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【マインドフルネス<終>】生きることはしんどい。まずは深呼吸。【F17-9E #7】

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「今、マインドフルネスが熱い」【F17-9E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その7)では、自分の生き方を決めることの重要性などについて議論しました。自分の人生で何に注意を向けるか?ジンズ井上さんの総括も必読です。是非御覧ください。

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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9E
「今、マインドフルネスが熱い」

(スピーカー)
井上 一鷹
株式会社ジンズ(当時:株式会社ジェイアイエヌ)
JINS MEME Gr 事業開発担当

川上(全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職

(ナビゲーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役

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【新】今、マインドフルネスが熱い【F17-9E #1】

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【マインドフルネス⑤】自分のバイアスを理解することで「無」に近づける【F17-9E #6】

本編

川上 禅やマインドフルネスを教えている人によく聞かれるのが、死をどうやって教えているかということです。

死、引いては諸行無常や非永久性、つまり「あなた達はみんな死ぬんだ」ということを人に教えない限り、その発想にはいかないと言うんです。

これはまたチクセントミハイのデータですが、結局オートパイロットモードでどれだけ人生を過ごしたいかと考えた時、毎秒126バイトの情報にしか注意を向けることができないと彼は言いました。

それを単純計算して、人間が8時間睡眠で80才まで生きるという前提で計算すると、彼の計算だと人間は一生で185ギガバイトの注意力しかありません。

僕が持っているiPadは256ギガバイトなので、それを考えると、人間は一生で使えるメモリーはiPad以下しかないということになります。

その中で、しかも限られた資源しかないのに、オートパイロットモードでいる時は意外と情報は入っているようで入っていないんです。それこそ感情と結び付けられないとデータは覚えられないと言いますが、本当にその通りで注意を向けない限りちゃんと記憶できていません。

記憶ができていない人間に、創造性があるか、新しいものを創り出す能力が果たしてあるのか、ということになってくるわけです。

小林 注意力は本当に重要ですよね。

色々本を読みましたが、ANAの本を読んでいくと指差し確認が重要だと書いていて、注意を向けると例えば水が入っているとか入っていないか等の見落としがなくなる。

どんな問題も「チーム」で解決する ANAの口ぐせ (単行本)

注意を向けるだけでその1点の情報に焦点が合うので、そこの情報が鮮明に入ってくるということで、なるほどな、と思いながら読みました。

注意力である程度、カメラでいうとフォーカスするわけですよね、

井上 正にフォーカスですよね。

注意を向けることで小さな目標も立てられる

質問者 今の死に関するお話や、高齢者の方が幸せだというお話を聞いていると、若い人は将来のプランはあるけれど直近の話ではないので、集中できなかったり幸せを感じなかったりするということだったと思います。

要は長期的な目標にワークプランをちゃんと書けないのが問題なのかなと思ったのですが。

川上 それもそうですよね。

若者は、ぼんやりと目標があるけれど、どうしたらいいか分からないという状態です。1回バイアスを外して自分の今の状況や相手がどういう状況かを気づく人は小さな目標が立てられ、そしてそれが上手い人は成功するとよく言われますが、正しくその通りだと思います。

周りや自分が見えていない、注意を向けてない人間が小さな目標を立てられるかというと、絶対に出来ないと思います。

バイアスを外すことで毎日が楽しくなる

小林 自分の子どもを見ていて思うのですが、小学校はすごく楽しそうですよね。

やはり目の前のことが楽しいからで、別に将来のことは考えていないと思いますが、先生や友達に会って楽しい、といったすごく狭いといえば狭いけどそれが幸せに繋がっているのかなと思います。

川上 チャレンジと自分のスキルのバランスが常にちょっと上という良いバランスで、新しいことを学ぶ喜びを感じられる状況だと思います。

大人になってくると新しいものがだんだん少なくなってきて、実はあるのですが、これはこういうものだよね、これ常識だよね、ということになりだんだん飽きてきます。

しかし、ずっと自分のバイアスで世の中を見てきているから「これはこうなんだ」と思い込んでいるだけであって、バイアスを変えることによって違うところが見えてくるので、その新鮮さが出てきて毎日が楽しくなると思うのです。

質問者 長期的な目標をちゃんと立てなかったり、その目標に対して「明日から何をするか」というのを考えられない人、企業が結構多いと思うんです。

我々(質問者は経営コンサルティング会社で働く方)はコンサルタントとしてそこを担当し、客観的に入っていくと「確かにそうだった」という気付きが結構あるので、そもそも1人で考えるのはかなり難しいのではないかと思います。

小林 元コンサルタント(アーサー・D・リトル)の井上さんはどう思いますか。

井上 これは反省みたいな話しですが、自分が事業会社にきて、計画が立てにくい新規事業をやっていると、自分で日々向き合っているものに対して客観性を持って取り組むのがやはり難しいんですよね。

1週間前と目標が変わっている、といったことをメタ認知するのは難しいのですが、それは個人で解決できるレベルをちゃんと強めるだけではなく、組織でどういう牽制が入るか、ということに意識を向けるような組織設計をしなければいけないのは確かですね。

小林 ついつい思い入れが入ってしまうので、「正しいのか」という判断は難しいですよね。

井上 一番のバイアスだと思うのが、「好きだからいいか」ですね。

小林 「好きだからいい」はバイアスですよね。

僕も好きだからやってるみたいな、そもそもこれは正しいかどうかは気にしない。

井上 好きか嫌いかでもこっちのほうが上位だし、と思って突っ走るみたいなところもありますよね。

「何で好きなのか」を考えると自分のバイアスに気付く

川上 でもそこで(日本ラグビーフットボール協会の)中竹さんも「何で好きなのかを考えさせる」と言っていましたが、その「何で」がバイアスに気づかせるということではないかと思います。

