自動車工学の衝突技術を活かした新素材で、転倒による骨折事故を防ぐ「Magic Shields」(ICC KYOTO 2021 )【文字起こし版】

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ICC KYOTO 2021 REALTECH CATAPULTに登壇いただき、第2位に入賞した、Magic Shields 下村 明司さんのプレゼンテーション動画【自動車工学の衝突技術を活かした新素材で、転倒による骨折事故を防ぐ「Magic Shields」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 ゴールド・スポンサーのKOBASHI HOLDINGS様にサポート頂きました。

【速報】均一構造の高分子ゲルで効果的な再生医療の実現を目指す「Gellycle(ジェリクル)」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2021)


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 7A
REALTECH CATAPULT
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by KOBASHI HOLDINGS

下村 明司
株式会社Magic Shields
代表取締役

2006年からヤマハ発動機にて14年間にわたり、主にバイク開発を実施。特にレース用バイクに携わり、各部品の研究開発からプロジェクトチーフまでを行う。またデザイン部門での新規事業開発を行い、デザインエンジニアとして人と機械の新しい関わり方について、コンセプトデザインを提案。一方プライベートでは、友人の事故やテロをきっかけに世界から事故や暴力を無くすことを志しし、「人を守る発明」を多数行う。その後2019年11月、株式会社 Magic Shieldsを創業。現在は高齢者の転倒による骨折を減らすため、転んだときだけ柔らかい新素材「ころやわ」を開発し、床やマットとして販売を行う。MBA、ロボット工学修士。


下村 明司さん 株式会社Magic Shields代表の下村です。

転んだときだけ柔らかくなる新素材「ころやわ」

私たちは高齢者の転倒による骨折を減らす、転んだときだけ柔らかい新素材「ころやわ」を開発・販売しています。

まずはこちらをご覧ください。

コンセプトモデルですが、このように歩いているときは硬くて、転んだときには大きくへこんで衝撃を吸収します。

足元がおぼつかない、転びやすいお年寄りでもしっかり歩けて、でも転んだときには骨粗しょう症があっても骨折しにくいというものを作っています。

高齢者の3人に1人が転倒を経験

なぜこういったものが必要になっているのでしょうか?

