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「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」【F17-2C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その7)は、色んな人との出会いが革新を生むことについて議論して頂きました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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中竹 常に先を考える中でも、色んな人との出会いで引き寄せた感じがありましたが、出会いで自分が開花したとか革新したという経験はありますか。
太刀川 そんな出会いばかりです。
何かが起こる前や、誰かと会う前から、何かを作りたいと思ってることはあんまりないんですよね。
その状況に対して一番いい流れが生まれるのはどういう状況なんだろう、というのを考えるようにしているし、各務さんもそうだと思うんですが、多分それがプロデュースするということなんですよ。
ポテンシャルは既にあって、そのポテンシャルをどういうふうに繋ぎ変えるとポテンシャルが無いとされているものをポテンシャル化できるのか、というところを一番エキサイティングだと感じるので、誰かと会わないと始まらないと思います。
会って、僕の場合はデザインしか考えられないので、デザイン的に見たらもっとこうなれるのにとか、こういうふうにちゃんと伝達できてないよねとか、こういうふうな状況の方がふさわしいだろうとか響くだろうとか、そういうのを既に取り組まれている人の方が感じやすかったりするんです。
何もない状況よりも、やってきてみたんだけど何かが足りなくて、というような状況で会うと始まることはよくありますし、始まるきっかけはちょっとしたことだったりします。
目的をもって人と会っても無意味
川上 最近、色んな人と話す機会があったのですが、これをやりたいからこの人と会いたい、というのは意外と無意味なんです。
それは、自分のバイアスの中で、この人はこういうことができるだろうから、という概念を作ってしまっているので、新しい革新は絶対生まれないですよね。
最近色んな人と話していると、革新的なことをやってる人は意外と「自分はこんなことをやりたい」というのを色んな人に話してるんですよね。
話していると、「俺聞いたよ」という感じでなんとなくがーっと集まってきたのでやるというケースが多いんですよね。
「こういうことを何となくやりたいよね」としゃべっていたほうが色んな人が集まってきやすいのかなと思います。
「これやりたいんです、だからあなたにアプローチしました」だと、目的になっちゃっているので、固定概念から抜け出せてない、というのがあると思うんですね。
中竹 そこからイノベーションは起きないですね。
各務さんも同じですか。
各務 そうですね、最近敢えて自分を異質なところに入れるというのがちょっとマイブームかもしれなくて、お能を始めてみました。
京都に金剛流という流派があって、そのお家元のお稽古をご縁あって受けさせていただいています。
各務 一応僕も仕事をしているので、その中で3時間お昼にお能の稽古に行く、というこのギャップ感がすごいんですけど、本当に文化度の高いお家元の話を延々聞かせて頂いて、そこにいると普段自分が使わない脳波が出てきて、お稽古終わったあとに書く企画書とかがいつもとチューンが違うというか、これはやめられないなというのは感じています。
革新を生み出すモチベーションとは?
