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「社会課題を解決する事業を創る」【K16-3C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!6回シリーズ(その4)は、「なぜヤフーはネットメディアとしての地位を維持し続けられるのか」について議論しました。インターネット黎明期からの歴史を知る登壇者同士の貴重な議論となりました。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 3C
「社会課題を解決する事業を創る」
(スピーカー)
江幡 哲也
株式会社オールアバウト
代表取締役社長兼CEO
長谷川 敦弥
株式会社LITALICO
代表取締役社長
宮澤 弦
ヤフー株式会社
上級執行役員
メディア・マーケティングソリューションズグループ長
山口 文洋
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
代表取締役社長
(モデレーター)
池谷 大吾
株式会社スマートエデュケーション
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
池谷 ここから実際のディスカッションに入るんですが、皆さんそれぞれのテーマで社会課題の解決に取り組んでいますが、1つ言えることは、ゲーム等色んな市場がインターネットにある中で我々は永くビジネスをやっていくのがポイントです。
ヤフーはもちろん10年前も多分10年後もヤフーでしょうし、もちろんオールアバウトもスタディサプリもそうだと思いますが、1つのコンテンツ、商材にどっかり座ってやっていくのがキーワードかと思います。
ただ種別がメディア系と教育で分かれているので、少し分けて話した方がいいかなと思っています。
最初にメディア系のお話をしたいのですが、僕も興味があるので是非よく聞いてみたいと思うんですが、オールアバウトさんもヤフーさんも競合されるところもあります。そもそも何でヤフーなんですかね。
宮澤 えっ?(笑)
なぜヤフージャパンは最強のメディアであり続けられるのか
池谷 僕が言いたいのは、例えばスマートフォンの時代が来て、するとキュレーションのメディアが出てきて、ヤフーはアプリの対応が遅れて、僕の中では「ついにヤフーが無くなってしまう日が来るのではないか」と思ったり、「大きいものを倒していこう」と起業家や色んな人がヤフーをマークしたりしているわけですよね。
結局はアプリの対応をされて、色んな投資もされて、最終的にやはり最強のメディアはヤフーじゃないですか。
このように永いメディアを形成できるのは、どの辺にポイントがあるんでしょうか。
宮澤 慣れ親しんでいただいているメディアで、その使い勝手をPCの時代から慣れちゃっているのでスマフォでも同じようにしたい、というのが1つあると思います。
初速が遅いというのはヤフーの悪いところで、何かデバイスのシフトが起こった時にどうしても今の大きな事業の優先順位が上がってしまうので、PCやスマホのブラウザの対応しなければ、となるのですが、ベンチャーの皆さんはその先でこれから盛り上がってくる領域に対して早め早めに動かれるので、そういうところでユーザーのハートを鷲掴みにするという傾向があり。
最近デバイスシフトが盛んに行われているので更に起こりやすくなっていて、ヤフーは後から一生懸命対応していくというのが出ていると思います。
ただ、ヤフーも結構反省するんです。
ニュースでアプリ特化のサービスに色々やられたな、といった時に、今までと同じように色んなパートナーの方からご提供いただいている記事だけを出していても変わらないと考え、最近は自分たちで一生懸命オリジナルコンテンツを積極的に作っています。
それは、1つの社会課題として新聞を読まない若者が増えていて、家にテレビもなくスマホでニュースを見るのですが、そうするとクリックだけで見るべきコンテンツを選び、結果として芸能系に寄るんです。
芸能系のニュースだけ読んで世の中のことが一通り分かるのか、というとそういうものでもないと思います。
日々更新されない、例えば週刊誌で取り扱うような、雑誌の時間軸でのテーマを深掘りする記事等はネットになかなか出てこない。
なので、そういうのを自分たちでお金を出して、トラフィックはあまり生まれませんが、日本の貧困問題や教育問題を記事としてどんどん自分たちで作って、ヤフーしか見ない人でもある程度日本で起こっている問題について知る機会を作ろう、ということを今やっています。
池谷 色んなことに投資できる強さがあるんですかね。
宮澤 ご存知の通り、ヤフーという会社は20年間増収増益をある意味課せられたというか、予算が厳しいんです。
どのようにそういうところのお金を捻出するかというと、シュミレーション力も高まっているので「このままいくと今期は予算行きそう」というのが大体見えて達成しそうになると、そこを超えた分を、僕のカンパニーだったら、僕のカンパニー長の戦略予算として捻出できます。
それが数億円単位ではれる原資となり、天気等ROIだけで考えたら絶対ペイしないんだけどやろう、ということを優先順位をつけて投資していく、というやり方で進めています。
池谷 長年で築き上げてきたルートがきっちりあって、もちろん予算も達成していくのでちゃんと投資もできる、ということですね。
宮澤 できない時は止めよう、またの機会に、という感じでやっています。
インターネット黎明期から考えるヤフージャパンの強さ
池谷 江幡さんからご覧になって、ヤフーという会社はどういうふうにお考えになるんですか。
江幡 本題と全く関係ないと思うのですが、ネット業界の古い社長達で「1996年から2000年の時に他のポータルもいっぱいあったのに何でヤフーさんが残ったのか」という話題はよく出るんです。
ネット業界の古い社長達の結論は、創業当時表示速度にすごくこだわられていて、サイトの表示が早かったからじゃないかと、それだと思います。
初代のスーパー技術者の方が、ダイヤルアップの時代にとにかく表示速度にこだわられた。
