【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2027 開催情報詳しくはこちら

バイオものづくりで脱ナフサ、「発酵工業」で半導体・化学産業に資する「ミーバイオ」(ICC KYOTO 2026)

▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
▶過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

ICC KYOTO 2026 ディープテック・カタパルトに登壇した、ミーバイオ 早水 建祥さんのプレゼンテーション動画【バイオものづくりで脱ナフサ、「発酵工業」で半導体・化学産業に資する「ミーバイオ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2027は、2027年3月1日〜3月4日 福岡市での開催を予定しております。詳しくは、こちらの公式ページよりご確認ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

▶【速報】極細ケーブルで超電導を社会実装、電力業界に産業革命を起こす「日本超電導応用開発」がディープテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2026)

▼
【登壇者情報】
2026年8月31日〜9月3日開催
ICC KYOTO 2026
Session 7A
DEEPTECH CATAPULT -ディープテックが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

早水 建祥
ミーバイオ
代表取締役
公式HP

東北大学工学部材料物性学科卒業。大学卒業後は、雑誌の編集者から始まり、広告プランナーとしてのキャリアを積む。12年前の大病という経験を一つの転機に、現在に至るAI新時代を見通して、広告領域からディープテック領域への転換を目指し、人生を大きく踏み出す。2019年、東京大学の佐藤守俊教授と共同で株式会社ミーバイオを創業。素材分野の素養と、PRとコミュニケーションの実務経験、そして社会課題を起点とする起業家精神を併せ持ち、大学発スタートアップの社会実装を牽引している。
▲


早水 建祥さん はじめまして。株式会社ミーバイオ代表の早水です。

本日はこのような機会を頂き、ありがとうございます。

私たちは東京大学発スタートアップで、脱ナフサ社会を目指し世界の産業を支える「バイオものづくり(※)」にチャレンジしています。

▶バイオものづくりとは、再生可能なバイオマス資源を原料に、微生物や酵素の力で化学製品や素材を環境負荷少なく持続可能に生産する技術。脱炭素・脱石油社会の実現に貢献する、革新的な製造手法として注目されている。

脱炭素や気候変動問題は人類にとって前哨戦に過ぎない

まずはじめに、人類にとって脱炭素、気候変動問題はあくまで前哨戦です。

最大の課題は、いずれ必ず枯渇する資源に対する「脱ナフサ、脱石油」にあると思っています。

そしてまさに今、日本がその課題に疑似的に直面しています。

私たちが着目するのは、こちらの芳香族化合物(ベンゼン環が付いた化合物)です。

これらは、半導体関連素材をはじめとした超成長産業を支える、とても重要な原料です。

そして、この原料はナフサ(粗製ガソリン)からしか作ることができません。

ナフサ一択であるのが現状です。

ナフサの代替手段となる「バイオものづくり」

私たちは、これに対し、サトウキビ、トウモロコシ、キャッサバなどを原料として、全く同一の素材を作ることに取り組んできました。

皆様がイメージするバイオだから壊れやすいといったことはなく、スマートフォンやAIデータセンター、産業用ロボットなどに接続するパイプラインを、すでに開発しています。

ICCサミット_ミーバイオ事業紹介_page-0004.jpg

お客様からは、私たちが作ったバイオ芳香族化合物は、石油由来と同じ素材であるという評価をいただいておりました。全く同一の素材であるために、石油由来との置き換えも容易で、お客様の生産ラインに追加の投資は必要ありません。

ナフサが潤沢だったこれまでは、(ナフサの代替手段を)誰も気にしていませんでした。

ただ、今のようにナフサが手に入りにくい世界において、半導体製品が供給できないということは、国家としてあってはならないことです。

▶︎中東情勢の緊迫化と日本の対中東貿易・エネルギー調達(JETRO)

つまり、脱ナフサというのは日本国にとって脱炭素に加えて、経済安全保障でもあります。そして、芳香族化合物の生産においてナフサの代替手段となるのは、バイオものづくりのみ。

これが、重要な事実です。

バイオものづくりのボトルネックは「増殖阻害」

では、なぜミーバイオは、この市場で勝つことができるのか?

私たちの技術を使えば、バイオ由来であっても、石油由来と比べて同じ価格帯で芳香族化合物を生産できることが大きな強みです。

「バイオだから高い」「バイオは壊れやすい」、そういうことはありません。

私たちは、ここで勝負をします。

では、そもそもなぜバイオ由来では高額になるのか?

そこに、バイオものづくりならではの大きな技術課題がありました。

それは、芳香族化合物が持つ毒性です。芳香族化合物は毒性が強いものが多く、生産菌を殺してしまいます。

芳香族化合物は、確かに大腸菌などの菌で作れるのですが、その菌自体を殺してしまって菌が増えないため、大量生産が難しいのです。

これは「増殖阻害」という非常に厄介な課題です。

「増殖」と「生産」を光で切り替え、増殖阻害の課題を突破

この課題に対して、私たちは独自のソリューションを持っています。

とてもシンプルですが、パワフルなものです。

増殖フェーズ、生産フェーズを、安価な「光」によってスイッチするのです。

まず菌が増えることに集中し、その間は毒性のあるものを作らず、光を当てることで菌の代謝経路を変えて、一気に毒性のある芳香族化合物などを作るということです。

この技術によって増殖阻害を解決し、安価に大量生産につなげます。

これが私たちの独自性であり、ソリューションです。

東大発の世界的研究シーズを社会実装へ

この技術を支えるのは、東京大学佐藤守俊教授の素晴らしいシーズです。

佐藤教授は光制御技術の世界的なイノベーターで、これまで素晴らしい論文を発表してきました。(※このピッチの後、本年のノーベル生理学・医学賞に「光遺伝学」が選ばれるなど、世界が注目する最先端の技術群)

