パーソナライズ化が進むIoT社会は「ラジオの表現」から学べ! | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

6. パーソナライズ化が進むIoT社会は「ラジオの表現」から学べ!【終】

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「ラジオパーソナリティが語る音声コンテンツの魅力とは?」、全6回シリーズの(最終回)は、会場からの質問「テレビからラジオに移行したときと、現在のインターネット・動画・音声が共存する違い」について、スピーカーたちが回答します。聴く側のほうが進化が速い、今の時代の特徴とは? 今後の音声コンテンツの可能性にまで、読み応えたっぷりの議論を最後までご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。最新情報は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プレミアム・スポンサーのベクトル にサポート頂きました。



【登壇者情報】
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 5B
ラジオパーソナリティが語る音声コンテンツの魅力とは?
Supported by ベクトル

(スピーカー)

井上 佳央里
Radiotalk株式会社
代表取締役

嶋 浩一郎
株式会社博報堂 執行役員/株式会社博報堂ケトル エグゼクティブクリエイティブディレクター

中村 洋基
PARTY Founder / Creative Director ヤフー株式会社(MS統括本部ECD) / 電通デジタル(客員ECD)

深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役

渡邉 康太郎
Takram コンテクストデザイナー / 慶應義塾大学SFC特別招聘教授

(モデレーター)

中竹 竜二
株式会社チームボックス 代表取締役

ラジオパーソナリティが語る音声コンテンツの魅力


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最初の記事
1. 元ハガキ職人、ラジオで活躍するスピーカーが集結! 音声コンテンツの魅力を語り尽くす!

1つ前の記事
5. Clubhouse、速聴トレンド、ユーザーが開拓する音声市場の可能性

本編

中竹 そろそろお時間で、大勢の方が会場に来てくださっていますが、もし質問がある方がいらっしゃったら、どうぞ。

質問者1 お話ありがとうございました。

ベースフードの橋本です。


橋本 舜
ベースフード株式会社
代表取締役

1988年大阪府生まれ。東京大学教養学部卒業後、株式会社DeNAに新卒入社し、新規事業を担当する。2016年、ベースフード株式会社を創業し、「主食をイノベーションして、健康をあたりまえに」をミッションに掲げ、世界初の完全栄養の主食 BASE PASTA を開発し販売開始。2019年、世界初の完全栄養のパン BASE BREAD も販売開始。「ICCサミット FUKUOKA 2018 スタートアップ・カタパルト」準優勝。「EY Innovative Startup 2020」受賞。

COTEN RADIOも聴かせていただいています。

深井 ありがとうございます。

ラジオからテレビに技術発展した時代と現在の違い

橋本 ポッドキャストはお話しいただいているとおり、音声というのは特別な意味合いがあるなと思っています。

嶋さんや皆様にうかがいたいのですが、ラジオに対してテレビは技術発展な感じがあったし、テレビを見ている人が9割いたらラジオを聴いている人は1割で、少数はのイメージがありました。

今はYouTubeに対するポッドキャストは9:1というイメージはあまりなくて、ポッドキャストを聴いている人も結構いるし、YouTubeを視聴している人も結構います。

僕もNetflixを見ているし、ポッドキャストも聴いていて、多数派と少数派という感じではなくなっているような気がしています。

今のお話も技術の前と後という感じよりは、お互いそれぞれ役割分担があるよねという感じだと思うので、そういう意味だとラジオからテレビになったという現象と、今のインターネットにおいて動画と音声があるという現象についてどういう違いがあるのか、ご意見を聞いてみたいと思います。

中竹 面白いですね。特にどなたに聞きたいですか?

橋本 嶋さんやテレビ、ラジオの両方に関わっていた方に聞きたいです。

中竹 では嶋さんからお願いします。

聴く側のほうがメディアより進化が速い

 そうですね、新しいメディアは前のメディアをどんどん包含していくわけじゃないですか?

テレビの中に音声も含まれているし、インターネットの中に映像も音声も含まれていくみたいな、新しいテクノロジーは今まであったテクノロジーをどんどん包含していって、おっしゃる通りに使い分けしているんでしょうね。

そこの使い分けをしている人たちの気持ちやマインドを、コンテンツを作る人やメディアを伝える側の人間が今ちゃんと突いているかというと、さっきの速聴もそうですが、聴く側のほうが、どんどん進化していってしまっています。

身体的にも、そういう感じはしますけれど、(井上さんに向かって)一番現場でやっていてどうですか?

ライバルとしてのYouTubeはどうですか?

