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ICC FUKUOKA 2023 ファンドレイジング – 社会起業家に寄付・支援しよう!に登壇いただいた、認定NPO法人 Homedoor川口 加奈さんのプレゼンテーション動画【路上死を防ぐ活動に支援を! 路上から脱出する選択肢をつくる「Homedoor」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
▶【速報】まちなか留学で子どもたちの世界を広げる「HelloWorld」がソーシャルグッド・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2023)
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【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 12A
<新企画>ファンドレイジング – 社会起業家に寄付・支援しよう!
Sponsored by ICCパートナーズ
川口 加奈
認定NPO法人 Homedoor
理事長
HP
14歳でホームレス問題に出合い、ホームレス襲撃事件の根絶をめざし、炊出しなどの活動を開始。19歳でHomedoorを設立し、シェアサイクルHUBchari事業等で生活困窮者ら累計4000名以上に就労支援や生活支援を提供する。Googleインパクトチャレンジ グランプリ、人間力大賞グランプリ・内閣総理大臣賞等を受賞。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2022/3)に出演。大阪市立大学卒業。1991年 大阪府高石市生まれ。 著書:14歳で“おっちゃん”と出会ってから、15年考えつづけてやっと見つけた「働く意味」(ダイヤモンド社)。
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川口 加奈さん 皆さん、こんにちは。認定NPO法人 Homedoorの川口と申します。
私たちHomedoorの活動の原点となった、1枚の絵があります。
それは私が17歳の時に描いた、施設の間取り図でした。
ホームレス状態の人のための宿泊施設「アンドセンター」
この絵を描いた当時、大阪市内では年間200人以上の人が路上で亡くなっていました。
▶ホームレスの実態に関する全国調査 (概数調査) 結果について(厚生労働省) – 令和3年のデータ。
仲良くなったホームレスのおっちゃん(※) が、ある日突然、いつもの寝床にいない。
▶編集注:”おっちゃん”は、川口さんの親しみを込めた呼び方です。
「何か、わしにも働ける仕事ないかな」と言っていたのに、おっちゃんがいなくなっている。
たくさんの、路上での別れを経験しました。
人が死ぬ、その最期の時、どこの誰とも、名前も分からず、硬い路上で孤独に亡くなってしまう。
そんな社会は嫌だと思い、「ここに来たら、なんとかなる」と思ってもらえる施設の間取り図を17歳の時に描きました。
ここに来たら、ゆっくり休める個室が用意されているし、栄養が摂れる食事ができるカフェがある、そしてどんな人でも働ける仕事がある。
そんな場所が、この日本で、この大阪でたった1つでもあれば、路上で亡くなってしまう命を救えるのではないか。
「とりあえず、あそこに行けばなんとかなる。」、そんな場所を作りたくてHomedoorを設立し、シェアサイクルで仕事を作り、5年前には念願だった、「アンドセンター(※) 」という宿泊施設をオープンしました。
▶HUBchari – シェアサイクル事業
▶編集注:アンドセンターを2019年に訪問したレポート「高校3年生で描いた夢の施設が実現! Homedoorが作る、ホームレス状態脱出の仕組み」もぜひご覧ください。
ゆっくり休める個室を18部屋用意し、しんどい時にこそゆっくり休んで、次に向けてもう一度頑張ろうと思える、そんな場所を作りたいと思い、シェアサイクルの事業収益や集めた寄付で運営しています。
Homedoorが行う6段階の支援
Homedoorでは、このアンドセンターを中心に、6つのステップと言われている、6段階の支援を提供しています。