小林 マインドフルネスというか、無意識のうちにやっていることは何なのかをひたすら考え続ける、ということですかね。

川上 そうですね、だから石川善樹さんとは「マインドフルネスは疲れる」という結論になったんですよね。

内省しまくる人間は鬱状態になるので、そこをぱっと離すところが絶対に必要になってきます。

だから僕が言っているのは、マインドフルネスが100%良いと言っている人は、そこの責任をどうやって取るのか、ということです。

小林 やりまくると鬱になるんですね。

川上 人によってはそうで、内省ばっかりやってしまい、うわー!となってしまいます。

小林 ストレスをかけるということですよね。

川上 逆にストレスがかかり過ぎて、更に追い込んでしまいます。

井上 そのために呼吸法をやっている、と考えた方がいいのかもしれません。

強制的にリラックスさせるための深く長い呼吸ですが、その深い長い呼吸だけの話しをしているのは間違いなんですかね。

生きることはしんどい

川上 人間は何をやってもしんどいんです。

それこそ仏教でいっている苦諦というもので、生きていることはしんどく、全てのものは苦しい、それはずっと変わりません。

小林 全てのものは苦行である、深いですね。

川上 生老病死苦なので生きてることも苦しく、何やっても苦しいのは苦しので、これをやったからぱーっと全てが良くなる、というのは新興宗教と変わりませんよね。

「これを信じたらあなたは救われるし、全てOK」というのはないわけなので、マインドフルネスがそれに近いような感じで発信されているのが懸念点です。

小林 結論としては、生きるということは苦行であるということですね。

川上 マインドフルネスは疲れる、そして生きることはしんどいんだということです。

小林 本当に何もないと苦行ですよね。

いかにルーティン化するかとか、仕事があるということは会社に行くので、ある意味ルーティンになるわけですが、それが安定するということになり、幸せを感じるようになるわけですね。

どうしたら幸せを感じるようになるか、どうしたらリラックスできるようになるか、ということの方法論をある程度学び、自分でコントロールできることが良いことなんだ、と勝手に思っていますが、そうですか。

川上 多分それに近い思いますが、とにかく色んな幸せがあると思うのでまずはそれに気付いてもらうことだと思います。

安定することは確かに幸せですが、新しいことにチャレンジしたり没頭することによる幸せもあるので、幸せはこれだと決めつけず、色んな幸せがあると気づくこと。

あとは、マインドフルネスにしても、何かをやるには努力は必要です。手軽な知識で、「これをやれば全てOK」という考え方が一番まずいと思います。

小林 単に深呼吸をすればいいというわけではない、ということですね。

川上 深呼吸を気軽にやってもらうことは重要ですね。

僕もよく、1時間に1回、2、3分でもいいから姿勢を整えて深く長い呼吸をやってくださいと言っています。単純な話をすると、深呼吸をするだけで副交感神経が活発化されるのでリラックスしてきます。

人は息を吸っている時は交換神経が、息を吐いている時は副交感神経がはたらくので、吐く息を長くしてゆっくりと呼吸していれば、自然とリラックスしてくるのです。

だから1時間に1回でもいいのでそれをやるようにし、リラックスさせることによってポジティブになり、もうちょっとビジョン(視野)が見えるようになればそれでいいと思います。

今の人間だと集中力は色んなところにいきやすいので、自分の注意をどこに向けるかということに対してもうちょっと敏感になってもらう、言ってみれば注意の戻し方ですよね。

自分の注意がふらふらっとどこかに行っているということに気づくこと、そしてそれを戻すことが重要だと思います。

小林 分かりました、ありがとうございます。

お時間となってしまいましたので、今回の対談の感想や学びを井上さんからお願いします。

やりたい事とやるべき事を分別する

井上 今回の学びとして僕が一番印象的だったのは、「限りある人生をオートパイロットモードにしていいのか」という問いで、それは正にその通りだとだなと思いました。

小林 波乱万丈がいいということですか?

井上 波乱万丈がいいというか、「今はオートでいいや」というふうに自分で知って選択していればいいと思います。

それが、ルーティン化するものとしてはダメなもの、ここだけは自分でちゃんと選択したいし、ちゃんと考えきりたいというものを区別することがマインドフルネスの目的だと思っています。

川上 おっしゃる通りです。

井上 自分がやりたいこととやるべきことを分別し、やるべきことはできるだけルーティン化して省エネ化する、ということが一番大事なことだと学びました。

小林 さすが元コンサルタント、素晴らしいまとめですね。

川上 僕はもう何も言わなくていいですね。

井上 たまにそのいじり、意地悪ですね(笑)。

小林 いやいや。あ、バイアスがかかってますよ。

(一同笑)

川上 井上さんがきれいにまとめられたので特に言うことはありませんが、井上さんと話すことで僕にとってもいつも新鮮な発見があります。

僕等はバイアスがかからないようにしましょうと言っている側の人間ですが、絶対にバイアスはかかっているので、僕と同じ業界の人と話していても新しい発見は絶対に無いと思います。

こういう機会で話すことで常に新しい見方を学んいでるし、今度こういう研究を探してみよう、こういう指導法をやってみよう、こういう人達にアプローチかけてみようというのを毎回考えるので、本当に毎回素晴らしい経験をさせてもらっています、ありがとうございます。

小林 ありがとうございました。ということで、特別対談「今、マインドフルネスが熱い」、終わりにしたいと思います、どうもありがとうございました。

一同 ありがとうございました。

(終)

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

マインドフルネスについての議論をきっかけに、人の生き方に関する深い知見を得られるセッションとなりました。編集を担当できて良かったです。(横井)

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