介護の"排泄ケア"に革命を!便・尿の非接触型においセンサーを開発する「aba」(ICC FUKUOKA 2020)【文字起こし版】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

介護の“排泄ケア”に革命を!便・尿の非接触型においセンサーを開発する「aba」(ICC FUKUOKA 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット FUKUOKA 2020 リアルテック・カタパルトに登壇し、優勝に輝いた aba 宇井 吉美さんのプレゼンテーション動画【介護の“排泄ケア”に革命を!便・尿の非接触型においセンサーを開発する「aba」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 ゴールド・スポンサーの小橋工業様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜19日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 3B
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 小橋工業

(プレゼンター)
宇井 吉美
株式会社aba
代表取締役
公式HP | STARTUP DB

2011年、千葉工業大学未来ロボティクス学科在学中に株式会社abaを設立。中学時代に祖母がうつ病を発症し、介護者となる。家族介護をしている中で得た「介護者側の負担を減らしたい」という思いから、介護者を支えるためのロボット開発の道に進む。開発者の自己満足で終わらない製品作りをモットーに、まずは現場を知ることが開発への近道だと考え、介護施設へ実地研修に赴く。ボランティアを含め3年間、介護職として勤務する中で、排泄介助の壮絶な現場を見たことをきっかけとして、「排泄ケアシステム『Helppad(ヘルプパッド)』」を製品化。においに着目し、尿便検知可能かつ身体に非装着な排泄センサーは業界でも珍しい。2020年2月現在、本社所在地である千葉県を中心に限定発売中。2019年、科学技術への貢献が認められ、文部科学省 科学技術・学術政策研究所より「ナイスステップな研究者」に選出される。

「ICC FUKUOKA 2020 リアルテック・カタパルト」の配信済み記事一覧


宇井 吉美さん こんにちは。aba(アバ)の宇井です。

まずは、自己紹介をさせていただきます。

私は中学生の時に、家族の介護者になるという経験をしました。

それをきっかけに千葉工業大学で介護ロボットを開発する道に進み、以来20年近く介護の課題に向き合っています。

起業後には介護職の経験もし、現場と技術開発を行き来しながら製品開発に取り組んでいます。

介護現場で最も大変な「おむつ交換」

私が介護施設に勤務していた時、職員の方々がこうおっしゃっているのを耳にしました。

「おむつを開けずに、中がわかったらいいよね」

介護者は、実際におむつを開けてみて、排泄の有無を確認するしかありません。

実際におむつを開けてみて、排泄物がなければそのままでよいのですが、洋服やシーツまで汚れていた場合には、介助にいつもの何倍もの時間がかかります。

通常のおむつ交換をするだけでも施設あたり1日15時間以上かかるため、実に8割もの介護職員がそれを負担に感じているそうです。

AI搭載型の排泄ケアシステム「Helppad」の開発

この問題を解決するために我々が開発したのが、「大学発・ロボット技術を活用した排泄AI・センシングシステム」です。

次のスライドのベッドに敷いてある、ブルーのシートが「Helppad(ヘルプパッド)」です。

大手介護ベッドメーカーパラマウントベッドさんと共同で製品化し、販売しています。

このように洋服を着ておむつをしたままでも、排泄の検知が可能です。

においで排泄を検知し、クラウドから介護者にお知らせ

どのような仕組みになっているのかというと、「Helppad」の内側には複数の穴が開いていて、そこから排泄臭を吸い込めるようになっています。

人間の鼻のように、においを“かいで”排泄を検知する製品なのです。

「濡れセンサ」などを搭載した製品はこれまでにもありましたが、においで排泄がわかる製品は我々のものだけです。

さらに、においデータをクラウドにアップロードし、介護者にお知らせする機能もあります。

この写真は、私が排泄の実験に参加した時のものです。(笑)

「においセンサ」が排泄を検知し、グラフの波形がぐーッと上昇しているのがわかります。

AI・センシング技術により、排泄パターン表を自動生成

さらに我々は、AI・センシングのシステムを応用することで様々なプロダクトを開発しています。

例えば、ベッドに敷くだけで排泄を検知できるセンシング技術と、尿便検知を可能にするAI技術を使って、「排泄パターン表」を作成することも可能です。

ここで、「排泄パターン表」について、もう少し詳しくご説明します。

介護者は数多くの業務を並行して行っているので、通知が鳴るたびに被介護者のもとへ行くのは容易ではありません。

ではどうするのか?

