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「今、リアルテックが熱い」【F17-6F】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その8)では、これからのファンドの在り方や大企業、アカデミアの持つべき姿勢について議論しました。さまざまな研究が社会実装されていく未来を作るにはどうすればいいのか?是非御覧ください。
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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年2月21〜23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 6F
「今、リアルテックが熱い」
(スピーカー)
千葉 功太郎
投資家・Drone Fund / General Partner
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
リアルテックファンド 代表
丸 幸弘
株式会社 リバネス
代表取締役CEO
(ナビゲーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル
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最初の記事
【新】「リアルテック」とは何か?-人類の進化に貢献する新技術【F17-6F #1】
1つ前の記事
「宝の山があると思った」千葉功太郎氏が驚いたリアルテックの奥深さ【F17-6F #7】
本編
丸 ビジョンや世界観を持つ研究者をもっとラボから連れ出して、社会実装の研究をさせたいですね。
天才をどんどん引っ張り出していきたいですし、リバネスという会社は社会実装のためのプラットフォーム、つまり研究所だと思っています。
ラボの中でやる研究もいいけれど、ラボの外でやる研究もいいよね、というくらいのスタンスで、まずはワンステップ踏み出してほしいんです。
丸 ビジネスに来い、と言うと、彼らは来ないんですよ。研究者というのはなかなかラボから出てきません。
彼らがやりたいのは、あくまでも研究なんですよね。給料を1,000万円積まれても、動かないですよ。年収が300万円でもいいから、やりたいことをやりたいと。
お金で動かない人たちがいるということを投資家はまず知らないといけないです。月20万円でも10年間ずっと好きな研究ができるのだったら、そちらの道を選ぶ人がいるのだということです。
そういう意味では、危ない人たちなんですね。
そのため、社会実装の研究で、もちろん生活も豊かになって、かつやりたいことができて、かつ社会が変わる、という「かつ」を実現するのがリアルテックファンドの使命だと私は思っています。
研究者はどうしたら研究所から1歩踏み出せる?
井上 どうすれば、それが実現できますかね。
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン プリンシパル 井上 真吾氏
井上 私もずっと理系で東京大学に進学しましたが、私は凡人なので、周りが天才ばかりに感じました。
私はナノマニュファクチャリングの研究をしていたのですが、超のつく天才たちがずっと研究室にこもって研究をしてました。
優秀な人たちが、素晴らしい研究をしているのですが、その成果はいつ世の中に出るのだろうと疑問に思っていました。自分はさほど頭がよくないから、逆に冷静に見つめることができました。
そこで自分は理系だったにもかかわらず、経営工学的な方向へ進み、コンサルタントの仕事に就きました。メーカーのコンサルティングをする、非常にいい技術を持つ企業をビジネスの面でサポートするという思いを持ってやってきています。
私の話はさておき、すごい天才で研究室にこもっている人たちが、たくさんいらっしゃると思うんですね。
その人たちも、もしかしたら横目で、新聞などを見てきらびやかな起業家の世界に対して憧れを抱いているかもしれません。
もしくは、自分はちょっとそういう対象ではないなと諦めているのかもしれません。
そのような人たちを、どのようにしたらこちら側に引き寄せてくることができるのでしょうか。
大学研究と企業内研究の間にすら溝がある
丸 今の話には非常に面白いヒントがあると思います。
今は大学の研究と企業の中の研究も、離れてしまっているんですよ。ここもブリッジしていければと思っています。
イノベーションが起こっていません。だから変なコンサルタントが来るわけです。
千葉 変なコンサルタント……。
丸 そこを繋げながらコンサルタントをするのが、リアルテックファンドなんです。
ですから、大企業からお金を預かって、大学発の研究に投資をしていきます。大企業の研究所もすごいです。大学の研究所もすごいんです。
けれども、両者が混ざっていないんですよ。いつの間にか、分離されてしまったんです。ですから、大学の研究を企業の側に入れ込みながら、かつ我々がサポートしていくということです。
その方法はもしかしたら、M&Aかもしれませんし、もしくは我々が研究所の下に潜り込んで、社会実装するというやり方もあります。これがキーワードなんです。
上場させずに社会実装させるのが早いのか、大企業の中にそのまま研究チームごと突っ込む形で進めたが早いのか、それはケースバイケースです。
