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ICC KYOTO 2026 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、Halu 松本 友理さんのプレゼンテーション動画【行きたいを、行こう!に変える。インクルーシブデザインで障害児家族の声を形にする「IKOU」(Halu)】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2027は、2027年3月1日〜3月4日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
▶【速報】行きたいを、行こう!に変える。インクルーシブデザインで障害児家族の声を形にする「IKOU」(Halu)がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2026)
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【登壇者情報】
2026年8月31日〜9月3日開催
ICC KYOTO 2026
Session 11A
SOCIALGOOD CATAPULT – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by EVeM
松本 友理
Halu
代表取締役
公式HP | 公式X
2007年トヨタ自動車入社。本社にて10年間、カローラなどのグローバル戦略車の商品企画等に携わる。
脳性まひのある長男の誕生を機に、2020年に株式会社Haluを創業。障害児育児の課題を起点にインクルーシブデザインを実践し、IKOU(イコウ)ポータブルチェアをはじめとする「障害児も健常児もともに使える」プロダクトを開発・社会実装。その実践知をもとに、企業・自治体向けの研修・リサーチ・共同開発も展開する。
インクルーシブデザインを通じて新たな価値創出と分断のない社会の実現を目指す。
令和6年度内閣府バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰、2022年度グッドデザイン賞ほか受賞多数。
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松本 友理さん 株式会社Halu代表の松本友理です。
Haluは、障害のある子どもと家族の暮らしを起点に、つくり手の視点を変え、商品やサービス、空間を変えるスタートアップです。

トヨタへ新卒入社、世界中の人を幸せにするものづくりを信じて
私は、ものづくりには人の暮らしを変える力があると信じ、新卒でトヨタ自動車に入社しました。

商品企画に携わり、世界中の人を幸せにする車をつくっていると本気で思っていました。

でも、私が思い描いていた「世界中の人」の中に、見えていなかった人たちがいました。

母となり知った、見えていなかった存在
それに気づいたのは、母になってからです。
息子ハルには、脳性まひによる身体障害があります。

自分で歩くことも、ことばで話すこともできません。
生後4カ月からリハビリに通うと、そこにはたくさんの親子がいました。

街中ではほとんど見かけたことがなかったのに。
この子たちは、一体どこにいたんだろう?

「行ける場所」しか選べない日々
その答えは、息子との暮らしにありました。
出かけづらいから、その存在が見えなかったのです。

息子との暮らしで一番困ったのは、1人で座れないことでした。

自宅の福祉機器の椅子は大きくて重く、持ち運べない。
外出先で使える椅子がないため、「行きたい場所」ではなく、「行ける場所」を選ぶしかありませんでした。

既製品が使えないので、家族がつくることもあります。

「出会わない」ことで隠れてしまうニーズ
障害の有無で生活の場が分かれ、出かけるにもハードルがある。

だから、出会う機会がない。
困りごとも、家族の工夫で見えなくなる。

すると、市場はないと思われ、解決策がつくられない。

出かけづらさが残り続けます。

「私が変えなければ、この先も変わらないかもしれない」
10年間ものづくりをしてきた私も、当事者にならなければこの構造を知らないままだった。
私が変えなければ、この先もずっと変わらないかもしれない、だからHaluを起業しました。


社名は息子の名前です。
一人の願いから生まれた、障害のある子もない子も使えるブランド「IKOU」
最初につくったのが、姿勢を支えて折りたたんで持ち運べる、「IKOUポータブルチェア」です。

ブランド名には、「行きたいを、行こう!に変える」という決意を込めました。

当初は障害児専用品として考えていましたが、さまざまな家族へのインタビューを通して、家族と同じ目線で一緒に楽しみたいという願いは、子どものいる家庭に共通すると気づきました。



そこで、障害のある子もない子も、ともに使えるプロダクトにしました。

市場が広がり、誰でも欲しいときに購入できる商品にすることができました。

全国135カ所に設置、IKOU ポータブルチェアは歓迎の目印
私たち家族はこの椅子で行きたい場所に行けるようになり、息子は大好きなお寿司を、車椅子では届かないカウンター席で味わうことができました。


外出先で椅子を使ううちに気づきました。
行き先にこの椅子があれば、「あらゆる子どもを歓迎する」目印になると。

そこで、スタジアムや飲食店を回って導入先を広げ、今では135カ所に設置、ここなら行けると思える場所が広がっています。

▶Haluのインクルーシブ・ブランド「IKOU」3周年/スポーツ観戦体験を、すべての子どもと家族に─導入拡大と共創の広がり(PR TIMES)
導入側の視点が「どうすれば笑顔になってもらえるか」に変わった
導入先の一つである浜松のレストラン「ジ・オリエンタルテラス」から、「障害のあるお子さまを歓迎したい。でも、どう接したらいいか分からない」と相談を受けました。


