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ICC FUKUOKA 2026 スタートアップ・カタパルトに登壇した、Tensor Energy 堀 ナナさんのプレゼンテーション動画【電力取引と蓄電池制御の最適化で、電力の安定供給に挑む「Tensor Energy」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
▶気候変動に打ち勝つ「次世代品種」で、グローバルで日本品質のフルーツ生産を可能にする「CULTA」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2026)
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【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Sponsored by EVeM
堀 ナナ
Tensor Energy
代表取締役
公式HP | 公式X
「エネルギーの安定供給こそが、豊かな暮らしと幸せの基盤である」という確信を胸に、15年以上にわたり再エネ業界の最前線でキャリアを積む。2011年の東日本大震災時、日常を支える電力の知られざる脆さを目の当たりにし、業界へ転身。戦略コンサルを経て、再エネ発電事業会社の立ち上げに参画。グローバルチームで太陽光・蓄電池の事業開発、案件組成から運用管理体制の構築をリード。現場でのハードな経験をもとに、100年変わらなかった電力システムの構造的課題を解決し、持続可能なエネルギーが必要な時に必要なところへ届く未来を創るため、2021年にTensor Energyを創業。再エネのためのAI駆動のオペレーティングシステム、Tensor Cloudを展開し、蓄電池を用いた、複雑な市場取引の自動最適化を実現。3児の母として「次世代に、より豊かな未来を手渡す」ことを信条に、テクノロジーで電力の再定義に挑む。
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堀 ナナさん 再エネと蓄電池に頭脳を授ける、福岡発の電力スタートアップ、Tensor Energyです。

24時間売買が続く“電気”の卸売市場
皆さん、毎日使っている電気が、魚や野菜と同じように、皆さんのもとに生産者から届くまでに卸売市場で取引されているのをご存知でしょうか?


それが、日本卸電力取引所。

ここではエリア別に、24時間、電気の売買が行われています。
朝7時、千葉さんが目を覚ましました。

暖房をオン。

小林さんは、コーヒーマシンをオン。

宮田さんは、トースターをオン。

さあ、電気が足りない。
いくらで買いますか?
時間によって変動する電気の価格
2円?4円?8円で落札。

いいお天気で過ごしやすい、昼の12時。

太陽光発電No.1の九州、たくさん発電しますが、使う人がいません。


電気、電気、電気はいりませんか?
いらない?
0.01円で落札。

商売になりません。
日が暮れて夕方6時、太陽光の発電が止まりました。

しかし、金坂さん家の炊飯器はオン、暖房もオン、お風呂もオン、さあ今度は電気が足りない。



4円?8円?12円で落札。

電気の価格が時間によって上がったり、下がったり、タダ同然になったり、これが電力の現状です。
エネルギー自給率10%の日本で、国産の電気が捨てられている
今、日本中で増え続けている太陽光発電は、この13年間で導入量は10倍になりました。

ここ九州は、日本の再エネ先進地域であり、電力の課題先進地域でもあるのです。


需要と供給が一致せず、晴れた日の昼間は電気が余り、日中の電気は市場でタダ同然、太陽光発電は稼げなくなっています。


もっと深刻なのは、今この瞬間にも、せっかく作った国産の電気が捨てられていることです。

エネルギー自給率がたった10%のこの日本で、国産の電気が捨てられているのです。
電力の「同時同量」は鉄の掟
なぜなら、電力には「作る量と使う量を常に一致させる」という鉄の掟があるからです。

