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ICC KYOTO 2024 カタパルト・グランプリに登壇いただき2位に入賞した、EF Polymer 下地 邦拓さんのプレゼンテーション動画【世界のどこでも地産地消できる土に還る吸水性ポリマーで、持続可能な農業の実現を目指す「EF Polymer」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
▶【速報】障害への支援的な構造を逆転するアートIPカンパニー「ヘラルボニー」がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC KYOTO 2024)
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【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い
-Sponsored by AGSコンサルティング
下地 邦拓
EF Polymer
取締役COO
公式HP | 公式X
米大(国際関係論)卒業後、米国シンクタンク(ワシントンDC)、外資系コンサルティング会社(東京)を経て、2020年に出身の沖縄に戻り、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の職員として外部資金調達、産学官連携・地域連携に従事。 2022年8月にEFポリマーに参画し、現在はCOOとして国内外の事業開発・セールスを統括。
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下地 邦拓さん EF Polymerは、世界唯一の有機ポリマー技術で、枯渇し劣化する生態系と地球の未来を潤します。
OIST発アグリ・新素材ディープテックスタートアップ
OIST(沖縄科学技術大学院大学)発のベンチャーです。
アグリ・新素材ディープテックスタートアップベンチャーです。
干ばつ、肥料価格の高騰に苦しむ世界中の農家さまの支援をしています。
また、環境負荷軽減が求められる化学ポリマー業界のGX(グリーントランスフォーメーション)パートナーとして、事業を展開しています。
ここで実験です。お手元にあるカップの水をポリマーの入ったカップに移して、マドラーで10回くらい混ぜていただき、置いておいてください 。
▶編集注:プレゼン中に、審査員席に実験用のセットが配布されました。
沖縄に新たな産業を、そして世界を変える事業を展開したいという思いから、私は、沖縄科学技術大学院大学の学長室で働いていました。
そこで出会ったのがナラヤン(・ガルジャールCEO)、我々の会社の代表です。
彼の研究テーマは、「 どうすれば、干ばつに苦しむ家族や仲間を救うことができるのか?」です。
インドの乾燥地域にある、人口300人の村で育ったナラヤンは、村の仲間や家族が植えた作物が、干ばつによって枯れてなくなっていくのを目の当たりにしていました。
「水ストレス」による収量減、肥料価格高騰が深刻
実はこれは、インドだけではないのです。
干ばつの影響を受けている人口は世界で約35億人、あまり知られていませんが、人類が利用可能な淡水のうち農業に使われているのが7割です。
これを掛け合わせると、世界中の多くの生産者が、干ばつの影響で収入や収量を3、4割減らしていることになります。
このような状況をさらに苦しくしているのは、肥料の価格問題です。
水と肥料を削減しても収量を上げられる有機ポリマーを開発
これに対する、短期的ではなく中長期的に持続可能な解決策が必要だと考えて開発されたのが、世界で唯一有機認定を取得した吸水性ポリマー(EF Polymer)です。
原材料はこれまで廃棄されていたオレンジの皮で、1gあたり約50倍の水を吸水し、土の中で半年間、吸水と放出を繰り返し、1年で完全に生分解されるポリマーです。
これを利用すると、 水の利用量を約4割、肥料の利用量を約2割削減しながら、収量を15~20%アップすることができます。
有機ポリマーは世界中で地産地消が可能
実は、ポリマーは日本のお家芸です。
世界のポリマー企業トップ10がR&Dを続けていますが、まだ開発できていないのが、この「有機ポリマー」です。
また、我々のポリマーは、これまで廃棄されていた作物の残渣(ざんさ)から多糖類を抽出して作られています。
多糖類は多くの作物に作物に含まれているものですので、世界中さまざまな地域で地産地消化の実現が可能になります。
地域で取れた作物残渣を使って、我々のポリマーを作る。
そのポリマーを活用し干ばつの影響を軽減し、またその畑から収集可能な残渣を使って、またポリマーを作る。
世界中でこのサイクルを作っていきます。
混ぜるだけで水と肥料の流出を防止
簡単な図ですが、我々のポリマーは、土に入るとこのように水の玉ができるようなイメージです。
お手元の先ほどの実験については、既に水を吸い、ジェル状になっているかと思います。
これが、土の中でどう機能するのか。
我々のポリマーは、土に入った瞬間から、この動画で言うと、ポリマーを1g追加した左側の土は右側のポリマーの入っていない土よりも50ml多く保水できるようになります。
投入している水を雨だと考えてください。
雨が降った途端、水が流れ出ます。
また、肥料は水に溶け出して、同時に流れます。
我々のアイデアは非常にシンプルで、我々のポリマーを混ぜることで、通常だと流亡してしまう水と肥料を止めるというものです。
世界5か国で販売、20か国以上で商談、試験を実施
現在、日本、インド、米国に拠点を持ち、欧州とタイで販売を開始しています。
そして、干ばつに苦しむ、世界20か国以上で商談、試験が開始されています。
ここで少し、私たちのお客様の自慢をさせてください。
インドでは水量40%減の干ばつ下でも、収量・収入の安定化を実現しました。
インド政府の推奨資材にもしていただいています。
日本には、水がたくさんあると思っていませんか?
