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【最終回】アグリテックはまだ始まったばかり。共に産業を創ろう!【F17-9D #11】

ICC FUKUOKA Session 9D 今、アグリテックが激アツだ!

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「今、アグリテックが激アツだ!」【F17-9D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!11回シリーズ(その11)では、登壇者から最後にメッセージをいただいて「激アツ」なセッションが締まりました。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9D
今、アグリテックが激アツだ!

(スピーカー)
岩佐 大輝
株式会社GRA
代表取締役CEO

小林 晋也
株式会社ファームノート
代表取締役

前田 一成
アグリホールディングス株式会社
代表取締役社長

安田 瑞希
株式会社ファームシップ
代表取締役

(モデレーター & スピーカー)
高島 宏平
オイシックス株式会社
代表取締役社長

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【本編】

高島 他に何か質問はありますか?

質問者5 東急ハンズの長谷川です、宜しくお願いします。

皆さんのビジネスとは少し違うのですが。

食べ物の中でも、今まで通りに生産するということではなく、人工的に作るということも色々なベンチャーで行われていると思います。

例えば牛乳の代わりとなる代替ミルクや、マイクロソフトの会長が投資している人工的に作ったハンバーガーのパティですとか。

今までですと人工的な食品は、体に悪いということだったと思うのですが、これらは安全に作れているようです。

今後の食品として体にも良く、美味しいという人工の食べ物がある中で、そのような食品に投資をしたり、取り組みするということは考えていらっしゃったか?

そうすれば唯一無二のような会社になるのではないかと思うのですが、その辺りをどうお考えですか?

人工食品の可能性とは?

高島 どなたかお答えできますか?

岩佐 売ってみて分かったのですが、人が食べ物に対してお金を払う時、必ずしも機能的なものだけにお金を払ってないなと思います。

ICC FUKUOKA Session 9D 今、アグリテックが激アツだ!

甘いだとか、100gいくらということだけでお金を払っている訳ではなく、食べ物のストーリーだとか、買う喜びだとかそういった情緒的なものに対して結構なお金がついているなと思っています。

したがって中長期的には分かりませんが、短期的に10年とかの範囲でそのような人工的なイチゴができたとしても、それがマーケットに代替されることはないのではないかなというイメージを持っています。

質問者5 イチゴを作るのではなくて、イチゴに変わる何か、全く新たな食べ物として、これは栄養価も高いし、保存もできるし…みたいなものが出てくるというのはありそうでしょうか?

高島 多分ですね、皆さんに補足しますと、見ているマーケットによって食のオポチュニティが全然違います。

例えばアメリカのように肥満の方がとても多い所では、肉の代替という物に対するニーズがそもそもすごく強いです。

でも日本やアジアを見ていると、そのような食生活にそもそもないですよね。

アフリカやこれからの食糧難でいうと、今注目されているのは虫ですよね。

虫は自然のものですし、養殖しやすいというか、ものすごい勢いで虫は増えるので、コオロギバーのようなものが色々なバリエーションがついていたりします。

食糧難を見ているとそうなりますが、テクノロジーは、「見ているマーケット×テクノロジー」だと思うので、登壇者の皆さんが見ているマーケットが日本やアジアを中心としていたということなのではないかと思います。

小林 酪農・畜産は牛を殺すことにもなりますので、牛乳と牛肉の代替品に今投資が進んでいるとは思いますが。

今 高島さんがおっしゃったことも踏まえて考えても、まだなくならないのかなと思っています。

循環型農業というものがあるので、牛が出した堆肥で畑ができ、そこから野菜ができてくるという循環で農業が回っています。

マーケットではない視点で僕の考え方を言うと、そういう代替品が売れていくと、畑がなくなり、草がボウボウに生い茂って、景観もすごいことになってしまいますので、ある一定は残していかなければならないと考えると、テクノロジーで良くできる部分というのはマーケットとしてもあるのかなというのが僕の感覚です。

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高島 ありがとうございます。もう一個くらい質問がありましたら。

では最後の質問をお願いします。

質問者6 ありがとうございました。

農業ベンチャーがグローバルに出ていくことはすごく大事なことだなと思っています。

それを例えば、提供する消費者としてマーケットを海外に選ぶというパターンと、生産者に売るシステムを売っていくというパターンの2つがあると思います。

そのパターンについてどのようにグローバルに出ていくと上手くいくのか?

今考えている仮説ベースでもいいので、そこを皆さんがどう考えていらっしゃるかお聞きしたいです。

高島 ありがとうございます。

では、今の質問を踏まえても踏まえなくてもいいので一言ずつお願いします。

(会場笑)

多分どなたかが踏まえます。では岩佐さんからお願いします。

農業ベンチャーがグローバルに出るチャンスをどこに見出すか?

