信を持って良い」と、根拠のなかった自信が確信に変わり、これからの販売につながるお話をすることができました。

価格は、お客様が体験する価値で決まる

この海外挑戦で気づいたことがあります。

1つは、「笑顔は世界の共通言語である」こと。

そして、「価格は原価によって設定されるものではなく、お客様が体験する価値によって判断される」こと。

この挑戦で農家さんにより多くの利益還元をすることができ、ステークホルダーのみんなの笑顔の連鎖を作ることができました。

“WAGASHI”をSUSHI、RAMENに並ぶ存在へ

しかし、私の挑戦はまだまだ続きます。

それは和菓子の世界的プレゼンスを上げることです。

「RAMEN」「SUSHI」「WAGASHI」と、日本を代表するジャパニーズフードとして認識してもらうこと、これを10年以内に私は達成します。

地方のただの和菓子職人が、3年でここまでやれたのですから。

父も笑顔に。笑顔の連鎖を世界へ

3歳の頃に食べた栗から始まったこの笑顔の連鎖を、世界中を巻き込み広げていきたい。

世界への挑戦はまだ始まったばかりですが、確実に変わったことがあります。

それはあれだけ反対していた父が認め、笑顔になってくれたことです。

もう一度言います。

「RAMEN」「SUSHI」「WAGASHI」、このフレーズを10年後には世界で認知させます。

ぜひ皆さんも、この笑顔の連鎖と挑戦の仲間になってください。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/原口 史帆/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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