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広島県の1万世帯に牛乳を届ける「サゴタニ牧農」、地域が豊かになる未来への挑戦(ICC FUKUOKA 2024)

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ICC FUKUOKA 2024 クラフテッド・カタパルトに登壇した、砂谷 久保 宏輔さんのプレゼンテーション動画【広島県の1万世帯に牛乳を届ける「サゴタニ牧農」、地域が豊かになる未来への挑戦】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。

【速報】商品×体験×ビジョンでお酢と地域の未来をつくる「飯尾醸造」がクラフテッド・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2023)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング

久保 宏輔
砂谷
取締役副社長
HP | X(旧Twitter)

広島県の北西部に位置する湯来町で1941年から酪農を営む家に生まれる。大学卒業後、大手プラントエンジニアリング会社での勤務を経て家業を継ぐため7年前に帰郷。3代目として酪農の新たな可能性を模索している。


久保 宏輔さん 皆さん、こんにちは。

サゴタニ牧農の久保と申します。

今日は僕たちが「放牧酪農を通して作りたい未来」のお話をさせていただきます。

広島市中心部から離れた自然あふれる地にある牧場

まず牧場の紹介です。

牧場は広島県広島市の中心部から車で約50分行ったところにあります。

夏はホタルが飛び、近くの川にはオオサンショウウオが泳ぐ自然豊かなところです。

広さは、PayPayドームが5つ入るぐらいの35ヘクタールの土地です。

ここで乳牛を100頭、今は牛舎で飼育しています。

創業時から農業の6次化に取り組んだ祖父

創業者は僕の祖父、久保 政夫です。

学業に秀でていた祖父は文学を志し上京、その後の生活で身体を壊してしまいます。健康を回復し生活を立て直すため、乳牛の島、八丈島に渡り酪農を始めました。10年で八丈島でも有数の酪農家になりましたが、妹の死をきっかけに昭和16年に八丈島から牛を23頭連れて帰ってきました。

▶​砂谷牛乳創業ストーリー(サゴタニ牧農)

故郷の砂谷(サゴタニ)村を豊かにしたいという思いで帰ってきましたので、会社の名前は「サゴタニ」という名前です。

創業当時から、「自らつくり、自ら売ることが農民の自立」という理念を掲げて、今でいう6次化(※)に取り組んできました。

▶️編集注:6次化(=6次産業化)とは、農業・漁業・林業など1次産業の生産者が、生産だけでなく、加工の2次産業、販売の3次産業を一気通貫で行う取り組みのこと。

牧場にある工場では、チーズやバター、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品を作っています。

▶︎商品案内(サゴタニ牧農)
▶︎オンラインショップ(サゴタニ牧農)

牛乳は2023年に広島で行われたG7サミットで各国の首脳の皆さんにも提供させていただきました。

【G7広島サミット2023】にて提供されたメニューで採用頂きました!(サゴタニ牧農)

65℃・30分殺菌で乳本来の味わいを再現

僕たちの作る商品は、7割の売上が宅配です。

広島県の約1万件の世帯に毎朝牛乳を届けています。

65℃、これは牛乳の殺菌温度です。

一般的な牛乳は120℃以上で殺菌をしますが、僕たちの牛乳は65℃で30分、じっくり温度を上げていきます。

砂谷牛乳(サゴタニ牧農)

そうすることで、タンパク変性を極少に抑えることができます。

そのことで牛乳が本来持っている甘みや香り、飲んだ後にすっと引いていく“のどごし”を再現することができます。

ジェラートショップやいちご農園を併設

牧場にはジェラートを提供するジェラートショップがあります。

今、審査員の皆さんに食べていただいているジェラートです。

▶️編集注:プレゼン中に、審査員席にジェラートが配布されました。

また、産直市があります。

近くの農家さんから集めた野菜などを販売しております。

今年(2024年)の2月からは牛乳に一番合う作物として、いちご農園も開始しました。

年間10万人が訪問する“手厚いほったらかし”の場所

牧場は今、年間10万人のお客さんが来てくださるようになりました。

9割が広島の方、リピーターが6割です。

これは牧場の夏の景色です。

特に何があるわけではないのですが、皆さん思い思いに楽しんでおられます。

僕たちはこれを“手厚いほったらかし”と呼んでおります。

牧場では定期的に牧場体験ツアーやマルシェ、音楽フェスを開催して、お客さんとの心の交流を図っています。

事業を通して、沢山の言葉を貰います。

「うちの子どもたちはここの牛乳で育てたんよ!」とか、「僕の身体の半分はサゴタニの牛乳でできてます!」とか、「育児ノイローゼになりそうな時、いつも牧場に救われていました」など、多くの言葉を貰い、手紙も毎年100通以上貰います。

生きていて良かったと感じられる場所をつくりたい

今、僕たちが考えている次の挑戦のお話をさせていただきます。

次の世代に引き継ぐ挑戦、今は牛を牛舎で飼っていますが、これを2030年までに放牧に切り替えたいと考えています。

ジャパンハート𠮷岡(秀人)医師の言葉が心に残っています。

生まれてきて良かったと思えるような医療を届けたい──僕たちも同じです。

生きていて良かったと思える、それを感じられる場所をつくりたい。

食べることは生きることです。

僕たちは食べたものでできています。

土が草になり、草が牛になり、牛が人になる──この循環を頭では理解できますが、身体や心で理解できる場所はまだまだ少ないなと思っています。

放牧で牛を育てたいという思い

食べたものでできている──そのことを心で感じられる牧場を作るために、その景色を作るために、放牧で牛を育てたいと考えています。

一方で、日本における放牧の割合はわずか2%です。

圧倒的に知見が不足していたので、僕は情報源を探しました。

偶然見つけた農業奨学金制度に応募して、日本の代表に選んでいただきました。

世界各国を2年間旅して回りながら、放牧の技術を体系的に学びました。

その時に世界の農業は持続可能な農業という形に大きくシフトしようとしていると感じました。

それは僕たちが目指している放牧酪農にも合致しているなと思いました。

延べ500人の協力で放牧地を整備

学びと実践はセットです。

早速、放牧地作りに着手しました。

最初は家族で始めましたが、友人やメインバンクの行員さん、多くの方が手伝ってくださいました。

人生初のクラウドファンディングにも挑戦しました。

「牛の棲む森」をつくり、人と自然が共生できる未来を目指したい!(CAMPFIRE)

沢山の方が協力してくれて、延べ500人の方たちと一緒に放牧地を作りました。

元々こうした雑草に覆われていた放牧地ですが、柵を作って牛を放すことで徐々に豊かな土地になっていきました。

今はこんな感じになっています。

ここで、2030年までに放牧で牛を飼いたいと考えています。

次の世代に引き継ぎたい未来

僕たちが考える次の世代に引き継ぐ未来──それは1杯の牛乳を飲みながら、生きていてよかったなと感じられる場所を作ることです。

それを僕がこうして語るのではなく、来てくださった方が自分の心で感じられるような、そんな場所を作りたいと考えています。

これは僕が2045年までに作りたい牧場の絵です。

放牧酪農を中心としながら、いろいろな作物、動物を育て、ここでの恵みを食べられるレストランや宿を作っていきたいと考えています。

僕は農業、酪農にはそれだけの力があると思っています。

生きていてよかったなと感じられる場所を地域に残すことで、地域が少し豊かになるような未来を作っていきたいです。

皆さん、ぜひ牧場に遊びに来てください。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/森田 竜馬/浅郷 浩子/正能 由佳/星野 由香里/戸田 秀成

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