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「技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」」【KT16-1B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その9)は、エクスビジョンの森本さんに大学発ベンチャー創生システムについてお話頂きました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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2016年9月8日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC TECH」
TECH Session 1B
技術シーズの事業化のケーススタディ 「エクスビジョン & ユーグレナ」
(スピーカー)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
リアルテックファンド 代表
森本 作也
エクスビジョン
COO
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社 代表取締役
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【前の記事】
【本編】
小林 本日は、(ご来場されている)弁護士の方が結構多いですね。それでは弁護士・伊藤さんご質問どうぞ。
伊藤 弁護士の伊藤と申します。
私は、先ほど質問された安西さんたちと一緒に、医学部系のトランスレーショナル・リサーチの仕組み作りをお手伝いしています。
大学の仕組みとして、このようになれば、大学発ベンチャーが促進されるのではないか、という点があれば教えてください。
例えば、京都大学もそうですし、東京大学もそうですが、産学連携本部が設置されています。
しかし起業を促進するドライバーというよりは、大学の権利を守るための組織のようになっており、必ずしも先生たちを後押ししていないというところもあります。
例えばスタンフォード大学などと比較して、こういう仕組みがあればいいのに、というものがあれば教えていただけますか?
株をおさえて「勝手にやらせる」スタンフォード
森本 自分自身の知識からしか申し上げられませんが、私がいたスタンフォード大学の例でいえば、同大学独特の形で、Ph.Dの学生がそのままキャンパス内で起業をしているんですよね。
ポスドクの人たちが起業していても、研究室などをそのまま使っています。
大学側がやっていることといえば、起業した会社のストックを持っているだけ、それ以外は何もしないんです。
勝手にやらせている。
やりたい人に任せて、成功した時の権利だけ押さえておけばよいと。
その関係というのは非常に健全で、失敗してもポスドクの人も困らなければ、学校側も困りません。
しかし、チャンスは共有できるということです。
極めて緩やかで、成功し易い組み合わせなのではないかと思います。
結局、私が付き合っていたポスドク生が起業した会社はグーグルに買収されて、そこの教授はグーグルの役員になっています。
セバスチャン・スランという画像処理の世界ではとても有名な教授なのですが。
そのような関係がずっと続いています。
ですので、無理に自分たちの権利を守るというよりは、ストック(株式)で儲かればいいじゃないかという割り切りがあるとよいのではないかなと思います。
小林 では、次に佐俣アンリ先生。
佐俣 佐俣アンリと言います。森本さん、お久しぶりです。
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佐俣 アンリ
ANRI General Partner
1984年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後リクルートに入社、デジタルコンテンツ新規事業立ち上げに携わる。
EastVenturesにてFreakOut(2014年マザーズ上場)、CAMFIREの投資及び創業を経て2012年ANRI設立、独立系ベンチャーキャピタルとして39社に投資実行。
現在20億円規模のファンドを運営中。主な投資支援先としてRaksul、Coiney、UUUM、SmartDrive、CrowdWorks(2014年マザーズ上場)、MERY(2014年DeNAに売却)、mamari(2016年にKDDIグループに売却)がある。
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私はベンチャーキャピタルをやっています。
もともとインターネット系の投資を4年、5年やっているのですが、今年(2016年)から実は技術系の投資をやっています。
東京大学の前にオフィスも構えて、今月(2016年9月)も3社くらい、技術系の会社にポツポツ投資しています。
日本で技術スタートアップの成功を生んでいくには
佐俣 お話されてていたテクノロジーベンチャーのチャンスとリスクが、まさに完璧に当てはまるなと思い、非常に納得したのですが、これを踏まえて、日本でテクノロジースタートアップを生んでいくにはどうすればいいのだろうと真剣に悩んでいます。
やはりビジネス系の人材がなかなか足りないなというのはありますし、とはいえ、ご存知の通り、東京大学の研究は素晴らしいし、学生は優秀です。
世界で、そしてこの激動のマーケットで戦われた中で、反応を外から見て、日本の技術スタートアップは何をやっていけばいいと思いますか?
