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ICC KYOTO 2021 CRAFTEDカタパルトに登壇いただいた、KOHII 大槻 洋三さんのプレゼンテーション動画【「KOHII」は、日本中のロースターと人をつなぎ、コーヒーカルチャーの構築を目指す】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションは、ICC KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのMakuakeにサポート頂きました。
▶【速報】見た目はガラスの割れないグラス!シリコーンゴム製ものづくりに挑む「KINJO JAPAN」がCRAFTED CATAPULT優勝!(ICC KYOTO 2021)
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【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 8A
CRAFTEDカタパルト
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Makuake
大槻 洋三
株式会社KOHII
代表取締役 (CEO)
2008年にカナダのウォータールー大学卒業、2014年ゴールドマンサックス日本法人退社。
日本の文化を世界へ伝えたい思いと、幼い頃に両親がジャズ喫茶を営んでいたことに影響を受け、日本のコーヒー文化の魅力に着目。2014年、当時住んでいたオーストラリア、シドニーにて日本のコーヒー器具を販売するECショップ「Kurasu」を立ち上げ、現在は出身である京都市内に3店舗、シンガポール、バンコクに展開。
2021年より株式会社KOHIIを立ち上げ、コーヒーを通して世界中の人達につながりを作り出すことをVisionにし、コーヒー業界の全体の底上げと、より多くの方にスペシャルティコーヒーを飲んでいただけるサービスをアプリを通して提案。日本全国のスペシャルティコーヒーロースター・カフェをサブスクリプション、モール、モバイルオーダーなどのサービスでお客様と繋げ、そしてコーヒーメディアとしてもコンテンツの配信を目指す。
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大槻 洋三さん 本日は、「日本で個人経営のコーヒーショップは成功できる」ことを証明したくて私が立ち上げたKURASUと、その経験を生かして、今、KOHIIというモバイルアプリを使って業界全体の底上げを図っている話をさせてください。
審査員の皆様には、エチオピアのコーヒーをご用意しています。
コーヒーはフルーツであることを体感していただける、フルーティで芳醇なコーヒーです。
ぜひコーヒーを片手にお聴きください。
母の影響でコーヒーが身近なものに
私とコーヒーのつながりは、私が生まれる前に母親が京都市内で営んでいたジャズ喫茶からスタートしました。
コーヒーに強いこだわりを持ち続けていた母の影響で、物心がついた頃から毎朝、ハンドドリップのコーヒーの香りで目覚めていたことを鮮明に記憶しています。
私自身は京都からニューヨーク、カナダの大学を卒業して、ゴールドマン・サックス証券に4年間勤めており、今とは全く違う20代を過ごしました。それでも社内のパントリーで一人コーヒーをドリップしたり、コーヒー屋さんを巡ったり、コーヒーが常に自分の中の大切なものとしてあり続けました。
コーヒーショップ経営に踏み出せなかった要因
コーヒーショップを営むことがずっと念頭にはあったのですが、「コーヒーショップの個人経営=オワコン」、この図式が脳裏に浮かび、なかなかその一歩を踏み出すことができませんでした。
その要因は何なのか、1つの質問に対しての回答が多くを物語っています。
皆さん、「よく行くコーヒーショップはどこですか?」
スターバックス、タリーズ、ドトール、セガフレードなどのフランチャイズ、またコンビニのテイクアウトや缶コーヒーが多いはずです。
これは日本のコーヒーの消費データでも裏付けされています。
オーストラリアのコーヒーショップ事情
私はゴールドマン・サックスを退職した後、オーストラリアに4年間住んでいたのですが、そこでコーヒー業界に対しての価値観が180度変わりました。
シドニーとメルボルンで、同じように「よく行くコーヒーショップはどこですか?」と聞いたとします。
返ってくる答えは、マーケット レーン コーヒー (Market Lane Coffee)、SINGLE O(シングル・オー)、セブンシーズ(SEVEN SEEDS)、セント アリ(ST ALi)、ASSEMBLY、Patriciaなどなど、人によって全く違うんですね。
▶シドニーの美味しいコーヒー店 – オーストラリア政府観光局 (australia.com)
▶メルボルンの美味しいコーヒー店 – オーストラリア政府観光局
これはどういったことかというと、オーストラリアでは、95%のコーヒーショップはインディペンデントのコーヒーショップなのです。
5%以上のマーケットシェアを占めるコーヒーのプレーヤーは存在していません。
オーストラリア人は関係性を築き上げている行きつけのバリスタ、コーヒーショップがあって、そのコミュニケーションの場として毎日、本当に朝昼夕方、1回、2回、3回、4回と訪れます。
▶オーストラリアの独自のコーヒー文化を楽しもう(JTB)
これがコーヒー業界の好循環を生んでいました。
地域に根付く余地がなくて品質が全く及ばなかったスターバックスが、世界で撤退せざるを得なかった唯一の国がオーストラリアです。
▶スタバ、豪から「撤退」 地場コーヒー文化に敗北 2014年6月19日(日本経済新聞)
オーストラリアの人は、それを誇りに思っています。
オーストラリアのバリスタはステータスが高い
この数字にはびっくりしました。
これは、メルボルンの20代のトップバリスタの友人の年収です。
経営者ではなくて雇われのバリスタです。
