「OUI Inc.」は、スマホでできる眼科診断で、世界の医療過疎地の患者を失明から救う(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「OUI Inc.」は、スマホでできる眼科診断で、世界の医療過疎地の患者を失明から救う(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】

Pocket

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

ICC KYOTO 2021 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇いただき、見事3位に入賞した、OUI.Inc 中山 慎太郎さんのプレゼンテーション動画【「OUI Inc.」は、スマホでできる眼科診断で、世界の医療過疎地の患者を失明から救う】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミットFUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのベクトル様にサポート頂きました。

【速報】子どもの好奇心に火をつける!新しい学び場「SOZOW」を提供する「Go Visions」が審査員号泣のソーシャルグッド・カタパルトで優勝!(ICC KYOTO 2021)


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト&ラウンドテーブル
Supported by ベクトル

中山 慎太郎
OUI Inc.
海外戦略部部長

1982年東京都生まれ。2006年一橋大学法学部卒業。国際協力銀行、国際協力機構、三菱商事株式会社にて中東・アジア・中南米地域のインフラ開発に従事後、NPO法人クロスフィールズ副代表、2019年ラグビーワールドカップアルゼンチン代表帯同通訳を経て、2019年よりOUI Inc.に参画。
海外事業の責任者として、マラウイ・ケニア・ベトナム・ブラジルをはじめとする途上国でのプロジェクトを、現地眼科医・医療機関、政府機関、研究機関、国際機関と連携しながら推進。同時に国内事業のビジネス開発も手がける。慶應義塾大学医学部眼科学教室研究員。


中山 慎太郎さん 皆さん、こんにちは。

OUI Inc.の中山 慎太郎と申します。

本日は、「日本発・世界の失明と視覚障害の克服!!」というタイトルで、OUI Inc.の挑戦についてお話しさせて頂きます。

最初に、簡単に自己紹介をさせてください。

僕は2006年に社会人になり、これまで15年間、色々な国で、色々な人と、色々な仕事をしてきました。

JBIC(旧国際協力銀行)/JICA、三菱商事、そしてクロスフィールズというNPOを経て独立し、2年前のラグビーワールドカップでは、アルゼンチン代表の帯同通訳をしていました。

今はOUI Inc.で、世界中の人たちに眼科医療を届ける仕事をしています。

これまでの仕事もやりがいがあって楽しかったのですが、僕は、OUI Inc.の仕事が、今まで生きてきて一番やりがいがあると思っています。

今、一番燃えています。

今日の僕の話を聞いて、なぜ僕がそう感じるのかを感じて頂けたら嬉しいです。

慶應義塾大学の眼科医が創業した、医学部発ベンチャー

OUI Inc.は、慶應義塾大学の眼科医が創業した、医学部発の大学ベンチャーです。

僕はビジネスサイドの責任者をしており、ビジネスサイドの仲間に加え、ハードウェア、ソフトウェア、AI、機械学習のエンジニアから成る、10人ほどの小さな会社です。

小さな会社ですが、とても大きなビジョンを掲げています。

「2025年までに、世界の失明を50%減らす」、これを本気で目指しています。

予防・治療ができる病気で失明している人は、世界で2,200万人

今、世界には4,300万人の失明者がいて、22億人の視覚障害者がいます。

この4,300万人のうち、半分以上の2,200万人は、予防や治療が可能な病気が原因で失明をしています。

こういった患者さんの多くは、途上国の農村などの医療過疎化地域に住んでいます。

そこには眼科医がいません。

ドクターがいないケースもたくさんあります。

目の病気を診断する医療機器もありません。

つまり、眼科医療へのアクセスがないのです。

こういった地域で目の病気になり、診断や治療を受けられずどんどん悪くなり、失明してしまっている人が2,200万人もいるのが、世界の現状です。

視力回復できる患者も失明状態のまま

この写真は、世界最貧国の一つ、アフリカのマラウイという国の農村で、僕が出会った男の子の写真です。

見て頂くと分かると思いますが、目が白く濁っています。

これは先天性白内障という病気で、彼は生まれた時からほとんど視力がありません。

実はこの病気は、手術をすれば治るのです。

目が見えるようになるのです。

しかし、マラウイという国には、人口1,800万人に対して、眼科医は14人しかいません。

彼が住んでいる農村の周りには、眼科医はいません。

彼のお父さんもお母さんも彼自身も、目が見えるようになることを知らないまま、彼は成長しています。

目が見えないことで、村に唯一ある学校にも通えずにいます。

目が見えないということは、その人の社会的、経済的生活にとても大きな影響を与えます。

特に途上国の環境では、将来の選択肢や未来の可能性を大きく狭めてしまう問題となります。

国連が定めるSDGsの中で、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、つまり誰もが平等に医療サービスを受けられる社会の実現が掲げられています。

▶参考:SDGグローバル指標(SDG Indicators)3:すべての人に健康と福祉を(外務省)