排泄パターンを把握すればよいのです。

このアイディア自体は昔からあるのですが、把握するには手間がかかる、そもそも手段がわからない現場も多く、なかなか実践されないでいました。

したがって、今も現場では、このように全てテンプレートに紙ベースの記録が行われています。

機械で記録されている方もおられるようですが、その場合には身体への装着が必要になります。

また、そもそも便を検知するのが非常に困難です。

そこで我々は、「Helppad」の一機能として、排泄パターン表を自動生成するアプリを開発しました。

先進的 IoT プロジェクト支援事業 「おむつ交換業務の負担軽減を目指した 業務スケジューリング技術の開発」 成果報告書(IPA 独立行政法人 情報処理推進機構)

実際に、このアプリの活用によって、おむつ交換が半減した施設様があります。

こちらのインタビューをご覧ください。

Helppadを通じて、どんな人でも介護できる仕組みを

実は、介護現場を支えている方々のほとんどは介護未経験者です。

介護職のおよそ7割の方が3年以内に離職すると言われています。

離職率が高いということは、それだけ介護未経験者の入職も多くなることを意味します。

自宅で介護されている方々も、実は年間10万人、つまり毎年およそ5分に1人が、自分の仕事を辞めて介護にあたられています。

こうした課題を解決するために、どんな人でも介護できる仕組みをつくることが必要だと考えました。

排泄介助は、最大の課題にして最高のソリューション

冒頭でも申し上げたように、介護における最大の課題は排泄の介助です。

こうした排泄の話を敬遠される方もおられるかもしれませんが、この課題を解決することで、介護する人もされる側も、よりよい生活が送れるようになるのではないでしょうか。

よく考えてみると、排泄のタイミングは制御できませんが、排泄のパターンを把握することは可能です。

また、食事や睡眠を取る時間は自分で決められますが、排泄のタイミングは決められません。

つまり、排泄のパターンさえ把握できれば、そこに他の制御可能な生活スケジュールを合わせることで、日々の生活や介助のリズムを整えていくことができるのです。

排泄は、介護現場における最大の課題であると同時に、最高のソリューションへのヒントでもあります。

ご覧のように、排泄は、薬の服用、水分・食事の摂取、入浴、レクリエーション活動など、日常の様々な活動と連動しています。

だからこそ、排泄パターンの把握によって、例えばレクリエーション中の失禁を心配する必要もなくなり、その他生活全体も整えることができると考えています。

入居者、介護職はもちろん、施設経営者のメリットも

介護現場のステークホルダーは、入居者、介護職、施設経営者の三者です。

我々は排泄センサによって、その三者にとって「三方良し」となるソリューションを提供したいと考えています。

ROI(Return On Investment、投資収益率)ついては、施設様に初期導入費がかかったとしても、おむつ代が半減していけば、5年目には利益が出ると考えています。

排泄センサを起点に、新たな医療ヘルスケアを創出する

我々は、その他にも様々な開発をしています。

例えば、排泄のにおいで病気を検出できるようなソリューションについての研究も進めています。

また既に、外出先で使えるような小型デバイスも開発しています。

さらに、下剤調整や、先ほどのインタビューにあったような、排泄ケアシステムの開発とそのデータ活用も計画しています。

例えば、施設ごとに集積された排泄の方法やパターンについての情報を、おむつメーカーさんや製薬メーカーさんの営業ツールとしてご活用いただき、商品の提案に役立てていただくことも考えています。

我々は、排泄センサを足がかりに、必要な時に必要な介護を提供できるよう取り組んでまいります。

ご清聴ありがとうございました。

(終)

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/戸田 秀成

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