できれば具体的にまずこれをやれと、先ほど永田さんがおっしゃったように、ICCカンファレンスに呼び込みましょう、というような発想はとてもいいと思うのですが、具体的に何をやっていけばいいのでしょうか。
森本 一例として私が何をしているかということから具体的に言うと、シリコンバレーに限りませんが、Embedded Vision Allianceというフォーラムがあります。
これは非常に特化したフォーラムで、組み込み型のコンピュータービジョンの専門家だけが集まっています。
それも世界中から、インテルのような半導体メーカーを中心として、非常に最先端の研究者と事業家、起業家が集まって議論をしているのですが、そこにできるだけ顔を出そうとしています。
フォーラムに出席すると、業界で最先端というのがどの程度なのかが分かります。
その場でとにかくネットワーク作りをして、高速ビジョンにどの程度価値があるのか、ないのかという議論を徹底的にしています。
漠然としたものではなくて、そのような分野に特化したマーケティングをしていくことで、技術やビジネスの位置づけというものが、肌感覚でつかめるのではないかと思います。
高速ビジョンに関してはそのようなことをやっています。
逆にそうしないと関係が作れないだろうなという気がします。
やはり専門家が集まる最先端の場に展示をする、アプローチをするということをしていかないと、世界のプレイヤーと情報交換するのは難しいと思います。
それができる人は世の中にいるのだけれど、それを日本につなげるかどうかが、大きな違いだと思います。
日系の、つまり日本人でグローバルのマーケットで戦っている人は存在するのだけれど、結構散在しますので、日本のベンチャー企業がその人たちを活用するというのは、一本釣りをしていかないと難しいのではないかなという気はします。
小林 よろしいでしょうか? 追加で何かありますか?
佐俣 とても面白いと思いました。
後は、今ここに比較的若い皆さんがいて、これから起業するかもしれません。
若い世代は、まず第一歩として何をしていけばいいと思いますか? なるべく、若者たちが明日からできるようなアイデアを共有していただければと思います。
若い世代は自分の得意分野以外の世界を知らない
森本 私が言うのも僭越なのですが、私は今 盛んに起業している世代のひとつ前の世代なんですよね。
私が今なぜこのような立場にいるのかというと、我々が若い頃は起業家なんていませんでした。
国際、グローバル、海外に出る、という人の方が多く、私もむりやり海外に出ました。
当時ソニーにいたのですが、海外赴任や留学の道を選びました。卒業したら、起業ブームが起きていたのです。
ですので、私は別の方向から来たわけです、起業の側からではなくて。
後になって振り返って、若い人たちと触れ合った時に少し自分と違うなと思うのは、国内の自分の分野に関しては非常に強いですし、頭も切れるし、知識も豊富なのだけれども、その世界以外のことをあまり知らないなということを、正直感じます。
私はどちらかというと、今ある目の前の市場の外のことをまず知るというプロセスもあっていいのではないかと思います。
異文化の人たちとコミュニケーションをし、異文化の人たちをマネジメントするトレーニングの場がどこかにあれば、そのスキルと技術・ビジネスのスキルとを組み合わせることができたら、自ずから道が拓けるのではないかと思います。
そういう場を作ることが大事ではないかと思います。
小林 ありがとうございます。
ではお時間になりましたので、最後に森本さんから、一言、感想というか、メッセージをお願いしたいと思います。
何のメッセージでもいいのですが、「買ってくれ」でも、「頑張ろう」、でも(笑)。
何かありましたらぜひ。
日本の大学発ベンチャーをグローバルベンチャーへ
森本 実はアメリカから昨日中国へ移り、北京でミーティングを後に日本へ移動して、今朝着いたのですが、飛行機が遅れたせいで、5、60時間横になっていない状態が続いています。
▶編集注:ハードスケジュールの中で本当にありがとうございました
それでも結構楽しくやれているのは、自分の仕事が面白いからだという確信があります。
小林さんにお誘いを受けて、今回ICCカンファレンスにぜひ来てみたいというのもありました。
東京にいないために、日本の起業家の皆さんと触れ合う機会も少ないので、呼んでいただけて非常に嬉しく思っていますし、いろいろな方々と交流をしていきたいと思っています。
先ほども言いましたが、日本のベンチャーは活性化していると思いますが、グローバルベンチャーを輩出するという観点から語る時、そのひとつの切り口が大学発ベンチャーだと思っています。
やはり技術力が高いことは間違いありません。
これを育てるということに私自身、強い関心を持っています。
自分自身今まさに育っている最中ですが、それと並行して、何らかのお手伝いや意見などを提供できる場があれば、ぜひ呼んでいただければと思っています。
小林 どうもありがとうございました!
(終)
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鈴木ファストアーベント 理恵
【編集部コメント】
森本さんがおっしゃっている通り、日本からグローバルベンチャーが誕生する切り口として大学発技術ベンチャーは可能性があります。国立大学法人運営費交付金、科研費、ポスドク問題、日本人研究者が著者の論文数減少などなど、大学を取り巻く様々な課題とも大学発ベンチャーはこれから関連付けられて議論されていくのかな、とぼんやり考えております。(横井)
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