岩佐 一応踏まえると、アジアで食べ物を作るビジネスをこれからやっていくのであれば将来的には恐らくインドと中国でやらなければだめだと思います。

圧倒的な人口差になるので。

日本のものを海外に持って行くとしても、飛行機なり船なりの輸送に、露地のコストや時間がかかるので、必ず現地の生産でやらざるを得ないということになり、必然的に技術の輸出も必要になってくると私は思います。

GRAの海外プロジェクト

ICC FUKUOKA Session 9D 今、アグリテックが激アツだ!インドのGRAマハラシュトラ農場(写真提供:GRA)

岩佐 一方で日本のかなりハイエンドな製品というものは現地化できない部分が恐らく出てくると思いますし、日本のブランドを守るためにもそういったものは日本だけで作って輸出していく。

このような切り分け方があるかなと考えています。

ありがとうございました。

小林 踏まえますと(笑)

僕達も世界を色々見ているのですが、やはり日本の生産技術は少なくとも東南アジアや中国より圧倒的に高いので、これを横展開していくということが僕らとしてはチャンスかなと思っています。

むしろ海外で牧場をやりたい位です。

それだけマーケットは牛乳を欲しがっているので、それも一つの手としてはあるかもしれません。

その時には我々が培ってきた日本の牛の管理技術というものがありますので、そういうものを展開していければいいかなと思っています。

ICC FUKUOKA Session 9D 今、アグリテックが激アツだ!

小林 日本はマーケットがそれほどありませんので、一生懸命ここに投資をしてもそこそこで止まってしまうと思います。

逆にそこから外貨を取ってくることで、格好良い言い方かもしれませんが国益にかなうので、そういった動きを今後していければなと思っています。

ありがとうございました。

日本の農家レベルは高い、がサイエンスが足りない

前田 皆さんイチゴと牛乳、私はお米を扱っているのですが、一個の品目を掘り下げていくととても面白いです。

弊社はお米を売る所も、作る所も運営している訳ですが、海外で売ってみて、国別・地域別の他の競合が出てきて、世界が見えてきたなと思っています。

競合が売っているものがどこで作られているのかを見に行くと、自分達の方が絶対良く作れるなという所がそこからまた見えてきて、「もう、これいけたな」といったビジョンが頭の中では完成しています。

あとは、それをどれぐらいの人と資本と時間で実現していくかです。

先程あった通り、日本の農家さんのレベルはすごく高いと僕は思います。

すごく教育レベルが高いので、今どんどんやれば可能性がすごくあるなと思います。

ただ、やはり経営やエンジニアリングのサイエンスが足りないなともすごく感じます。

どのようにデータを使いながら、農家の方々にサイエンスをすることを習慣化させていくかということが、これからの日本の農業の国際化や、規模を大きくしていくことや、勝ち組を作っていくことに繋がると思うのでその辺を頑張っていきたいと思います。

ありがとうございました。

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農業を再定義し、テクノロジーで掘っていく

安田 踏まえさせていただきますと(笑)

国外の市場は、市場ごとにどういったペインがあるのか、どういった課題があるのかという所に対して、私達の技術がどのような解を提供していくのかという切り口で、それがプロダクトなのか技術なのか何なのかというマッチングをして取り組んでいます。

例えばアジアであれば、安全な食べ物という強烈なペインがあるので、そのペインキラーは何だろうと考えると、植物工場で作られる清潔な野菜だなとなり、その技術を出していこうというような文脈で取り組みしています。

私達が植物工場を掲げて農業全般という入口にしたのは、農業を一回再定義したいなと思ったからです。

農業というものは今までは食べ物を作ってきました。

ただ農業というものは植物を作る技術であって野菜を作るだけではありません。

広く捉えていくと、薬の原料であったり、工業製品のマテリアル、原料であったりどんどん色々なものを作っていくことができます。

農家さんの仕事を増やし、農業を再定義し、どんどんテクノロジーで掘っていけたらなと、そういうことを目指していきたいと思います。

ありがとうございました。

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高島 ありがとうございました。

モデレーターとして簡単に感想ですが、僕は学びが大きく二つありました。

一つはテクノロジーをビジネスに変えていく中で、既存の組織や地方の方々とウィンウィンのモデルを作っていくことが非常に重要で、皆さんそれをしっかりやられているということ。

もう一つは日本の農業力というものは潜在的に高いということもあり、話題となったテクノロジーも非常に多岐に渡っていて、これをみんなで分担しながらテクノロジーを進化させていこうということ。

或いはアグリテクノロジーは他産業の恩恵を被りやすい所もあるので、これはまだ始まった所だということです。

今回、こうしてICCのセッションをさせていただきましたが「激アツ」といっても今始まったばかりということです。

次回のICCでこの会場が広くなるのか?あるいはこのセッションがなくなるのか?

(会場笑)

その場合は今がピークだったということですが、皆さんのアンケート次第だと思いますので、皆さんも一緒にアグリテクノロジーを盛り上げていただければと思います。

ありがとうございました。

(会場拍手)

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(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/鎌田 さくら

【編集部コメント】

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