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ICC FUKUOKA 2025 クラフテッド・カタパルトに登壇いただき2位に入賞した、TREASURE IN STOMACH 柴田 愛里沙さんのプレゼンテーション動画【アレルギー/ヴィーガン対応スイーツで、食事制限のある人や創り手の課題を解決する「TREASURE IN STOMACH」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2025は、2025年9月1日〜9月4日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはJ.フロント リテイリングです。
▶【速報】能登の酒を止めるな!全国の酒蔵との絆で能登の復活を誓う「鶴野酒造店」がクラフテッド・カタパルト優勝(ICC FUKUOKA 2025)
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【登壇者情報】
2025年2月17〜20日開催
ICC FUKUOKA 2025
Session 8A
CRAFTED CATAPULT 豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by J.フロント リテイリング
柴田 愛里沙
TREASURE IN STOMACH
代表取締役CEO
公式HP | 公式X
(株)TREASURE IN STOMACH代表取締役。ナチュラリストな両親のもとで育つも、幼少期からアトピーやアレルギーに悩む。祖父がドイツ人で訪独の機会が多く、多様な食文化や対応食品に触れ、日本との違いを痛感。「食べられない物がある人も普通に暮らせる世の中を作る」をビジョンに、アレルギーやヴィーガン、ムスリム対応に配慮したスイーツブランドCHaT VEGAN AND GLUTENFREEを展開。事業者向けの商品開発支援やサステナブル領域にも注力し、全ての人が同じテーブルで食事を楽しめる社会を目指す。
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柴田 愛里沙さん 皆さん、ご自身もしくは周囲に、アレルギー体質の人、ヴィーガン、宗教上の理由で食べられないものがある人はいますか?
もしいたら、ぜひその人のことを思い浮かべながら、話を聞いてください。
人類の3分の1以上に食事制限がある!?
さて皆さん、世界で食事制限がある人はどれぐらいいると思いますか?
なんと人類の3分の1以上に、食事制限があるのです。

30億人以上、実に3人に1人の人たちが、日々「食べられない」という壁に直面しています。

それにもかかわらず、特にお菓子に関しては、おいしくて安心して食べられるものがないのです。

乳製品・卵・小麦不使用のスイーツを販売
そこで、私たち(TREASURE IN STOMACH)が作りました。

こちらのお菓子は全部、乳製品や卵、小麦を使っていないのです。

おいしそうですよね。
皆さん、お手元に配布したものを、ぜひお召し上がりください。
▶編集注:プレゼン中に、審査員席にクッキーとケーキが配布されました。
北海道で作って、冷凍で運びました。

食に制限がある人の願いを叶えるスイーツ
さて、日本では何でも食べられるということが普通のカルチャーです。
そのため、制限がある人には様々な不便があります。

例えば、コンビニやスーパーでのお買い物は、気軽にできません。

また、外食にも一苦労します。
私たちは、そういった課題を解決するために存在しています。
食べられないものがある人たちの願い、「おいしいものを食べたい!」を叶えるための会社です。

おいしさを一緒に分かち合えない悲しみ
私自身が当事者です。

小さい頃からアトピー、アレルギー体質で、何を食べても痒くて痛くなりました。
でも一番悲しかったのは、友達や家族と一緒に同じものを食べて、「おいしい」を分かち合えなかったことで、疎外感を覚えました。
こんな思いはもうしたくないし、誰にもしてほしくない。
そう思って、会社を作りました。
柱となる3つの事業
私たちの事業は、大きく分けて3つです。

みんなが食べられるものを通して、日常を豊かにするためのブランド経営。
質の良い製品を市場に送り出すクライアントワーク。
新しい米の食べ方を、世界へ届ける輸出です。
憧れのケーキを家族で分かち合う喜び
CHATは、「One Table for Everyone」がコンセプトです。

皆さんが当然のように行っている「選ぶ」という体験を、全ての人に提供しています。
こちらをご覧ください。
こちらの女の子は、赤ちゃんの頃から乳製品、卵、小麦が食べられないため、ケーキが食べられませんでした。
でも私たちのお店で、憧れのケーキを初めてやっと選べたのです。
弟やお母さんと一緒に「おいしい」を分かち合う姿はとても幸せそうですよね。
ヴィーガン/グルテンフリースイーツは、価格の高いブランドが多いので、購入ハードルが非常に高いです。

でも、私たちは、普通のケーキと同じ水準の価格で販売しています。
手に取りやすい日常のお菓子になっています。
現在店舗は2つあり、百貨店(札幌三越)には常設出店しています。

ポップアップも行っています。
北海道にいたからこそ身についたノウハウ
私たちは今までたくさんのケーキを売ってきましたが、もちろんアレルギー等の事故は一度も起こしていません。

