箱罠・データ・目利き力で、獣害を最上級ジビエに変える「農家ハンター/イノP」(ICC FUKUOKA 2021) | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

箱罠・データ・目利き力で、獣害を最上級ジビエに変える「農家ハンター/イノP」(ICC FUKUOKA 2021)

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ICC FUKUOKA 2021 CRAFTEDカタパルトに登壇いただいた、イノP 宮川 将人さんのプレゼンテーション動画【箱罠・データ・目利き力で、獣害を最上級ジビエに変える「農家ハンター/イノP」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICC FUKUOKA 2021 オフィシャル・パートナーのMakuake様にサポート頂きました。

【速報】「軽い、薄い、暖かい」植物素材で、サステナブルな衣類をつくるKAPOK JAPANが CRAFTED カタパルト優勝!(ICCサミット FUKUOKA 2021)


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICC FUKUOKA 2021
Session 10A
CRAFTEDカタパルト
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake

宮川 将人
株式会社イノP
代表取締役 / 農家ハンター

1978年熊本 戸馳島に花農家の三代目として生まれ育つ。東京農大を卒業後、子供の頃に夢見た「世界の一の花生産者」を目指し渡米、2年間の花修行ののち、有限会社宮川洋蘭に入社。 ECの未来を信じ2007年結婚を機にwebショップをopen。2017年 楽天市場ショップオブザイヤー受賞に続き「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞。
2016年にイノシシ被害で離農するおばちゃんの一言で発起、現在120名の若手農家と共に「農家ハンター」として地域の担い手育成を行う活動はSDGsの優良事例として国連サイトで掲載。二足の草鞋を目指し、地域課題解決型ビジネスとして2019年、株式会社イノPを創業しジビエ処理施設を運営。IcTを活用したイノシシ捕獲からジビエ等の利活用、ネット販売、民泊、行政支援まで行いながらマイナスをプラス資源に変える地方創生モデルを構築中。2020年情熱大陸で特集され話題に。


宮川 将人さん 株式会社イノP 、そして農家ハンターの代表をしております宮川です。

私にはもう1つの名刺があります。

胡蝶蘭などを栽培する花農家宮川洋蘭の3代目としての顔です。

2020年『情熱大陸』に出演

まず、皆様に謝らなければならないことがあります。

それは皆様より先に毎日放送『情熱大陸』に出演させていただいたことです(笑)。

宮川将人・稲葉達也[ 農家ハンター ]ハイテク技術を駆使!イノシシ被害に立ち向かう農家たち(情熱大陸 MBS)
11月1日(日)23:00〜『情熱大陸』農家ハンター/稲葉達也・宮川将人 ハイテク技術を駆使! イノシシ被害に立ち向かう農家たち(情熱大陸Facebook)

中学の同級生の達ちゃんと2020年末に出演して、まさに今バズっている状態です。

「ハイテク技術を駆使!イノシシ被害に立ち向かう農家たち」と記されていますが、皆さんはそもそもイノシシを見たことがあるでしょうか?

「もう農業ばやめようて思うとたい…」

近年温暖化の影響などでイノシシは急激に増え、里山に下りてくるようになってしまいました。

ただ、花農家の私はイノシシとは無縁です。

では、なぜイノシシ対策を始めたのかというと、5年前の2月15日に遡ります。

農家のおばちゃんの「もう農業ばやめようて思うとたい…」

この一言がきっかけになりました。

活動ブログ 2016.02.15「農家ハンター」を着想(くまもと☆農家ハンター)

大切に育てた田んぼ、そしてデコポンを今までいなかったイノシシに食べ荒らされ、「もう出ていくのが怖い。また作っても食べられる」、まさに絶望の状態にありました。

調べてみるとイノシシの生息数はなんと以前の3倍に、それを唯一捕まえられるハンターの数は半減していることが分かりました。

イノシシ被害は農業だけの問題ではない

ただ皆さんは、こう思うかもしれません。

「それは地方の、そして農業の問題だろう」

しかし、そうではないのです。

今では人との接触事故も増え、下の写真は3年前に私が遭遇した車の横転事故ですが、この事故の後にイノシシはもう立ち去っていました。

それぐらいイノシシは強いのです。

獣害から地域と畑を守ろうと決意

このままでは人が住めなくなる。農業もできなくなる。

では、自分は何をするか。

私は覚悟を決めました。

獣害を減らすために今一番大切なもの、それはアイデアマンでも経済者でもなく、まさにハンターです。

そこで災害から地域を守る消防団のように、獣害から地域と畑を守る活動を若手農家の130人の仲間とスタートしました。

ITと箱罠の活用

ハンターというと鉄砲のイメージがあると思いますが、私たちは使いません。

すべて、この箱罠で捕獲します。

箱罠は安全性が高いことと一度に多数を捕獲できることが利点です。

ただ見回りが大変でした。

私たちは見回りの課題を克服するために、SORACOMAWSを使った低コストな発信器を開発して、罠の見回り回数を5分の1以下に減らすことに成功しました。

さらに、楽天技術研究所とイノシシが発生した時にAIで検知して教えてくれるような仕組みを作りました。

世界最大手のクラウドマップメーカーESRIジャパンさんとは、イノシシ出現を予測するアメダスならぬ「イノダス」の開発を進められるようになりました。

情熱大陸に ESRIジャパンのマップが紹介されました(ArcGISブログ)