井上 二項対立にはしていないですね。RadiotalkはむしろYouTubeもやれる人には、どっちもやることをお勧めすることもあります。

というのは、顔出しできる人と、絶対Twitterでも本名も顔も出さない人もいます。

 それもある意味の使い手の使い分けだよね。

井上 そうですね。社交的・内向的に近いかもしれませんが、Radiotalkでの定性調査では、配信者の多くが内向的に当てはまる人だったりしますので、提供側の属性の違いはあるかもしれません。YouTubeが向いている人と、音声が向いている人といるという。

 確かにお笑いタレントのテレビでのしゃべりと、ラジオに出た時のしゃべりとでは内容も違って、「ちょっとここだけの話ね」みたいな話もラジオだとできてしまうところがあります。

情報の「乗り物」がラジオに変わった時の、今日前半に話していた一体感や享受性が醸し出す聴き手との関係性や、テレビが持っている聴き手との関係性とか、テレビは「皆さんのための」メディアで、ラジオは「あなたのための」メディアだから、TBSのアナウンサーがテレビに出る時とラジオに出る時でしゃべり方を変えるのと一緒で、確かに発信側の使い分けがすごくあるかもしれませんね。

井上 「動画から音声」というよりも「テキストから音声」のほうが、技術発展の前後を考える上では近いかもしれません。それこそRadiotalkだとユーザーがガっと伸びるタイミングは最初はブロガーがすごく流入した時で、書くより話すほうが楽みたいな感じでした。

次がマンガ家がすごく流入した時で、YouTubeに顔出しはできないけれど、伝えたいメッセージはもっとたくさんあってみたいな感じだったり、そういう違いかもしれないですね。

 そこは確かにまだいろいろ掘りたいですね。

中竹 なかなかいい問いですね、皆さんが即答できないような問いはいいですね。

効率化に行き過ぎたマーケティングに「余白」を

中村 メディアというと広告の話になってしまいますが、基本的には映像というものでさらに感覚を奪ってあげたほうがより的確にパワフルに伝わります。

基本、今のテレビCMのマーケティングとかでやっていることは、皆さんをバカにさせているわけですよね。

「ダウンロードと言わないと分からないでしょ? しないでしょ?」と。

だから「今すぐダウンロード!」と言っているわけですよ。

嶋さんがおっしゃっている、「行間を読め」とか「余白がいいんだよ」というのは自分の頭で能動的に考えさせるという、「今すぐダウンロード」とは逆の作業をやっているので、獲得には実は向かないことが多いし、そもそもそういう意味で音声メディアは結構面倒くさいメディアなんですよね。

ある程度自分が意識を集中させないと話していることの文脈が分からないのに対して、テレビCMの15秒だったら、「お姫様がさらわれました」「キャーッ!」みたいな突然のシチュエーションも一瞬で視覚的に分かったりするわけじゃないですか。頭を使わなくても見てすぐわかるから。

本当は広告のクリエイティブを作っている側からすると、ちょっと時間もかかるし面倒くさいけれど、一番面白いのは行間を読ませるというか、「ああ、こういうレトリックがあったんだよね」みたいなところがおいしいところだったりもします。本当は効率化だけに行かないでほしいのですが、メディア論でいってしまうと、考えさせないほうが絶対獲得にはいいんですよ。

そこのバランスを、日本というマーケティングのメディア界が、全体で効率化に行き過ぎてしまっている部分に、もうちょっと「余白」を取り戻してくれないかなと思っています。

IoT社会における発信は「ラジオの表現」に学ぶべき

 この話はすごく大事だね。もう1つ今日話そうと思っていたのはDX化とかIoT化が進むと、いろいろなところが生活者と企業の間のインターフェースになってくるわけじゃないですか?

▶参考:IoTとは?IoTの普及でビジネス環境はどう変わるのか – ビジネスWebマガジン「Future Stride」|ソフトバンク (softbank.jp)

クルマがコネクテッドカーになれば、それこそさっきの音声でクルマとやり取りすることになるし(Part.3参照)、スマートホームができれば鏡がメディアになっていくかもしれないし、そうしたときに効率化だけを目指すとだめで、より企業と生活者にパーソナルな関係性が求められるようになっていくわけですよね。

インターネットができた時は、ホームページを作って、「皆さん」という不特定多数に情報を発信すればよかったのが、Twitterなりタイムラインができて、次にアプリができて、どんどん個人にフォーカスしていく中で、今ショートメールサービスなどは完全に1対1になっていくわけです。

そうするとラジオのしゃべり方というか、みんなにしゃべっているのだけれど私に向けてしゃべっているみたいな表現は、すごくIoT社会の企業の情報発信にすごく必要になってくると思いますね。

だから、そこはラジオに学ぶべきことというのはあるのかなと思います。

渡邉 マスメディアが得意だったことは、1つの情報を多くの人にブロードキャストするということだから、聴取率や視聴率が大事だし、したがって扱うテーマもあらゆる人に関係する大きなテーマを扱う、「広く浅く」が大事だった。これまでは、マスメディアがロングテールの頭のほうを狙っていたんですね。

一方で、これから始まってくる音声プラットフォームは、ラジオのように、「狭く深く」が追求できるようになる。

ロングテールの尾のほう、長い細い多様な価値観をターゲット別に考えていける余地を作るからこそ「民主化」というキーワードが出てくるし、Clubhouseにはたくさん部屋ができるし、ということだと思います。

ここで何をするかというと、個々のニーズに合わせて全然違うものを打ち込んでいくという方法がまず1つあると思います。

例えば「食」だったら、ベジタリアン、フレキシタリアン、ペスカタリアンみたいな感じで増えていく。そこで、まだ名前が付いていない「○○タリアン」みたいなものを新たに届けますみたいなものが、「個別」です。