実は高齢者の3人に1人が転倒しています。

特に大腿骨を骨折すると致命的で、寝たきりになったり介護が必要になったり、認知症が進んだりということになっています。

実際私の祖母も転倒骨折から寝たきりになって亡くなりました。

晩年毎日天井を見上げながら、こう言っていたのです。

「早く死にたい、早く死にたい」と。

高齢者の転倒骨折が急増

こんな人を不幸にする事故が今、日本で急増しているのです。

2000年以降、2倍です。

毎年100万人の方が転倒による骨折をしていて、世界でも2,000万人が転倒骨折しています。

そして大腿骨骨折だけでも、医療費・介護費が2兆円もかかっているのです。

今まさに解決しなければならない喫緊の社会課題だと思っています。

「転ばせない」から「転んでも骨折させない」へ

そしてもちろんこれまで対策はいろいろありました。

でもやはり、なかなか難しかったのです。

転ばせないように看護師や介護士が支えるということをやっていたのですが、それでも防ぎきれないということで、私たちは課題を見直しました。

「転ぶことは課題じゃないんじゃないか?」と。

転ばせないために今まで歩かせなかったり、ベッドに縛り付けたりということをやっていて他の病気を併発したり、認知症が進んでますます介護が重くなります。

私たちは「転んでも骨折させない」ということで、どんどん歩いて、どんどん元気になる良い循環というのを作っていきたいと考えています。

そのためにこういったコンセプト、ちゃんと歩けるのだけれど、転んだときには骨折しないというものを作ってきたのです。

世界初!歩くときの硬さと転んだときの柔らかさを両立

「ころやわ」は厚さ22mmの量産品で、実際にフローリングに対して約半分の衝撃に抑えることができています。

畳や絨毯では骨粗しょう症の大腿骨骨折荷重を上回ってしまいますが、「ころやわ」はこれを下回っています。

試しにフローリングに植木鉢を落とすと、ご覧のように割れてしまうわけですが、「ころやわ」の場合は割れません。

歩いたときの硬さは、歩行や杖、車椅子ではへこまないようにしています。

こちらは藤田医科大学と共同研究しています。

従来のスポンジマットの上を高齢者に歩いていただくと、やはりふわーっとバランスを崩して転んでしまう、かえって危険な場合があるのです。

一方で、ころやわの場合は大丈夫です。

ということで「ころやわ」は世界で初めてしっかりとした歩くときの硬さ、それから転んだときの柔らかさを両立したのです。

今日はこういったリアルの場なので、ちょっとコンセプトモデルのサンプルを持ってきましたので、ご覧ください。

後ろのほうの方、見えにくかったらぜひちょっと乗り出したり、立ち上がったりして見ていただくといいのですが、(ころやわの上で足踏みをしながら)歩いている分にはへこまないのです。大丈夫です。

ちょっと今日は転んだときの見本として、いつもより高めにちょっとこんな台を持ってきました。

ここからニードロップしていくので、もし何ともなかったら皆さん拍手をいただけたら本当に嬉しいです。

ではいきますよ。せーの!

ありがとうございます。

(会場拍手)
ご覧のように、元通り。なんともないのです。

元の状態に戻っています。

このように繰り返し転んでも大丈夫なわけです。

自動車工学の衝突技術を活用

なぜ私たちがこういうことができるのかというと、実は私たちの出自にあります。

昨年(2020年)まで、私は長年ヤマハ発動機に務めていまして、こういったバイクの設計・開発をずっとやっていました。

転倒もたくさん起きるのです。

転んだときに車体を上手に潰すという、いわゆる自動車工学の機械設計や衝突解析、バイオメカニクス、それから人を守る発明活動などを使って、こういったことを実現しています。

技術ジャンルとしては、「Mechanical Metamaterials」といわれるものになります。

ちょっと機密もあるので、海外の研究事例を持ってきていますけれども、ご覧のように大きな力がかかると内部構造が大きく変わって、硬さが一気に変わるということで、特許も出しています。

病院・施設の導入事例は100件超

これを実際の量産品として、このような3つのタイプで提供しています。

いずれも置くだけで使えるようなものとしていまして、1平米22,000円からご提供しています。

実は大腿骨を1本折ると、1人当たり医療費・加療費が400万円かかっています。

個人負担の費用でも40万円ぐらいあります。

これに対して「ころやわ」は安いのです。

実際、病室、居室、食堂、リハ室、レントゲン室と、いろいろな形で使われています。

これまで病院や施設を中心に100件以上使われて、未だにケガや骨折はありません。

病院の看護部長さんもこのようにテレビのインタビューで、「すごくいいね」と言ってくださっていました。

実証実験を開始。さまざまな応用を検討中

事業展開としての規模です。

まずは国内の100万人、実際転倒骨折した方の再発防止として約2,600億円。

それから世界の2,000万人に対して約5兆円分を提供していきます。

さらにセンサーを組み込んで転倒予防、それから業務改善も行っていこうと思っていて、今年の秋から実証実験していきます。

そして素材としてもいろいろな応用先があります。

衝撃だけでなく、振動や音に対しても有効です。

保育園や体育館だけでなく、一般マンションで音を消したり、乗り物の振動を抑えたりといったさまざまな応用を考えています。

エンジニア×理学療法士×MBAの創業チーム

これが創業チームです。

元ヤマハ発動機のエンジニアと、理学療法士を中心に、グロービスのMBAで作ったチームになります。

そしてありがたいことに、最近メディアの露出も増えてきまして、YouTubeが100万回再生になったり、『めざましテレビ』にも出演できたり、省庁からも評価いただきまして、この秋資金調達も完了します。

そこでこういった新しい価値をグローバルスタンダードとして世界に広めていく仲間を募集しています。

転倒骨折からすべての人を守りたい

最後になりますが、私たちは今急増するこの転倒骨折の社会課題を、今解決していきたいのです。

みんなが自立していける、介護にならない世界を作りたいですし、医療費、介護費、人材不足、こういったところも減らしていきます。

そして世界で高齢化が進む中で、グローバルスタンダードとなる価値だと思っていますので、これを世界に向けて広げていきたい。

高齢者3人に1人が転倒すると申し上げましたが、皆さんのご家族や皆さんも必ず転ぶときが来ます。

私はそれを見逃せません。

私たちMagic Shieldsが皆様を守ります。

どうかよろしくお願いします。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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