中竹 出会いとか目的とかというキーワードが出てきましたが、皆さんが伝統の中で色々革新を生み出していますが、そのモチベーションは何でしょうか。
分かりやすくいうと、世の中をもっと良くするために戦っているモチベーションなのか。
太刀川 僕はデザインの人なので、純粋にデザインが上手くなりたいです。
中竹 世の中は関係ないと。
太刀川 そうなんですよね。
でもどの角度で切り取っていくと今見れていない切片と出会うのかが分からないので、デザインとあまり出会っていない切片にデザインというものを突き刺しまくってみると、こんなところからも汁が出ることもあるか、みたいな感じでやってます。
それは結構僕には面白いことで、何でもいいからマルチセクターで会っていればいいということではなく、多分どこかでディープなところを1本持っている人達が会うことがすごく大事だと思うし、僕は、他のことをうっすら理解してもデザインの人でしかないだろうなと、そうなような気がするんです。
それはどれだけクリエイティブでも西高辻さんは神職だし、川上さんは副住職だという、そういうことと近いと思います。
そういうことなんじゃないかな。そこは、ずれない部分としてあるんじゃないですかね。
菅原道真公なら、どうご覧になるか
西高辻 1つは、1,100年祈りの形が続いているものを絶やしてはいけないな、という想いがすごくあるんですが、なんでこういうことができるかというと、今の時代にうちでいうと菅原道真公が生きていたら、これはどうご覧になるかな、喜ばれるかな、とか置き換えて考えるんですね。
そうすると、道真公は革新的なことを色々やっていた方なので、「これは大丈夫だ、OKだ」と思って、実際に「やろう」と思います。
変な話しですが、自分の事と道真公で問答をしているような感じで、それはもちろん答えはないかもしれないですが、今の時代にいらっしゃったらどうお考えになるか、ということをやり続けるというのが原点としてあります。
そして、神社はまちの中、人の中で生きているということがあるので、アーティストを呼んだ時に必ずワークショップをしています。
地元の人とワークショップをやることによって地元の人にも還元していけるということと、作品もアーティストも先程のようにお互いに刺激を与えることができるということ、そして作品を収蔵することによって未来の宝物を作り、それをずっと神社に残していけるということ等、色んなことを考えながらやっています。
没頭し終わった後に幸せを感じる
川上 私の場合はアートとかではなくて、どちらかというと脳の構造や働きになりますが、でも仏教はもともとそんなものだと思うんです。
考え方や世の中をどういうふうに自分が受け止めているかとか、現実は本当はどういうものだろうと考えていくのも仏教で、特に禅宗の世界は自分の注意が今どこにあるか、ということに非常に注目するんです。
私も自分の注意がどこにあるのか、注意を一番向けられるものは何だろうと考えると、「注意のことを考えること」だったんですよね。
そういう中で育っていたので、自然と知らないうちにマインドフルネスの世界に入っていったり、注意を向ける、没頭するということを今の人達に教えるのが私の仕事かなと思っています。
没頭することはみんなに幸せを与える、これはミハイ・チクセントミハイという「フロー」を研究した人が言っていて、また最近、石川善樹氏が出した本にも書いてるんですが、没頭している時に幸せを感じているわけではなくて、没頭し終わった後の満足感に対して幸せを感じるんですね。
そういうことを今の人達に教えたいです。
特に没頭することって今多分あまりないと思うんですよね、コンピューターのスクリーンがあってiPadを見てそしてスマホも見てる、という状況になると、没頭するということがなくて、常に色んなところに注意が向いています。
そういうところを変えることによって、今の人達に幸せとはどういうものなのかを考えてもらいたいので、社会起業家的な考え方もありつつ、違うアングルで今の人達を幸せにしたいというのがモチベーションになっているのかなと思います。
各務 僕は単純に京都の若旦那と仲良くなりたい、という下心が当初のモチベーションだったんですね。
若旦那は祇園のお座敷でとっても素敵な遊びをしてるに違いない、という。
ところが、京都はコミュニティーがすごくしっかりしているので、例えば家の中の家具とか生活に必要なものに対して、色々仲間のものを使わせていただいていて、顔の見える生活が京都では実現可能だったりします。
そういうことをさせてもらうと、無責任にはできないというか、ちゃんとこの人達の家族や生活に少しでも良い影響を与える仕事ができたらいいな、という柄でもない責任感が生まれてきてしまいまして、そこがモチベーションになってきました。
中竹 ありがとうございました。
皆さんそれぞれ伝統の中から革新を生み出すモチベーションが違うことが分かりました。
いい感じでまとまらなくなったので、ここで質問を受けたいと思いますが、会場から何かご質
問ありますか。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/城山 ゆかり
続きは 100年後に結果が分かることを「今」どう判断するのか? をぜひご覧ください。
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【編集部コメント】
続編(その8)では、100年後に結果が分かることの学習サイクルをどう回すのかという質問に対し、太宰府天満宮の西高辻さんと春光院の川上さんに答えて頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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