正直中身は人力ディレクトリで、検索の精度は他社の方が良かったと思うのですが、ダイヤルアップ時代には基本性能として重要な表示速度と、あまりテクノロジー色が強くない良い頃合いのコンテンツが素晴らしかったのではないかと思います。
あとは90年代新興上場組は、資金調達額が今の新興上場をはるかに上回る3ケタ(億円)の調達をされていて、その後も財務基盤をベースにM&Aも推進できたことも大きいですね。
事業としては、ヤフトピによる大量のトラフィック獲得とバナー販売におけるCCI・電通さん後のDACさんとの販路形成、そして広告事業に加えて、ヤフオクで個人課金にチャレンジされて成功したことが大きかったのではないかなと思います。
宮澤 たまたまこの前、Googleの代表をしていた、創業時のヤフーを作った有馬さん(有馬誠さん)とお話していて、何でヤフーはこんなに伸びたんですかね、という話をしていたら、ヤフーインク(米国)が始めただけではダメで、ヤフーインクがやって上手くいったやつだけやろう、というのが初期のルールになっていたらしいです。
ヤフーインクが色々やるんですが、最初伸びてても途中でだめになるかもしれないからすぐには手を出さずに、ということをしたたかにやり続けたと言っていました。
池谷 今 江幡さんがおっしゃったように1996年から2000年の5、6年の間、レスポンスが早いというのもテクノロジーの問題かもしれないし、投資を受けられたということ、そこが他社を寄せ付けない大きなアドバンテージになってるということなんですかね。
江幡 慣れ親しんだと先程宮澤さんがおっしゃったと思いますが、日本人の特性として、「最大公約数のちょっと上の品質」というのが好きで、あまり飛び抜けすぎてない、という感じですかね。
オールアバウトが挑むヘルスケア領域
池谷 新幹線で各社さんのIRの情報を見ていたんですが、オールアバウトは先程メディア事業は3分の1とおっしゃいましたが、スマートフォンにシフトしても堅実に積み上げされていて、且つ最近サンプル百貨店のような事業を運営されています。
起業された時はまさかサンプル百貨店をやろうとは思ってなかったと思いますが、どのような形で周りの事業を考えたりするんですか。
江幡 真面目な話をすると、僕は永く続く会社が良い会社だと思っています。
どうしたら永く続くかというと、先々の社会の大きな変化やネット業界だったらスマホ等も含めて、インフラの変化とか、僕らではコントロールできない大きな変化が起きた時でも永く続く価値が提供できる力、コアを持っていることが重要だと思っています。
そのような観点で僕はテクノロジーがどう進化しようとも、最終的には専門的や詳しい個人、想いを持った人達のネットワークはいつの時代も役立つと確信していました。実は創業の時からそれをメディア、コマース、教育、ヘルスケアでやる、というのをおぼろげに絵を描いていたので、順番にそれをやってきている感じです。
やっていることはずっと同じなんです。
池谷 事業プランの中でまだ埋まっていないマスはあるんですか。
江幡 ヘルスケアはまだこれからですね。
社会的な課題ということでいうと、ヘルスケアは非常に大きく残された分野だと思っています。
この頃FiNCさんやベンチャーも入り込んでやっていますが、国の課題でいうと昨年度予算で年間の国家予算において医療費介護費が40兆円をこえましたね。財政規律から見ると年金とともに最大の課題です。
健康・介護保険財政は少子高齢化の中で毎年何兆円という単位で伸びて行きます。実は現在の社会システムのままではダメだというのが分かっている中で、結局、健康なままで病気にならないようにするか、医療・懐疑にかかるコストをイノベーションするかどちらかしかないので、そういう社会システムに国を変えていくしかないんです。
が、そこはずっと言われて10年以上経っていますけれども、十分な手を打てていません。
我々は国の皆さんと一緒に色んな事業を考えていますが、もうまった無しですよね。
オールアバウトとしては、病気になる前のところ、ヘルスケアが最も重要な事業分野だと思っています。
ちょっと細かいことは言えませんが、個人に例えばセルフケアで「あなたの身体の状態はスマホで管理できてこうだから、運動したほうがいいよ」というサービスはたくさんありますよね、でもまだ健康な人は言ってもなかなかやらないんです。
やる人ってダイエットとか、病気の傾向があるとかの理由がある5%しかいなくて、95%は続かないんです。個人に任せることは無理だと国に言っていて、基本的にはそこにお医者さんを入れましょう、病気になった後ではなくて病気になる前にお医者さんが活躍できるプラットフォームを創りましょう、という方向で動いていますが、そのぐらいのことをやらないと難しいと思っています。
そういうのを僕らは専門家ネットワークと一緒にITを使ってやっていく、というドメインの中で一緒にやっています。
例えばそんなようなことを、これからの大きな重要な事業の1つとして持っていたりします。
池谷 強みは専門家ネットワークで常日頃、時代毎に起こる問題を解決していくことですが、ネットワーキングはどのようになされているのですか。
江幡 初期はコンセプトで色々と注目されたので色んな方が寄ってきてくれたのですが、今は大体メディアを中心に1,000名、グループ全体の専門家は30,000名ぐらいいらっしゃるので、ツテですよね、紹介していただいています。
(続)
続きは 教育における課題を解決するリクルートとLITALICOの「ロマンとソロバン」 をご覧ください。
https://industry-co-creation.com/management/5537
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/城山 ゆかり/戸田 秀成
【編集部コメント】
続編(その5)では、教育領域で変革を起こすスタディサプリとLITALICOを中心に、社会課題の解決とビジネスの両立をいかに実現するかというテーマについて議論しました。是非ご期待ください。感想はぜひNewsPicksでコメントを頂けると大変うれしいです。
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