▶需要と供給のバランスについて|でんき予報の解説(東京電力)
出力が変動する再エネが増えるとバランスが崩れ、このままにしておくと停電が頻発するようになります。

これが日本の未来です。
電力は危機的な状況にあるのです。
再エネ出力制御は、大停電の恐れで全国に実績拡大、これはおととい(2026年3月1日)のニュースです。

▶東京電力、初の再エネ出力制御 大停電恐れで、全国に実績拡大(共同通信)
充放電可能な蓄電池の導入が加速
そこで脚光を浴びているのが、「蓄電池」です。

余ったら充電、不足したら放電、秒単位のバランス調整もできます。


この調整力は市場で高値取引されており、数億円の投資が3年程度で回収できるとあって、蓄電池の導入が加速しています。



昨年(2025年)末には、蓄電池の製造販売で上場する企業(パワーエックス)も生まれ、時価総額は一時1,700億円を超えました。

運用能力が不可欠な蓄電池ビジネス
しかし、蓄電池は置いただけではただの箱で、稼げません。

これまでは、工事完了がゴールでした。

あとは勝手にお金が入ってくるビジネスでした。
しかし、今は違います。

何を、いつ、どの市場に入札するか、30分ごとの計画策定とリアルタイムの制御指示は人力では不可能です。



しかも再エネ業界は異業種からの参入が多く、運用能力を持つ会社はほとんどありません。

寝ている間に充放電、入札はボタンを押すだけの「Tensor Cloud」
これを解決するのが、「Tensor Cloud」です。

実際の運用は、朝、1通の通知から始まります。
市場への入札の時間です。
オフィスに着いたら、まず昨日の実績を確認します。
皆さんが寝ている間にも、AIが発電設備に指令を送り、しっかりと充放電を行っていました。
市場価格と発電量の予測に基づいて、今日明日の計画もしっかりと作られています。
さあ、いよいよ市場への入札です。
本来なら複雑な電力市場を読み解き、数時間かけて入札計画を練る必要があります。
普通の人間には苦行でしかありません。
このカーブは、AIが生成した最も安く買って最も高く売れる最適な取引プランです。
人間がやることは、この入札ボタンをクリックする、ただそれだけです。
あとはAIにお任せです。
皆さんが他の仕事をしたり、眠ったりしている間に、AIが自動で予測を更新し、蓄電池にリアルタイムで指示を送り、収益を最大化します。

発電所の自動運転が、実現します。

東京センチュリーと戦略的パートナーシップを構築
Tensor Cloudを導入すれば、最大5%の利用料で、ノウハウを蓄積し、電力取引を内製化することができます。

さらに、売上は40%もアップ。

お客様からは、「圧倒的な予測精度」「他社の追随を許さない使いやすさ」「現場の理想が詰まっている」などの声を頂き、技術力と徹底的にお客様に寄り添ったプロダクトが支持されています。

東京センチュリーとは、単なるツール導入にとどまらず、蓄電池事業に参入するための戦略的パートナーシップを築いています。

他にも、業界をリードする数々の事業者にご利用いただき、既に800箇所の発電所に導入されています。

まだまだ全国には70万件の太陽光発電所があり、2030年には蓄電池が10倍に増えます。


2027年度に向けて、既に多くの受注を頂いており、来年度売上は10億円を超え、2030年には100億円が見えています。


電力システム改革で、電力市場は急拡大
そして今、電力システム改革が急ピッチで進んでいます。

来月(2026年4月)からは手作業の入札が廃止され、市場とのAPI連携が必須になります。
▶Tensor Energy、JEPX 新システム移行対応を支援(PR TIMES)

つまり、証券取引の自由化、オンライン化と同じことが電力市場で起きようとしているということです。


大手電力会社だけではなく、一般企業、中小企業、また個人が電力市場に参加し、市場が急拡大する時代が来ます。

私たちは既に市場との連携を確立し、太陽光、蓄電池を皮切りに、電力ネットワークに接続する全てのアセットが市場に参加し、オーケストラのように調和する世界を作ります。

電力のデジタルインフラとして、22兆円と言われる巨大な電力市場のど真ん中のポジションを、我々、再エネ、電力、金融工学、デザインなど、世界中から集まった最強のプロフェッショナル集団で獲りにいきます。

次世代を照らすインフラを作る
皆さんはちょうど15年前の、計画停電を覚えていらっしゃるでしょうか?

私も当時東京に暮らしていて、通りの向こうが真っ暗になり、不安になったのをよく覚えています。
私はこれをきっかけに、蓄電池と再エネの可能性を信じて、現場で開発をする仕事を始め、家族を巻き込んで福岡に移住しました。

土地を確保し、近隣の方々と対話を重ね、泥にまみれて発電所を1件1件作ってきました。
今の使命はその発電所に頭脳を授け、電力のAI司令塔を作ることです。

それによってエネルギー自給率を上げ、次世代を照らすインフラを作る。

この使命に共感していただけたら、皆さん、力を貸してください。
よろしくお願いいたします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成


