▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
▶過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!
ICC FUKUOKA 2026 リアルテック・カタパルトに登壇いただき2位に入賞した、BlueWX 渡辺 和成さんのプレゼンテーション動画【風の“ミクロ予測”で、乱気流や化石燃料の課題に挑む「BlueWX」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。
▶【速報】放射性廃棄物を抑える核融合で、持続的な電力供給に貢献する「LINEAイノベーション」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2026)
▼
【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ
渡辺 和成
BlueWX
代表取締役社長
公式HP
長崎市出身。東大(航空工学)を経て丸紅の航空部門へ。開発プロジェクトやアセットへの投融資を担当。MIT(工学)、Kellogg(経営学)、Harvard(政治学)で修士取得後コンサルティング業界へ。主に国内外でのハンズオン企業変革に従事しつつ航空会社や精密機械製造など支援先企業の暫定COO/CFO等を歴任。BCGのMDP(企業改革プラクティスリーダー)を経て2025年からAI気象予測を行う慶應発スタートアップBlueWXのCEO。趣味はキャンプ、サウナ、長距離ドライブ。
▲
渡辺 和成さん BlueWX (ブルーウェザー)株式会社と申します。
私どもは、AIを使って気象予測をしている会社です。

気象予測には色々な対象がありますが、我々のフォーカスは右下の「風」です。

「風予測の限界」をAI・機械学習で超える
なぜ「風」なのか?
1つ目の理由は、風の経済および環境への大きなインパクトです。

風には良い風もあれば、我々に害を及ぼしてしまう悪い風もあります。

プラス、マイナスのそれぞれの経済インパクトは、数十兆円規模です。

ただ、残念ながら、我々は風を操れませんよね?
我々にできるのは、できるだけ正確に予測して適切に対応することです。

では、今日(こんにち)、風の予測はどれだけ正確にできているのかというと、実はまだまだ改善余地が大きいと言われています。

従来予測が産業用途に応えられない理由
少し、従来の予測手法を説明します。
空気は地球全体でつながっているので、地球全体の流れを解かなければいけません。
そのために地球全体を細かいセルに切って、それぞれのセルごとに運動方程式を立て、これをスーパーコンピューターで計算処理するというステップです。

これは素晴らしいやり方である一方、限界があります。
セルを細かくすればするほど解像度も上がり精度も上がるのですが、残念ながらそれに伴って計算時間が飛躍的に伸びてしまうのです。

例えば100m単位のセルで明日の地球全体の予測をしようとすると、1年間かかってしまうのです。

このやり方は、一般的な天気予報には十分なのですが、ピンポイントの解像度が求められる産業用途には、実はきちんと対応できていません。

この問題にタックルしようとしたのが、我々の創業者の宮本(佳明代表取締役)です。

実は宮本は、先ほどの従来型の気象予測において、世界のトップランナーの一人でした。
ただ、先ほど申し上げた限界を感じて、全く違うアプローチに挑戦しなければいけない、そしてAI・機械学習をうまく使おうと決めたのが、当社の発端です。
航空業界の課題「乱気流」へのアプローチ
最初に選んだテーマが、航空業界にとって頭痛の種であった「乱気流」です。

これは、事故原因の最大要因ですし、毎年甚大な損害額が出ています。
しかも、地球温暖化でどんどんひどくなっています。
実際に色々な航空会社に話を聞いてみると、従来の予測は残念ながら当たっていないという不満がありました。

そこで我々は、過去の気象データ、特に乱気流が出た状態・出なかった状態のデータを、苦労しながら数千万件集めて、機械学習にかけていくというプロセスを踏みました。

IATAが認めた最新の乱気流予測モデル
ただ、誤解しないでいただきたいのは、「単純に機械学習を使っただけではない」ということです。
機械学習を使うことで、大きく2つのメリットが出てきました。

1つ目として、従来予測では、先ほど話した通り、地球全体を解くモデルを作らざるを得ませんでしたが、我々の手法では、予測したいローカルなピンポイントの予測を作れます。
もう1つは、気候変動によって、当然従来手法では大きな労力をかけて調整しなければいけませんでしたが、我々は最新のデータさえ集めれば、それを機械学習にかけることで、変動要素も自動的に調整できる仕組みを持っています。
その結果です。

我々の前に世界で最も乱気流予測の精度が高いと言われていたのは、アメリカの大気研究所(National Center for Atmospheric Research)です。
我々のモデルは、これを凌駕できました。
我々のモデルが数年前にできていたとすれば、防げたはずの、けが人が出てしまった乱気流事故はたくさんあるのです。

まだ販売を開始して間もないですが、複数の航空会社に採用していただき、すでに数千人のパイロットが、世界の空で利用しています。

また、世界の航空会社が加盟しているIATA(International Air Transport Association)という国際機関があるのですが、そこがかつて世界で乱気流予測モデルにお墨付きを与えたのは世界で数社のみです。
そのうち最新のものが、我々のモデルなのです。
航空の3大課題の1つ、「上空の風の予測」に挑む
これを足がかりに、さらに航空業界の大きな課題に取り組んでいます。
我々が利用する航空機は、理想的には当然のことながら燃料を最も少なく消費し、飛行時間を短くし、その結果、温暖化ガスの排出を最小化したいわけですが、実はできていません。
大きく3つハードルがあります。

そのうちの1つが、「上空の風予測」です。
上の2つは、世界の政府機関やボーイング社のような航空機メーカーが、現在一生懸命取り組んでいます。

ただ、上空の風予測は、従来予測の限界もあって、あまり進んでいません。
もしこの三拍子がしっかり整えば、航空業界にとって莫大なメリットとなり、社会にとっても大きなメリットがあります。

また我々一人一人の乗客にとっても、少なからぬ恩恵があります。
巨大プレイヤー不在の「ミクロ予測」領域にフォーカス
この航空業界での足がかりから、さらに他の産業向けにも、我々の技術が創り出せる価値がたくさんあると見ています。

ご存知の通り、従来、この業界の気象予測を担ってきた中心的な存在は、各国の気象当局です。
それに加えて、民間の気象会社があります。

ただ、先ほどお見せした気象予測の重要性、その潜在価値から、超巨大なプレイヤーたちが新規参入してきている状況です。
では、そんなところで我々が勝てるのかというと、勝ち筋は見えています。
我々の第一ステップはデータを集めることですが、その後、機械学習にかける技術は特許取得済みです。

ここから予測データを作って顧客に販売しますが、一旦顧客になっていただければ、そのデータを獲得し、それによってさらに機械学習モデルの精度を上げることができます。
また、先ほど説明した巨大プレイヤーたちのメインフォーカスは、世界全体のマクロ予測です。

我々の技術は、実はそれを足がかりにミクロな予測をしていくやり方なので、「競合」というよりは「協業」関係にあります。
以上が、我々の概要です。
世界トップの現在地から、さらに加速する
最後に、我々は2トップ体制です。
1人は先ほどの宮本、もう1人は私で、私は技術者になり損ねた人間ですが、“技術馬鹿の応援団長”を自負しております。

我々は、すでに日本発、世界のトップです。
このまま駆け抜けたいと思っております。
応援のほど、よろしくお願いします。
(終)
▶カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
▶新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
▶過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!
編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林弘美/戸田 秀成