実は、農地における干ばつ問題は深刻化していて、その課題解決に向けて、大手の種苗会社と連携して我々のポリマーを全国展開し、我々の本社がある沖縄ではJAの全店舗でも取り扱っていただいています。
欧州で農業利用が唯一可能なポリマー
我々のポリマーは、干ばつが深刻化する欧州で、唯一農業に利用可能なポリマーです。
フランス、イタリアの最大の金融機関と共に、約1億人の生産者に向けて展開を始めています。
そして当社初となる、約1億円のディールを年内(2024年)に締結予定です。
ポリマーを利用することで、人的支援、自然災害支援も提供できます。
ウクライナ政府、米国政府と連携し、干ばつに苦しむウクライナの農家にポリマーを寄付させていただきました。
▶EFポリマー、沖縄県の企業約50社と合同でウクライナの生産者に対する支援を実施(PR TIMES)
化学ポリマーから有機ポリマーへとGX(グリーントランスフォーメーション)
我々の可能性は、農業にとどまりません。
皆さんが普段使っている多くの資材に従来の化学ポリマーは利用されています。
ただ、化学ポリマーの 環境負荷が近年問題視され、事業や製品のGX化の必要性が謳われれはじめています。
例えば、保冷剤の中身のゲルを岩谷産業と製造させていただき、今、MUJIで利用いただいています。
▶EFポリマー、岩谷グループとの共同開発でオレンジの皮など作物残渣から生まれたオーガニック保冷剤を発表(PR TIMES)
皆さん、観葉植物の水やりが心配ではないですか?
この保冷剤のゲルを使うことで、皆さんが出張中の水やりを心配しなくてもすむ保水剤になるかもしれません。
現在、日用品、衛生製品のGXを行っており、増粘剤は既に開発済みで、世界最大手との連携が始まっています。
吸水シートも目下、開発中です。
世界中で多くの賞を受賞し、事業展開を進めております。
2030年までに約90兆円の市場創出を目指す
ビジネスモデルはシンプルで、D2C、販売店モデルを採用しております。
吸水性ポリマーと農業資材で、2030年までに約90兆円のマーケットを創出します。
昨今注目を集めているカーボンクレジットは、含めておりません。
アグリ・新素材産業は、儲かる産業です。
我々は2030年までに干ばつに苦しむ生産者約2億人に、支援を届けたいと考えております。
現在シリーズB、25億円の資金調達にチャレンジしております。
枯渇し劣化する生態系と地球の未来を潤す
皆さん、お手元のポリマーをもう一度見ていただければと思います。
このポリマーは、オレンジ、つまり植物から作られています。
皆さん、明日、お米を食べられるでしょうか?
野菜を食べられるでしょうか?
我々はこのポリマーで皆さんの将来、そして食の未来を変えていきます。
枯渇し劣化する生態系と地球の未来を潤す、EF Polymerの挑戦を応援してください。
ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成