これらは公式HPで公開しておりますので、ぜひご覧いただければと思います。

こうして、地域とつながる農家がITを使って、地域を守るためにハンターとなりました。

これを私たちは「農家ハンター イノ☆ベーション」と呼んでいます。

これによって年間捕獲頭数がいまや1,000頭にまで増え、人身事故も激減しました。

こんな地域は他にはありません。

イノシシの命を無駄にしない

ただ、新しい問題が出てきました。

今、日本で1年に捕獲されるイノシシやシカは90万頭にも及びますが、9割は埋設されたり処分されたりしています。

しかし本当にこれでいいのでしょうか?

これまで有志活動で原資のない農家ハンターは、応援販売によって5回、1,000万円もの支援をいただいたことで、罠やIoT機器をメンバーに無償貸与することで活動を続けてきました。

kibidango(クラウドファンディング きびだんご)

しかし、これからはそうはいきません。

いただいた命を無駄にしないように、私たちは2019年に株式会社イノP(イノシシプロジェクトの意)を立ち上げ、早速2つの金融機関から5,000万円の融資を受けました。

そして、全国的に珍しい行政に頼らない民設民営のジビエファームを地元戸馳島(とばせじま)に造ることができました。

前例のない鳥獣害対策に挑む、ある農村の挑戦 「くまもと☆農家ハンター」~前編~(GIBIERTO)

ジビエファーム製品の美味しさの理由

では、審査員の皆様に私たちが捕まえたイノシシで作ったハムとソーセージを、ぜひご試食いただければと思います。

イノシシ特有の味の濃さや脂の旨味を感じていただきながら、彼らが生まれ育った里山の風景を感じていただければと思います。

日本は牛肉や豚肉がとても美味しいです。

ただ、それにも負けないくらい私たちのジビエが美味しい理由をご説明します。

1つ目は、「捕獲と処理方法を統一」していることです。

すべて箱罠で捕まえ、銃を使わずに電気ショックからの血抜き処理、さらに20分以内に施設に持ち込む鮮度を標準としています。

ですから、臭いと言われたことがこれまで1回もありません。

2つ目は「データ活用」です。

いつ、どこで、誰が捕ったのか、さらにどの時期のイノシシはどういう特性があり美味しいというデータを蓄積し活用しています。

3つ目は「目利き力」です。

昨年社員としてジョインした女性は和の達人であり、東京から移住してきたシェフはミシュランを持っています。

彼らが捕獲から調理まですべて行い、プロのプライドを持って美味しいジビエを提供しています。

これら他所にはない強みを持つ、私たちジビエファームで最上級の肉になったものに、この春「九州ジビエ」というブランドを冠します。

日本一イノシシが住んでいる九州から全国の家庭まで、ネット通販をメインにお届けしてまいります。

「イノシシ対策担い手育成プログラム」を新事業に

改めてご説明すると、農家ハンターは調査から捕獲までの川上を担っており、株式会社イノPはジビエに加工して販売、野生動物との関係を考えたり、世界のSDGsを考えるサミットなど教育まで行うことを事業ドメインとしています。

第9回 農家ハンター☆サミット~世界のSDGs&ジビエ最前線~のご案内(熊本農業法人協会)

こうした一気通貫のモデルを「イノシシ対策担い手育成プログラム」(※)として行政向けに提案すると、すぐに4市町村から大きな契約をいただきました。

県域の若手農家ネットワークを活かした鳥獣被害対策(熊本県 くまもと☆農家ハンター)(農林水産省)

困っている地域に広げていきたいという思いが事業として横展開し、これからメイン事業へと育っていきます。

こうした活動は住民主体の地方創生として評価され、

国連のSDGsの優良事例として紹介されるまでになりました。

Kumamoto Farmer Hunters – Local farmers’ action for saving biodiversity and local community in Southwestern Japan.(UNITED NATIONS)

私たちはマイナスをプラスにするこの仕組みを広げていきます。

イノシシ対策を通じて農家を地域の希望の星に育て、持続可能な農村にしていくこと。

私たちの活動に少しでも興味を持っていただけたら、お声がけをいただけますとうれしいです。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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