我々はいくつ社会実装ができたか、どれくらい人類を進化させたかということに興味がありますから、それがM&Aであろうが、IPOであろうが構いません。どちらが早いか、どちらが人類にとってプラスとなるかを考えるべきなんです。
我々は、大企業の研究所のトップに、オープンイノベーションなどと掛け声だけをかけても無駄ですよ、ということを話しています。
とにかく社会実装するというビジョンにもう1回立ち戻るべきです。そもそも大企業というのは、それで大企業になったんですよね。
そのためには大学の研究所もしくは大学発のベンチャーを使え、と提案しています。両者の間がなぜかいつの間にか分離されてしまっているんです。
この部分をくっつける力を我々は持っているのではないかなと思います。
(左)千葉 功太郎氏 (右)リバネス 代表取締役CEO 丸 幸弘氏
永田 これは少し表現が難しいですが、「経済的概念からいったん解き放たれようよ」という感覚があります。
今回リアルテック・ファンドを創設するにあたっても、財務担当者が出てきて「IRR(Internal Rate of Return)が……」などと言うのですが、私はとにかく出資者にキャピタルゲインの発想から離れてほしいと伝えています。
一番大事なことは、その発想から離脱するということです。
でも結果的には、そのことによって投資パフォーマンスとしても成功すると思っているんです。これはとても重要なことです。
新しいテクノロジーが生まれた後の市場性、経済性なんて今から予測は精緻にはほぼ不可能なんですよ。経済性を追うと常にその投資経済性に対する説明責任を問われます。そうなると意思決定ができなくなっていく。
結局最後は社会インパクトのありそうなワクワクする技術と技術者にお金を張って一緒にゴールまで持っていく覚悟を持つかどうかで、その結果としてリターンもついてくるけど、順番や主従が逆だと様々なことが上手くいかない。
井上 先ほど出た時間軸の話ですが、長期的視野のリアルテックと逆行して、資本経済というのはどんどん時間軸が短くなっていますよね。
ファンドには償還期間がありますし、企業の決算も年度決算であったのが、次第に刻まれて今は四半期になったりと、短いサイクルになっています。
まさに、50年という時間軸で考えるリアルテックファンドと逆行しているからこそ、長期的な視野が重要なのでしょうね。
永田 丸さんの言っている50年には、一つ重要なポイントがあります。それはリアルテックの領域はアカデミアでの研究開発期間とベンチャー創業後を合わせて時間軸を考えられるということです。その意味では、常に創業後50年という意味ではありません。
そう考えると、ファンドとしての時間軸も世の中から乖離した話にはならないということです。
もう一つ問題だと思っていることは、今は大企業とベンチャーの間、ネットとアカデミアの間などで、相互をあまりリスペクトしていない感じがするんですよ。
どちらかが、一方的にリスペクトがないと言っているわけではなくて、お互いにそうだなと。ですからそこを、何とか混ぜ合わせていきたいなという気持ちを強く持っています。
どのようにしたら両者の間の垣根がなくなるのかな、ということに私は一番興味があります。
そういう意味では、すごくネット側に振れていた方(千葉氏)と、非常にアカデミア側に振れていた人(丸氏)がいて、私は何というかその真ん中に立っているように感じています。
アカデミアという1つの枠に囚われるのはやめよう!
永田 加えて、日本の世の中から、理系と文系という言葉が消えることがすごく大切なことだなと思っています。もうその言葉はなしにしない?というくらいの感じなんですよね。
千葉さんは今、リアルテックのことをいろいろ見ていて、一生懸命勉強していますよね。
私の中で理系というのは、大学での選択の時にバックグラウンドとしてそれを勉強した人たちなんですよね。その延長線上に、どうしたら世の中がなっていくのだろうということがすごく大切なことだと思っています。
そして、アカデミアというような、いわゆる一つの枠に囚われるのはもう止めましょうと。
先ほど出たように、ビジョンからブレークダウンするということ、それこそXプライズ財団(※)というのは素晴らしい取り組みだと思います。
▶編集注:Xプライズ財団は、人類のための根本的なブレークスルーをもたらすことによって、新たな産業の創出と市場の再活性化を刺激することを使命としており、様々な分野のコンペを開催している。
そのような世界をどのようにしたら我々は創れるのだろうということを真剣に考えていった時に、リアルテックファンドというものに辿り着いたんですよね。
(続)
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続きは 【終】リアルテックの新技術×ITスタートアップの仕組みで共に産業を創ろう! を配信予定です。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸/本田 隼輝/鈴木ファストアーベント 理恵
【編集部コメント】
井上さんのお話ではないですが、東大には天才がたくさんいますね。しかも、本当の天才は真面目に学問しているので、学生のうちには人目に触れるところにあまり現れない…(横井)
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