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ICC KYOTO 2021の最高評価セッション「AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説」、全9回シリーズの(その6)は、「チューリングテスト」について。一般的に思われているイメージとは違う、このテストが本当に見極めようとしていたものとは? 読んでいただければ、これが人工知能と関連して語られる理由がわかります!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのHelpfeel(Nota)にサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICCサミット KYOTO 2021
Session 12D
AIの最新ソリューションや技術トレンドを徹底解説
Supported by Helpfeel(Nota)
(スピーカー)
清水 亮
ギリア株式会社
取締役会長兼CEO
(モデレーター)
尾原 和啓
IT批評家
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最初の記事
1. 天才プログラマー清水 亮が注目する、3つの最新AIトピック
1つ前の記事
5. 本当は機械に知能があるかを実験していた「チューリングテスト」
(本文)
機械に知能があるかを実験した「アラン・チューリング」
清水 そして、人類で最初のプログラマーとされたオーガスタ・エイダ・キング(1815~1852)が生まれた時代から100年下って、アラン・チューリング(1912~1954)が、クルト・ゲーデル(1906~1978)のアイデアなどをベースに、コンピュータの原型の一つと言われるチューリングマシンという概念を作ります。
アラン・チューリングの有名な人工知能がらみの話と言ったら、「チューリングテスト」です。
これは日本では長らく誤訳されていたことが分かっています。
チューリングテストは、機械の向こうにいるのが人間か機械か判定するテストだとよく省略されて説明されていましたが、実は違います。
審判と人間がいます。
テレタイプでつながった違う部屋で「女性」と「女性のふりをした男性」がいます。これをまず審判が見分けます。
ここにもう1台「女性のふりをした男性のふりをした機械」があります。
「女性のふりをした男性」と「女性のふりをした男性のふりをした機械」と、間違う率が同じになれば、この機械は知性を持っていると言える、としました。
尾原 「人間の偽装をしようとしている人間」と、「偽装しようとしている機械」というところで判別しなければ、意図したものにならないということなんですね。
なるほど。僕も知らなかったです。
これは要は知性というものが自然に立ち上がったものではなく、意図して装着された知性というものが、人間レベル、人間が意図して装着した知性と、機械が作った知性で比べなければ、差分は取れないよねという話ですよね。
清水 この話の面白いところは、アルファ碁が人間に勝った話と、工事計画(Part.5参照)が人間に勝った話と同じ話なんです。
ですから、さっきのGPT-3(※OpenAIが開発している言語モデルの最新版)的な学習さえすれば勝手に知性のようなものが立ち現われ、エマ―ジェンスするだろうという考え方は、チューリングテストと比べるとかなり幼稚にも見えてしまうんです。
尾原 そうですね。
清水 だからこそ、これは「イミテーション・ゲーム」と呼ばれているんです。
尾原 なるほど、なるほど。もともとがイミテートだからね。
清水 そうそう、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』という映画にはチューリングテストは出てきませんが、この映画も面白いので観てください(笑)。
元祖チャットボット「ELIZA」は、人をだますことに成功
清水 ただ、これは問題点が明らかで、人間はもっと簡単にだませることが分かってしまいます。
尾原 逆にね、判別側が甘かったという話ですね。
清水 もう一つの問題は、そもそも人間はそんなに高度な会話をしないんですよ。
実際もうかなり早めの段階で、「ELIZA」という精神科医のふりをするAIに、みんなだまされたんです。
▶世界で開発が加速化するチャットボットの進化の軌跡 ~元祖ELIZAの誕生から、ディープラーニングの可能性まで~(MOBILUS)
現代人はELIZAにだまされないという話があります。
SiriやAlexaは会話に反応できますが、でも誰もSiriやAlexaに知性があると思っていませんし、
ELIZA以上に、ワンパターンな応答しかしません。
SiriやAlexaに知能があると思わないのはなぜか?
清水 これはなぜかというと、手品だとすると、(SiriやAlexaは)手品のネタがばれている状態です。
今日は時間がないので話を省略しますが、もともと今のコンピュータのインターフェースは、アラン・ケイ(1940~)が考えた「User illusion」(※)という概念によって作られているんです。
▶編集注:君はインターフェイスではない方のUIを知っているか(WirelessWire News)
「User illusion」、すなわち「手品」です。
User illusionとは何かを一言で説明すると、そこにあるのはただの画面です。
映っているのはただのピクセルです。
ですが、それに「ファイル」と書いてあると、それがファイルだと思い込んでしまいます。
イリュージョン(錯覚)です。
ところがSiriやAlexaはそういうテクニックを一切使っていないので、ただの筒だったり、ただの機械に見えます。
知識を持っているかのように振る舞う「人工錯覚知能」
清水 僕の仮説の前提は「機械が知能を持つことは不可能である」。
尾原 最初の話(Part.1参照)に戻りますね。
清水 そしてしかし、機械は知能が必要な場面で人間に勝っています。
ゆえに、実は知能そのものが錯覚である。
ゆえに、知識を持っているかのように振る舞うことはできるのではないか。
尾原 なるほどね。
清水 これが僕が開発している「人工錯覚知能(Artificial Illusional Intelligence)」です。
(続)
本内容は本セッションに登壇したした時点での発言者の個人的見解・意見を含むものであり、ギリア株式会社およびICCパートナーズ株式会社(以下「両社」)の公式見解を示すものではありません。
本掲載記事及びその内容に関し、両社はいかなる保証もするものではありません。 万一本文書の内容に誤りがあった場合でも両社は一切責任を負いかねます。
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続きは 7. 人の会話は5往復で終わるーー錯覚を利用した会話AIロボット「GheliaM」 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成
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