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これまでに配信した、組織づくりに関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス KYOTO 2016 から、「最高の成果を生み出すチーム作りの方法論」を10回に再編集してお届けします。組織づくり特集3(その4)は、固定概念を排することの重要性や逆境の中で持つべきマインド等について議論しました。ぜひご覧ください。
ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 5C
最高の成果を生み出す チーム作りの方法論
(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者
川上 (全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職
川邊 健太郎
ヤフー株式会社
副社長執行役員 COO
中竹 竜二
(公財)日本ラグビーフットボール協会
コーチングディレクター
(モデレーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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最初の記事
【新】最高の成果を生み出すチーム作りとは?【SP-OD3 #1】
1つ前の記事
新興宗教はどのように人を洗脳しているのか?【SP-OD3 #3】
本編
川邊 ソフトバンクは汐留のビルのエレベーターに標語が書いてあるのですが、最初は「努力って楽しい」とか出ていたのですけれど最後の方では「ムチャ振りって楽しい」と書いてありました。
徐々に変わっていった。
大きい組織なので、理不尽を是として飛躍させようと思ったのかもしれないですね。
石川 そうですね。理屈も突き詰めていけば最後にはそこへ行くしかないと思うのです。
僕は子供の頃から、コカ・コーラが好きでよく飲んでいたのですね。
スカッと爽やかなどと言われていた。
ある時、コカ・コーラのキャンペーンのタグラインが「No Reason」になっていたのです。
つまり、なぜコーラを飲むのか、「No Reason」だと。コーラはここまで来たかと思いました(笑)
川邊 なるほど。
石川 実際、コーラというのはすごいらしいです。
友達に栗城君という登山家がいるのですが、彼に、「生死を分けるような極限状況から降りて来た時に何を口にしたくなるかわかるか」と聞かれました。
これは実は登山家に共通しているらしくて、危険な山から降りて来た時に最初に身体が欲するのが、温かなスープではなくコカ・コーラらしいのです。
そして、普段飲むのかと聞いても飲まないと言う。たぶん、あれは本能へ働きかけているのでしょうね。
でも、No Reasonというのは川上さん、どうでしょうか。
川上 まさしく禅です。
石川 そうでしょう。
川上 No Reasonというか、理由もクソもない。
理由というのは自分の固定概念から生まれているわけでしょう。
そこをいかに外すかということになってくるので、No Reasonというのはほんとうに実は正しいと思うのです。
川邊 仏教とか禅で、チームとかチームマネージメントという概念はあるのですか。
川上 チームどころか、生きているすべてのものとか、存在するものすべてのマネージメントという世界になってくるのです。
川邊 この世のものすべてのマネージメントですか。
川上 無心という言葉がありますでしょう。
この心の部分というのは自分ということになります。
自分がない、自も他もないということになってくるので、ワンネス、「1」という概念になってくるのです。
その「1」はすべてを含むことになってしまうので、それをどうマネージメントするかということになってくる。
川邊 どうマネージメントするのですか。
川上 そうなると利他という概念になってきます。
川邊 徹底的に利他になるということですか。
川上 徹底的にと言いますか、そこへ行くとどうしても行動経済学的な論争になってしまう。
利他という概念すら本来存在しないということになってくる。ただ、どれだけ他人のために働けるかということが幸せになってくるのです。
石川 脳科学的には、人間にとっての一番の幸せは、苦しんでいる人を救うことなのです。苦しんでいる人を助けてあげることが、人間の脳にとって一番幸せを感じる。
中竹 それは本能なのでしょうか、欲なのでしょうか。
石川 おそらく本能レベルで植え付けられているものでしょう。
川上 2歳児でもお菓子を分け与える時の方が、自分がもらう時よりも、幸福度を感じるという研究がありますから。
川邊 そうなのですか。
川上 はい。
そして、2歳児でそうということは、実際本能のレベルでそうなのではないかということになりますよね。
苦しいときほどライバルを思いやったほうが良い
石川 また、自分が苦しい状況ほど、相手を思いやった方が、実は自分が救われるということもあります。
たとえば、スポーツの世界でも、タイガーウッズが優勝争いをしている時の話です。
ライバルがパットを決めてしまうと、もう相手の優勝が決まってしまうという時に、「入ってくれ」と彼は思うらしいです。
つまり、他人の成功を喜んだ方が、結局自分が良いプレーができると知っているからです。
そこで他人の成功を喜んだりする。
それから川上さん、軍人もそうらしいですね。
川上 そうですね。
たまたま元特殊部隊や特殊部隊の方々が、よく春光院にいらっしゃるのです。
つまり、座禅会に来る。
言ってみれば紛争地域に派遣される傭兵部隊などありますでしょう。
ああいう会社の名前は使って来ないのですが、どう考えてもその研修のようなもので来ている人たちがいるのです。
私はそういう人たちにマインドフルネスを教えているのですが、その時に同じような話をしていました。
すなわち、敵のことをどう思いやるかによって、生きるか死ぬかが分けられるという話だったのです。
たとえば、中国政府につかまったチベット仏教のお坊さんに「一番大変だったことはなんですか」と聞くと、「毎回私のことを拷問してくる中国兵のことを思いやることです」というのです。
そして、その話をした時に、「ああ俺たちも経験があるよ」という話になった。
そもそも、特殊部隊や傭兵部隊というのは、拷問に耐える訓練というものがあるらしいです。
電流を流されたりするらしいのですが、その相手のことをどこまで愛おしく思えるかということが大切らしいです。
川邊 拷問を受けながら。
小林 拷問をしている人に対してですか?
川上 そうです。
石川 「コイツにも家族がいるのだろう」などと思うわけですね。
川上 そう。「コイツも無理やりやらされているんだろう」とか。
川邊 そうすると耐えられるのですか。
川上 ええ。耐えられるらしいのです。
ただ、「コイツのことがほんとうに憎い」と思い出すと、人間というのはそこでもうダメらしいのです。
川邊 逆に言うと、スナイパーとかも「アイツにも家族がいるのだろうな」と思って撃っているのですか。
川上 まあ、スナイパーではないと思うのですが、ほんとに特殊部隊とかは相手のことを愛おしく思うらしいです。
中竹 スポーツの世界でも相手をリスペクトするとパフォーマンスがあがるというのは、タイガーウッズの話ではないですが、それはよく言われることです。
石川 やはり、「ぶっ潰す」などと思っていると、どこか身体が違うふうに動いてしまうのでしょうか。
中竹 そうですね。あと心理学的に、スポーツをやっている時に「勝とう」とか「この点数を入れよう」などと思うとだいたいパフォーマンスは落ちます。
これはハッキリ言われていて、目の前のことに集中できるかどうかの方が大事になってくるのです。
ですから、相手のことを倒そうと思うと逆に、常にパフォーマンスが落ちると言われている。
そして、コーチはそれにどこでストップをして、やるときに目の前のことだけに集中させるかということが重要になってきます。
それからタイガーウッズの話ではないですが、自分も相手も最高のパフォーマンスをした方が、結果的にパフォーマンスがあがるという前提で、「相手も良いプレーをして欲しいな」と思っているとパフォーマンスはあがると言われています。
川邊 なるほど。考えを改めたくなってきました。
(続)
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続きは 経営者の自問自答の幅を広げる「エグゼクティブコーチ」の役割とは? をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/石川 翔太
【編集部コメント】
続編(その5)では、ヤフー副社長 川邊さんが実践しているという「エグゼクティブコーチとの対話」について議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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