他方、個別にしない道もありえます。実際は1つのものを提供しているのに、みんなが自分だけのものだと思ってしまう、同床異夢の幸せな空間を作るということ。それが「銀座のママ理論」(Part.2参照)で、それが古き良きラジオ的な状況なのかもしれませんね。もしくは、この2つを組み合わせるということでしょうね。

「音声コンテンツの魅力」を総括

中竹 ありがとうございます。

こんなに僕がしゃべらなかった回も……(笑)、いや、これは新鮮でいいですね。

モデレーター冥利に尽きましたね、今日は。

残り5分となりましたので、お一方ずつ、今日のテーマに戻ってお話しいただきましょうか。

「ラジオパーソナリティが語る音声コンテンツの魅力とは?」を順番に井上さんから言っていただき、クロージングしたいと思います。

井上 今日お聞きできたお話が本当に面白くてエンタメで、音声をエンタメにするには経済を生まないといけないというか、経済が生まれないエンタメは衰退するので、音声のエンタメを生むために経済を生む仕組みを作る決意が改めてできましたし、かつエンタメを文化にするまでのことを考えると、今の音声市場には文化的な思考が本当に必要だなと思います。

文化的尺度で音声コンテンツを見るということがすごく重要だというところで、「これが勝ち筋の型だ」というふうに張ってやっていくだけではない難しさがあって、だからこそバリエーションがこれからたくさん生まれるところが音声コンテンツを今やっていくことの魅力だなと思いました。

ユーザーと文化を共創するメディア

 音声コンテンツの魅力はいろいろありますが、最大の魅力は今日もお話ししましたが、聴き手のクリエイティビティや創造力にある意味託すところが大事で、聴き手は聴き手で「余白」の部分を想像していくという、聴くということはすごくクリエイティブな作業だと思います。

広告あるいは皆さんが企業の経営者としてコミュニケーションしていくと考えたときに、この後、情報伝達を単純にしていく、「今すぐダウンロード」ではなくて、一緒に新しいライフスタイルやカルチャーを創っていく、カルティベイトする(耕す)ということをユーザーと一緒にやっていかなければいけません。

カルティベイトする、文化を一緒に創るメディアとしては、今のところすごくポテンシャルを持っているのではないかと思いました。今日はどうもありがとうございました。

中村 めちゃくちゃ楽しく議論に参加させていただきました。ここで久しぶりにしゃべるだけでも面白いなと思いました。

ClubhouseでGREEの荒木英士君がマルチアカウントで、全然違う性格でClubhouseにログインしたら、出てくるプレイリスト内容がものすごく違っていた。すごいフィルターバブル状態(※)と聞いて、まあニッチだからそういうふうにコミュニティというのはある程度フィルターバブルが正しいんじゃないかなみたいな全然違うことを思っていたんです。

▶編集注:自分の見たい情報しか見えなくなる状態

マスとニッチ、という話や、音声メディアの可能性に対して、素晴らしいみなさんとセッションができてよかったです!

「教養×音声」の可能性を探りたい

深井 僕があまり音声コンテンツを享受する側ではないから、いろいろな分析を聞いて非常に勉強になったなというのが一番ですね。次回があったら音声コンテンツの魅力を皆さんとしゃべりたいです。歴史の音声コンテンツをやる中で「教養×音声」はすごく相性がいいなと個人的に感じています。

ながらでも聴けるし、感情も揺さぶられるし、想像力をかき立てられて学ぶ先としてもすごくいい。そこのあたりの可能性を、今度また皆さんとしゃべってみたいなと思いました。ありがとうございます。

渡邉 繰り返しになってしまいますが、自分なりの心のまとめは、

聴くことは、想像力を刺激する。

聴くことは、時間の隙間に入り込む。

聴くことは、感情の隙間に入り込む。

聴くことは、耳だけの仕事にあらず。

という感じでしょうか。

音声コンテンツは「五感」で磨く

中竹 最後にまとめていただきありがとうございました。僕自身も非常に勉強になりました。

皆さんがモデレーター役を感じながらやっていただけたのがすごくありがたかったです。

僕が聞いていて思ったのが、僕はラグビーのコーチや日本代表の監督をやっていましたが、コーチの仕事は音声コンテンツなんです。

たぶんここにいる経営者の方は、オウンドメディアで考えると一言一言が全部コンテンツになるとともに、僕は実は監督の時にずっとボイストレーニングをやっていたのです。

なぜかと言うと、音が勝負だと思っていたからです。

身体で鳴らすんですね。「気合い入れるぞ!」とカツを入れるのと、落ち着かせるために「集中しよう」と言うのでは、全然違うじゃないですか。

どうやってコンテンツを磨くかということをずっとやり続けて、今日の話を聞いていて、まさに五感だなと思ったので、まだまだ音声コンテンツの魅力はあると思います。

会場の皆さんがアンケートでいい点を付けると続編になりますので、ぜひよろしくお願いします。

ということで、今日は皆さんありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林 弘美

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