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ICCサミット FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルトに登壇し、3位入賞に輝いた World Matcha 塚田 英次郎さんのプレゼンテーション動画【“抹茶のある生活”を世界に広げ、日本の茶文化を守り抜く「World Matcha」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co.様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 7B
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて(90分拡大版)
Sponsored by Lexus International Co.
(プレゼンター)
塚田 英次郎
World Matcha Inc.
Co-founder & CEO
公式HP | STARTUP DB
1975年埼玉県生まれ。1998年東京大学経済学部卒業後、サントリー株式会社(現サントリーホールディングス)に入社。国内飲料事業の新商品開発を担当し、DAKARA、Gokuriといったヒット商品を生みだす。2006年、スタンフォード大学MBA取得後、サントリーに帰任し、米国茶事業の新商品開発・事業開発に従事。2008年にはIyemon Chaを上市。2009年より、日本国内飲料事業にて、サントリー烏龍茶、伊右衛門といった基幹ブランドのブランドマネジメントを担当し、2013年には伊右衛門特茶を大ヒットさせる。その後、米国でStonemill Matcha Inc.を創業し、サントリーを含む複数社から資金調達の上、2018年に米国サンフランシスコで茶事業を開始し、カフェ一号店を大ヒットに導く。2019年春、サントリーを退職し、米国での茶事業の挑戦を続けていくべく新たにWorld Matcha Inc.を創業。抹茶の飲用機会を世界に広めていくためのソリューション「Cuzen Matcha」を開発し、CES 2020にて発表。CES 2020 イノベーション賞(Innovation Awards Honoree)を獲得する。
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▶「ICC FUKUOKA 2020 CRAFTED カタパルト」の配信済み記事一覧
塚田 英次郎さん 抹茶を世界に広げていく、World Matchaの塚田です。
まずは、私の自己紹介をさせていただきます。
私は、2019年春にこの仕事を始めるまでの21年間、サントリーに在籍し、新商品の開発を通してお客様に新しい価値を提供してまいりました。
清涼飲料水「ごめんね。」から始まり、果汁入り飲料「Gokuri」やスポーツ・機能性飲料「DAKARA」などのヒット商品を手がけ、以降は「烏龍茶」、「伊右衛門」、「特茶」、アメリカの抹茶カフェ「Stonemill Matcha」等のお茶事業に携わりました。
前職の抹茶カフェ事業で得た、世界進出への確かな手応え
このStonemill Matchaは、私がサントリーで最後に手がけた事業で、2018年5月にサンフランシスコで創業されました。
オープン当初から非常に多くのお客様で賑わい、地元のメディアにも取り上げられ、このStonemill Matchaというブランドを通じて、抹茶をアメリカ、ひいては世界に広げていこうと考えていました。
しかし、その大成功も束の間、残念ながら私は株主の意向により人事異動の対象となり、日本に戻ることになりました。
スケールこそ異なりますが、スティーブ・ジョブズの有名なスピーチにある、「How can you get fired from a company you started?(どうして自分の会社を追われないといけないのか?)」という言葉を痛感しました。
「高品質のお茶が日本から消えてしまう」危機感
その後、どうするか悩んでいる中で、後に共同創業者となる八田大樹と再び会うようになり、ある時、彼の実家である福岡県の八女に伺いました。
ちなみに、右上にあるのは、25年前の大学時代に撮った、彼と私の写真です。
冒頭にあった2人の写真も、同じ場所で撮ったものです。
八女への訪問を通して見えてきたのは、お茶の生産地が直面している課題でした。
例えば、生産者の方々が高齢化していることや、耕作放棄茶園が増えていることです。