▶︎ノーベル生理学・医学賞にカール・ダイセロス氏ら3人 脳の謎解明に寄与する技術の開発で(CNN.co.jp)

佐藤教授が持つ素晴らしいシーズを社会に実装していくことは、まさにディープテック・スタートアップの使命であり、それが私たちミーバイオです。

私たちの独自性は、「mii-Bioprocess(光制御型バイオ生産システム)」です。その中身は、「光スイッチスマートセル(高度にデザインされた光制御型の菌)」と「光照射バイオプラント」です。

スマートセルを開発する技術を持つ素晴らしい会社はたくさんありますが、私たちはスマートセルを開発するだけでは足らず、発酵生産プロセスの制御こそが重要だと考えています。

私たちは、このmii-Bioprocessを特許および目に見えないプロセスやノウハウによって守っています。しっかりと参入障壁を作り、成長していきます。

タイでの糖源確保とグローバル展開 

技術を持っているだけでは、市場で勝つことはできません。

私たちの市場参入戦略について、お話しします。

私たちが市場で勝つには、化学品原料を、化学会社にたくさん供給することが必要です。

そのためには、私たち自身の原料となる糖源を安く大量に確保しなければなりません。

私たちはサトウキビが豊富なタイにすでに進出しており、タイの複数の製糖メーカーともしっかりLOI(Letter of Intent、意向表明書)やNDAを交わして協議を進めています。

タイで開かれた国際ピッチイベントでは賞を獲得し、タイの工業省にも訪問してタイ進出に向けて具体的に話を始めています。そしてこれらの実績を評価いただいて、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のタイ向けの補助金を獲得するなど、着実に事業を進めてきました。

そして、この仕組みは、タイに限らずサトウキビが豊富なインド、オーストラリアといった国でも横展開が可能で、私たちはすでにそれらの国のパートナーと話をしています。

特にインドは、半導体関連産業の世界的な集積地になります。そこに大きなチャンスがあると私たちは考えており、私たちのバイオものづくり技術で、ASEAN、インドに進出していきます。

化学だけでなく農業、製糖産業も顧客となるビジネス

ビジネスモデルは、2つです。

「ライセンス」と「自社生産販売」です。

自分たちでバイオ化学品原料を作って、化学会社に販売する2番目のビジネスモデルはイメージが湧くと思いますが、ユニークなのが、1番目のライセンスモデルです。

私たちは化学会社だけが顧客ではなく、農業の会社、製糖産業も顧客になります。

なぜなら、彼らは豊富な糖源を活用して、砂糖よりも利益が高い半導体産業に接続していくことに対して、非常に強い興味を持っているからです。

農業の世界にも、化学の世界にも産業構造改革が今起きつつあり、私たちはそれをつなぐユニークな技術を持っています。

つまり、私たちの顧客は幅広く、化学会社だけではないことも、私たちのビジネスの大きな特徴です。

そして追い風は、政府の日本成長戦略で定められた17の戦略分野です。

合成生物学だけでなく、GX(グリーントランスフォーメーション)、半導体といった大きな複数の政策の流れを接続する非常に稀有なポジションにいるのが、私たちミーバイオです。

半導体・化学品市場への本格参入を果たす事業戦略

マイルストーンです。

ラボでの技術実証が終わって、NEDO DTSU STSの補助金をいただきながら、私たちは今、パイロットプラントの建設を始めようとしているところです。

日本でパイロットプラントを建設し、次にタイでは実証プラントを作り、そこからさらにmii-Bioprocessをお客様にライセンスアウトして、事業を拡大していきます。

エクイティストーリーでポイントとなるのは、私たちはバイオ銘柄ではないということです。

あくまでバイオは手段です。

私たちの事業である半導体および化学品銘柄として株式市場に参入していく、これが私たちが描いているエクイティストーリーです。

日本のお家芸「発酵工業」の知見を持つチーム

チームです。

そもそも「発酵工業」は日本にとってお家芸であり強みです。

日本には協和発酵バイオ、味の素という素晴らしい会社があり、それらの会社出身のメンバーが私たちのチームにいます。

ラボでの研究開発だけではなく、原料調達から大規模生産、分離・精製、顧客開発、市場開拓まで、私たちは一気通貫してチームとして取り組んでいます。

着実に、このチームで成長を遂げてきました。

1社では解けない巨大な課題へ、共創の力を 

最後に、脱石油、脱ナフサについてです。

このまま無制限に使い続ければ、いずれ化石資源は枯渇してしまう、これは確定した未来です。、そしてこれは、日本だけに限らず世界にとって非常に大きな課題です。

エネルギーの問題は、例えば再生エネルギー、原子力、核融合と、さまざまなな技術が開発され、多くが社会に実装されています

一方で石油化学品は、人類は代替手段への開発や取り組みを一生懸命進めていますが、なかなか良い手段にたどりつけていません。

私たちは、この非常に大きな課題に対して、とても1社だけでは解決できるとは思っていません。

ここにいるスタートアップ、事業会社の皆様の共創が必要であり、脱ナフサ、脱石油は人類みんなで解決する問題だと考えています

ぜひ、この課題解決に対して、皆様のお力添えをどうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
▶過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!