路上から脱出する時、それを阻む高い壁があると言われています。
その要素を因数分解し、どんな人でも、それらの要素を少しずつ獲得できるようなステップを、Homedoorのソリューションとして提供しています。
「路上脱出したい」と思ったら、選択肢がある状況にしてたい
よく、「ホームレスの人をゼロにしたいのか」と言われます。
そうではないのです。
路上から、ただ脱出したいと思ったら脱出できる機会がある、選択肢がある、チャンスがある、そういう状況を作っていきたいのです。
その選択肢が多種多様であればあるほど、色々な人にマッチするのではないか、そんな思いで活動をしています。
ここで、活動を説明する動画を見ていただけたらと思います。
1つ目のステップが「届ける」ということで、ここに来たら大丈夫だよという情報を届けていきます。
その1つが夜回り活動といって、4コースに分かれて、お弁当85食を大阪市北区で配っています。
単に物資を提供するだけではなく、次のステップにつながるチラシを同封します。
例えば、そのチラシには路上からでも働ける仕事があるという求人情報も載せています。
そのお弁当を受け取って、一度ここに相談してみようかなと翌日、もしくは数年後になるかもしれませんが、来られるのがアンドセンターです。
「とりあえず、あそこに行けばなんとかなる。」、ビル1棟を借り上げて、ゆっくり休める個室を無料で2週間提供しています。
その2週間の間に、次にどうすればいいのか、「選択肢」の提案を、専門の相談員からしています(2つ目のステップ「選択肢を広げる」)。
(動画内音声)
「(アンドセンターの感想を聞かれた宿泊者)天国でしたね。大げさかもしれないですけど、久しぶりに布団のある場所で寝かせてもらったので、もう快適でした。もう爆睡です(笑)」
3つ目のステップが「”暮らし”を支える」で、生活面のサポートです。
アンドセンターを中心に、色々な企業からのご協力で、物資を提供させていただいています。
(動画内音声)
「(アンドセンターに来た時何をして過ごすか聞かれた利用者)まずご飯を食べる、アルファ米。これはね、お湯かお水を入れて、それで置いておくとご飯になります。結構おいしい非常食ですね。それからラーメン。これも結構おいしいです」
「(シャワーの利用者)ありがとうございます。夏場はシャワーがあったらすごい助かります。」
「(洗濯機の利用者)非常に助かります、この暑い時期だと。1日でシャツとか汗だくになってしまうので」
「(パソコンに向かう利用者)パソコンで履歴書を作ってます。就職活動をしています」
4つ目のステップが「”働く”を支える」で、就労面のサポートです。
その1つがシェアサイクル、「HUBchari(ハブチャリ)」です。
今、大阪市内340拠点で展開している、レンタサイクルの進化版で、シェアサイクルです。
英語での対応も頑張りながら、接客、メンテナンス、バッテリー交換という仕事の雇用を創出しています。
他にも、駐輪場やマンションの管理や清掃など、企業から業務委託でもらってきた仕事を、当事者の雇用につなげています。
(動画内音声)
「(Homedoorで紹介を受け、駐輪場で働く人)特に気をつけていることは、年配のお客さんに声をかけて、出しにくいであろう、もしくは出しにくくなくても声をかけるように心がけています」
「(「あなたにとってHomedoorとは?」と問われた利用者、笑顔で)いこいの場、安らぎの場。オアシス」
「(同じ質問に答える別の利用者)唯一今帰って来られる場所。頼りにしている場所。そうなっていますよ」
「(同じ質問に答える別の利用者)生きがいの場所になりましたね。半年間ホームレスさせてもらいました。だけど世間は冷たいもので誰も相手にしてくれないし、一旦ホームレスの格好をしていますと、信用もありませんでした。人間落ちるところまで落ちたら、そうですね、まずはやっぱり食べるものがなかったのが一番のつらいところでしたね。
だけどHomedoorさんを紹介してもらって、あ、もう一回生きてみようという考えになりました。
それはなんでかと言うたら、やっぱり命というのは大事にしないといけないと。食べ物ももらえる、あぁ嬉しいな、こんなに食べ物がおいしいんかというのをまた教えてもらいましたし、いま物も大事にしています。これからもHomedoorさんを応援してください。よろしくお願いします」