WHOは、失明と視覚障害の予防促進を、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを実現する上で最も重要な要素の一つに掲げています。

スマホアタッチメント型の診断機器「Smart Eye Camera」

僕たちはこの問題を解決するために、「Smart Eye Camera(SEC)」を発明しました。

Smart Eye Cameraは、スマートフォンアタッチメント型の医療機器で、スマートフォンのカメラと光源を利用し、スマートフォンにかぶせることで、いつでもどこでも眼科診断ができるようになります。

今、手元にあるのでお見せします。

このようにスマートフォンにかぶせて使うことで、目の診断が可能になります。

Smart Eye Cameraは、細隙灯顕微鏡という医療機器(スライド左)と同等の診断が可能です。

Smart Eye Camera が既存の眼科医療機器と同性能と証明 白内障の診断に関する臨床論文がDiagnosticsにて公開(PR TIMES)

これまでは、眼科に行って眼科医の前に座って受ける診断スタイルでしたが、Smart Eye Cameraによって、いつでもどこでも誰でも、診断が受けられるようになるのです。

世界15カ国以上でSECを使った遠隔診断を実践

僕たちは今、Smart Eye Cameraを使った、新しい眼科医療のモデルを世界中で作っています。

途上国の農村部などの医療過疎地域で、保健所スタッフに患者さんの目の写真をSmart Eye Cameraで撮影してもらい、撮影した画像を、僕たちが開発中のスマートフォンのアプリケーションで、遠隔地の眼科医に送ります。

眼科医がそれを見て、保健所スタッフを通じて農村の患者さんに眼科診断を届ける、遠隔診断のモデルを実践しています。

また、継続してSmart Eye Cameraを使うことで、目のデータがたくさん溜まります。

このデータを機械学習にかけて、世界的にも例のない、目の病気の診断AIも開発しています。

このように、眼科医療へのアクセスがない地域に眼科診断を届け、目の病気を持つ患者さんをあぶり出し、病院での治療につなげるモデルを作っています。

僕の仕事は、この新しい眼科診断モデルを、世界中の眼科医や医療機関の先生たちと一緒に作っていくことです。

今、アジア、アフリカ、中南米、世界15カ国以上で展開しており、これらの国を駆け回りながら仕事をしています。

ちょうど1カ月前、アフリカのケニアから帰ってきたばかりです。

伊豆諸島、小笠原諸島でも、SECによる遠隔診断を実施

Smart Eye Cameraは、海外だけではなく日本の医療現場でも使われています。

日本には、眼科医が常駐していない小さな離島がたくさんあります。

今、伊豆諸島、小笠原諸島の9つの島で、島に常駐している救命医と本土の眼科医をつなぎ、Smart Eye Cameraを使った遠隔診断を実施しています。

島のドクターと患者さんに、大変喜んで頂いています。

「世界の失明を50%減らす」ビジョンを世界に向け発信

僕たちの活動を紹介してきましたが、「世界の失明を50%減らす」というビジョンの実現は、僕たちだけではできません。

日本中、世界中のドクターに仲間になってもらわなければいけません。

そのために、Smart Eye Cameraの性能や可能性について、エビデンスとなる論文をたくさん書いて、世界中の医学雑誌に投稿しています。

日本とEUではすでに医療機器登録を済ませていて、他の国でも順次、登録を進めています。

慶應発スタートアップOUI Inc.のiPhone装着型眼科診察機器「Smart Eye Camera」がEUで医療機器登録(TechCrunch)
OUI Inc.のSmart Eye Camera がケニアで医療機器登録(PR TIMES)

世界銀行グループのIFC(国際金融公社)、内閣府のAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの政府機関、国際機関から、合計1億円を超える助成を頂きながらコラボレーションをしています。

IFCについて
OUI Inc.が、国際金融公社(IFC)のTechEmerge Health East Africaに採択 (PR Times)
IDB のSilver Economyに、OUI Inc.とブラジルの医療NGOとの協働プロジェクトが採択 (PR Times)
OUI Inc.がVision Hacker Awards 2021 for SDG 3 でシード賞受賞-ビル&メリンダ・ゲイツ財団協賛のグローバルヘルス分野の伴走型アワードに選出 (PR Times)

また、インドのAravind Eye Hospitalや、アメリカのJohns Hopkins Universityとも共同研究のパートナシップを組んで推進しています。

医療×貧困!失明・白内障の危機を救うインドの眼科病院 Aravind Eye Hospital(ボーダレスジャパン)

日本発、2025年までに世界の失明を50%減らす

最後に、この写真は、ベトナムの農村で手術を受けて目が見えるようになった患者さんの写真です。

この患者さんの笑顔が、僕は大好きです。

一人でも多く、世界にこのような笑顔を届けられるように、これからも頑張ります。

今日の話を聞いて共感頂けた方は、ぜひ応援頂けると嬉しいです。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

Pocket

ICCパートナーズ

ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「Industry Co-Creation サミット/ICCサミット」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。