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伝統技法で“手織りの美しさ”を世界に伝える。京都丹後発のネクタイブランド「KUSKA」(ICC FUKUOKA 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルトに登壇し、見事優勝に輝いた クスカ 楠 泰彦さんのプレゼンテーション動画【伝統技法で“手織りの美しさ”を世界に伝える。京都丹後発のネクタイブランド「KUSKA」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 7B
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて(90分拡大版)
Sponsored by Lexus International Co.

(プレゼンター)
楠 泰彦
クスカ株式会社
代表取締役
公式HP | STARTUP DB

京都・丹後生まれ。30歳で家業の織物業に入社し「伝統」「ファッション」「芸術」の3つを融合する自社ブランドKUSKA(クスカ)を立ち上げると共に、唯一無二の手織りのネクタイを開発し、百貨店や大手セレクトショップ・自社店舗で販売。2017年からイタリア・フィレンツェで行われる世界最大のメンズ服飾展示会PITTI UOMOに3年連続で出展し、世界最高峰のロンドン、サヴィル・ロウにあるロイヤルワラントの店舗でもネクタイを展開中。また、地元、京都・丹後に特化したWEBメディアTHE TANGO(ザ・タンゴ)を2018年から運営。趣味は丹後の海でサーフィン。

「ICC FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルト」の配信済み記事一覧


日本最大の絹織物産地、「海の京都」丹後

楠 泰彦さん KUSKA(クスカ)の楠です。

まずは弊社の所在地である、京都丹後をご紹介します。

京都の北部に位置する丹後半島は、日本海に面し、風光明媚な場所として知られています。

日本三景の天橋立や伊根の舟屋など、有名な観光名所もあります。

ここで300年前から作り続けられている絹織物が、丹後ちりめんです。

この地域は丹後ちりめんの日本最大の生産地で、日本の絹織物の約60%が生産されています。

しかし、生産量は1972年の1,000万反をピークに、今では30万反と、3%の生産量まで激減しています。

その原因は、着物離れや、海外で作られた安価な品物が日本に大量に輸入されるようになったことです。

28歳。衰退する「丹後ちりめん」の家業を継ぐ決心

弊社は1936年に、丹後ちりめんの製造・販売元として創業しました。

しかし、私は家業には全く興味が無く、東京の建設会社に勤めながら、趣味で国内外にサーフトリップに行く日々を送っていました。

そしてある日たまたま読んだ雑誌に、京都丹後でもサーフィンができることを知り、28歳の時に、東京からサーフボードを持って丹後に帰省します。

そこで衰退する地場産業や廃業寸前の家業に直面し、「やはりここで生まれ育った自分にしか、この仕事は継げない」と感じました。

そして、すぐに東京の会社を退職して家業を継ぎました。

そして、2つの改革を行います。

①独自性の追求:世界でも稀な手織り機の開発

まず、独自性の追求です。

大量生産・大量消費をするのではなく、作り手の思いの伝わる商品を伝えたいと思い、機械織り機を全て鉄くずとして処分し、独自性を追求するために“手織り”にフォーカスしました。

しかし、このような手織り機は、どこにも販売されていないので、自社で木を削り1つ1つ組み立てていきました。

そして、昔ながらの手織りの良さと、現代の機械の生産性をハイブリッドさせ、世界でも珍しい独自の手織り機を生み出しました。

 

②流通の改革:お客様へ直接価値を届けるブランディング

2つ目は、流通の改革です。

既存の流通では、私たち生産者の作るものが、様々な流通業者や小売店を通してお客様のもとに届きます。

そのため、コストがかかりすぎて、私たちの伝えたいこと・作りたいものを十分に伝えることができません。

そこで私たちは、よい商品を直接、お客様にブランディングする仕組みが必要だと考えました。

丹後発、手織り絹織物ブランド「KUSKA」の誕生

そして立ち上げたのが、この「KUSKA(クスカ)」というブランドです。

KUSKAという名称は、創業者である楠 嘉一郎(くすのき かいちろう)の名前の頭文字から取ったものです。

また、ブランドロゴの下方に“ALL HAND MADE IN TANGO”とあるように、私たちは日本の丹後からものづくりの文化を発信していきます。

京都ではなく、丹後が我々のアイデンティティです。

KUSKAの主力商品はネクタイで、最大の特徴は、独自の風合いと質感です。

機械織りは平面的な二次元の世界ですが、KUSKAの職人は、素材に空気を含ませながら3次元の立体的な生地を手織りしていきます。

また、その手織りに至るまでの、染色、精錬、ノンフィル加工、糸くりの全ての工程で、300年間培ってきた丹後ちりめんの技術を駆使しています。

現代のものづくりでは、どれだけコストを下げて安価に大量に作るかが重要です。

一方で、どれだけ手間をかけ、より美しいものを生み出すかを考えるのが、私たち絹織物産業のものづくりです。

それを、KUSKA独自のクリエーションで、1つ1つの商品に表現しています。

国内有名百貨店とのコラボレーション、銀座に旗艦店も

2つの改革の成果として、染めの工程からオールハンドメイドで、しかも1日に1人の職人が3本しか織れないネクタイを、マーケットでも戦える価格で完成させることができました。

そして、銀座4丁目の銀座・和光ともダブルネームでコラボレーション。

世界唯一のオールハンドメイドネクタイブランド「KUSKA」  銀座・和光とのコラボネクタイ 2016年春夏コレクションを2月23日に発売(@Press)

さらに、大手セレクトショップ、百貨店、ANAの国際線機内販売でもKUSKAブランドを展開し、2020年9月月には、銀座に旗艦店を設ける予定です。

世界にも通用する、日本の伝統手織りブランドに

海外への展開もしており、イタリアのフィレンツェで毎年2回開催される、世界最大級のメンズ服飾展示会「PITTI IMMAGINE UOMO」に、2017年から3年連続、計6回出展しました。

また、フィレンツェの名店「TIE YOUR TIE」ともダブルネームでコラボレーションしました。

2019年からは、ロンドンのサヴィルロー(Savile Row)にある「HUNTSMAN」との取引を開始しました。

このHUNTSMANは、言わずと知れた王室御用達ブランドで、映画『キングスマン』の舞台にもなり、多くのロイヤルファミリーやハリウッドスターが訪れています。

そのHUNTSMANのクリエイティブディレクターであるCampbell Carey氏(※)から、「こんなに美しい商品を見たのは、初めてだ」と称賛をいただきました。

The Huntsman Team, THE CUTTERS

「CRAFTED」とは、手仕事による“本質”の追求

ロゴや和柄などで表面的なデザインをするのではなく、職人が、素材の持つ風合いや質感を最大限に活かして手仕事で作り上げるものにこそ、本質的なデザインや美しさが表現されるのです。

それが、私たちの考える「CRAFTED」です。

2010年にクスカを立ち上げ、この言葉に行き着きました。

「ものづくりは嘘をつかない」

「美しいものづくりを通じて、世界中を幸せにする。」

このミッションを掲げ、京都・丹後から発信し続けます。

(終)

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/SNOWLIGHT/戸田 秀成

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