こんな感じで運営をしています。
近年はコロナ禍の影響もあり、相談者数が初めて1,000人を突破することもありました。
昨年(2022年)になって少し落ち着きましたが、相談に来られる方が絶えない状況が毎日続いています。
そして宿泊希望者数もぐんぐん増えており、アンドセンターだけでは足りず、ホテルを予約してそこに泊まってもらう、緊急的対応も続けています。
しんどい時こそゆっくり休める個室と温かいごはんを
動画でもあった通り、もう一度生きてみようと思ってもらえる温かいごはんの提供も、2年前から始めました。
アンドセンターの隣に、「おかえりキッチン」というカフェをオープンしました。
一般の方もカフェとしてご利用いただけますが、相談者、宿泊者に、いつ来てもらっても温かい食事を提供できる場所を作っています。
行政が運営しているホームレス支援施設は、12人1部屋の共同生活が基本になっています。
ただ、ホームレスの方の6、7割が何かしらの障害を抱えていると言われる中、障害特性ゆえに、他人との共同生活が非常に難しい人も多くいらっしゃいます。
私自身も、もしホームレスになった時、12人1部屋の生活は、しんどい時によりしんどい状況になるので、もう一度頑張ろうと思えるかというと難しいと感じています。
そうではなくて、私たちは、しんどい時にこそ最高のおもてなしをしたいと思っています。
しんどい時こそ、ゆっくり休める個室があって、温かい食事ができる場所があって、どんな人でも働ける仕事がある、そんな場所を作りたいと活動してきました。
路上死を防ぐ活動へご支援を
ただ、2022年悲しい出来事がありました。
私たちが活動している大阪市北区で、分かっているだけでも、4人が路上で亡くなってしまいました。
相談においでよと何度も声はかけるのですが、「もうええねん、このまま路上で死んでも誰も悲しまへんから、死なせてくれ」と言うその方に、私は何も声をかけられませんでした。
今年こそは、いつも声をかけているおっちゃんたちと、暖かい春を迎えたいと思い、「冬のサポーターキャンペーン」をスタートしました。
(動画内音声)
「(アンドセンターの利用者)生きるか、死ぬかでしか考えられへんようになったから。同じようにテント張ってる人で2、3日出てけえへんなあと思ってのぞきに行ったら死んでたというのもあるし」
(ナレーション)
「冬の活動を支えるサポーター制度にご協力ください。認定NPO法人 Homedoorは誰もが何度でもやり直せる社会を目指し、2010年に活動を開始しました。年間1,000名近くの方から新規相談があります。
相談者がゆっくり休むことのできる宿泊施設「アンドセンター」の運営や相談者が無料でご飯が食べられる食堂「おかえりキッチン」の運営を行っています。シェアサイクル、「HUBchari(ハブチャリ)」を通じた就労支援も行っています。また、アウトリーチ活動として大阪市北区でお弁当を配りながらホームレス状態の人の安否確認をする活動「夜回り」を行っています。
2013年から夜回り活動を続ける中で関係のできつつあったホームレス状態の人が路上で亡くなられてしまうこともありました。やるせなさやもどかしさを感じても、それでも活動を続けてこられたのは、多くの方がご支援くださったおかげです。路上死を防ぐHomedoorの活動への応援をお願いします」
サポーターキャンペーンということで、私たちは毎月1口1,000円から応援していただける人を300人募るキャンペーンをしています。
282人まで来ています。(2023年2月16日登壇当時)
今日、数えると18人以上は会場にいらっしゃると思うので、今日を皮切りに達成できたら嬉しいなと思います。
サポーターキャンペーン特設サイトをご覧いただき、応援いただけたら嬉しいです。
▶編集注:Homedoorの「冬のサポーターキャンペーン」には、2023年2月28日の締切までに343人の申し込みがありました。引き続き、Homedooではご寄付での応援をお願いしています。詳しくはこちらをご覧ください。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/小林 弘美