ICC KYOTO 2024 Digital Transformation(DX) CATAPULTに登壇いただき3位に入賞した、Check Inn 田中 健太郎さんのプレゼンテーション動画【観光業を日本一の産業へ。産業構造の課題を解決してホテルの利益率向上に貢献する「Check Inn」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは Saleshub です。
▶【速報】土木設計を紙図面から3Dモデルへ。職人技のDXで業界をアップデートする「Malme(マルメ)」がDXカタパルト優勝!(ICC KYOTO 2024)
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【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 2A
Digital Transformation(DX) CATAPULT
Sponsored by Saleshub
田中 健太郎
Check Inn
代表取締役CEO
公式HP | 公式X
1997年生まれ。横浜国立大学理工学部在学中、休学しスタートアップのエンジニアを経験。その後、Pricing Sutdio株式会社の共同創業エンジニアとして会社の立ち上げ、サービス開発を行う。卒業後、楽天株式会社を経てCheck inn株式会社を創業。世界から大きく遅れている宿泊施設のツールを変革し、世界をリードする観光産業作りに貢献していきます。
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田中 健太郎さん 歪な産業構造を改革するホテル向けシステム、Check Innの田中です。
2030年、観光業が外貨獲得1位の産業へ
こちらの画像は、ICCサミットが行われる京都の様子です。
日本へのインバウンド観光客は、急増しています。
コロナ禍で一度減少した旅行者数は、2024年には3,300万人、過去最高人数になると予想されています。
▶2024年の訪日客、過去最高の3310万人 JTB予測(日本経済新聞)
これは今後も増加します。
観光庁によると、インバウンドによる消費額は、過去最高だった5.2兆円から、2030年には15兆円を目標にしていて、あと6年で3倍に大きくなります。
▶髙橋長官会見要旨 | 2024年(観光庁)
また、政府目標を達成すると、2030年には観光業が外貨獲得1位の産業になります。
自動車産業を抜きます。
観光業はまさに、日本復活の鍵になっているのです。
宿泊業界の利益率を下げる複雑なオペレーション
しかし、そのオペレーションはレガシーで複雑です。
こちらの画像をご覧ください。
レガシーなツールを使うならまだしも、紙やノートを使っての予約管理も当たり前です。
ツールを全て入れようとすると、必要なツールも多く、複雑な運用となってしまいます。
この煩雑なオペレーションによって、アメリカなどと比べると、日本の宿の利益率は低くなってしまっています。
これは、皆さんにも関係のある話です。
このままだと、日本の価値ある旅館やホテルは、運営ができなくなるかもしれません。
京都の価値あるホテルが、なくなってしまうかもしれません。
だからこそ、宿泊業界にはDXを通じた産業構造の変革が必要なのです。
日本独特の在庫管理システム
では、実際にはどのような課題があるのでしょうか。
産業構造を見ていきましょう。
例えば予約が入ると、一つ目に登場するのが「在庫管理システム」ですが、日本独特のものです。
楽天トラベルなど、集客サイトの部屋数の在庫を自動で更新します。
バラバラなシステムを使い続ける影響
次に「客室管理システム」に入り、最後に、連携するチェックイン機にデータが送られます。
バラバラのものを、無理やりつなげています。
複数の管理画面を見比べながら紙に転記することもあるので、マニュアルミスも多発しています。
小規模な施設ではレガシーで非効率な運営に、中大規模施設では複数システムのせいでデータがバラバラになり、目隠し経営につながってしまっています。
料金設定を、未だに経験と勘に頼っているのです。
日本初のホテル向けオールインワンシステム
Check Innは、これらの課題を解決します。
「在庫管理システム」を中心として、「客室管理システム」、「自社予約システム」を、全てオールインワンで提供する、日本初のホテル向けシステムです。
実際の管理画面です。
集客サイトや自社予約システムから予約が入ると、Check Innの部屋数の在庫数が変わります。
在庫管理機能として、楽天トラベルやじゃらんなど集客サイトの在庫更新も自動でされます。
これがダブルブッキングを防ぎます。
そして予約が入ると、予約者の客室への割り当ても自動でされます。
割り当てた客室を変更することも可能です。