茶園は一度手入れが滞ると、元に戻すのが非常に大変です。
ただ、そういった目に見えた課題の本当の原因は、自分が今までやってきたことと深く関わっていることを知りました。
それは、日本国内で高品質なお茶の需要が減ってきてしまっているということです。
こちらのグラフは、1世帯当たりのお茶の支出金額を示しています。
下の濃い緑がリーフのお茶への支出金額、上がペットボトルのお茶への支出金額です。
平成15年(2003年)から平成30年(2018年)までの15年間のデータを見てみると、ペットボトルのお茶の普及に伴い、リーフのお茶の消費量がどんどん減ってきていることが分かります。
それに伴って、リーフのお茶を消費する際に使われる高級茶(一番茶)の価格は、この15年間下落を続けており、一方で、ペットボトルのお茶によく使われる二番茶・三番茶は、その需要の拡大から、近年では、むしろ価格が少し上昇しています。
ペットボトルで便利に日常的にお茶が飲まれるようになった反面、このままでは、急須で淹れるお茶に使われていた高品質のお茶が、日本から消えてしまのではないかという危機感すら覚えました。
米国で「高品質な抹茶」へのニーズを引き出すため起業
私は長年、色々と悩みながらも、アメリカにおける抹茶の可能性を信じ、抹茶ならコーヒーの取り過ぎによる「カフェインクラッシュ」等の問題も解決できるのではないかと思い、事業に取り組んできました。
さらに私は、八田との再会を通じて、高品質な抹茶を日本以外で広めることは、日本のお茶の生産体制をサステイナブルにできる可能性も秘めているのだと考えるに至りました。
そこで2019年春、21年間お世話になったサントリーを離れ、アメリカおよび世界中の方々に美味しい抹茶を提供していくために、起業する決意をしました(世の為)。
これは、生産者の方々を守っていくことにもなります(人の為)。
そして何よりも、過去にアメリカで挑戦し、成功の片鱗が見えた矢先に事業を諦めなければならなかった経験が、今回の創業への強い思いにつながりました(自分の為)。
World Matchaが目指したポジションニング
どのように戦っていけばよいのか?
カフェでは、抹茶の淹れ立ての美味しさを楽しむことができます。
しかし、ペットボトルは便利な反面、熱による殺菌でお茶の風味や色あいが損なわれてしまいます。
そこで、抹茶カフェとペットボトルの良いところだけを取ったポジショニングができないかと考えました。
その際に着目したのは、抹茶は「粉」の状態が当たり前で、綺麗な粉ほど美味しそうだと思われている「バイアス」でした。
粉はなかなか水に溶けない上、上手に点てるには技術も必要です。
しかも放っておくとダマになる等、粉であるがゆえに抹茶がなかなか普及しないのです。
茶葉を碾いて淹れるマシン「Cuzen Matcha」の発明
そこで、「抹茶は粉でなければならない」というバイアスを壊すことで、イノベーションを興すことができるのではないかと考え、抹茶のエスプレッソマシンを開発しました。
ご覧のように、セラミックミルに抹茶の元になる碾茶(てんちゃ)を入れて、きめ細かい抹茶に碾いていきます。
それを水と攪拌し、まさに“碾きたて”の抹茶を点てていくのです。
こうして淹れた抹茶エスプレッソは、ストレートで飲んだり、ミルクや炭酸と合わせたりと、様々な飲み方でお楽しみいただけます。
このようなソリューションを提供することで、抹茶をもっと気軽に飲んでいただけるのではないかと考えました。
「Cuzen Matcha」と茶葉のサブスクがつくる顧客体験
現在のビジネスは、このマシンと、リーフのサブスクリプションで成り立っています。
コーヒー豆から茶色いエスプレッソができるように、我々は緑のリーフを使って、緑色の健康的なエスプレッソを作り、それをお好みの飲み方でお楽しみいただくのです。
日本の抹茶で、8兆円のアメリカコーヒー市場に挑む
碾きたてで美味しく、誰でも簡単に淹れることができる。
しかも色々な味を楽しめて、健康的だから毎日飲める。
現在、アメリカだけでも8兆円のコーヒーの市場があり、そこから徐々に、お客様を抹茶市場へ引き込んでいきたいと思っています。
この抹茶ソリューションを通して日本人の心を伝え、よりクラフテッドでサステイナブルな世の中を目指していきたいと考えています。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/SNOWLIGHT/戸田 秀成
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