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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト(前半)に登壇し、優勝に輝いた かものはしプロジェクト・村田早耶香さんのプレゼンテーション動画【「だまされて売られる子どもを守りたい」アジアの児童買春問題に挑む、かものはしプロジェクト】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 ゴールド・スポンサーの電通様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 11B
スタートアップ・ダイジェスト – 注目スタートアップを一挙紹介!(前半)
Supported by 電通
(プレゼンター)
村田 早耶香
特定非営利活動法人かものはしプロジェクト
共同創業者
公式HP | LinkedInページ
大学在学中の2001年、東南アジア訪問時に子どもが売られる問題の深刻さを知り、2002年20歳の時に仲間とかものはしプロジェクトを創業。10歳未満の子どもまでもが被害にあっていたカンボジアで、子どもが売られる問題を防止する為、職業訓練と雇用により家庭の収入を向上させる雑貨工房を運営。また加害者を取り締まる為の警察訓練支援も行う。現在はインドにも活動を広げている。2006年日経WOMAN主催「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2006」リーダーシップ部門を史上最年少で受賞。2011年、社団法人日本看護協会とジョンソン・エンド・ジョンソン グループ日本法人各社主催、ヘルシー・ソサエティー賞を受賞し、天皇陛下(当時は皇太子殿下)と謁見。2012年、全国日本商工会議所女性会連合会主催 第11回女性起業家大賞優秀賞受賞。2018年日経WOMAN主催「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」世界の子供を守る賞を受賞。ウーマン・オブ・ザ・イヤーの2回目の受賞となった。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト」の配信済み記事一覧
村田 早耶香氏 おはようございます。かものはしプロジェクトの村田早耶香です。
今日はぜひ皆さんに「子どもが売られる問題」について知っていただきたいと思います。
「子どもが売られる問題」とは、騙されたり、誘拐されたりして、子どもが自分の意志に反して、強制的に売春をさせられることを指します。
児童労働の中でも最悪の形態の児童労働であり、子どもの心と体を最も傷つけるものだと言われています。
私は大学生のときにこの問題を知り、20歳のときに団体を作り17年間ほど活動しています。
たった1万円で売られた少女の物語
どうしてわざわざ団体を立ち上げ、活動しているのかと言いますと、1人の女の子の話を聞いたのがきっかけでした。
▶︎出典:『買われる子どもたちー無垢の叫び』(大久保 真紀 著)、明石書店
私は大学で国際協力を学んでいました。
ある授業で私と年齢が1歳しか違わない女の子「ミーチャ」が実際に売られたという新聞記事が配られました。
この子は、ミャンマーに住んでいた山岳少数民族で、非常に貧しい生活をしており、国籍も持たない、学校にも行ったことがないという子でした。
また、母親はミーチャが12歳のときにすでに病死しており、父親は障害があり働けない状態でした。
そのためたくさんいる兄弟の長女として、家計を支える必要がありました。
都会から来た男の人に「いい仕事がある、子守の仕事だ」と言われて、ついて行った先が売春宿だったのです。
そこに監禁されて暴力を振るわれ、たった12歳の女の子が1日に10人以上もの客の相手をさせられていました。
半分の客は感染症の予防をすることもなく、彼女はHIVに感染し、エイズを発症します。
NGO団体に保護されたときはすでにエイズの末期症状で助からない状態でした。
この写真が撮られたのは、余命半年で20歳の時です。
彼女が亡くなる前に、日本の新聞記者が彼女を取材していて、彼女は泣きながら、自分が売られた経緯を伝えてくれました。
記事には「どうして自分の話を伝えているかというと、思い出すのも辛かったけれど、きっと日本でこの新聞記事を読んだ誰かが、こんなひどいことを無くさなきゃと思って行動してくれると思うから。だから私は話しました」と書いてありました。
私と彼女は1歳しか年齢が違わないのです。
彼女は亡くなる前に「学校というところに行って、勉強というものをしてみたかった」と話していました。