そこで、障害のある子どもの家族の暮らしを知り、迎えるための研修を行いました。

スタッフが考えていたのは、どんな特別な対応が必要かでしたが、障害のある子どもの家族が一番嬉しかったのは「お名前はなんていうんですか?」と子どもに声をかけてもらえたことでした。


「普段通り、目の前のお客さまにどうしたら笑顔になってもらえるかを考えればいい」ということで、スタッフの問いが変わりました。

「行こう」と思える体験のつくり手を増やす
その後、他店で断られた障害児家族の団体から、「IKOUの椅子があるお店なら」と問い合わせが入り、(ジ・オリエンタルテラスのスタッフは)快諾。

もっと自分たちにできることがあるはずだと考え、外食をためらう子連れ家族向けのお食事会を開催しました。

参加者のうち、障害のある子の家族とない子の家族は半分ずつでした。

この経験から分かったのは、椅子を置くだけでは足りないということで、「行こう」と思えるかは体験全体で決まります。

そして、一人の願いを知れば、つくり手自身がその企業だからこその答えを生み出せる。
体験全体を変えるには、一人の願いから商品やサービス、空間を形にできるつくり手を増やせばいい。


Haluらしいインパクトの広げ方が見えました。
120通りの願いから広がるものづくり
そこで立ち上げたのが、「IKOU インクルーシブパートナー」です。

▶IKOU インクルーシブパートナー募集(Halu)
障害児家族を中心に120名いて、彼らは、企業との対話やリサーチ、企画検証に参加し、自分のことばで暮らしの経験を届けてくれる仲間です。

多くの人には当たり前のことが、制約の強い暮らしでは困りごととして現れます。

ここには、企業がまだ出会っていない120通りの願いがあります。

インクルーシブデザインの実装を企業とともに
当事者を起点に、ともにつくるインクルーシブデザイン自体は30年以上前からありますが、難しいのは、それを企業が事業として続けることです。


Haluが磨いてきたのは、実践方法です。
対話や研修を通じてつくり手の視点を変え、リサーチで願いを掘り下げ、実装できる選択肢に翻訳する、このプロセスを「IKOUインクルーシブデザイン」として、企業や自治体に有償で提供しています。




これまで、24の組織、1,000人以上のつくり手と一緒に実践してきました。
▶インクルーシブデザイン 共創プロジェクト、研修事例(Halu)

うち、6件が商品、サービス、空間として実装され、3件が進行中です。

見過ごされてきた経験から生まれる、より多くの人に届く商品
その中の1例として、はごろもフーズの役員勉強会では、食べることに制約がある方の食形態や障害児家族の食事について、お伝えしました。

例えば、息子は噛むことができないので、パスタはハサミで細かく刻んで出しています。

たくさん食べるので、毎回、手がとても疲れます。
一方、はごろもフーズには、マカロニの用途を広げて国内のパスタ市場を活性化したいという事業戦略がありました。

そこで、最初から小さければ、もっと食べやすく、使いやすいのではという視点が生まれ、長さ8mmの、スプーンですくえるマカロニ「ポポロ®プチマカ」が2026年8月に全国発売されました。


▶はごろもフーズ、「ポポロプチマカ 早ゆで3分(80g、160g)」を発売(日経新聞)
離乳食にも、時短にも、多彩なメニューにも使え、より多くの人に届く商品になりました。
見過ごされてきた経験をプロダクトに掛け合わせれば、届く人も、使われる場面も、選ばれる理由も増えます。

「支えられる側」から「社会をつくる側」へ
息子は今10歳ですが、バスが大好きで、夢はバスの運転手さんです。

毎週末、ここ京都の市バスに車椅子で乗りに出かけ、案内係のおじさんとはすっかり顔見知りです。

その夢が叶うかは、分かりません。
でも、今できないことを理由に、息子の将来の選択肢を決めたくはありません。
まだ想定されていない一人も、最初からものづくりに参加できる社会なら、息子も支えられるだけではなく、社会をつくる側にもなれるはずです。

商品、サービス、空間をつくっている皆さん、HaluとIKOU インクルーシブパートナーを仲間に入れてください。

私は今でも、ものづくりには暮らしを変える力があると信じています。
制約のある一人から、より多くの人に届くものづくりを、一緒に当たり前にしていきましょう。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成


