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ICCサミット FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト(前半)に登壇いただいた、よりそう 山田一慶さんのプレゼンテーション【“死が描き出すのは、家族の物語” いつか必ず訪れる「死」と共存する生活サービスを提案する「よりそう」】の文字起こし記事をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2019 ゴールド・スポンサーの電通様にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2019年2月19日〜21日開催
ICCサミット FUKUOKA 2019
Session 11B
スタートアップ・ダイジェスト – 注目スタートアップを一挙紹介!(前半)
Supported by 電通
(プレゼンター)
山田 一慶
株式会社よりそう
取締役CFO
公式HP|STARTUP DB|LinkedInページ
日本GE株式会社(FMP)を経て、ソフトバンクロボティクス株式会社(ソフトバンクモバイル株式会社)にて財務全般担当としてヒューマノイド型ロボット事業(Pepper)の立ち上げに参画。2015年、株式会社よりそう(旧:みんれび)に参画し、2016年同社取締役CFOに就任。The City University of New York/Baruch College卒業。
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▶「ICC FUKUOKA 2019 スタートアップ・ダイジェスト」の配信済み記事一覧
山田 一慶氏 株式会社よりそう の山田です。よろしくお願いします。
早速ですが、昨年の9月に子どもが生まれて、僕は親になりました。
ここにいる皆さんも同じだと思いますが、毎日、仕事で帰りが遅くなりがちです。
それでも、頑張ってお世話をしています。
ご両親のことを、どれくらい知っていますか?
親になったことで、1つ気がついたことがあります。
それは、自分が2つの面に分かれているということです。
1つは、親としての自分。
もう1つは、それ以外の自分です。
毎日のように子どもに「可愛いね」「成長したね」と声をかけ、触れ合っているので、彼は当然、そういう僕を知っています。
一方で、仕事をしているときの僕や、友人と一緒にいるときの僕を、彼は当然知る由もありません。
皆さんも、ご両親について思い出してみてください。
一緒に行った旅行やレストラン、運動会のような出来事を思い出せるかと思います。
でも、ご両親がどんな表情でお仕事をされていたか、友人とどのようなことをお話ししていたを、おそらくご存じないと思います。
つまり、子どもは親というひとりの人間について、すべてを知っているわけではないのです。
親孝行をするための残り時間は、限らている
ところで、皆さんのご両親はおいくつでしょうか?
こちらの写真は僕の両親ですが、父親が75歳、母親が65歳になりました。
さすがに、そろそろ親孝行をしなくては、と思うような年齢になってきました。
ただその時間も、実はもうそこまで残されていないのかなとも思います。
現在の日本では、70歳時点で6人に1人の男性が亡くなっています。
この会場でご両親が70代という方のうち、何人かが亡くなってしまう計算です。
親孝行を通じてご両親のことを知ろうと思っても、その時間は、実はもう多くはないかもしれないのです。
大好きな祖父の葬儀で知った、祖父の生き様
一方で、親孝行とは違った形で、仕事人としての親御さんや友人としての親御さんを知ることもあります。
それは、「死」というタイミングです。
死は、故人の知らなかった一面に触れる機会でもあります。
両親の話ではありませんが、5年ほど前に、大好きだった僕の祖父が亡くなりました。
こちらは、当時僕が使っていたスマートフォンです。
新しい機種に変えても、捨てられずにまだ充電しています。
なぜなら、このスマホの中に祖父の留守電メッセージが残っているからです。
祖父の葬儀に出席して、僕は、親戚を代表して弔辞も読ませてもらいました。
そこで僕は、祖父に対して強い感謝が芽生えたのを感じました。
それはきっと、その葬儀で色々な方に出会えたからだと思います。
祖父と、まるで親戚や家族のように付き合ってくれた方も、たくさん来てくれました。
祖父は町の酒屋を営んでいたので、お客さんや取引先の方も多く来てくれました。
同じ地区の同級生という方も来てくれました。
祖父にまつわる色々な思い出話を聞けて、祖父の知らなかった一面にたくさん触れることができました。
一緒にいなかった間、祖父がどんな人生を過ごしてきたのか。
まるで、その生き様を見ているようでした。
医療・介護制度からは「死後」が切り離されている
このように、「死」には故人と家族のすべてが詰まっています。
故人が亡くなる前には、故人の人生があります。
故人が亡くなった後には、故人を失った家族の人生があります。
そのちょうど中間地点にあるのが「死」です。
「死」には、故人と家族のこれまでと、これからのすべてが詰まっています。
「死」が描き出すものは家族の物語です。
僕は、そんな葬儀と法要を提供する会社に約3年前に入り、今はCFOをしています。
そうした立場になり、大事なタイミングをお預かりすることになると思いました。
ただ、この「死」が他のものから避けられていたり、断絶されている現実を知りました。
これは祖母が亡くなったときの話ですが、僕は何とか病室に駆けつけて、祖母の最期に立ち会うことができました。
ただ祖母が亡くなった後、お医者さんは「ここから先は医療の範囲外なので」と言って病室を去ってしまいました。
今まで頼ってきたお医者さんが去ってしまって、困惑する親族をこの目で見ました。
これはお医者さんのことを批判しているわけではなく、実はこれは、現在の日本の医療保険制度から「死後」のことが切り離されて設計されているのが原因です。
これと全く同じようなことが、介護制度でも起きています。
それ以外にも、たとえば金融では、急に遺産相続の場面になり、故人の意思や資産状況もわからず、もしかしたら借金があるかもしれないので、泣く泣く相続を放棄している人たちがたくさんいます。
「死」を踏まえた生活サービスを届けたい
このように、いろいろな生活サービスが「死」を避けているから、あるいは「死」から切り離されているから、こんな不親切なことになっているのです。
「死」は、自分にも、家族にも、友人にも、あなたにも必ず訪れます。
「死」を踏まえて考えれば、あらゆる生活サービスの在り方はもっと変わるべきだと思います。
こういった「死」が切り離されていたり、断絶されているようなこの現状を、一緒に乗り越えていただけるようなパートナーであったり、企業さんを探しています。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/戸田 秀成/小林 弘美
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