しかし結局、彼女は一度も勉強することなく、12歳から強制的に売春をさせられ、エイズによって20年でその命を奪われました。
この子が売られた金額はたったの1万円です。
彼女のお父さんが受け取ったのはこれだけで、本人も家族もこれ以外は受け取っていません。
すべて(ミーチャをだました大人たちによって)搾取されていたのです。
生まれた場所が違うだけで、私は湯水のようにお金を使って大学教育を受けているのに、彼女は一度も勉強することなく亡くなってしまったことが、とても不条理に感じました。
授業でこの話を聞いたとき、私が着ていたワンピースもちょうど1万円でした。
発展途上国では、加害者の多くが処罰されていない
このような被害者は100万人もいることがわかっています。
▶︎出典:『日本語版:児童労働の世界推計:推計結果と趨勢、2012〜2016年』P.26
残念ながら私たちの国、日本は加害国として有名です。
アジア地域に最も多くの加害者を送り出しているアジアの国なのです。
そして世界で流通している児童ポルノの多くは日本製だと言われています。
加害国としてさまざまな世界会議で非難されていますが、残念ながらこうした問題をなくすための活動をしている日本人は少ないのです。
私はこうした問題を“知った”日本人として、何も持っていないけれど行動する必要があると思い活動を始めました。
なかなかこの問題は皆さんには知られていないので、ここで実際の映像をお見せします。
これは2003年に撮影されたカンボジア国内で売られている子どもたちの売春宿の中での映像です。
5歳と9歳の子どもが売られ、1回30ドルで子どもを買いたいという大人の性的なおもちゃになっています。
先ほどottaの山本さんが子どもの連れ去り事件の話をされていましたが、日本ならば加害者を捕まえて処罰することができます。
▶︎参照:「otta」は地域・スマホ・クルマが繋ぐ“見守りネットワーク”で子どもの安全を守る!(ICC FUKUOKA 2019)【動画版】
しかし、途上国では加害者はほとんど処罰されずに帰国してしまいます。
職場提供を通じた「売らせない活動」
私たちはこれをなんとかしたいと思い、具体的には「売らせない活動」と「買わせない活動」をしてきました。
売られる被害者を減らすことと、需要側である加害者を減らすことです。
売られる子どもの大半は農村部の最貧困層の子ども、特に母子家庭か親がいない子どもです。
売らせないためにはまず、このような子どもの母親やお姉さんに職場を提供し、安定的な収入をもたらすことでことで、子どもたちは学校に行けるようになります。
例えば、この写真に写る母子家庭の40歳の母親を私たちの団体で受け入れることで、この家庭の子どもを学校に行けるようにしました。
この子は何歳に見えますか?
実際は11歳ですが、すごく幼く見えます。
1日1食しか食べられないため、成長に必要な栄養分が摂れていなかったのです。
この母親を雇用して働いてもらうことで、現在では立派な家に住めるようになりました。
おなか一杯食事が摂れるようになり、この子は小学5年生として、元気に暮らしています。
現地の警察支援を通じた「買わせない活動」
ただ、この活動を続けていても別の地域から子どもたちが売られてきてしまうので、途中から「買う人を減らすための活動」を始めました。
私たちはカンボジア政府とつながりをもち、現地警察を支援することで加害者の逮捕件数を増やすことにしたのです。
加害者を減らせば、売られてくる子どもの数も減らせます。
まずはカンボジアの警察の能力と意識を上げるための研修を全国で行いました。
これにより加害者の逮捕件数は9年で9倍に伸び、「子どもを買ったら捕まる」という状況になってきました。
売春宿で子どもを扱うところが少なくなるため、被害者がほとんどいないという結果が得られました。
被害者保護施設にも、もはや(子どもの被害者は)いません。
この15年で問題は解決していき、カンボジアでは支援が必要なくなりました。
そして現在は、カンボジアの次に状況がひどいインドに活動を広げています。
子どもたちを救う、支援の輪
日本からできることもたくさんあります。
私たちは、個人や法人でご協力いただける方を求めています。
個人では月1,000円から、法人は30万円からご支援をお願いしております。
また、ぜひこの活動を広めていただきたいと願っています。
ICCさんをきっかけに、FiNC Technologiesの溝口勇児さんやdofの齋藤太郎さんが実際にご支援してくださっています。
皆さんもぜひご参加ください。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/花本 夏貴/尾形 佳靖/戸田 秀成/花本 友
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