年収の数字は、その裏のバリスタのソーシャルステータスの高さを物語っています。
オーストラリアの個人経営のコーヒーショップは、オワコンとはほど遠いところにありました。
私は衝撃を受けて、同時に、これが日本でも可能になる未来に希望を持ちました。
機械でなく一杯ずつ抽出するドリップが見直されている
まずは「日本のコーヒーショップの個人経営=オワコンではない」ことを自分自身で証明したい。
京都をベースに、Kurasu Kyotoというコーヒーショップの展開を2016年にスタートしました。
ミッションは、「日本のコーヒーカルチャーを世界へ」。
どういったことかというと、全世界でハンドドリップのムーブメントが巻き起こっていて、コーヒーの質が高くなればなるほど、機械ではなくて、一杯一杯を丁重に職人のように抽出するドリップが見直されています。
その象徴に、喫茶店を代表する日本のコーヒーカルチャー、そして日本のコーヒー器具、これがスタンダードとして、世界中のコーヒーショップで使われています。
日本の喫茶店文化に触発され、成功したブルーボトル
代表的な事例は、アメリカのブルーボトルコーヒーです。
アメリカではまだほとんどなかったハンドドリップを大きなスケールで取り入れ、店舗展開をして成功しました。
これらはすべて日本のコーヒー器具です。
CEOのジェームス・フリーマンがブルーボトルを立ち上げたとき、日本に旅行して喫茶店文化に触発されたのが転機になったというふうに言われています。
▶ルーツは日本の喫茶店文化 ブルーボトルコーヒー探訪 2015/3/7(NIKKEI STYLE)
今、日本でも大きく店舗を展開しているブルーボトル、実はコンセプトは逆輸入だったのです。
日本にインスパイアされているコーヒーショップは、世界中にたくさんあります。
ただ残念ながら、日本国内でその認識を持っている人は非常に少ないのです。
それが現状でした。
この写真にあるドリッパーもすべて日本製です。
日本のコーヒーカルチャーを日本のコーヒーショップが世界に発信する。
これは当たり前のことなのですが、私たちKURASUはそれを実現しました。
私はKURASUを通して、日本最大級の日本のコーヒー器具のECサイト、そして4年間で京都に3店舗、シンガポール、タイ、海外進出をすべて自己資金で成功しており、香港やインドネシアでも進行中です。
4年で「個人経営のコーヒーショップ=オワコンではない」ことを証明することができました。
日本中のロースターとコーヒーカルチャーを構築する
KURASUの実体験をもとに、もっとマクロの目線から日本中の素晴らしいコーヒーロ―スターとともにコーヒーカルチャーを構築していきたいという思いが強くなり、そのためにテクノロジーの力が必要不可欠と感じるようになりました。
それが今年(2021年)3月、KOHIIという日本で唯一のコーヒーのコミュニティアプリのリリースという形で現実に近づいています。
コーヒーの魅力をもっと多くの方に知ってもらうために、コーヒーのことなら何でもこのアプリで
完結できる、そんなスーパーアプリを私たちは目指しています。
▶コーヒーと人をつなぐコミュニティアプリ『KOHII(コーヒー)』2021年9月15日(水)にAndroid版正式リリース 京都からスペシャルティコーヒーの魅力を発信する、全く新しいアプリを(PR TIMES)
コーヒーの魅力を共有できるアプリ「KOHII」の機能
KOHIIの機能の一部を紹介します。
KOHIIでは、日本全国のコーヒーショップのデータベースを構築しています。
日本の喫茶店は、69,977軒あるとされています。
まずは近くの上質なコーヒーショップの存在を知ってもらうところからスタートします。
そして日々更新されるコンテンツを通して、ノウハウから時事ネタまで、コーヒーがいかに自分たちの生活に近いところにあるのかを改めて知っていただきます。
「スナップ機能」を通して、飲んだコーヒーや訪れたコーヒーショップのシェアやタグ、「メモ機能」などでユーザー同士がつながり、共有できるようになります。
上質なコーヒーラバーが集まるアプリのリテンションは非常に高く、平均滞在時間からコミュニティが構築されてきている状況を、私たちは日々目の当たりにしています。
モバイルオーダーやサブスクリプションなど展開予定
マネタイズとしては、日本全国のコーヒーロースターのコーヒーが気軽に買えるショッピングモールや年内にはモバイルオーダーの機能も搭載予定です。
サブスクリプションモデルも運営をスタートしており、BtoB向けのオフィスコーヒーのテストも予定しています。
▶京都からコーヒーと人をつなぐ、コーヒーコミュニティアプリ『KOHII(コーヒー)』2021年6月22日(火)よりサブスクリプションサービスの提供を開始(PR TIMES)
サブスクは、メンバーとともにロースターの数も増やすことで、多くのコーヒーロースターの認知と、彼らのベーシックインカムの確保を目指しています。
この土台を築くことで、ロースターにはそれぞれリスクをもって新規展開にチャレンジしていきたい、そういう願いが込められています。
コーヒーのプラットフォームを日本から世界へ
次のフェーズとして、コーヒーのアプリに蓄積されているユーザー動向や購買トレンドなど、コーヒーに特化するデータを分析します。
このデータをベースに、コーヒー業界全体のサポート、そして成長を導くシステムの構築を実現していきます。
そしてこのプラットフォームはKURASUが拠点を持っているシンガポールやタイをベースに、オーストラリアなどを皮切りとして、世界中のコーヒーコミュニティにもローカライズしていきます。
日本の歴史あるコーヒーカルチャーが世界に影響したように、今度はテクノロジーを通してコーヒーのプラットフォームを、“Coffee Connects People”という形で、日本から世界へ発信していきます。
応援をよろしくお願いします。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美
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