エクストリームデザインのクラウドスパコン「XTREME DNA」のプレゼンテーションを2回シリーズでお届けします。(その1)は、日本に数少ないスパコン・アーキテクトである柴田さんの自己紹介とスパコンそのものの実用性についてお話頂きました。2016月9月6日・7日に開催したICCカンファレンス KYOTO 2016スタートアップ・コンテスト「カタパルト」プレゼンテーションの書き起こし記事です。ぜひ御覧ください。
スタートアップビジネスの「エコシステム」を構築し、日本の起業家を支援するプログラム「IBM BlueHub」は「カタパルト(CATAPULT)」のオフィシャル・サポーターです。
本記事で特集しております8分間のプレゼンテーションを行う「CATAPULT(カタパルト)」のプレゼンターを募集しております。「スタートアップ」「社会起業家」「IoT/ハードウエア」「リアルテック」の4カテゴリーで募集しております。ぜひ募集ページをご覧ください。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 1B スタートアップ・コンテンスト「カタパルト」
(プレゼンター)
柴田 直樹
エクストリームデザイン株式会社 (XTREME DESIGN Inc.)
CEO, High Performance Cloud Architect
国立 木更津工業高等専門学校 土木工学科 卒業。高専卒業後、建設コンサルティング会社で河川計画技師を担当後、スパコン系ITベンチャーへ進み、Linux+x86アーキテクチャを採用したPCクラスタシステムの黎明期からエンジニアリングを担当。その後外資系ITベンダーでソリューションアーキテクト兼エバンジェリストとしてx86ベースのスーパーコンピュータのエンジニアリングを担当。2014年より個人事業主として、SIerへのクラウド事業開発やクラウドを活用した開発業務を請け負い、2015年2月2日にエクストリームデザイン株式会社を設立し代表取締役に就任し現在に至る。同志社大学 生命医科学部 嘱託講師。
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プレゼンテーション動画もぜひご覧ください。
皆さん おはようございます!エクストリームデザインの柴田です。
本日はスパコンを民主化するサービス「XTREME DNA」に関してプレゼンテーションしたいと思います。
数少ない日本のスパコン・アーキテクト
まず、私の略歴からお話させて下さい。 この業界では少し異色かもしれません。
学生時代は工業高専の土木科で材料力学を先行しておりました。
卒業後は建設コンサルタント会社からキャリアをスタートしました。
河川の堤防の設計などを主に行っていく中でコンピュータシミュレーションを知り、これを極めたいとということでIT業界に転職したところがスーパーコンピューター(以下、スパコン)関連のソフトウェアの外資系でそれ以来約15年間スパコンの現場に携わっております。
特に外資系のIT企業で、業界でももうほとんどいないスパコン・アーキテクトを長年勤めて来ました。 自慢という訳でないですが、2014、2015年度に日本最高速のx86アーキテクチャベースのスパコンの設計と構築を担当させてもらいました。
2014年から クラウド、特にIaaSで 自分の考える スパコンを再現できないか? そして誰でも使えるようにならないか?を考えはじめ ました。
そして、2015年エクストリームデザインを起業して現在に至っております。
スーパーコンピューターとは何か?
さて、本題に入る前にそもそもスパコンって何?という方が大半と思います。
「2位じゃいけないんですか?」という蓮舫さんの言葉で少し記憶に残っている方もいるかもしれませんが、まず短時間でその違いをお話します。
スパコンの特徴
まず、スパコンはとにかくデカいです。
もちろん 様々なサイズのスパコンがありますが、世界クラスのスパコンは体育館一個分くらいあって、たいていは建物ごと構築することになります。
日本にある「京」というスパコンも専用のデーターセンターに格納されています。
次にスパコンはとにかくコア数が多いです。
皆さんの手もとのPCが多くても4コアくらいでしょうか。
世界1位のスパコンは中国にありますが、そのコア数は1000万コアを超えています。これをシングルシステムイメージとして動作させていることを考えるととにかく大規模であることが判って頂けるかと思います。
そして、スパコンはこのような規模感ですからとにかく爆速です。
これは一例ですが10桁のパスワード総当たりクラックを行った場合通常のPCクラスで680年くらいかかるものも世界クラスのスパコンであれば126時間で済んでしまいます。
そのくらい圧倒的なパワーがあるわけです。
スパコンの課題は難易度高い運用監視と構成変更
さらに、大量のサーバー群と専用の高速ネットワークを1つのシステムとして維持するためには緻密な設計と構築OSの細かい部分までのチューニング、高精度な運用支援、運用中も細かい構成変更やいち早い障害検知などスパコンアーキテクトが行うこれらの作業は、経験者も少なくまたエンジニア単価も高価です。
しかし、産業界特に大手製造業、日本では自動車産業では既にスパコンが多く活用されています。
私自身も多くの自動車業界向けのスパコンをサポートしてきました。この業界はソフトウェアがスパコン用になっているものも多く存在しており、導入が比較的進んでいる業界です。
ではなぜ導入が進んでいるか? それはコスト削減のメリットが大きいからです。
以下のスライドのデータは実在の自動車会社さんのデータですが 実車の衝突実験を年600回やっています。
スパコンを利用してコンピュータの中でさらに25,000回の衝突事件のシュミレーションを行っています。
これを全部実車でやろうとすると相当なコスト負担ですし、作っている社員さんは見ているのも辛い。1台 数百万円と考えれば相当のコスト削減です。
これは大手自動車会社の一例ですが、とはいえ、スパコン環境は誰でも導入できる訳ではありません。これは私が実際に関わった例で、「ハードウエア」「スパコンアーキテクト」「運用保守」どれを取っても高価です。
この規模はサーバの数にすると約130台でスパコンの中ではそれほど大きいものではありません。それでもこれだけ高額なのです。これでは誰でも使えるようにできないのです。
そのため、私は本日お話する 「XTREME DNA」 の開発を決めました。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成
続きは クラウドスパコン「XTREME DNA」で狙う成長市場-注目のベンチャー特集「エクストリームデザイン」(2) をご覧ください。
【編集部コメント】
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