圧倒的なノウハウがありますが、それは北海道にいたからこそ、身についたものです。

地方都市北海道には、ヴィーガンの人はほとんどいません。
そのため、ヴィーガン以外の対応も丁寧に、丁寧にやっていく必要があります。

また、北海道にはおいしくて有名なブランドが多いのです。

質、味で勝負しなくてはいけません。
インバウンド対応も必須です。

一つ一つ丁寧に対応していった結果、あらゆる食事制限に対応した開発力と、ユーザーコミュニケーションを、仕組みとして身につけることができました。

これは大手企業にもできていないことです。
難度の高いクロワッサンとシュークリームを製品化
対応した原料で作ることが、特に難しいものは2つあります。
クロワッサンとシュークリームです。

小麦や乳製品のおいしさがしっかり伝わるものなので難しかったのですが、技術のある私たちは開発することができました。

日本で、このクオリティで製品化しているのは私たちだけです。
情報不足で起こるミスマッチ
さて、日本でヴィーガンフードやプラントベースを必要としている人はどのような人でしょうか。
アレルギーがある人、健康志向の人です。

ここで、ユーザーコミュニケーションがうまくいってない例について、見てみましょう。

これは、とある大手メーカーから発売されているプラントベースのレトルトカレーです。
香辛料とは、シナモン、それともクローブでしょうか?
澱粉とは、何由来の澱粉でしょうか?
アレルギーの人にとっては、嫌な書き方なのです。
また、健康志向の人はグラニュー糖を摂取しません。
こんな感じで、ミスマッチが大きいこの商品は、売れなくなってしまいました。
食に制限がある人の悩みを世界規模で解決
私たちは、消費者が見えています。

プロダクトとのミスマッチをなくし、売れる市場に成長させていくためにも、私たちのノウハウをサービス化し、企業に提供しています。
そして、これを海外でもやっていきます。
私たちは現在輸出を行っていますが、メインターゲットはムスリム圏です。

なんと、ドバイ、サウジアラビアの肥満の人口割合は70%です。

しかも糖尿病になってしまう方がとても多いことが、深刻な社会問題化しています。
甘くておいしいものが大好きな人が多いのです。
でも、彼らが食べられて心を満たせるスイーツがない。
そこで、私たちの出番です。

食事制限がある人の悩みをグローバルに解決していきます。
冷凍長期保管技術で輸出を可能に
どうしてできるのか。

それは私たちのケーキが、実は冷凍で長期保管可能だからです。
今、皆さんに試食していただきましたが、解凍してもおいしかったですよね?
だから、「安心安全」を、世界中においしさと一緒に届けることができるのです。

米粉のケーキで国産米の価値を向上
このようにして、私たちはみんなが食べられる「おいしい」を多くの人たちに届けていますが、それのみならず生産者である米農家や、作り手であるパティシエにも明るい未来を届けているのです。


実は私たちのケーキの半分以上が米粉でできています。

その使用量も年々増加しています。
その一方で、日本では、米の消費は年間10万トンベースで減少しています。

私たちがケーキという新しい米の食べ方を世界に提案することで、国産米の価値向上と利用拡大を担っていきます。

実際、米農家の方から、田んぼの未来に希望が持てたとおっしゃっていただいた時、この事業の社会的意義を再確認しました。
小麦アレルギーになったパティシエも働ける
そして、私は雇用の受け皿にもなっています。

パティシエ業界では、長期間小麦を吸い込み、アレルギーになってしまって、辞めざるを得ない人が非常に多いのです。
なりたくてなった職業なのに、辞めざるを得ません。
悲しいですよね。
でも、私たちのところでなら、夢を叶え続けることができます。
実際、私たちはそういった人たちを雇用しています。

この取り組みが広がれば広がるほど、食べられないものがある人たちの願いが叶い、やりたいことを続けられる米農家やパティシエが増えていきます。

潰れてしまいそうな菓子店の活路を開く
この喜びの総数を増やしていくためにも、私たちは今後も製造拠点をどんどん拡大していきます。
どうするのか?
事業承継です。

国内には様々な理由、特に地方都市では、本当にたくさんの和菓子工場やお菓子工場が潰れています。

私たちが承継し、製造ラインを整え、切り替え、製造量を増やします。
そうすることによって、潰れてしまいそうなお菓子屋さん、和菓子屋さんが世界に打って出るチャンスが生まれるのです。

食に制限がある人の願いを叶えながら社会変革
最後になりますが、私たちのところには、たくさんのお便りやDMが届きます。

そこには、「初めてケーキを食べておいしかったです。私たちの街でもお菓子屋さんをやってください」といったことが書かれています。
私たちがやっていることは、お菓子を通した社会変革です。

VCや投資家から資金調達を行い、経済面としっかり向き合って、食事制限がある人もない人も同じテーブルを囲める、そんな未来を創ります。

成り立たなくなった米農家や、潰れてしまいそうなお菓子屋さん、そういった人たちが活躍できる世界を、「おいしい」を創る創意工夫によって、未来につなげていきます。
私たちのことを応援してください。よろしくお願いします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成