予約情報の確認、領収証の発行も可能です。
売上や入金情報も見ることができ、売上の管理は全て管理画面上で行えます。
また、ホテルの自社予約システムも含まれています。
公式ホームページの予約サイトも、Check Innで構築できるのです。
多言語対応しているので、日本語を理解できない人でも予約が可能です。
▶宿泊施設向け自社予約システムを提供するCheck Inn、自動翻訳付き多言語表示機能の提供を開始(PR TIMES)
予約後は、iPadや手元のスマートフォンなどからも、事前のチェックインフォームへの入力が可能。
無人運営の施設では、チェックイン時の混雑解消にも役に立ちます。
運営に必要な全ての機能が搭載されているのです。
オールインワンシステムは海外では当たり前
今までは、SIerが作った、20年変わっていないオンプレミスシステムを、3つバラバラで運用していました。
Check Innを使うと、オールインワンで運営が可能になります。
このオールインワンシステムは、海外では当たり前なのです。
世界的に見ても日本のシステムは独特の構成で、 日本だけが在庫管理システム中心の産業構造になってしまっています。
在庫管理システムは3社が寡占状態
先ほど日本独特だとご説明した在庫管理システムは、3社に寡占されています。
自社予約システムや客室管理システムは、お願いして接続料金を支払い、在庫管理システムとAPI接続をさせてもらっている状態です。
競合サービスを導入すると、API接続を切断され、サービス提供ができなくなるリスクがあるため、なかなか参入ができません。
また、集客サイト各社とのAPI接続は、難しい条件をクリアする必要があります。
各社と交渉して許可を得るのが必要、明文化されていない条件もクリアする必要があり、ここも茨の道です。
そのため、営業利益率70%以上の在庫管理システム会社もあり、また、2024年の上場企業のうち営業利益率が2位の会社もあります。
「在庫管理システム」を中心にオールインワンシステムを提供
Check Innは唯一、自社で「在庫管理システム」を持つスタートアップです。
参入が簡単な「客室管理システム」を扱うスタートアップは、複数存在します。
弊社は最も難易度の高い、マスターデータを持つ在庫管理システムを中心として、オールインワンシステムを提供しています。
そのため、接続料金などを支払う必要がなく、料金を安くできる構造です。
新規開業の小規模施設がターゲット
Check Innを導入していただいた施設数も、順調に増えています。
まずCheck Innが狙っているのは、全体の85%を占める小規模宿泊の施設です。
新規開業のラッシュもあり、小規模施設だけでも、年間4,000も施設が増えています。
平均単価は18ヶ月で約3倍に、機能が増えるにつれて、これはまだまだ上がっていきます。
問い合わせからの受注率は、大規模施設を含めても約60%と、高い数字になっています。
ダイナミックプライシング機能で売上に貢献
今後の成長戦略についてです。
次に狙っているのは、施設単価が5~10倍の、50部屋以上の大規模ホテルです。
オールインワンシステムを提供することで、Check Innは唯一の、顧客データと販売料金データを持つシステムとなります。
プライスを決めるインプットデータとアウトプットデータの両方を、唯一のシステムとして押さえます。
海外では当たり前になっているダイナミックプライシングなどの機能も提供することで、経費削減だけではなく、売上向上にも貢献していきます。
実際、190部屋のホテルへの導入も始まっています。
必要な機能はまだまだ多いですが、開発次第、規模の大きいホテルを狙っていきます。
また、スクレイピング(自動でデータを収集する方法)なども使い、主要な集客サイトとの連携は既に済んでいますが、実績が認められ、公式でAPI接続をさせてもらう例も出てきました。
3兆円を超えるオンライン宿泊市場で成長
ホテルで一番使われる「経営データ」を押さえることで、3兆円以上のオンライン宿泊市場で、フィンテック、集客などトランザクション課金のプロダクトにすることにも挑戦します。
ここまでいくと、施設単価は10倍になると見込んでいます。
海外では1,000億円以上の時価総額となっているオールインワンシステムのプレイヤーが複数存在するので、まずは、これらの企業をベンチマークとしています。
観光で日本を世界一に
観光産業は、日本では数少ない、外貨を獲得しうる産業です。
しかしトラベルテック領域は、独占的でレガシーで、世界から大きく遅れをとってしまっています。
産業構造を変え、観光業のインフラとなり、観光で日本を世界一にしていきます。
Check Innでした、ありがとうございます。
(終)
編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成